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法と技術の内部矛盾

不妊治療を男女の婚姻カップルに限るという法律はもう古い、という声が香港であがっている。

梁家康(Milton Leong Ka-hong)医師が1986年に香港初のIVF児の出産を成功させて以来、生殖補助医療は変容し続けてきた。今や、排卵誘発剤の効果は上がり、男性不妊に対処するためのものだったドナープログラムに、卵子提供が加わった。成功率も安定した。健康な精子と卵子を1個でも採取することができれば、受胎は可能になった。
そうは言っても、不妊治療が未だに、頻繁な注射と診察を繰り返さなければいけない大変な作業であることに変わりはない。

金融業の管理職を務める41歳のレベッカ(仮名)にとっても、妊娠への道のりはたいへん険しいものだった。独身で結婚予定のない彼女は、香港で人工受精を受けることができず、海外でやることを検討するしかなかった。
「アメリカ人ドナーから精子をもらい、タイのクリニックですべてをやりました。香港でモニタリングをやってくれる婦人科医を見つけ、薬を飲み、実際の手術をタイで行うのです。4サイクルの人工受精のたびにタイを行ったり来たりして、たいへんお金がかかりましたが、妊娠しませんでした。」
「幸い、もう少し融通をきかせてくれる医師と出会うことができました。手術は一切してくれませんでしたが、家で自己投与できる排卵誘発剤を処方してくれました。彼との出会いは非常にラッキーでした。というのもこれは法的に微妙な行為ですから。他の医師は助けてくれませんでした。9日間で薬の効果が出たので、私はタイに飛び、採卵と胚移植を受けました。」

2度の体外受精の後に彼女は妊娠し、男の子を生んだ。しかし、子供を持つためにかけた労力があまりにも大きかったとレベッカは言う。「仕事を持ちながら海外にしょっちゅう行くのは難しい。」

こうした難しさは、「人類生殖科技條例(Human Reproductive Technology Ordinance)」に起因している。中でも、国内の不妊治療を男女婚姻カップルに限定するという規定は、時代遅れだという意見は多い。
「ヒト組織の使用に慎重になる必要性は理解できる。しかし、配偶者の有無だけを判断材料にするのは完全に時代遅れ。香港では、結婚証明書を見せないと医者に相談することすらできない。私は自分の意思でシングルマザーになったのに。」とレベッカは言う。
「独身女性や同性愛者、事実婚カップルなど、正式な結婚の枠外の人間は誰も親になる資格がないという道徳的判断を、政府は下しているようだ。」

人権団体や生殖医療の専門家たちもこの見解に賛成する。
女性権利団体Women Coalition(香港女同盟會)のスポークスマンYeo Wai-wai(杨炜炜)によると、法律の適用範囲が広いため、海外で不妊治療を求める事実婚カップルも法律違反になるという。
「我々は、海外で治療を受けたいという香港のレズビアンカップルからも問い合わせを受けた。彼女らは法律に違反することを恐れている。香港には違う国籍を持つ事実婚カップルも多く住んでおり、そうした人々が海外に行き、その国で認められている不妊治療サービスを受けるケースが多い。しかしもし彼らが香港籍の人間だったなら、法律を破ったことになっただろう。」

条例が古いせいで多くの問題が起きていると、Hong Kong Society for Reproductive Medicine の前会長だったLeong氏は言う。条例の起草は1980年代であったが、その時の一番の関心事は近親相姦の可能性を防ぐことだった。その当時、人工授精が香港で導入されたばかりで、香港家庭計劃指導會(Family Planning Association) によって精子バンクが設立された。同じ精子ドナーを父親に持つ二人の人間が結婚することが、政府の懸念であった。法律により、一人のドナーの精子または卵子を使って生まれる子供は3人までと規定された。

しかし条例が最終的に通過する1997年、医学は大幅に進歩していた。生殖補助医療を規制する人類生殖科技管理局(Council of Reproductive Technology) が設立された2001年までに、技術的進歩によって精子提供はそれほど必要とされなくなっていた。

Leong氏によると、人工授精は1980年代から90年代にかけて一般的だったという。しかし新技術の出現――極微針で卵子に精子を直接注入する技術など――により、医師は、卵子を受精させるのにそれほど多くの精子を必要としなくなった。

