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イスラエルにあるアサフ・ハロフェ医療センターのIVFユニット長が、卵子売買の疑いで、ルーマニアで逮捕された。ルーマニア警察は 2013年2月、ルーマニアの首都ブカレストにある個人クリニックMed New Lifeを強制捜査した。このクリニックで地元女性から卵子を採取し、不妊患者に違法に売っていた疑いが持たれている。

在ルーマニア イスラエル領事館は、IVFユニット長Raphael Ron-El教授とラボの技術員Daphna Komarovsky(どちらもイスラエル人)が逮捕されたと発表した。アサフ・ハロフェ病院は「現段階では詳細は掴めていない」とコメントを出している。

報道によると、ルーマニア警察は多数のルーマニア人容疑者も逮捕し、現場にいた30人の人間に対しクリニックの活動について取り調べを行ったという。海外の報道機関は、クリニックがルーマニア人女性から卵子を違法に採取しイスラエル人女性に売っていたと伝えた。警察は、クリニックで働いていたルーマニア人6人の家も家宅捜索した。

ルーマニア警察によると、卵子ドナーは18-30歳で学生も含まれており、600-800ユーロが支払われていたという。その後、卵子はイスラエル人などの外国人に3000-4000ユーロで売られていた。

アサフ・ハロフェ病院の話では、Ron-El医師はブカレストでIVF治療に15年携わっており、ルーマニア政府からもライセンスを受けていた。「 これまでずっとRon-El教授はイスラエル法とルーマニア法を遵守してきた。今回の彼の行為も例外ではないと確信している。Ron-El教授の行為は、当病院、研究基金およびルーマニアのクリニック間で交わされた契約に従って病院の任務として成されたものである。病院は、彼らが疑いを晴らして速やかに帰国できるために協力を惜しまない。」

保健省は、Ron-El氏がルーマニアのクリニックと連携するためのライセンスを取得していたことは認めたが、治療目的でルーマニアからイスラエルへ卵子や胚を輸入することは禁じていたと強調した。「彼が(卵子の輸入を)やったかどうか定かではない。このライセンスは、地域法に従ってルーマニアで活動できるようRon-El氏に与えられたものだ。」Ron-El医師のルーマニアでの活動は、ルーマニア法に従うよう義務づけられていた。
保健省がイスラエル女性に海外での治療を認めているクリニックは3つしかない。残りの2つはウクライナのキエフと、 チェコ共和国のブルノにある。

イスラエル人がルーマニア人の卵子を違法に購入していたのは、これが初めてではない。2009年7月、イスラエル人が経営するルーマニアのSabyc fertility clinicに強制捜査が入り、 イスラエル・ハイファにあるBnei Zion病院IVFユニットの医師Dr. Nathan Levittと、IVFユニット長で世界的に有名な研究者Dr. Genya Ziskindが逮捕された。2人とも、違法な卵子売買に関わっていたとみられている。2人は逮捕後パスポートを没収され、イスラエル側の外交圧力と組織的努力によって4ヶ月後にようやく帰国することができた。ルーマニアの裁判所は、Levitt氏とZiskind 氏、他2人のイスラエル人に対し懲役5年の不在判決を下した。

こうした事件の背景には、イスラエルでの提供卵子不足の慢性化がある。そのため、2013年7月、Knesset(イスラエル国会:本会議と12の常任委員会を通じて活動する)のLabor, Welfare and Health Committeeで、卵子提供者に対する補償を10000シュケルから2倍の20000シュケル(約55万円)にするという保健省の提案が承認された。レシピエントが払う金額は、これまで通り9000シュケルのまま。この修正案の実施は2013年5月に遡って適用されるという。

Head of Israeli IV unit arrested in Romania
By Dan Even
[Haaretz Daily Newspaper, Feb. 20, 2013]

Romania: 2 Israelis suspected of human egg trafficking
Attila Somfalvi
[ Ynetnews , 02.19.2013]

Israeli egg donors see higher compensation due to shortage of willing women
By Dan Even
[Haaretz Daily Newspaper, 16.07.13]

Knesset Committee OKs Doubling of Pay to Egg Donors
[Israel National News.com, 7/15/2013]

2010 Egg Donation Law (חוק תרומת ביציות, התש"ע–2010 )
www.knesset.gov.il/privatelaw/data/18/3/289_3_2.rtf‎

Egg Donation in Israel, Action Research, 2009-2010
Adva Shay, Yali Hashash, Anat Greenstein, Hedva Eyal

Hillel Yaffe: First egg donation in Israel
[Hillel Yaffe Medical Center, 13/06/2012]

Human egg-trafficking scam uncovered in Romania
By Ben Jones
[BIONEWS, 03 August 2009]

不妊問題とイスラエル
[経理日誌@イ国の小さな村より, 2009年07月21日]

הנתרמת –
עד איזה גיל ?

