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アメリカ人が中国人の子供を養子に迎えることは、これまで長く行われてきた。ところが、今度は中国人カップルが子供を持つためにアメリカを訪れるようになった。

中国は代理出産を禁じているが、国内の生活基準の上昇に伴い、多くのカップルが、アメリカのクリニックで代理出産するという選択を行うようになった。中国系アメリカ人のコミュニティーを持ち代理出産に対しても寛容なカリフォルニアは、一番人気である。

北京在住のJerry ZhuとGrace Sunは、10万ドルかかるという代理出産のために6万ドル貯めた。今年中にロスで代理出産したいと考えている。「高くつきます。」と家具の工場を経営するZhuは言う。「でも、子供がいてこそ家族は完成するのです。息子を望んでいます。」

両政府とも、一体どのくらいの数の中国人カップルが代理出産をしに渡米しているのか突き止めていないが、代理出産の専門家やクリニック経営者によると、数は急増しているという。
「去年、依頼者の数がゼロから大きく飛躍したのです。」とロスにあるEdd Donor & Surrogacy Instituteの最高経営責任者Parham Zarは言う。今や、彼の会社の顧客の半分は中国人である。

サンディエゴにあるSurrogate Alternatives Inc.は、中国人カップル勧誘のための代理店を中国に3つも置いている。去年は顧客の40%を占める140組が中国人カップルだったと、最高経営責任者Diana Van De Voort-Perezは言う。

42歳のZhuと35歳のSunは、まだクリニックをどこにするか決めかねているが、南カリフォルニアでやりたいと考えている。代理出産を専門に扱うクリニックが多いからだ。中国では代理出産に眉をひそめる人が多いので、このカップルは英語のニックネームしか明かさなかった。流産を何回か経験したのち、決断に至った。「もちろん、自然に子供が出来ればそれに越したことはないですよ。でも、それがほぼ不可能だと分かりましたから。」とZhuは言った。

多くのカップルがそうであるように、ZhuとSunもいわゆるジェステイショナル・サロガシー(体外受精型代理出産)を希望している。クリニックによると、体外受精型だと8万ドルから12万ドルが相場で、合併症や移植回数によってさらに高くなるという話だった。依頼母の卵子が使えない場合は、3万ドルほど上乗せされる。その場合、提供卵子を扱うクリニックから卵子を手に入れることになる。

中国人カップルは華僑の卵子を希望するケースがほとんどなので、価格はさらに釣り上がると、エンシーノにあるFertility InstitutesのJeffrey Steinberg医師は言う。白人女性が通常10-14個の卵子を「提供」すると、費やされたエネルギー、時間、苦痛に対して5000-8000ドルが払われる。しかし華僑の女性の卵子なら15000ドル以上で売れると、Steinbergをはじめとする専門家は語る。「需要と供給、というわけです。中国人はプレミアム価格なのです。」

ロスのスタジオシティにあるEgg Donor Programの経営者Shelley Smith も、普段は中国人女性だからといって多めに払うことはないが、あるニューヨーク在住の華僑女性に通常より多い15000ドルの支払いを考えていることを認めた。彼女の卵子にプレミアム価格がつくのは、すでに卵子が妊娠可能であると分かっているリピート・ドナーであることが大きいが、それだけではない。「この中国人の卵子ドナーは引く手あまたなのです。SATのスコアが1600点で、容姿も抜群、しかもアイビーリーグ出身者ですから。」

中国人が重要な顧客となってきたため、カリフォルニアの代理出産クリニックは更なる集客を目指し、中国の仲介業者を雇うようになった。Li Dong Mingは、エンシーノにあるAgency for Surrogacy Solutionsとその姉妹会社Global IVFに雇われ北京で仕事をしている。彼女は、客を会社に紹介するたびに「仲介手数料」を受け取るが、金額は明かさなかった。Liによると、強力な売り込みは必要ないという。「アメリカの方が科学は進んでいると思って、皆行きたがるのです。」とLiは中国語で話す。「彼らは、特別な宝物を欲しいのです。お金が許せばアメリカで子供を持つのが理想です。」