条例の作成中、起草者の間に多くの誤解があったとLeong氏は言う。
「彼らが法律について話し合っている時、1986年に香港初のIVF児が生まれた。体外受精が何かも知らない者が多く、提供精子による子供だと思い込んでいた。しかし、精子提供は人工受精の一種に過ぎない。」
「年間7000件の生殖補助医療のうち、提供によるものは1%未満だ。それほど少数のケースを監督するために仰々しい管理業務はいらないし、こんな古い法律も必要ない。」

人類生殖科技管理局の数字をみると確かに、精子提供の件数はごくわずかであり、この見解の正しさを裏付けている。管理局の本務は、代理出産や胚の作成といった生殖医療問題を調査したり、不妊治療提供者にライセンスを供与したりすることである。今のところ不妊治療に関わる何らかの技術を提供できる施設は約50あり、そのうちAIHが認められているのが36施設である。

不妊治療センターを経営するLeong氏は、生殖科技及胚胎研究實務守則(Code of Practice on Reproductive Technology and Embryo Research)でエンブリオロジストに対する訓練を義務付けるなど、管理局はクリニックの必要条件をもっと厳しくすべきだと主張する。逆に、不妊治療を受けるカップルの条件は緩和されるべきだと考えている。治療を受けるたびにカップルは身分証明書や履歴書を管理局に送らなければならず、経過によって治療が何年も続くことを考えると、厳しすぎる規定だと彼は言う。
「カップルが不妊治療を受ける理由は、卵管閉塞や精子不足など様々だ。しかし、精子提供など第三者の関わる治療を伴うケースはほとんどない。わざわざ意味のない面倒をカップルにかける必要がない。」

管理局の創立メンバーEdward Loong Ping-leung(龍炳樑)氏は、こうした要件は、患者が海外のバンクで精子を購入することを防ぐために必要なのだと言う。管理局のスポークスマンも、情報をすべて管理局が把握しておくことで、知らずに近親相姦が起こってしまった場合でも、レシピエントがそれを検証することができると説明する。

親グループHong Kong Institute of Family Education(香港家庭教育學院)の会長Tik Chi-yuen(狄志遠)は、この20年で家族の概念は変化したと言う。「結婚せずに子供を持つカップルはどんどん増えている。同性愛を支持するわけではないが、ひとり親家庭や同居婚カップルは今多い。」様々な人が不妊治療を受けられるよう政府は法律を見直すべきだと、彼は考えている。

家族法の専門家で法律事務所Hampton, Winter and Glynn (HWG)の共同経営者Winnie Chow Weng-yee(周韻儀)も同意する。「医療としての生殖技術はどんどん進んでいる一方で、法律は全く変わっていない。」と彼女は言う。条例作成のために行われた調査や協議は1980年代と90年代に実施されたものである。
「今は2013年なので、少なくとも20-25年のギャップがある。完全に世代が交代している。条例に規定されていることは必ずしも社会規範に一致しているとはいえない。」

香港での選択肢が他国に比べて限られていることを聞かされた彼女の顧客は、一様に失望するという。この条例に関する判例もまだないので、法の解釈の決め手もない。
「しかし私は、男女の婚姻夫婦が子供を育てるのに理想的だという考えは偏狭だと思う。結婚しているからといって必ずしも良い親だとは限らない。」とChow氏は言う。「香港の法律は、子供の最善の利益が基本原則となっている。愛と思いやりにあふれた親を持つことが子供にとって最善の利益だ。親の適性は個人の問題であり、子供を世話できるかどうかだ。婚姻状態ではない。」

Internal contradiction
Elaine Yau
[South China Morning Post (Print Edition), 16 July, 2013]

香港女同盟會

Hong Kong Society for Reproductive Medicine

香港家庭計劃指導會

香港家庭教育學院

Hampton, Winter and Glynn

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by technology0405 | 2013-07-30 11:02 | Countries | Comments(0)

Lee氏への捜査打ち切り

Henderson Land Developmentの副社長Peter Lee Ka-kitが代理出産で3人の息子を得た疑いで、10ヶ月間の捜査が続けられていたが、警察は捜査を打ち切ることにした。警察の広報担当官によると、犯罪行為がなされたことを示す証拠が不十分だったため、法務部との相談の上、捜査を終了することを決めたという。

捜査打ち切りのニュースが報道されたのは、人類生殖科技管理局と医療評議会が、香港の内外にかかわらず商業的代理出産の交渉に関わることは違法であると改めて表明した、そのわずか一週間後のことだった。