Raphael Ron-El教授の卵子提供の年齢制限に関するスライド

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by technology0405 | 2013-09-11 12:10 | Countries | Comments(0)

逆方向の渡航不妊治療

本論文は、イスラエル-ルーマニア間の卵子提供に関する調査をもとに、「逆方向の渡航不妊治療(reverse traffic repro-migration)」――tourismという語は固定概念が既に付随しているためあえて使用されていない――について論じたものである。卵子レシピエント女性25人、卵子ドナー21人、医師5人、看護師3人、エンブリオロジスト3人、麻酔士2人へのインタビューが行われている。

イスラエルは、世界で最も政府がIVFを援助している国である。これは、パレスチナ人口に対抗してユダヤ人口をもっと増やしたいという「政治的計算」がイスラエル政府にあるためだとも言われている。Kupat Holim(クパット・ホリーム:イスラエルの国民健康保険制度)は国内卵子提供を支援しているが、海外での治療に関してはカバーしていない。イスラエルの卵子提供に関する法律は2010年に成立した。卵子ドナーには6000シェケル(約15万円)の報酬が認められている。国境を越えた卵子提供も違法ではない。異宗教間の卵子提供(ユダヤ教の女性がそれ以外の宗教の女性から卵子提供を受けるなど)を禁止しているのが大きな特徴である。

ルーマニアは出産奨励主義の非常に強い国の一つである。チャウシェスク政権が国家主義の名の下に中絶も避妊も禁止したように、ルーマニアの生殖の歴史は抑圧的であった。その反動で「biological citizenship(生命が構成する市民権)」を意識する女性が多いため、自分の意思で密かに卵子を売る女性が多いとも考えられる。また、社会経済的な格差が大きいこと、ユダヤ教の女性が多いことなども、イスラエル人レシピエントにとってルーマニア人女性が最適なドナー候補となる要因である。2006年、ルーマニアは法改正で卵子の金銭的売買を禁じている。

「reverse traffic」とは文字通り、資本利得を増やすために、モノや人の移動の方向を逆転させることである。reverse trafficの第一の目的は、利益の増収である。患者ではなく、医師、エンブリオロジスト、配偶子、ホルモン薬剤、機材が国を超えて移動する。イスラエルのクリニックの医師とエンブリオロジストが、毎月、凍結精子の容器を持ってルーマニアに行く。そこでルーマニア人ドナーから採卵し、精子と受精させ、その受精卵をまたイスラエルに持ち帰り、イスラエル人依頼カップルの妻に移植する。ルーマニアの首都ブカレストにあるクリニックでは、スタッフの制服も事務所のドアプレートも、全てイスラエルの会社のロゴ入りであった。ラボにある機材もイスラエル製。医師もエンブリオロジストも共に、イスラエルのテル・アビブ周辺から来た者たちであった。

reverse trafficの第二の目的は、不可視性の確保である。ドナーとレシピエントが会う可能性を排除し、監視の目からも逃れることができる。この不可視性は、repro-migrationをスムーズに運ぶための中心的役割を果たす。
第三の目的は法の回避である。ドナーの移動がないことで、人身売買法を適用されることがなくなる。卵子の入った缶を移動させても、人身売買法にはあたらない。

「reverse traffic repro-migration」において、一部の女性たちは資源として、一部の女性たちは消費者として利用される。「通常の」CBRCよりも、その傾向はずっと強くなる。そこでは金銭的利益が追求され、人間中心の価値観は脇に追いやられているからである。

