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ESHREのデータによると、ヨーロッパで2009年に実施された卵子提供でのIVFは16,872サイクルで、IVF全体の6%であった。妊娠率は42.2%と高い。妊娠率は、レシピエントの年齢ではなくドナーの年齢にはっきりと影響を受けることも分かっている。加齢による不妊の増加に伴い、卵子提供の需要も増えていると考えられる。卵子提供は、カップルが渡航不妊治療を選択する主な理由の一つである。卵子提供を求めて渡航するカップルの増加は、母国の規制回避や金銭的誘因に対する懸念から、大きな議論を引き起こしている。しかし海外のクリニックで卵子提供する女性たちについては、どのような女性がドナーになるのか、またその動機や報酬について、ほとんど知られていない。

ESHREはヨーロッパ11か国(ベルギー、チェコ、フィンランド、フランス、ギリシャ、ポーランド、ポルトガル、ロシア、スペイン、イギリス、ウクライナ)のクリニック60施設の卵子ドナー1423人をアンケート調査した。スペインとチェコからの回答が最も多かった(スペイン31% 、チェコ12%)。その結果、ドナーの大部分は利他的な理由から卵子を提供しているが、個人利得―金銭的利得――を期待してドナーになる者の割合も大きいことがわかった。

調査はESHREのタスクフォース(Cross-border Reproductive Care and European IVF Monitoring Consortium) が2011-2012年にかけて実施したもので、タスクフォースの長Guido Pennings 教授(ベルギー・ゲント大学)が主導した。ドナーの年齢が提供の動機に重要な影響を与えていることが分かった。調査対象のドナーの年齢は比較的若かったが(全体平均27.4歳, スペイン平均25.6歳-フランス平均31歳)、年齢と利他的動機の間には有意な関連性があった。25歳未満で「利他的動機のみ」の割合は46%、35歳以上では79%。「金銭的動機のみ」の割合は25歳未満で12%、35歳以上では1%。若ければ若いほど、金銭的動機の割合が高くなった。

ドナーは次の4つにグループ分けされた。
•学生 (スペイン18%, フィンランド16%, チェコ共和国13%)
•失業者 (スペイン24%, ウクライナ22%, ギリシャ17%)
•完全雇用者 (ベルギー75%, ポーランド70%, スペイン28%)
•独身の女性 (スペイン・ポルトガル50%+ , ギリシャ30%)

調査対象のドナーの3分の1が大卒、半分が子持ちであった。
ドナーになる理由に利他的動機を挙げた女性が多かった一方、調査の結果、ドナーの大部分が金銭的な補償を受け取っていることが分かった。「補償金や報酬を受け取ったからといって、報酬目当てだとはいえない。」とPennings教授は言う。しかし、特にいくつかの国において、金銭的補償が重要な動機となっていることを調査は示している。例えばギリシャではドナーの40%が「金銭的動機のみ」と答えており、またロシアとウクライナにおいても金銭的動機が主要な理由であった。

報酬の金額は、フランスの「全くなし」からベルギーの「2000ユーロ」まで様々であったが、ほとんどの国が500-1000ユーロであった。これらの報酬を購買力平価換算して比較すると、ギリシャ、ロシア、ウクライナなどの失業者や貧しい女性にとっては、非常に魅力的な金額であることがわかる。

提供の動機は「利他的動機のみ(不妊のカップル、家族、友人を助けるため)」「利他的動機と金銭的動機の両方」「金銭的動機のみ」「利他的動機と治療(エッグシェアリング)目的の両方」「治療目的のみ」の5項目。
•46% 利他的動機のみ
•32% 利他的動機と金銭的動機の両方
•10% 金銭的動機のみ
•5% 利他的動機と治療目的の両方
•2% 治療目的のみ

「利他的動機のみ」の割合が高かったのはベルギー(86%)、フィンランド(89%)、フランス(100%)で、「金銭的動機のみ」の割合が高かったのはギリシャ(39%)、ロシア(47%)、ウクライナ(28%)であった。ポーランドとイギリスはエッグシェアリングの割合が高かった。ヨーロッパ諸国の卵子ドナーの多様性を示す結果となった。「償還制度の違いと、報酬・匿名性の法的基準の違いによって、ドナーの特性に違いが生まれている。ヨーロッパ諸国の卵子ドナーの多くは他の女性を助けたいという気持ちで卵子提供しているが、一部にとって金銭的補償が誘因になっていることも確かだ。」とPennings教授は言う。