Henderson Landは2011年10月26日にChi-shun、Chi-yan、Chi-yungと名付けられた男子3人がアメリカで生まれたことを公表している。3人の息子の父となったPeter Leeは社長Lee Shau-keeの長男である。

子供たちの母親は誰か明かされていないが、カリフォルニアの代理母だと報じられている。
商業的代理出産は、香港では違法だがアメリカでは合法である。
人類生殖科技管理局と医療評議会は2012年7月に「代理出産による子供の誕生は、国民全体の関心事である」とコメントを出した。しかし、商業的でない代理出産契約に関しては合法であることも同時に認めた。Lee氏のケースには触れなかった。

James To Kun-sun議員は、捜査打ち切りは別に意外なことではないと感じている。「Lee氏は3人の子供ができたとしか言っておらず、母親が誰だとも言っていない。周囲が勝手に代理出産と結びつけているが、金のやり取りがあったことを示す領収書など、確たる証拠があるわけではない。」ある女性が無償で代理母になった可能性も考えられるとTo氏は言う。

両カウンシルは、このケースを徹底的に追求するかどうかという質問に返答しなかった。
人類生殖科技条例が2000年に制定されて以来、まだ一度も条例違反の起訴は起こっていない。

Lee surrogacy case closed for lack of evidence
[South China Morning Post, 14 August, 2012]
by technology0405 | 2013-07-12 17:16 | Countries | Comments(0)

2012年の南華早報の記事によると、香港の医師は、倫理的不安を感じて代理出産サービスに二の足を踏んでいる。香港では2000年に制定された法律により利他的代理出産が認められているが、それでも、医師たちは、法的・倫理的に問題が絡んでくることを恐れ、代理出産に消極的である。

Union Hospitalの医長Edward Loong Ping-leung医師は、代理出産サービスを提供する予定は今のところないと言う。「依頼夫婦と代理母の間に揉め事が起こった場合、センターが法的争いに引きずり込まれるかも知れない。また、代理母に妊娠合併症が起こった場合、その責任を誰が取らされるのか。」
「医師たちは、誰が最初に代理出産サービスを始めるか、互いに窺い合っている状態だ。今の段階では代理出産をやる勇気がないとも言える。」
香港では、少なくとも2人の代理出産児がすでに生まれていることが分かっている。

香港大学の産婦人科准教授Ernest Ng Hung-yu医師によると、この不妊センターでは10年間に3件の代理出産依頼があったという。1件が香港で、2件は中国本土からの依頼だった。
「倫理面と法律面で複雑な問題が絡んでくると考え、依頼は断った。」とNg医師は言う。

Hong Kong Sanatorium HospitalのIVFセンター長Milton Leong Ka-hong医師は、代理出産もできるライセンスを持っているが、積極的に提供はしないという。「大きな声で宣伝するようなサービスではない。本当に必要なカップルだけが利用できればよい。」

Ng医師は、代理出産を実施するための人員が足りていない現状では、サービスを提供できないと言う。「この複雑な問題について連携できる顧問弁護士もいないし、ニーズに対応する人員も足りていない。安心して実施できる状況ではない。」

生殖科技及胚胎研究實務守則によると、代理母になる女性の精神的・身体的適性は、代理出産の主治医以外の医師が判断する。21歳以上の経産婦しか、代理母になれない。代理母が結婚している場合は、代理母とその夫両方の同意書が必要である。

「代理出産契約は、当事者の一方によって、あるいは当事者の意思に反して強制執行できない。」とある。代理出産合意書があっても、生まれた時点での子供の法的な母親は代理母であり、精子と卵子を提供する男女は養父母と規定され、子供の誕生から6ヶ月以内に裁判所が子の養育に関する裁判所命令(Parenting Order)を出して初めて依頼親の子供となる。その際、代理母の意に反して子供の引渡しを強制することはできない。

こうしたリスクもあり、香港の医師は代理出産に手を出すことを躊躇している。しかし、中国人による香港での出産人気が非常に高いことを考えると、代理出産も香港で、というニーズはあるだろう。現に中国の出産仲介業者は「(一人っ子政策違反の)2人目出産、未婚での出産、愛人の出産、代理母出産。香港はあなたを歓迎します」といった宣伝文句を使っている。