アメリカで生まれた子供は自動的にアメリカ国籍を取得する。その国籍は、新生児のうちに夫婦が中国に連れて帰っても効力を失わない。代理出産専門の弁護士Robert Walmsleyによると、3年で20%増えた彼の中国人顧客にとっても、アメリカ国籍は「特別価値」であるという。他の人々と同様に彼も、中国の好景気がこの風潮を生み出したと考える。クリニックの経営者たちの話によると、中国人顧客の多くが、二人目を育てる金銭的余裕の出てきた――同時に「一人っ子政策」違反で高額の罰金を払う余裕もある――中年の夫婦である。

「去年扱った何組かの中国人夫婦には、16歳から25歳の子供がすでにいたわ。」とカリフォルニア州ニューポートビーチにあるCoastal Surrogacyの最高経営責任者Juli Deanは言う。「彼らは文字通り再出発して、第二の家族生活を始めるの。」

全てが順調に進むとは限らない。中国人カップルは、代理母をただの雇われ人とみなし、代理出産を完全にビジネス的な取引だと考えがちである。一方アメリカ人の代理母は、依頼夫婦との交流を望むケースが多い。「我々は、代理母が被雇用者ではなく、代理出産にはビジネス契約を超えたものがあることを中国人カップルに教えなくてはならないのです。もともと中国文化には人を尊重する概念があるので、彼らも理解してくれます。」とDeanは言う。

国内では代理出産を禁止しても、大きな需要がある以上、裕福なカップルがアメリカに行く流れを止めることは不可能である。国家間の文化的、法的な違いを抱えたまま、生殖ツーリズムは進んでいる。

Chinese couples come to U.S. to have children through surrogacy
[Los Angeles Times February 19, 2012]

Chinese couples take advantage of U.S. surrogacy centers
[eIVF.net May 8, 2012]

Mothers wanted
By Xuyang Jingjing
[Global Times | 2012-9-24]

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by technology0405 | 2012-03-01 12:13 | Countries | Comments(0)

中国で八つ子の誕生

広東省の金持ちの夫婦が8つ子をもうけたというニュースで、中国では代理出産の是非を問う議論が起こっている。
8人のうち5人は代理母から生まれた子供。夫婦は約100万元(US$157,600)を使い、二人の代理母を同時に雇ったとGuangzhou Dailyは報じている。

中国には一人っ子政策が布かれている上、代理出産は違法である。一人っ子政策は、戸籍を持たない「ブラックチルドレン」を生み出していることで問題になっている(金持ちが、罰金を払ったり外国籍を取得したりして複数の子供を持つ現象も存在する)。法律を破った者には罰金、時には刑期が科される可能性もある。しかし、この夫婦は何年も人工授精を繰り返してきたが、無駄に終わっていた。体外受精で8個の受精卵を作るのに成功した夫婦は、代理母を2人雇う。成功率が30%程度であることを知った夫婦は、8個の受精卵のうち出産まで至るのは2-3個だろうと判断し、すべての受精卵を移植することにした。3個を妻に移植、残りの5個は2人の代理母に移植された。結果、妻は三つ子を、代理母はそれぞれ双子と三つ子を出産した。

赤ちゃんたちは2010年の9月から10月にかけて生まれた。男の子4人と女の子4人であることが分かっている。子供たちの写真が広告に使用されたことでようやく明るみに出た。
「これは単に子供の数が過度であるだけでなく、代理出産という違法行為でもある。」と広東省Family Planning Commissionの広報担当官は言う。長官のZhang Fengも「生殖補助医療は不妊の人々を助けるために使われるべきだ。しかし、この夫婦は技術を乱用した。代理出産は違法であると同時にモラルに反する。関係した病院も処罰されるべきだ。」と語った。現在、広東省のDepartment of Healthが特別調査班を結成し、調査している。

このケースは、インターネット上で多くのコメントを呼んだ。関心が向けられているのは「過度な子供の数」ではない。議論の中心は、代理出産の違法性と社会的不平等についてである。