Egg donation in European clinics: Why do women do it?
[AAAS and EurekAlert! , 8-Jul-2013]

Egg donors mostly motivated by urge to help others
By Siobhan Chan
[BioNews 09 July 2013]

Why do Women Donate Eggs? Study Looks into European Egg Donors
Cheri Cheng
[Counsel & Heal Jul 08, 2013]

Focus on REPRODUCTION
European Society of Human Reproduction and Embryology, SEPTEMBER 2013

Egg donation tourism soars across Europe
Kounteya Sinha
[Times Of India Jul 9, 2013]

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by technology0405 | 2014-02-10 15:21 | Materials | Comments(0)

インドの代理出産産業で代理母が搾取される懸念を示したShetty氏の2012年の記事に対し、International Federation of Gynecology and Obstetrics (FIGO) とEuropean Society of Human Reproduction and Embryology (ESHRE)の実行委員会が、共同で声明を出した。代理出産のガイドラインをいかに徹底していくかが課題である、という内容になっている。

声明のもとになったShetty氏の記事
India’s unregulated surrogacy industry
www.thelancet.com, Vol 380 November 10, 2012

声明
Surrogacy guidelines: how do we implement them? Reflections on the November 2012 Shetty article in the Lancet
by technology0405 | 2013-09-10 11:40 | Countries | Comments(0)

ESHRE 2009 report

ESHRE(European Society of Human Reproduction and Embryology)が、2009年の各国の生殖補助医療のデータを集めたレポートをだした。これは、ESHREが1997年以降レポートを出し始めてから13番目のものとなる。

データは34カ国から集められた(2008年データは22カ国)。対象施設数は1005機関。全体でART実施数は増加した。
2008年に比べて3個以上の胚の移植や多胎妊娠は減ったものの、妊娠率自体は2008年とほぼ変わらなかった。

総計537463サイクルの内訳は、 IVF 135,621サイクル、ICSI 266,084サイクル、凍結融解胚移植104,153サイクル、 卵子提供21,604サイクル、IVM(未成熟卵体外受精培養法) 1,334サイクル、PGD/PGS 4,389サイクル、凍結卵子移植4,278サイクルとなった。

Assisted reproductive technology in Europe, 2009: results generated from European registers by ESHRE
A.P. Ferraretti, V. Goossens, M. Kupka, S. Bhattacharya, J. de Mouzon, J.A. Castilla, K. Erb, V. Korsak, and A. Nyboe Andersen, The European IVF-monitoring (EIM), Consortium, for The European Society of Human Reproduction and Embryology (ESHRE)
Human Reproduction, Vol.0, No.0 pp. 1–14, 2013 (Advance Access published July 9, 2013)
by technology0405 | 2013-08-01 14:13 | Materials | Comments(0)

ESHREのCBRC調査特別委員会は、2011年、CBRCに関する適正規範ガイドを作成した。主な内容は以下のようである。

1. CBRCにおける公平性
・外国人患者と国内の患者は、手順、料金、情報、カウンセリング、精神的支援において、同様の治療を受けられるようにする。国内の医療資源が、外国人患者によって不足しないよう留意する。
・外国人ドナーと国内のドナーは、同程度の治療や報酬を受けられるようにする。

2. CBRCにおける質、安全性、実証的医療
・質、安全性、実証的医療の提供により、最小限のリスクで最大限の妊娠率を達成すべきである。患者は、必要な検査とその費用、待機期間、どのくらい国外に滞在する必要があるのか、等についての明確な情報を知らされなくてはならない。
・海外から来るドナーへの虐待を防ぐため、仲介業者を使うことを避けるべきである。仲介業者の利用は診療規則の違反、あるいは最悪の場合、人身売買につながる可能性をもつ。