過去に子供を生むことで市民権を与えられてきたルーマニア女性は、卵子を売ることが女性としての自律性を得る手段だと考えるかもしれない。しかし同時に彼女らが機械につながれ、彼女らの卵子が国境を越えるということは、彼女ら自身が動けないという事実を際立たせている。通常のCBRCに比べ、reverse traffic repro-migrationでは、卵子ドナーの福祉よりも、組織・胚・卵子とレシピエントがさらに優先されている。(本論文では、ブカレストのクリニックの採卵の様子が生々しく記述されている。)

(i)政策の自由化と、その自由化の反動、(ii)アクセスと費用の問題、(iii)人種、階級、ジェンダーと生殖、(iv)地球規模の格差と資本主義がクロスするようなジェンダーの構築。渡航不妊治療の政治性を明らかにする上で、この4つが鍵となるであろう。

Reverse traffic: intersecting inequalities in human egg donation
Michal Nahman
Reprod Biomed Online. 2011 Nov;23(5):626-33.
PMID: 21945267

Assisted reproductive technologies: reviewing recent perspectives and addressing research gaps in medical anthropology
Jessica Grebeldinger
[anthropologyworks, February 14, 2013]

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by technology0405 | 2013-05-02 15:43 | Countries | Comments(0)

ルーマニア議会が代理出産を合法化する法案を提出した。Democratic Liberal PartyのMihaela Sandru氏は「この法案が承認されれば、ルーマニアは代理出産問題に関して最も進歩的な国になるだろう。現時点で代理出産を法律で認めているのは英国だけだ。」と語った。「代理出産がルーマニアで行われている以上、我々はこれを合法的な行為だと法律で認めるようにしていきたい。」
法案は上院に提出された。法律が執行されるには、上院と下院の両方で承認される必要がある。

法案では、代理母を依頼できるのは、子供を自分で生むことができないと医学的に証明された女性のみ。代理母は自分の子供を少なくとも1人は持っている35歳以下の女性であることが必要。代理母とそのパートナーは子供に配偶子を提供することはできない。依頼する女性の年齢制限は設けられていない。出産後に子供を依頼者に引き渡すという契約に、代理母はあらかじめサインしておかなければならない。金銭的なやり取りは禁止。

ルーマニアでは2009年に違法な卵子売買に絡んでいたイスラエルの組織が逮捕される事件が起こっている。首都ブカレストにあるSabyc Clinicでは、18歳から30歳のルーマニア女性の卵子を271ドル-338ドルで買い取り、それを11339ドル-14174ドルで売って、大きな利益を得ていた。顧客は主にイスラエル人やイタリア人、イギリス人。逮捕されるまでの10年で1200サイクル以上のIVFを行っていた。

卵子提供に関する規制緩和の法案は、イスラエルで保留にされている。イスラエルには卵子提供に厳しい規制がかけられており、IVFが奨励されている割に、そこで使用される卵子は個人で手に入れなければならない。代理母や卵子提供を求めてルーマニアやウクライナなど東欧に来る不妊女性は多い。

EU諸国では、オーストリア、ドイツ、スウェーデン、フランス、ハンガリー、イタリアがいかなる代理出産も禁止しており、利他的代理出産のみを認めているのがイギリス、オランダ、ベルギー、デンマーク、ギリシアである。

ウクライナはFamily Code123.2条で代理母に対する報酬を認めており、金額の上限も設けられていない。依頼女性(遺伝的つながりのある母親)の法的権利が認められており、養子縁組などの手続きを踏む必要もなく、出生証明書には依頼女性の名前が記載される。代理母の妊娠の回数にも制限はない。ウクライナでの代理出産の半数は外国人の依頼である。費用は卵子提供も含めて35000ドルとアメリカの3分の1。そのうち代理母に支払われるのは7000ドル-12000ドルである。メディカルツーリズムの土壌があるルーマニアで代理出産が合法化すれば、ウクライナと同じような立場になることが予想される。

Draft law to legalize surrogate mothers in Romania
[Romanian Times.at 24. 02. 2011.]

Romania busts Israeli human egg-trafficking ring
[PRESS TV Jul 29, 2009 ]

Human egg-trafficking scam uncovered in Romania
[BioNews 03 August 2009]

Women head East for wombs to rent
[The Sofia Echo Dec 17 2010]


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by technology0405 | 2011-04-01 12:57 | Countries | Comments(0)
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