代理出産を禁じる法律が存在するにも関わらず、代理出産サービスを謳う中国のウェブサイトはかなり多い。しかも、その数は近年増加傾向にある。「エコノミー」から「ラグジャリー」まで幅広く、包括的なサービスを提供する業者も出てきた。監視を避けるため、人工授精のためにタイやインドに代理母を行かせ、中国で生ませる業者もいる。依頼者は代理母の身長と体重だけでなく、瞼の形状、髪の毛の多さ等、細部に至るまで選ぶことができる。

受精卵を移植する通常の代理出産は約12万元。人工授精は15万元。20万元払えば、依頼父が性行為によって直接代理母を妊娠させることができるという。中国では女の子より男の子に価値を置く傾向が非常に強く、男の子を生んでもらう「完結型パッケージ」になると、100万元にまで費用がかさむ可能性もある(依頼者の精子で5-7人の代理母を同時に妊娠させ、男子以外の胎児を中絶する)。
従って、子供を持つ手段として代理出産を選択できるのは金持ちの夫婦のみということになる。広東省のこの夫婦は8人の子供の世話をするために11人の子守りを雇い、その費用は月10万元だと中国メディアは報じている。

中国のネットユーザーたちは、金持ちの不妊カップルが法を破り、代替手段によって子供を持てる現状を「不平等な出産(unfair birth)」と名付け、社会的不公正に対して怒りをあらわにしている。「そんなに金があるなら、罰金として資産の80%を払わせるべきだ。」という書き込みも見られた。

近年、中国の出生率は低下している。キャリアを追及する女性の増加に伴い出産を遅らせるカップルが増えたことや、家の価格の上昇で購入が難しくなったことなども原因の一部だ。「金持ちや有名人は、金ですべてが手に入る。家族計画政策は、貧しい人々に対してだけ行われるのか。」というコメントもあった。社会派ライターのCai Hongは、商業的代理出産が、貧しい女性で形成される「ブリーダー階級」を生み出すだろうと書いた。

中国でどれくらい代理出産が実施されているのか、公式な統計はない。Southern Metropolis Weekly紙の推定では、2009年4月当時で約25,000人の子供が過去30年間に代理出産で生まれたとされている。2000年には3%に過ぎなかった不妊率は、2010年には12%に跳ね上がり、40000万人が何らかの不妊症状を抱えているとChinese Medical Associationは報告した。代理出産仲介業Daiyun.comの経営者Liu Jialeiによると、2001年に代理出産が禁じられてからも依頼の数は増えているという。「一つだけ確かなのは、我々のビジネスがますます順調になっているということ。代理出産サービスを希望する人はこれからも増えるだろうね。」とLiuは語った。中国では2012年に特に縁起が良いといわれる辰年を迎え、計画出産する親が相次いでおり、生殖補助医療業界はここ一番の盛況を迎えると予測されている。闇で行われる代理出産も増えるだろう。一人っ子政策、生殖補助医療政策を含めた中国の家族計画関連の政策全体が、包括的に見直されるべきである。

Guangzhou couple uses in vitro fertilization to have 8 babies at once
[Shanghaiist December 20, 2011]

China couple with eight babies sparks surrogacy debate
[BBC News China 21 December 2011]

'Octomom' in one-child China stuns public
[USATODAY.com 12/30/2011]

Surrogacy birth controversy
[Global Times.cn December 22, 2011]

Couple has 8 babies using IVF
[Chaina Daily 2011-12-19 ]

Should surrogacy be legal in China?
[China.org cn 23-12-2011 ]

Officials seek test-tube agent in surrogate scandal
[2011-December-22 Shenzhen Daily]

富商借助试管婴儿技术孕育八胞胎
[http://www.sina.com.cn SINA新聞中心 2011年12月19日]

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by technology0405 | 2012-02-17 16:46 | Countries | Comments(0)

違法行為であるはずの代理出産が、中国の到る所で盛況である。斡旋会社は国中に拡大し、監視の目は行き届かず、顧客と代理母は法的に無防備な状態に置かれている。代理出産斡旋会社はウェブサイトを隠れ蓑にし、客が前金を払うまで所在地を教えない。全国に事務所を構え、「代理出産パッケージ」といった商品を作って顧客に売っていることを、上海デイリーが突き止めた。