3. 代理出産
移植胚の個数は1個に限り、それ以外は容認しない。妊娠出産期間の治療計画はサイクル開始前から立てる。
渡航先の国の法律に関する助言は、その国の医療提供者が提供する。それが不可能な場合は、適切な地元の法的アドバイザーを紹介する。依頼親は、実行に移す前に母国の状況に関する正確な情報を手に入れておく。患者母国の法律問題が分かっている場合や、法律との衝突が起こり得る場合は、患者に知らせておく。

4. 子供
ESHREでは再三、移植胚の個数を1個にすることを推奨してきたが、多くのカップルはなかなかそれを受け入れられない。特に渡航治療患者にとって、渡航が複数回に及ぶことは余分の費用とストレスを要するので、より受け入れ難いようである。しかし多胎出産は子供の福祉に反する。
外国人患者にも、地元の患者と同じく、年齢や過去の採卵状況を考慮に入れた採卵法を適用すべきである。提供卵子を使用する場合、移植胚は2個までとする。
国内、国外など不妊治療を受けた場所に関わらず、ARTで生まれた子供の追跡調査を奨励する。

5. 医療提供者
患者母国の医師と、渡航先の医師とが協力して治療にあたる。

6. 患者参加型
患者の同意が十分に得られているかどうかを確認することは、特に言語的な壁がある場合には難しくなる。多くの国から患者を受け入れると、全ての言語に対して通訳を雇うことはできないが、カウンセリングや精神的支援は、患者の母国語で実施されるべきである。妥当な理解が得られたどうか確認できない場合は治療を提供すべきでない。
渡航患者の場合は、第三者生殖医療への移行を急いだり、移植胚の数を増やしたりといった無分別な選択をするリスクを抱えている。

7. 是正案
クリニックは患者がアクセスできるオンブズマンを設置し、患者に伝える。

ESHRE’s good practice guide for cross-border reproductive care for centers and practitioners
F. Shenfield, G. Pennings, J. De Mouzon, A.P. Ferraretti, and V. Goossens, on behalf of the ESHRE Task Force ‘Cross Border Reproductive Care’ (CBRC)

Implementing a good practice guide for CBRC: perspectives from the ESHRE Cross-Border Reproductive Care Taskforce
Francoise Shenfield
Reproductive BioMedicine Online (2011) 23, 657– 664

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by technology0405 | 2012-12-14 12:07 | Materials | Comments(0)

ESHRE 2008 report

ESHRE(European Society of Human Reproduction and Embryology)によるレポートが2012年6月に出版された。ヨーロッパにおける2008年度の生殖補助医療の利用状況に関する報告で、データをとり始めた1997年のものから数えて12番目のレポートとなる。

36カ国(2007年から3カ国増)のクリニック計1051施設から532,260サイクルの報告があった。内訳はIVFが124,539サイクル、ICSIが280,552サイクル、FER(frozen embryo replacements)が97,120サイクル、ED(egg donation)が13,609サイクル、IVM(in vitro maturation)が562サイクル、PGD/PSGが2875サイクル、FOR(frozen oocyte replacements)が4080サイクル。全体としては2007年より7.9%増えた。この増加は、ほぼ全ての登録国でサイクル数が増えたこと、また新しくデータ収集に参加した国(エストニア、カザフスタン、モルドバ、ルーマニアで計5480サイクル)があったことなどによる。人工授精に関してはIUI-HとIUI-Dがそれぞれ27ヶ国、21ヶ国から報告され、IUI-Hが144,509件(1.5%増)、IUI-Dが24,960件(4.3%減)であった。

全てのクリニックに登録機関への報告を義務づけている19カ国では、3億6980万人に対し350,143サイクルが実施されたことが分かった(100万人あたり947サイクル)。ICSIの利用は69.0%にまで増加。IVFの臨床妊娠率は採卵あたり28.5%、移植あたり32.5%、ICSIではそれぞれ28.7%、31.9%であった。FERの妊娠率は融解あたり19.3%。IUIの出産率はIUI-Hで9.1%、IUI-Dで13.8%。IVFとICSIのサイクルにおいて、移植胚の個数は1個22.4%、2個53.2%、3個22.3%、4個以上2.1%であった。IVFとICSIにおける出産児数別の割合は、単胎78.3%、双胎20.7%、三胎1.0%となり、多胎出産率は全体で21.7%となった(2007年22.3%、2006年20.8%、2005年21.8%)。FERサイクルでの多胎出産率は13.7%(双子13.4%、三つ子0.3%)。人工授精では、IUI-Hの双子、三つ子の出産率がそれぞれ10.6%と0.7%、IUI-Dではそれぞれ9.4%と0.3%であった。