香港の生殖問題は、中国本土との関係も考慮しながら考えるべきである。

Surrogacy is legal minefield, argue medics
Ella Lee
[南華早報 13 August, 2012]

Why surrogacy can be a fertile ground for legal complications
Angie Todd and Stacey Devoy
[南華早報 25 June, 2013]

China fines parents of Hong Kong-born second child
[Population Matters, February 9th 2012]

一人っ子政策違反の2人目や愛人の子を「香港で生もう」の広告が氾濫!―中国
[Record China, 2010年3月31日]

 『A Complicated Story』 
2013年公開。監督Kiwi Chow。中国本土の女性が、香港で代理母になるというストーリーの映画。
[LoveHKFilm.com]

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by technology0405 | 2013-07-03 12:01 | Countries | Comments(0)

Ethical Reflections on Artificial Reproduction Policies in Hong Kong
Lo Ping-Cheung
Ethics in Business and Society, Studies in Economic Ethics and Philosophy 1996, pp 181-195

Regulating reproductive technology in Hong Kong
EHY Ng, A Liu, CHY Chan, CLW Chan
Journal of Assisted Reproduction and Genetics, July 2003, Volume 20, Issue 7, pp 281-286

Psychiatric Morbidity amongst Infertile Chinese Women Undergoing Treatment with Assisted Reproductive Technology and the Impact of Treatment Failure
Ingrid Hung Loka, Dominic Tak Shing Leeb Lai Ping Cheunga, Wai Sau Chungb, Wing Kit Loa, Christopher John Haines
Gynecol Obstet Invest 2002;53:195–199

Psychosocial evaluation in an IVF/GIFT program in Hong Kong
YF Chan, KM O'hoy, A Wong, WK So
Journal of Reproductive and Infant Psychology, Volume 7, Issue 2, 1989

Attitude of at-risk subjects towards preimplantation genetic diagnosis of α- and β-thalassaemias in Hong Kong
P Wah Hui, YH Lam, M Chen, MHY Tang
Prenatal Diagnosis, Volume 22, Issue 6, pages 508–511, June 2002

Attitudes of Chinese couples in Hong Kong regarding using preimplantation genetic diagnosis (PGD) and human leukocyte antigens (HLA) typing to conceive a ‘Saviour Child’
EC Hui, C Chan, A Liu, K Chow
Prenatal Diagnosis, Volume 29, Issue 6, pages 593–605, June 2009

Life after unsuccessful IVF treatment in an assisted reproduction unit: a qualitative analysis of gains through loss among Chinese persons in Hong Kong
GL Lee, WHH Choi, CHY Chan, CLW Chan, EHY Ng
Hum. Reprod. (2009) 24 (8): 1920-1929.

'My'Problem or 'Our'Problem? Understanding the Infertility Diagnoses and Pre-Treatment Distress Among Chinese Women Undergoing in Vitro Fertilization
CHY Chan
Presentation at The Society for Social Work and Research 2013 Annual Conference, January 18, 2013, San Diego, CA

Female Sexual Dysfunction among Young and Middle‐Aged Women in Hong Kong: Prevalence and Risk Factors
H Zhang, PSF Yip
The Journal of Sexual Medicine, Volume 9, Issue 11, pages 2911–2918, November 2012

Experiences of sub‐fertility among Chinese couples in Hong Kong: a qualitative study
AY Loke, PL Yu, M Hayter
Journal of Clinical Nursing, Volume 21, Issue 3-4, pages 504–512, February 2012

Counselling for designated donation and surrogacy in Hong Kong (Unpublished)
E Blyth
In: Council on Human Reproductive Technology and Task Group on Designated Donation and Surrogacy, 1st November 2011, Hong Kong, China.

The Meaning of Childbearing Among IVF Service Users Assessed via Laddering Technique
GL Lee, RA Neimeyer, CLW Chan
Journal of Constructivist Psychology, Volume 25, Issue 4, 2012

Oocyte and embryo quality in patients with excessive ovarian response during in vitro fertilization treatment
EHY Ng, EYL Lau, WSB Yeung, PC Ho
Journal of Assisted Reproduction and Genetics, May 2003, Volume 20, Issue 5, pp 186-191

Asia
Current Status of Assisted Reproductive Technology in Asia and Oceania
Yoon-Seok Chang, Seok-Hyun Kim, Shin-Yong Moon, and Jin-Yong Lee
J. Obstet. Gynaecol. Res. Vol. 22, No. 4: 305-330 1996