代理出産を斡旋している会社の一つdaiyunzj.comは、顧客を装ったおとりの記者に対し、100万元(US$156,622)払えば客の精子を使って一度に5-7人の代理母を妊娠させると約束した。そうすれば、子供の中に必ず男の子がいるだろうからと。

中国、特に農村部では、娘より息子の誕生が望まれる。daiyunzj.comでは、性別にこだわらないなら15万元で通常の代理出産を提供する。ウォンと称する会社役員の話では、代理母のお腹の子供が女の子だと分かり、顧客の希望が娘でないならば、中絶の処置をとるという。

万が一、胎児がすべて女の子だったら、代理母はいったん中絶し、客の希望通り男の子ができるまで妊娠を繰り返さなければならない。よくあるのは胎児のうち2-3人が男の子という場合だが、客はどの代理母に産ませるのかを選ぶことができ、他の代理母は中絶する。

客が追加の子供を希望する場合には、男の子でも女の子でも、一人15,000 -30,000元で「購入する」ことができるとウォン氏は言った。
「お客様は、自分の精子が機能するかどうかの確認と、料金の支払いをしさえすればよいのです。私どもが卵子と代理母を提供し、2年以内に息子さんをお渡しすることを保証します。」

代理出産斡旋会社の中には、双子や三つ子を提供するといった、より高額な「ベビーパッケージ」を宣伝しているところもある。daiyunwang.comという会社のウェブサイトでは、「優秀な遺伝子の子供を生ませる」ために、代理母の年齢、身長、学歴を具体的に規定している。代理母は、容姿や学歴、その他に応じて9ランクに分類されており、ランク別に年間4万元から12万元が支払われている。この会社の設立は2005年で、北京本社の他に、上海と武漢、広東省、山東省にも支店があるという。

法規制をかいくぐるため、胚移植はインドやタイなど代理出産が合法の国でおこなわれることが多い。

代理出産ビジネスは、顧客にも代理母にも魅力的なのかもしれないが、もしこのビジネスで詐欺が起きたとしても、法的な保護は一切ない。
上海に住む代理母Zhaoは、女の子を妊娠したことが病院の検査で判明した途端に客が「姿を消し」、結局自分で中絶費を払う羽目になったとぼやいた。

Despite illegality, surrogate baby-making thrives
[Shanghai Daily 22 10 2011]

Childless couples create fertile surrogacy market in China
[WantChina Times.com 2011-11-29]

Agency advertises 'legal' surrogacy services on website
[Ecns.cn 2011-11-17]


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by technology0405 | 2011-11-25 16:15 | Countries | Comments(0)

2009年、中国安徽省(あんきしょう)に連れて行かれ代理出産サービスを強要されていたミャンマー女性二人が、母国に強制送還された。女性は共に26歳で、二人とも妊娠している。二人はミャンマーの最北にあるカチン州の出身で、すでに逮捕されている別のミャンマー女性に騙されて中国に連れてこられた。 女性は多国籍犯罪組織の一員であると報じられている。連れてこられた3人のミャンマー女性の一人が逃げて警察に訴え、事件が発覚した。

3人の女性は、中国に行けば月100,000チャット(83ドル)の仕事をもらえると言われていた。しかし、中国に来てすぐ安徽省に住む男性に24,000元(3,500ドル)で売られたのち、中国人男性の子供を生めば300,000チャット(250ドル)の報酬付きでミャンマーに返すと言われ、代理出産サービスを強要されていた。

タイやインドのように生殖技術の発達した国は、生殖ツーリズムの渡航国となり、現地の女性が代理母や卵子ドナーになる。しかし、周辺国のミャンマー(2007年に初のIVF児が生まれたばかり:↓リンク参照)のように、成功率が低く、不妊施設も整わない国では、女性が代理母やドナーとして出稼ぎに行く。今回の事件のように、人身売買に限りなく近いケースも存在すると考えられる。

China returns pregnant "forced surrogate mothers" to Myanmar
[TopNews.in 03/25/2009]

Police rescue 3 surrogate mothers from Myanmar
[China Daily March 25, 2009]

China deports Myanmar women sold as surrogate mothers
[Reuters, Mar 25, 2009]

Myanmar’s first IVF baby born in Taungoo
[The Myanmar Times September 3-9, 2007]