前年と比べ、ヨーロッパ全体のART実施数は増えた。一方、年度ごとの増加をみせていた妊娠率は5年ぶりに下がった。2007年に比べ、3個以上の胚移植と多胎妊娠率はわずかながら減少した。

2008年はCBRCに関しても調査することが決定し、CBRC患者の数、治療の種類、患者の居住国、渡航理由を尋ねるデータ収集シートが加えられた。7カ国(アイスランド、カザフスタン、ラトビア、マケドニア、ポーランド、スロベニア、スペイン)から2514サイクルの報告があった。これは、2010年にShenfieldらがヨーロッパで実施した研究をもとにした推定数(年間患者数11000-14000人、サイクル数25000-30000)をはるかに下回る。患者の母国や渡航理由に関する情報も、不完全なものしか得られなかった。2514件の内訳は、卵子提供1040件、精子提供58件、PGD32件、その他は通常のIVF/ICSIであった。

2009年度のレポートは2012年イスタンブールでの学会で発表されている。

Assisted reproductive technology in Europe, 2008: results generated from European registers by ESHRE

Assisted reproductive technology in Europe, 2007: results generated from European registers by ESHRE

1997年-2006年のレポート

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by technology0405 | 2012-09-07 16:07 | Materials | Comments(0)

ESHRE2012 プレゼン

Better surrogate pregnancy outcome in cross-border patients in developing countries like India
R. Singh、 M. Singh

India & Bhopal Test Tube Baby CentreのエンブリオロジストDr.Randhir Singhが、ESHRE2012の Cross border reproductive careのセッションで、代理母60人を対象とした調査結果をポスター発表した。データは6年間のもの。代理出産の依頼親の国籍はアメリカ、アイルランド、マレーシア、モルディブ、日本、フランス、ロシアだった。
調査では代理母を、妊娠中病院で管理されたグループと、自宅で過ごしたグループの2グループに分類。また年齢も23-33歳と33-38歳に分けた。その結果、妊娠期を自宅で過ごした33歳以下のグループに稽留流産(けいりゅうりゅうざん)、切迫流産、早産、低出生体重児など妊娠関連の合併症が多く見られた。妊娠期を病院で過ごした代理母は、比較的順調に妊娠・出産期を過ごし、合併症の発症率も低かった。合併症発症率は、病院管理の代理母で7.5%だったのに対し、自宅で過ごした代理母は23.5%と、その差は有意であった。年齢の高いグループの代理母の方が、長期入院を受け入れやすく、治療に対する遵守度も高かった。代理母を計画入院させることが、より良好な妊娠転帰を得られることが分かった。また33歳以上の代理母の方が、母体も新生児も順調であった。これはおそらく穏やかな病院環境によって身体的、精神的休息を得られるからだと考えられる。年齢の高い代理母の方が、入院や緻密な管理を理解して受け入れることができる。代理母の食事計画や、患者と病院スタッフの連携などの要素が、より良い新生児転帰を生む。

BHOPAL TEST-TUBE -BABY CENTRE ホームページ
by technology0405 | 2012-07-18 12:13 | Countries | Comments(0)

ESHRE 2012

トルコのイスタンブールで7月1-4日、第28回欧州ヒト生殖学会議 (ESHRE 2012)が開催された。会議では、これまでに体外受精で生まれた人口が約500万人に上り、年間35万人のIVF児が誕生しているというICMART(International Committee for Monitoring Assisted Reproductive Technologies)の見積が公表された。
年間に世界で誕生する1億3千万余りの子供のうち0.3%がIVF児ということになる。「(IVFが)子供のいる家庭を築き、不妊の重荷を軽くしている。」とICMARTの議長David Adamson氏は言った。

