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これまで、南アフリカは長らく不妊ツーリズムの目的地であり続けてきた。今、仲介業者たちは、インドの代理出産ビジネスの助っ人として、南アの女性たちを代理母として勧誘し、インドに連れて来はじめている。

2008年に南アフリカでオープンしたTammuz International Surrogacy agencyは、31歳以下の女性を募集している。その内容は一見魅力的だ。飛行機代、ビザ代、朝食夕食、飛行場への送迎と観光少々、こうしたものを含むムンバイでの休暇を無料で過ごすことができる。もちろんホルモン注射付きであるが。まず経口避妊薬を服用し、次に1日2回の自己注射を2週間続ける。その後は、経膣検査と血液検査を何度も受ける。

ホルモン注射をすると、最初は顔面の紅潮と更年期のような症状が出て、そのあと、むくみや気分の変動、イライラに襲われる。そうした月経前症候群があるため、エージェンシーのサイトには、休暇中は部屋でじっとしていなければならない場合があるのでボーイフレンドは連れてこないように、と書いてある。いずれにせよ、タバコも酒も、セックスも禁止されている。

指定日に迎えが来ると、女性は、全身麻酔下で多くの卵子を採取される。その日はそのまま病院に泊まる。これは「ゆったりできる体験」で「多くの女性が一緒に卵子提供している」ので「友達ができ、おしゃべりを楽しむ」ことができると、エージェンシーのサイトにはある。

エージェンシーは、卵子提供の危険が稀であることを強調する。卵巣過剰刺激症候群(OHSS)が起こるのは100人に1人で、症状は2週間で完全に消えるとある。「もし入院が必要な合併症が起きたら」と、いくらか不気味なトーンでエージェンシーは続ける。「ムンバイの病院にとどまってもらいます。」

卵巣過剰刺激症候群(OHSS)は採卵後に液体が腹腔に溜まって起きるもので、肺と心臓の辺りだと重症化して呼吸困難を引き起こす。この事実をエージェンシーは教えてくれない。普段アーモンド大の卵巣は12倍以上に膨れるため、卵管が捻れて血が通わなくなった場合、緊急手術が必要となる上に器官を失うかも知れない。OHSSには特別な治療法がないので、腎不全や脳卒中を併発した女性には命取りになる。

Paul le Roux医師は、ケープタウン(南ア西ケープ州の州都)の不妊治療専門医で、South African Society of Reproductive and Endoscopic Gynaecologistsの会長を務める。2012年、SASREGは保健省にTammuzをはじめとするエージェンシーの調査を求めた。南アフリカには国際的な卵子提供エージェンシーが4機関ある。Tammuz、Global Egg Donors、FertilityCareSA、New Lifeである。これらのエージェンシーは全て、インドやタイといった外国で卵子提供する南ア女性を募集している。

SASREGは、排卵に使われるHCG(性腺刺激ホルモン)の使用によって若い女性が負う健康上のリスクに対し、特に懸念を示す。南アフリカを含め世界の多くの場所では、より安全なLucrinが使用されている。

しかし、OHSS(卵巣過剰刺激症候群)に陥ってインドから戻ってきた女性たちを治療したり、他から報告を受けたりするうちに、Le Roux医師は、インドのクリニックではまだHCGを使用しているクリニックが多いと確信するようになった。HCGは、OHSSのリスクが大きい代わりに卵子がたくさん採れる。また、軽いOHSS患者でも、飛行機に乗ることによって深部静脈血栓症を引き起こすリスクが高まると、医師は指摘する。他にも腸や膀胱の穿刺による副損傷の可能性が卵子提供にはある。

国内でのケアの質を高水準に保つため、南アフリカ産科婦人科学会は、ガイドラインを設置し、卵子提供エージェンシーに行為規範を守らせるための認定制度を取り入れている。現在女性を海外に送っているエージェンシーは、健康上のリスクを引き起こす可能性があるため、承認されない。南アフリカの不妊治療専門医たちは、承認を受けていないエージェンシーと提携しないよう求められる。

しかし学会の懸念とは裏腹に、西ケープ州保健部のスポークスマンZolani Zenzile氏は、海外の卵子提供に関わっているエージェンシーは国内に1機関だけだったという調査結果を報告した。また、海外での卵子提供を禁止するような条項は国内法にないとも付け加えた。

TammuzやNew Life、FertiltyCareSAは皆、明らかに海外で卵子提供するドナーを募集している。これらのエージェンシーにインタビューを申し込んだところ、返答はなかった。Global Egg Donorsの創始者Robyn Newman氏は、カリフォリニアで電話インタビューに応じてくれた。彼女は南アフリカにオフィスを持っていないが、リストには「12人以下」の南ア人ドナーがいることを明かした。インドのクリニックの基準は様々なので、ドナーはエージェンシー選びに気をつけるべきだと語った。