Ethical and legal aspects of assisted reproduction practice in Asia
J.G.Schenker and A.Shushan
Human Reproduction vol.11 no.4 pp.9O8-911, 1996

International egg-sharing to provide donor oocytes for clinical assisted reproduction and derivation of nuclear transfer stem cells
Boon Chin Heng
Reproductive BioMedicine Online, Volume 11, Issue 6, 2005, Pages 676–678

World Wide Survey including Hong Kong
Current Trends of Reproductive Immunology Practices in In Vitro fertilization (IVF) - A First World Survey Using IVF-Worldwide.com
J Kwak‐Kim, AR Han, A Gilman‐Sachs
American Journal of Reproductive Immunology, Volume 69, Issue 1, pages 12–20, January 2013

Progesterone support in IVF: is evidence-based medicine translated to clinical practice? A worldwide web-based survey
E Vaisbuch, M Leong, Z Shoham
Reproductive BioMedicine Online, Volume 25, Issue 2, August 2012, Pages 139–145
by technology0405 | 2013-07-02 15:08 | Countries | Comments(0)

香港の医療関係者が、これまでに2人の子供の代理出産を扱い、現在1件が進行中であることを南華早報に明かした。香港には代理出産に関する公式数字や記録がない。南華早報の記者が市内の有名不妊クリニックをいくつか調査したところ、代理出産の希望は増加していることが分かった。

香港人カップルの中には、「フィリピン人の友達」を代理母として連れてくる者もいる。こうした取引が違法な商業的代理出産なのかどうかをチェックすることは難しい。商業的な取引であれば2年の刑務所行きである。代理出産を希望する女性の中には、ガンで子宮をなくした者、生まれつき子宮のない者、妊娠出産に体が耐えられない者などがいる。

香港養和醫院のIVFセンター長Milton Leong Ka-hong医師は、「数年前に」代理出産を手がけ、健康な子供を取り上げた。使われた胚は、子宮機能不全の依頼母のものだったという。女性とそのパートナーは子供を切望しており、医師、ソーシャルワーカー、心理士、顧問弁護士らが前もってカウンセリングにあたったとLeong医師は語った。
「医師の役目は、困っている患者を助けるために最大の努力をすることです。カップルの親戚の女性が代理母になりました。今カップルは幸せで、赤ちゃんも健康です。」

CUHK-PWH Medical Centreも、数ヶ月前に別の代理出産契約で子供が生まれたことを明かしている。

1985年に香港初の体外受精児の誕生を手がけたLeong医師のもとには、週に1-2件の代理出産の問い合わせがあり、希望者は増えつつある。仕事や容姿など医学的でない理由での代理出産希望は断っている。

香港中文大學の産婦人科医Christopher Haines医師は、妊娠継続が困難な女性からの依頼を2件受け入れた。「最初のカップルは成功した。2件目は今継続中だ。」

ある私立クリニックの医師のもとには、「フィリピン人の友達」に代理母になってもらうという香港人カップルが2組来たことがある。「いかなる商業的代理出産も違法であることを、医師は忘れてはいけない。」と彼は言った。

しかし、利他的代理出産が認められている香港で、代理母を「友達」だと言い張った場合、金銭的やり取りが当事者間で行われているのかどうかを医師が見極めるのは非常に難しい。

HK has two surrogate mothers
Ella Lee
[South China Morning Post , 19 July, 2012]

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by technology0405 | 2013-06-28 16:56 | Countries | Comments(0)

香港で胚の取り違え

香港の有名クリニックVictory A.R.T. Laboratoryが、違う胚を女性に移植していたことが分かった。クリニックはすぐに胚の取り違えに気づき、直ちに2個の胚を「摘出・破棄」したという。

管理局の報告によると、新米のエンブリオロジストがラベルをチェックしなかったのだという。香港の人類生殖科技管理局は、この出来事は人的過失であって制度的過失はないと判断し、措置はとらないと発表した。Victory A.R.T. Laboratoryは、取り違え事件を起こした後も、生殖補助医療の実施機関としてのライセンスを取り下げられることはなかった。
この管理局の対応に対し、規則違反したクリニックや病院への罰則を強化するべきだという声が噴出した。ネットにも、Victory A.R.T. Laboratoryの患者を含む、多くの声が寄せられた。