IVFとその一手法であるICSIは、今や当たり前の技術になった。しかし、子供の特性を親が選ぶいわゆるデザイナーベビーの産出を危惧する声もあり、議論の的にもなってきた。ローマ法王庁は、大量のヒト胚廃棄を伴うという理由でIVFを罪とみなしている。また、超高齢の女性による出産をIVFが可能にしたことへの批判も多い。

「この500万人達成は、これまでの法的、道徳的、倫理的な論争、苦闘の末に勝ち取った社会的承認のすべてが正しかったいう証明である」と、世界初のIVF児ルイーズ・ブラウンの誕生を1978年に成し遂げたチームの一員Simon Fishel氏は語った。
データは2008年までに世界で実施されたIVFとICSIの治療数に基づいており、それ以降の3年間の数字は確定ではなく、あくまで見積もりである。

世界では年間1500万のIVFとICSIが実施されており、その3分の1以上はヨーロッパで行われていることがデータから分かった。成功率は一定で、移植胚の約3分の1(35万人)が出産に至っている。

ヨーロッパでは一回の移植胚の個数を減らす傾向にあり、母親の合併症、子供の低体重や発達障害のリスクを伴う多胎出産が減っていることもESHREによって明らかになった。三つ子の出産は1%以下になっており、「双子の出産も初めて20%を切った」と発表された。

他にも会議では、PGDの安全性に関する研究や、IVF治療に伴う危険性などについての発表が寄せられた。

ESHRE 2012 プログラム
by technology0405 | 2012-07-12 15:12 | Countries | Comments(0)

治療では治らない深刻な男性不妊(無精子症や無精液症)がある場合や、卵子がなかったり質が悪かったりする場合、体外受精で失敗が繰り返される場合に、胚提供が適応される。胚提供では、レシピエントと子供との間に遺伝的つながりがないケースが多い。胚提供には2種類ある。
①卵子提供と精子提供を組み合わせる――ドナーにはすでにカウンセリングが行われている
②別の不妊患者が凍結保存しておいた余剰胚を、持ち主の同意を得て使用する

カウンセリングの持つ意味は、①の場合には卵子提供や精子提供と同様であるが、②の場合には付加的なケアが必要である。胚提供が及ぼす影響について関係者全員が理解し、不安なく治療を進められることを目的として、カウンセリングが行われるべきである。そのための時間と場所は十分に確保しなければならない。

カウンセリングの目的
ドナー
自分の胚が遺棄されたり研究に使われたりするよりは、別のカップルに提供した方が良いと考えるドナー患者は、提供前に以下のことを考慮する必要がある。
・すでに今いる子供のために兄弟をもうけてあげたいと将来考えることは、本当にないだろうか
・自分の胚で生まれた子供がどこかで生きているという現実的な可能性について、どう思うか
・どんな人たちが胚提供を必要とするのだろうか
・提供胚が成功かどうかを(おそらく)知らされないことについて
・匿名性の保持について
・ドナーとレシピエントの両方から十分なインフォームドコンセントを得る必要がある

レシピエント
提供胚のレシピエントの懸念は以下のような事柄である
・ドナーには適切な健康診断(エイズ、肝炎、染色体異常の分析など)がなされたのか。家族内に身体的、精神的、遺伝的異常が発生したことはないか。
・ドナーの学歴や社会的背景などは?
・ドナーの動機は?報酬を得ているのか?
・レシピエントやその家族からは考えられないような性質の子供が生まれることがあるだろうか。
・胚提供で生まれた事実を子供に告げるべきだろうか。
・匿名性――ドナーの身元を知ることはできるだろうか。完全な匿名性が守られる国も多いが、一部の国では(スウェーデンなど)子供がドナーの身元を知る権利を持つ。

典型
胚提供は、比較的新しい選択肢である。作成された胚が凍結保存されてしばらく時間が経った後ようやく、胚提供が受けられる状態になる。患者は胚凍結時に、保管期限があること、その時に胚を破棄するか、別のカップルに提供するか、研究に提供するかなどの選択を尋ねられる。国によってはこうした選択肢が法律で禁じられている。余剰胚を破棄する選択をしたカップルはしばしば、宗教的なものであってもなくても、別れの儀式を希望する。胚を人とまでは考えなくても、命の可能性を持つ生きた存在だとみなすことが多い。そうした思いをくみ取るような最期の迎え方が必要である。