Kimと名乗る20代のドナーは「危険度合いはエージェンシーによると思う。」と答えた。20代の大人しい女性で、なめらかな肌と青い目をしている。Tammuzはドナーがメディアと接触することを禁じているので、名前は明かさないで欲しいという。「OHSSになった子も何人かいるけど、エージェンシーはきちんとケアしてくれた。エージェンシーはよく気をつけて私たちを見ている。」
Kimは南アフリカで4回、その後インドで3回卵子提供した。南アの法律では提供は6回までしか認められない。インド旅行については「素晴らしかった」「すごかった」と語った。

TammuzはDoron Mamet氏がイスラエルで立ち上げたエージェンシーである。彼はイスラエル人の男性パートナーとの間に代理出産でもうけた娘がいる。Kimによると、Tammuzの南アフリカ支店というのは、地元のレストランで定期的にドナー勧誘のためのディナーを開いている「コーディネーター」が二人いるだけだという。Tammuzのオフィスはない。

リストには18歳の少女を含め400人以上のドナーがいて、2ヶ月ごとに20人程度の女性がグループでアジアに行くのだと、Kimは語った。
「皆ホルモン注射のせいでイライラするから、口喧嘩が起こることもある。けれど、最後には楽しい休暇で終われる。人助けをして、お金ももらえる。」

エージェンシーは、利他的な気持ちのドナーを採用していると強調するが、ビジネスを支えているのはお金である。ドナーは、卵子を売ることは禁じられていても、「時間や労力に対する補償」をもらうことはできる。さらに飛行機代やホテル代を払わずにインドに行け、20000ランドもらうことができる。南アフリカ国内で卵子提供しても6000ランドしかもらえない。

しかし、Tammuzのようなエージェンシーにとって、卵子ドナーの募集は副業である。本業は、世界中の顧客への代理出産サービスの提供である。そのために、Kimのような女性から卵子の一定供給を受ける必要があるのだ。

Tammuzは様々なプランを提供する。最も高額なプランが全てのプロセスをアメリカで行う「ウエストプラン」で、値段は約$100 000である。これには$18 000- $22 000の代理母報酬、双子の場合の$3500- $5000の追加費用、帝王切開の$3 000の補償費が含まれている。追加料金として、代理母の心理カウンセリングや法律相談、生命保険、妊婦服、ベビーシッター代、家事代行費用、旅費などがある。

しかし、Tammuzはスポーツシューズ・メーカーと同様、すべての工程をインドへ外注する方がはるかに安くつくことに目をつけた。例えば、凍結卵子を船で運んでインドの代理母に移植すれば、代理母報酬$5000-$8 000を入れても$32000しかかからない。
更に数千ドル浮かすために、南ア女性をインドに連れて行けば、新鮮胚を移植することができる。南ア女性は$6 000-$10 000が相場のアメリカ人ドナーに比べて安い。さらにコストを減らすためにTammuzはエッグシェアリング制度を取り入れている。一度に18-24個の卵子が採れる多産ドナーの謳い文句も、顧客を惹きつける。
Le Roux医師によると、HCG(性腺刺激ホルモン)を使って多くの卵子を採取すれば、33人に1人はOHSSで入院が必要になるという。

しかし、Tammuzは、貧しい代理母候補がいくらでもいるインドでビジネスをしている数百のエージェンシーの中の一つでしかない。利他的代理出産は南アでは認められており、代理母には妊娠出産の労力に対して通常約150 000ランドが補償される。しかしそれは依頼親も代理母も南アに居住していること、依頼母が不妊であると医学的に証明されていることが条件である。胚の移植前に、裁判所が全ての契約について調べることになっている。

インドで活動するエージェンシーは、競争に勝つために数々の「保証付きプログラム」を提供している。例えばNew Life Indiaのサイトには「子供ができなければ返金!」とある。このプログラムを選ぶと、客は卵子ドナーをシェアし、作成した胚は代理母2人に移植しなければならない。Tammuzには3人の代理母を使うプログラムもある。

インドでは現在一度に3個まで胚を移植することが認められているが、4個の移植を公言しているクリニックのサイトもある。CSR (Centre for Social Research)の調査では、5個の胚移植が日常的に行われており、その結果多くの代理母が3つ子を妊娠することが分かっている。減数手術の際に、性選択がなされるケースも多い。双子の率が75%のクリニックもある。

New Life Indiaのサイトには「保証付きプログラム」を利用する客に対し、2人の代理母の妊娠に責任を持ち、3つ子以上の場合しか「減数手術」はしないと警告している。もし客が子供を一人しか希望しないのなら、依頼親は、その他の子供を養子に出す権利をエージェンシーに譲渡しなくてはならない。

New Lifeは一番最近オープンした南アフリカ支店の他に、ウクライナ、ポーランド、タイ、グルジア、インド、アルメニアに支店を持つ。New Lifeの顧客の証言をオンラインで見ると、中には、現在グルジアで4人の代理母が妊娠しているというアゼルバイジャン人カップルなどもいる。
はたしてこれは「素晴らしい新世界」と言えるのだろうか。