管理局のGregory Leung Wing-lup委員長によると、管理局はライセンスを永久に取り上げてしまう権利を持っているだけで、罰金やライセンスの一時停止などといった軽めの罰則を課す権限はない。管理局がそうした権限を行使できるよう法律を改正できるのかどうか、模索していくという。

しかし泛民主派の議員で立法審議会の長を務めるCyd Ho Sau-lan氏は、管理局にはもっとできることがあったはずだと考えている。「管理局はクリニックを公的に批判することもできた。公に非難することは罰の一つの形であるし、法による権限付与もいらない。」と彼女は言う。「管理局が正式に非難を表明しなかったのは残念だ。」

生殖医療センターの規制は、不妊患者が香港で増加していることを考えると、より重要になってきている。管理局の2010年報告書によると、生殖補助医療を受けた人の数は2009年の4,968人から倍増し、8,668人だった。

Victory A.R.T.のAnthony Wong Shun-yunから話を聞くことができた。取り違えは「3分以内に判明した」という。2011年7月8日、若手のエンブリオロジストが胚のラベルをチェックせずに胚を持ち出し、違う女性に移植が行われた。「エンブリオロジストは急いでいて二重のチェックを怠った。別のスタッフが再度ラベルを確認するべきだったが、その時は不在だった。」
移植後すぐに、別のエンブリオロジストが、自分の任されている胚が2個なくなっていることに気づき、報告を受けた医師がすぐに胚を取り出した。取り違えを起こしたエンブリオロジストは別の部署に異動になったという。スタッフたちは適切な指導を受けているとWong氏は繰り返した。

IVF clinic aborts babies after implanting them in wrong woman
by Patrick B. Craine
[Life Site News, Jul 19, 2011]

Top IVF clinic gives woman wrong embryos
Kiran Randhawa
[London Evening Standard, 18 July 2011]

Calls for more penalties after embryo mix-up
Ng Yuk-hang
[South China Morning Post, 14 August, 2012]

Hong Kong fertility clinic admits embryo error
By Annemarie Evans
[BBC News, 18 July 2011]

IVF clinic implants embryos in the wrong woman
[TRONTO SUN, July 18, 2011]

Outrage online at mix-up of embryos
Ng Yuk-hang
[South China Morning Post, 14 August, 2012]

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by technology0405 | 2013-06-04 16:32 | Countries | Comments(0)

2005年と2006年に大陸部住民による香港への「個人旅行」が解禁された際、経済的にも社会的にも福祉が充実しており、高い医療技術を持ち、アクセスも治安も良い香港は、メディカル・ツーリズムの格好の渡航先になるだろうと考えられた。しかしながら、そうした有利な条件にあるにもかかわらず、メディカル・ツーリズムを強力に推進する周辺国に比べ、香港の政府や民間セクターは特に積極的な施策をとってこなかった。民間セクターがツーリズムに消極的な理由としては、政府による支援が少ないこと、国内の医療費が周辺国に比べ安くないこと、国内の医療ニーズに対応するので精一杯であることなどが挙げられる。最近は香港政府もメディカル・ツーリズムに乗り出し、医療特区を定めて外国人投資家をつのるなど、前向きな姿勢を見せている。

 ただ、中国人の妊婦が香港で出産する出産ツーリズムは、以前から増加の一途をたどっており、毎年数万人の中国人妊婦が香港を訪れ、現地の産婦人科医療の飽和状態をもたらしている。政府は、中国本土で妊婦健診したのち予約登録を行って初めて香港で出産できる「予約登録制度」を2007年に定めるなどの規制をかけたが、2012年のベビーブームには抗議デモが行われるほどの問題となった。

Medical tourism development in Hong Kong: An assessment of the barriers
Vincent C.S. Heung, Deniz Kucukusta, Haiyan Song
Tourism Management、Volume 32, Issue 5, October 2011, Pages 995–1005

大陸部妊婦の香港での出産を制限へ 特区政府
[人民日報社 Mar 31 2011]

中国で人気の辰年出産、香港のママたちには悪夢に
[AFP BB News, 2012年01月24日]
by technology0405 | 2013-05-22 12:07 | Countries | Comments(0)

香港の富豪の代理出産

2010年10月、香港の大企業Henderson Land Development Ltd.の社長Lee Shau-keeの息子であるPeter Lee氏に、代理出産で三つ子の男子が生まれたことが話題になった。香港では商業的な代理出産が禁止されており、賛否両論である。