これまでに起きた問題点
①ドナーカップルの中には、自分の子供とよく似た子供が(胚提供の結果)生きているかもしれないという事実を受け入れることが難しい者もいる。それと分かるほどよく似た子供に会うかもしれないと懸念するカップルもいる。胚提供することに気が進まず、破棄を選ぶカップルもいれば、地理的にかなり離れた場所で提供胚が利用されるのなら不安がないと考えるカップルもいる。提供前のカウンセリングは非常に重要である。
②レシピエントの成功率を考えると、凍結余剰胚が3つ以上なければ胚提供は提案できないと考えるクリニックがほとんどである。しかし、自分の余剰胚にはできるだけ生きるチャンスを与えたいと強く望むドナー患者にとって、こうしたクリニックの態度は過酷である。
③胚提供に対する受容力は男女で同じとは限らない。男性パートナーの方が、胚提供の可能性を受け入れることに困難を感じる場合が多い。女性は子供を妊娠・出産することで報われる。
④レシピエントは、子供に本当のことを告げると決めた場合、どのように伝えるべきか悩むことが多い。子供の絵本は、告知の際の手助けに有用である。

コミュニケーション技術
カウンセラーは、他の不妊カウンセリングと同様の技術を求められる。また、匿名性を守るために特別な注意を払う必要がある。例えば、ドナーとレシピエントのマッチングをカウンセリング過程から切り離すことなどは、賢明な予防策であろう。

GUIDELINES FOR COUNSELLING IN INFERTILITY
ESHRE  PSYCHOLOGY AND COUNSELLING

Theory and practice update in third party reproduction
ESHRE 3 July 2011 Stockholm, Sweden

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by technology0405 | 2012-01-20 14:51 | Materials | Comments(0)

原発性卵巣不全や早期閉経などの卵巣疾患を持つ女性の不妊には、卵子提供が解決策となる。さらに、体外受精が繰り返し失敗するような場合には、卵巣機能が正常な女性でも卵子提供が必要になる。加齢による不妊の場合もある。
問題は、提供卵子の不足である。精子提供と違い、卵子提供はドナーに対する侵襲性が高いので、利他的に卵子を提供しようという女性は少ない。待機期間が長くならないよう、エッグシェアリングや、患者によるドナー探しなど様々な方法が提案されている。

カウンセリングの狙い
卵子ドナーボランティア
Englert(1996)によると、「偶発的な」ドナーは精神的にもろく、承認や自己修復を求めている女性であるという。別の研究でも、卵子ドナーボランティアは家族に関するトラウマや生殖に関するトラウマを抱えていると報告されている。こうしたトラウマによって、卵子を必要とする女性の喪失感にドナーが共感するケースがよくある。

Englert(1996)は、不安定な精神的バランスが崩壊するリスクを恐れ、「偶発的な」ドナーを排除することもあった。一方Schoverら(1991)は、ドナーが喪失感の問題について診察を受けている場合や、ドナーの期待が現実的である場合には、他の女性を助けるプロセスが自己修復に役立つと考えた。カウンセラーは、トラウマが精神的苦痛を引き起こす可能性を考慮し、非常に慎重になる必要がある。また、緊張の多い医療行為下では更なる支援が必要かもしれない。

患者が募集した卵子ドナー
センターによっては、レシピエント患者は2種類の提供方法を選ぶことができる。知り合いによる提供(患者が募集する)あるいは匿名者による提供(ドナーとレシピエント間の匿名性保護のため、別の患者が募集したドナーと交換する)である。カウンセリングの目的は意思決定そのものではなく、意思決定プロセスへと導くことである。決定によって生じうる精神的影響についても、注意を払うべきである。

エッグシェアリング
IVF患者を利用するエッグシェアリング制度を紹介したのはAhujaら(1996)である。医学的危険が追加されない点で、IVF患者は理想のドナーのように思われる。ドナーが匿名のレシピエントと卵子を共有し、その代りに、レシピエントがドナーの医療費を分担する。しかし、ドナーが妊娠せずレシピエント女性だけが妊娠・出産した場合に、倫理的な問題が生じると主張する者もいる。Ahujaらによれば、ドナーとなった患者には、そうしたケースで通常より苦しむ兆候は見られないという。ピアグループがドナーに適さず、自分でドナーを連れてくることのできない40歳以上の女性にとっては、エッグシェアリングが唯一の解決策であることが多い。