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by technology0405 | 2011-10-07 16:41 | Countries | Comments(0)

中国の精子バンク

ここ数年、中国で精子不足が深刻な問題になっていた。中国では10%のカップルが不妊に悩んでいる。3年前の調査では、不妊カップルの約80%が提供精子を手に入れられなかったと報告されている。このたび広東省の広州でバンクが精子の値段を上げたところ、大学生のドナーが急増し、ドナーの95%を大学生が占めた。

中国衛生部(Ministry of Health)によると、精子提供できるのは22歳から45歳までの健康な男性で、提供は一回まで。同性愛者や外国籍の人間は不可。ドナーは、精子サンプルが規準に合格すると、血液検査のために3回バンクに来る必要がある。従って、提供には10回近くバンクに足を運ばなければならない。

ドナーには報酬として最終的に3000元(450ドル)支払われるという。「これは精子の売買ではない。我々は食事と交通費と割いてもらった時間に対する補償を提供している。」と、広東精子バンクの経営者Tang Lixinは説明する。「学生は上の世代よりも開けている。修士や博士号を持つ学生が多く精子提供に来ている。彼らの精子は普通の精子より価値がある。」

しかし、提供できるのが22歳から45歳までという法律を考えると、大学生の多くはその規則を破っているのではないかという憶測も生まれる。

広東精子バンクは、中国にある精子バンク10施設の中の一つで、2010年には900人のドナーから提供を受けた。「学生の中には助成金が増えたから提供するという者もいるが、大部分は人工授精の必要なカップルを助けたいという思いから精子提供するのだ。多くの人間、特に大学生が精子提供に関心を寄せたおかげで、近頃の状況はよくなってきている。」とTang氏は言う。

College students largest sperm donor group in China
[newKerala.com March 21 ,2011]

95% of donors in Chinese sperm bank are college students
[The Times of India, Mar 21, 2011]

[神州股票資訊]精子質量低,買精不容易 中國精子庫三十年
[湯財文庫 2012-09-30]

精子バンク内の様子 Donating Sperm In China, One Chinese Netizen’s Experience
[chinaSMACK March 22, 2011 ]


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by technology0405 | 2011-04-05 15:04 | Countries | Comments(0)

中国のAID倫理

中国では、2001年に出された『人類補助生殖技術管理弁法』の第3条にて「人類補助生殖技術の応用は医療機関により実施されなければならない」とした上で「あらゆる形式での配偶子・胚の売買を禁止する。医療機関や医療関係者は、あらゆる形式の代理出産技術を実施してはならない」と規定した。

しかし上記は医療者のための法律であり、実際の市場を取り締まるには至っていない。そのため2003年8月に「人類補助生殖技術規範」が公布され「いかなる組織や個人も、あらゆる形式で卵子提供希望者を募集しビジネス行為をしてはならない」とする条文が加えられた。政府は、一向に減らないネット上での代理母あっせんや精子の売買について、ペナルティーを強化するなどして再三警告しているが、仲介業者の活動は盛んになっている。


中国で支配的な儒教では「男子を産み家系を絶やさぬようにするのが人間の務め」という考えが根強く、生殖補助医療は不妊夫婦にとって希望の光となっている。しかし、AIDは夫の血を引き継がない子供を持つことになり、男系を重んじる儒教倫理とは矛盾する。

2001年に出された2つの規制法の内容は次のようである。

Human sperm bank management
・ドナーは22-45歳までの健康な人間
・提供できる精子バンクは1か所で、その精子が使用できる女性は5人まで
→2006年には体外受精は5人まで、人工授精は8人までとなった
・ドナーに対する医学的検査を厳密に行う
・新鮮な精子の使用は禁止
・精子バンクはドナーとレシピエントの情報を秘密にし、同意なく公開してはならない
・精子バンクはドナーの情報をきちんと管理し、データベースに永久に保存する
・精子の調達と提供はドナーから無償で行われる
・委員会の倫理的原則である、身体部位の非売買、人間の尊厳の保護を遵守する
・クリニックも個人も精子のやり取りによって利益を得てはならない
  →しかし、ドナーに対する支払いの禁止はない