報道によると、代理母はカリフォルニア州の女性。近年、多くの香港人がカリフォルニアの業者に代理出産を依頼している。カリフォルニアに基盤を置く業者Surrogacy Center Hong KongのHilary Neiman氏によると、法的トラブルはこれまで起こっていないと言う。顧客の40%が独身男性で、値段は代理母の経験によって20000-35000ドルになる。裕福層の多い香港で商業的代理出産が禁止されたことで、アメリカの業者はかえって市場を拡大したことになる。

カリフォルニア州アーバインに拠点を置く業者Surrogacy SourceのMichelle Davis氏によると、外国人客の3分の1が香港人であるという。また同州ビバリーヒルズ拠点のFertility MiraclesのKaren Roeb氏も、顧客の65%が外国人で、香港を含むアジア人が多く「法的トラブルは一度もない」と語る。不妊を専門に扱うロスの弁護士Lori Meyer氏は、香港の禁止が海外の契約に適用されるのかどうかは分からないという。

2000年に通過した『Human Reproductive Technology Ordinance』17条は次のようにうたっている。「香港でも他のいかなる場所でも、代理出産契約を交わすための話し合いに着手および参加することで、支払いを行なったり受け取ったりしてはならない。」

香港立法審議会の議員Cyd Ho氏は「これは、誰でも香港の法律を犯して大丈夫だというメッセージだ。商業的代理出産は臓器売買と同じ。これは商業取引であり、貧しい女性が取引を強要される可能性がある。」とLee氏への名指しを避けた上でインタービューに答えた。

香港の法律家ですら、この法に戸惑う者もいる。香港立法審議会のメンバーでRonny Tong弁護士は、法律の治外法権領域の部分に対し「ニュースで条例を読むまで気づかなかった。これが世界に知れたら笑いものになるだろう。」と批判した。

大富豪Lee氏の代理出産は、香港の儒教的な家父長制の象徴ともいえる。会社の後継ぎとしての男子、そして最も縁起が良いとされる三つ子、この理想的な条件を、独身のLee氏は生殖技術を使うことで可能にした。香港では、生殖技術によって、家父長的な価値観が再生産されているのかもしれない。

Maternal mystery in Hong Kong: Babies bring joy and questions
[Wall Street Journal DECEMBER 14, 2010.]

Lee Shau-kee triplet grandsons affirm traditional values
[CNN GO 29 October, 2010 ]

Provide a surrogate of some ethical issues arising Services
[China Daily 2011-01-07 ]

Church leaders step into HK surrogacy row
教会指導者が代理出産について発言
[Herald Malaysia Online. November 01, 2010]


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by technology0405 | 2011-01-25 15:12 | Countries | Comments(0)

香港の法律

人类生殖科技条例  HUMAN REPRODUCTIVE TECHNOLOGY ORDINANCE (2000年制定) 
http://www.legislation.gov.hk/blis_pdf.nsf/6799165D2FEE3FA94825755E0033E532/795C7496522C8237482575EF001B5A45/$FILE/CAP_561_e_b5.pdf

中国の規制とは独立した香港の生殖医療技術の規制。14,17,18条が代理出産関連の規制。
利他的代理出産のみ認められ、商業的代理出産は禁止(17条)。代理出産契約に強制力を与えない(18条)。また、代理出産において、婚姻カップル以外の配偶子を使用することは禁止されている(14条)。
代理母は21歳以上の心身共に健康な女性で、代理母の適性は、代理出産の主治医以外の医師が判断する(「生殖科技及胚胎研究實務守則」12条1-10項)。
裕福層の多い香港で商業的代理出産が禁止されたことで、アメリカの業者を通して代理出産契約を結ぶ香港人が増加した。

• 結婚していない人間に不妊治療を提供してはならない
• 精子や卵子の売買を禁止
• 香港やそれ以外の場所(Hong Kong and elsewhere)での、金銭的支払いを伴う代理出産契約を禁止
• 医学的な理由以外による子供の性選択を禁止

Hatena Diary 各国における法規制の現状


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by technology0405 | 2010-08-27 10:00 | Countries | Comments(0)
各国のARTに関する資料や記事を集めています (※ このブログに書かれている情報の信ぴょう性は各自でご判断ください)