カウンセラーの役割
卵子ドナーボランティアの場合
・治療の内容とリスク、治療がドナーの生活に及ぼす影響について何度も説明する
・ドナーの動機、治療の不安とストレスに対処する能力、彼女が提供に抱いている期待、その期待が現実的であるかどうかを評価する
・卵子が使われることや、ドナーの継続的な協力の重要性について、ドナーに圧力をかけることなく伝える
・ドナーのパートナーの同意と支持があることを確認する
・ドナーの気が変わる可能性について、レシピエントは覚悟しておく必要がある

患者が卵子ドナーを募集する場合
・提供に向けての意思決定プロセスへと導き、この選択がレシピエント、ドナー、子供に与える影響について話し合う
・ドナーの動機を評価するとともに、自分の役割の範囲(ドナーはしばしば「第三の親」のように振る舞ったり見なされたりする。それが対立を生みやすい。)をドナーが理解しているか、またドナーにインフォームドコンセントを示す能力があるか、そこに外圧が働いていないかを確認する
・レシピエントが知り合いあるいは匿名者からの提供を選んだ動機を評価するとともに、その選択がドナーからの圧力によるものではないこと、ドナーの役割の範囲をレシピエントが理解しているかどうかを確認する
・周囲に対する公開/非公開と、その選択の結果を考えるカウンセリングを行う
・子供に教える/教えないの選択と、その結果について考えるカウンセリングを行う

エッグシェアリングの場合
・ドナー患者自身の治療の結果について、ドナー患者と共に評価する。匿名での寄贈の結果についてドナーと話し合う。経済的理由で提供しようとするドナー患者には特に注意を払う。経済的困窮は、決断の自由を制限してしまう。
・レシピエントには、匿名提供がもつ影響についてカウンセリングを行う必要がある。さらに、人種以外の条件は合わない可能性があること、待機期間を覚悟しておかねばならないことについても話し合う。レシピエントには、ドナーの卵子の数によっては治療が延期される可能性があることも知らせる。
・卵子提供が禁止されている国からの渡航患者に対しては、文化的違いを尊重するとともに、「違法な」方法で子供を持つことによって生じる罪の意識に対処するための支援を行う
・別の卵子ドナーによって複数の子供をもつ家族にも、カウンセラーの支援が必要である

GUIDELINES FOR COUNSELLING IN INFERTILITY
ESHRE PSYCHOLOGY AND COUNSELLING

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by technology0405 | 2012-01-20 11:12 | Materials | Comments(0)

代理出産は、人間性を圧力の下に置く、感情的・倫理的リスクの多い領域だといわれてきた。ヨーロッパ諸国の多くで代理出産は禁止、あるいは実施されておらず、イギリスとイスラエルのみが代理出産を公式に認めている。アメリカではヨーロッパよりも盛んに実施されている。

代理出産には2種類ある。
①代理母に人工授精を施し、代理母が自分の卵子から生まれた子供を妊娠する方法。クリニックや医師が関わっていない場合も多く、「Do It Yourself(ドゥ イット ユアセルフ)」式の代理出産が起こる。多くの場合カウンセリングも一切なし。
②体外受精による胚を、代理母の子宮に移植する方法。従って、代理母と子供との間に遺伝的つながりはない。通常、クリニックがカウンセリングと支援を行う。実施するたびに前もって倫理委員会の承認を受ける場合が多い。

カウンセリングの狙い
カウンセラーが患者の査定を下すことは、難しい場合が多い。しかし、代理出産適用の不可の判断をカウンセラーの役割から切り離すことで、この難しさはある程度緩和される。

従って、カウンセリングの目的は2方向に分かれる。
①関係者全員が実施に伴う影響をすべて理解し、自分の資源を活用し、不安に対処できるよう支援すること。関係者には以下の人間が含まれる。
・依頼カップル
・代理母、代理母のパートナー/夫、依頼カップルの子供、代理母の子供
・より広い意味での家族、友人、仕事仲間
・医療関係者、特に子供の引き渡しに関わるスタッフ