The brave new world of the international egg trade
Martinique Stilwell
[Mail & Guardian 17 May 2013]

※ これは、記事の内容を紹介したものであり、書かれている情報の信ぴょう性は各自でご判断ください。

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by technology0405 | 2013-05-20 14:09 | Countries | Comments(0)

2011年、南アフリカの裁判所は、2010年に施行された代理出産法を踏まえ、国内に居住する同性愛カップルの代理出産を認めた。南アフリカの代理出産契約は、契約前に裁判所に要請して許可をもらうシステムをとっているのが特徴的である。イギリスなどのように、子供の誕生後に親権の申請が行われるわけではないので、依頼親の立場では確実に子供を得ることができ、代理母の立場では子供に障害があった場合などでも確実に引き取ってもらえるという、双方にとって予見可能性の高い契約である。

このケースでは、南アフリカに居住するオランダ人とデンマーク人のゲイカップルが、エージェンシーBaby-2-Mom から紹介された代理母と代理出産契約を締結するため、プレトリアの裁判所に承認を求めていた。

2006年に制定、2010年に施行されたChildren’s Actは、南アで生まれた子供が出来るだけ南アで育つように、という意図の下に策定されている。従って、南アで養子縁組や代理出産を希望する外国人は、定められた期間国内に居住していなければ認められない。また、商業的代理出産も禁止されており、妊娠出産に伴う実費のみ支払いが許される。

判決では「多くの国が商業的代理出産を禁じている中、インドは顕著な例外である。特に社会経済的な格差が大きく、貧困が蔓延している我々のような国では、恵まれない女性が搾取される可能性は現実的であり、常に存在する危険である。」と、南アがインドのように生殖ツーリズム産業に組み込まれることに強い懸念を示した。

South Africa shows a way to ensure more predictability in surrogacy arrangements
[Bio News 09 January 2012]

South African court sets out guidelines for surrogacy arrangements
[Bio News 14 November 2011]

判決文

South African Court Approves Surrogacy Contract for Gay Male Couple
[Leonard Link October 16, 2011]

SA tightens rules for foreigners to make families
[Times Live 13 October, 2011]

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by technology0405 | 2012-05-31 17:07 | Countries | Comments(0)

南アフリカの代理出産法

南アフリカでは、Children’s Actが改正、2010年4月1日から施行された。この法律により、南アフリカ国内での代理出産、生まれてくる子供の地位などが明文化され、代理出産は合法的行為となった。

代理母の条件
1.過去に自分で正常に出産した子供がおり、契約時にその子供が1人以上生存している
2.南アフリカに居住している
3.実費及び逸失した収入の補償以外に金銭を受け取らない(商業的代理出産の禁止)

依頼者の条件
1.南アフリカに居住している(カップルの場合は少なくともどちらか)
2.不妊であることが証明されている
3.依頼者の配偶子を使用する(カップルの場合は少なくともどちらか)

代理母の卵子を使うことは可。依頼者は個人でもOKで、カップルの正式な婚姻関係も必要ではない。 代理出産の協定は、依頼者の居住地域にある高等裁判所の承認を経て初めて有効になる。法改正後の契約で生まれた子供の出生証明書には、依頼者の名前が直接記載され、養子縁組の必要はない。

南アでは、中絶が合法化されて以来、養子にできる子供の数が減少しており、養子縁組の希望者は長い順番待ちの状態である。その結果、代理出産を選択肢として考える不妊カップルが増えている。

Aspects of the Children’s Act Affecting Surrogacy: South African Legislation Pertaining to Surrogacy
[baby2mom]

Children's Actの代理出産の部分

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by technology0405 | 2011-04-12 16:01 | Countries | Comments(0)

南アフリカの代理出産



1. 商業的代理出産は禁止される。(但し実費及び逸失した収入の補償は認められる)

2. 代理出産の協定は、裁判所の承認を経て初めて有効になる。

3. 代理母になる女性は、過去に自分の子どもを正常に出産したことがあることを文書で証明すること。

4. 中絶の決定権は代理母にあるが、中絶の前にその決定を依頼者に知らせ、依頼者に相談しなればならない。違約金を支払う必要はないが、医学的理由で行われたケースを除き、依頼者から受け取った金銭は弁済しなければならない。

5. 人工授精型の代理母の場合、子供の誕生後60日未満なら代理出産の協定を撤回することができる。その場合違約金を支払う必要はないがそれまでに依頼者から受け取った費用は弁済しなければならない。また親権は代理母とその夫(パートナー)、もしくは依頼者(夫)のものとなる。

6. 代理出産の協定に際し、法的、医療的サービスを行なった人間は、妥当な補償を得ることができる。

(H)

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by technology0405 | 2010-06-07 13:04 | Countries | Comments(0)
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