Regulations of human assisted reproductive technologies
・配偶子・受精卵・胚をいかなる形でもビジネスに利用してはならない
・医療機関や医療従事者は、代理出産に関わってはならない
・生殖技術を使用する施設には、専門スタッフと適切な設備、医療倫理委員会の人間を配置させる
・医療施設は生殖補助医療に関わる全ての人間の秘密を守る
・医療的な正当性のない性選択は禁止
・違法施設から手に入れた精子を使用してはならない

2003年、2006年とさらに規制が付け加えられたが(不妊センターのライセンスを2年ごとに更新するなど)、基本路線は変わっていない。2007年には、基準を満たさない精子バンクを政府が閉鎖し、認可精子バンクの数を10にまで減らした。


AIDで生まれた子供の立場に関しては、1991年に最高裁が次のような声明を出している。
「AIDで生まれた子供は、すべての点で、AIDに同意し依頼した夫婦が自然に妊娠・出産した嫡子と同様の立場にある。婚姻法の中の、親と子の権利と義務に関する条項がそのまま適用される。」

2003年「Ethical Principles of Assisted Reproductive Technology and Human Sperm Banks」にも、AIDで生まれた子供は自然妊娠で生まれた子供と同じ権利と義務があることを、医療機関はレシピエントに伝えなければならない、とある。

子供が「親が誰なのか知る権利」は、中国では特に難しい問題である。伝統的に血縁関係が神聖なものとみなされる中国社会では、AIDで生まれた事実を子供本人や周囲に知らせない傾向が強い。AIDで生まれた子供が成長し、互いに血縁関係があることを知らずに結婚したり、自分に遺伝病があることを知らないまま子供を持つ可能性も否定できない(中国では婚姻届を出す際に遺伝病の検査を受けることが義務付けられていたが、2003年以降、義務ではなくなった)。
香港では、21歳に達していれば自分がAIDで生まれたのかどうか検査することができるが、ドナーに関する情報は一切公開されないことになっている。

独身者が子供をもつ権利については「Ethical Principles ~」中で「独身女性はAIDで子供を持つことができない」と否定されている。独身男性は、代理出産が禁止なのだからもちろん不可。養子縁組法6条と9条により、独身男性も独身女性も養子をとることは認められている。
同性愛は中国で認められておらず、差別の対象となっている。

精子の売買は法律で禁じられているが、認可精子バンク10か所のうち2か所は、ドナーに金を支払っている。Shandong精子バンクでは、ドナーが一回病院を訪れるごとに20ユーロ支払われ、精子が使用可能な場合には100ユーロ追加される。Shanghai精子バンクではドナーに約350ユーロ支払われるという。中国には著名人の精子や博士号を持つ人の精子を扱う精子バンクも存在し、倫理的に様々な問題をはらんでいる。

儒教的倫理観と西洋的倫理観との対立、商業的なARTの使用を禁ずる法律と仲介業者の横行など、中国の生殖補助医療は様々な矛盾をはらんでいる。それだけに、国内での生命倫理学者の関心も高い。こうした議論に医者が加わることが少ないのが、西欧と異なる点である。

China tightens control over assisted reproductive technology
[GOV.cn Friday, June 1, 2007 ]

Chinese health official reiterates surrogacy against law
[GOV.cn Monday, April 10, 2006 ]

・2001年『人類補助生殖技術管理弁法』
http://www.gov.cn/fwxx/bw/wsb/content_417654.htm
・2001年『人類精子庫技術規範』
http://fjthk.now.cn:7751/vip.chinalawinfo.com/newlaw2002/slc/SLC.asp?Db=chl&Gid=35148
・2003年『人類補助生殖技術規範』
http://www.docin.com/p-15831804.html

The ethical debate on donor insemination in China
Juhong Liao, Bart Dessein, Guido Pennings
Reproductive BioMedicine Online (2010) 20, 895-902

論説 中国における生殖補助医療の状況
夏芸
東洋文化研究10号、2008

最高人民法院 关于夫妻离婚后人工授精所生子女的法律地位如何确定的复函
1991年7月8日、民他字第12号

 
两高一审典型案例
林伟杰 主编
中国民艺出版社

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by technology0405 | 2010-11-12 14:06 | Countries | Comments(0)