②代理出産適用の不可の判断を下す人間に、関係者の同意を添えて、以下のような判断材料を引き渡すこと。
・依頼カップルと代理母の間には健全な信頼関係があり、このケースはそうした関係性の上に構築されたものであるという確信が十分に持てる。
・関係者たちがこの先困難に陥った時でも、適切に支援できる体制が整っている。
・今いる子供たちと、生まれてくる子供の福祉が考慮されている。
・養子縁組の手続きや、親権の引き渡しが可能である。
・生まれてくる子供・今いる子供を含めた関係者全員にとって、予測し得るリスクがそれほど高くない。

考慮すべき事項
依頼カップルと代理母の関係――イギリスでは代理出産の約50%が親族、あるいは友人によるものである。残りの50%は、元々知り合いではなかったが一定期間を共に過ごしたおかげで、理解と信頼が生まれたというケースである。
婚姻関係――多くの依頼カップルが婚姻関係、あるいは安定した関係にある一方で、代理母の中にはシングル、離婚中、別居中の者がいる。代理出産を引き受ける際に、十分な家族の支援があることを確認することが必要である。

代理出産の適応――子宮摘出、癌、子宮の遺伝性欠損、習慣性の流産や子宮外妊娠など。代理出産を必要とする理由は痛ましいものである。社会的理由による代理出産(仕事が忙しいなど)は、通常クリニックに受け入れられない。
代理母の動機――代理母の多くは、友人が子供を持てずに苦悩する姿を見ており、自身に子供がいることをありがたく感じて、他の人を助けようとする。金銭上の動機から引き受けるケースもあり、カウンセラーはこうした可能性に目を配る必要がある。

今いる子供および生まれてくる子供への影響――代理母の子供であろうと、依頼親の子供であろうと、その子供の福祉は考慮されるべきである。代理母の子供が代理出産を不快に感じるならば、代理出産契約の話を進めるべきではない。
法的状況への考慮――代理出産の実施を禁じている国の中には、代理出産によって子供を「もつ」こと自体を違法とはしていない国もある。イギリスやアメリカなどの国に助けを求める患者は多い。代理出産契約の前に、生まれてくる子供の将来に対し適切な法的枠組みを築けるよう、カウンセラーが患者を手助けする必要がある。

知識――代理母が懐胎する子供は、遺伝的には完全に(あるいは部分的に)依頼親の子供であるということを、代理母自身が最初からしっかり理解する。
配偶子提供による代理出産が依頼親と子供に引き起こす問題――誰が親なのかを定義することが難しくなり、遺伝的母親、依頼母、代理母とそのパートナー、遺伝的父親、依頼父を巻き込む問題に発展する可能性がある。

子供の引き渡しと絆――子供は出産時に引き渡されるため、代理母と子供の絆を生むようなスキンシップは最小限に止められることを代理母は覚悟しておく。代理母は、自分が子供を依頼親に「あげて」しまったことを忘れはしないだろう。こうした心残りは、依頼親に自分が幸せをあげたのだと知ることで補われるべきである。
子供の出生届――法的親権の変更や養子縁組の手続きが、場合によっては渡航国と母国との間で必要なことがある。

妊娠合併症と産後鬱――合併症のリスクのない妊娠は存在しない。また代理出産に関しては、「見返り」となる子供が産後いない。
異常――中絶の可能性を伴うような異常・障害が起こる可能性もあり、こうした場合、関係者全員が苦痛を受ける。
流産――友人間や親族間の代理出産の場合は特に、情緒的問題を引き起こすことがある。
コンタクト――代理母が将来子供と接触をとることについて、検討されるべきである。
費用vs報酬――どこまでが実費で、どの程度の金額がサービスへの報酬にあたるかを区別することは難しく、ヨーロッパでは法的問題となっている。どの程度の報酬が支払われているかというエビデンスを裁判所が示すことが必要であろう。
子供への告知は?――多くの国では、養子縁組や親権の移行があった場合、18歳以上の子供に知る権利が与えられる。

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by technology0405 | 2012-01-17 11:02 | Materials | Comments(0)
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