代理母に対し中絶を強制

中国は2001年に、代理出産に関わる医療行為を禁ずる法律を出したが、実際には水面下で商業的代理出産は盛んに行われており、その状況に政府も見て見ぬふりをしてきた。しかし2009年2月、代理母が強制的に中絶させられるという事件が起こり、中国の代理出産業界に衝撃を与えた。

広東省の省都である広州で、若い代理母3人が代理母用のアパートにいたところを、地元の家族計画・治安職員(family planning and security officers )が発見。そのまま彼女たちを車に乗せ、病院に運び、その場で3人に無理やり中絶手術を受けさせたという。
職員たちは「女性らは皆、未婚であり、違法に代理母をしていた。3人は法に従い‘治療’措置を取ることに‘同意’した。」と述べている。

「このように無理やり連れ去って中絶手術を受けさせるのは、人権を侵す重大な犯罪行為。5年間やってきて、こうした問題は1度もなかった。」仲介業者China Surrogate Motherの創始者Lu Jinfeng

代理出産産業は、アンダーグラウンドで仲介業者と病院、医師たちがネットワークを形成し、広がりをみせている。代理母は通常、用意されたアパートに共同で妊娠期間をすごし、家事全般は業者に雇われた人にやってもらう。

「政府が何か行動を起こそうとしているサイン。政府は現状に気づき始めたんだ。たくさんの代理出産仲介業者が、組織産業のように多くの金を稼いでるってことにね。」香港バプテスト大学・中国家族計画問題の専門家Siu Yat-ming

「アンダーグラウンド産業はどのようなのものであれ、問題が起こる。なぜなら、業者が安全基準を守り、医療的・倫理的基準を考慮するという保証がないから。不透明性が付きまとう。」コロンビア大学医療センターの生命倫理学者Robert Klitzman

Forced abortions shake up China wombs-for-rent industry
[Reuters Apr 30, 2009 ]

China's Forced Abortions Spark Infertility, Surrogacy, Crackdown, More Abortions
[LifeNews.com May 1, 2009]


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by technology0405 | 2010-08-20 15:36 | Countries | Comments(0)

中国の代理出産

2001年、中国の厚生省は『the Administrative Measures for Human Auxiliary Reproduction Technology』(人類補助生殖技術管理弁法)を出し、生殖補助医療技術を規制している。受精卵や胚の売買の禁止、医療機関や医療従事者が代理出産を行うことの禁止など。

だが、この法律では代理母やドナー、依頼者に対する規制は明確にされておらず、グレーゾーンのままになっている。代理母になること自体は法律違反にあたらないというので仲介業者は存続、経済的な理由で代理母になる女性は中国でますます増えている。中国は伝統的に家の存続を重んじる文化があり、どんな手段でも子供を持ちたいという夫婦も多い。

「中国本土では50程の仲介業者が、北京、上海、ウーハン、広州、河北省北部などの街にある。北京で代理母を雇うには大体300000元(44320ドル)必要。僕のところでは毎年200カップルに代理母を紹介し、in-vitroの成功率は50%以上だよ。」仲介業者daiyunguke.comのJiang Lei

「代理出産の契約は確実なものではない。代理出産の契約は、契約法に含まれていない。代理出産に関する記述はないんだ。依頼者夫婦と代理母両方が認めたくなくても、「母親」は誰になるのか、という問題は残ってしまう。」
「代理出産には、母子関係に関する文化的な信念や理想に疑問を投げかけるものだ。中国の法律や考え方は全然追いついていない。」DeHeng法律事務所シェンチェン支部のSong Yongfeng弁護士;代理出産の専門家

Poverty, desperation drive surrogacy boom in legal limbo
[People's Daily Online August 15, 2010]


Surrogate Business in Grey Area
[Women of China December 30,2009]

Surrogate mother site grows in popularity
[China Daily: 2006-02-16]

Surrogate pregnancy challenges social ethic
[China Daily: 2006-01-07]


中国における法と倫理-代理出産問題をめぐって


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by technology0405 | 2010-08-20 13:02 | Countries | Comments(0)
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