人気ブログランキング |

メキシコはインド、タイに代わる代理出産ツーリズムの渡航先として近年新たに開拓された。代理出産ツーリズムで一世を風靡したインドは、2013年以降、医療ビザ規制によって代理出産の依頼者から同性愛者、独身者を排除した。その後、タイに大量の顧客が流れたが、外国人依頼者によるマナーに反する代理出産の利用が明らかになり、タイ政権は2015年2月に外国人依頼者を排除する法律を成立させた。インド、タイという依頼者にとって魅力的な渡航先が短期間で相次いで失われたのである。
 インドの2010年の生殖補助医療法案では、既に医療ビザに関する条文が盛り込まれていた。規制が強化される動きを察知した代理出産エージェント関係者らによって、メキシコは代理出産を合法的に利用できる国として「発見」されたのである。
 メキシコのタバスコ州では、1997年以降、代理出産を合法化する規定が民法に盛り込まれている。「合法化」といっても代理出産に言及するのは2つの条文しかなく、体系的なものではない。タバスコ州民法92条によれば、代理母の妊娠中に予め届けていれば依頼者の名前で出生証明書を発行することができ、347条によれば、代理母の卵子の使用は禁止され、そうである限り、代理母が受胎した瞬間から依頼者は親としての権利を獲得することができる。このように、gestational surrogacyである場合において、依頼者の子どもに対する権利が絶対的に保障されており、産んだ女性に子どもに対する権利はない。この条文には、代理出産の取り決めにおいて一般に脆弱な立場に立たされがちな代理母や子どもの権利を顧慮したものではない。そもそも、タバスコ州の代理出産合法化の条文は、当時、大統領を務めた人物の私的な要請によって付け加えられたものであり、メキシコに蔓延する政治的腐敗が生み出した産物であった。この条文が、2010年以降にグローバルな商機を追求する商業的エージェントによって見いだされたのであった。
 メキシコでは、代理出産のプロセスは断片化されている。キンターナ・ロー州のカンクンはカリブ海に面する高級リゾート地である。カンクンに滞在する外国人観光客を目当てに美容整形や歯科美容などの医療ツーリズムがかねてからさかんであった。この場所に体外受精を行うことができる施設は2カ所あり、それぞれ2011年と2012年に開業している。キンターナ・ロー州では代理出産は合法化されておらず、依頼者の受精卵の作製と代理母への移植だけが行われる。他州から代理母が連れて来られ、依頼者にとって快適な滞在が保障されるカンクンで受精卵が代理母へ移植される。その後、代理母は自宅に戻って生活をする。このため妊娠中の代理母の生活に対し、病院やエージェントの管理は行き届いていない。出産は代理出産が合法化されているタバスコ州で行われる。タバスコ州内の一般の公立病院を始めとする産科施設で行われ、必ずしも良質のケアが保障されているわけではない。代理母が出産をする公立の施設では、NICUの設備がない場合もあるだろう。また、代理出産の妊娠では、必ず帝王切開が行われる、という(もともとメキシコでは帝王切開率が非常に高いことで知られている。施術費用を稼ぐためともいわれている)。その理由は、代理母の子どもへの愛着を遮断するためとも、母子間の感染症を防ぐためとも言及された。病院で発行される分娩証明書と代理出産契約書をもってタバスコ州の裁判所で所定の手続きをすれば、依頼者の名前で出生証明書が発行される。依頼者の母国である、米国やオーストラリアでは、DNAテストを行い、依頼者と代理出産子の間に遺伝的つながりがあることが証明されれば、子どもに対しビザを発行してきた。インドでは、子どもの帰国をめぐって多数のトラブルが発生したが、エージェントも母国側に関してはさまざまな情報や知識、ノウハウを蓄積してきており、以前よりも高い確度で合法的に子どもをつれて帰ることが可能になってきているように思われた。
 メキシコでは、スペイン人依頼者の存在が顕著である。スペインでは代理出産は禁止されており、代理出産を希望するスペイン人依頼者によって、スペイン語を用いたコミュニケーションが容易なメキシコが選ばれている。その他、オーストラリア、米国、ニュージーランド、カナダなどからも依頼者がやってきている。日本人依頼者もこれまで4〜5組受け入れたとカンクンの医師は述べた。
 メキシコでは代理出産プログラムは50,000米ドルほどかかり、米国で行う場合の約二分の一の費用である。代理母が受け取るのは11,000ドルから15,000ドル、現地の卵子ドナーは1,000ドルほどである。もちろん、依頼者の好みにあわせて海外から卵子ドナーを呼び寄せることもできる。精子バンクもあり、これは、カンクンに滞在する外国人観光客が(バカンスのついでに)ドナーとなっているのだと医師は話す。
 代理出産需要が拡大するにつれて、代理母候補者はメキシコ国内だけでなく、コロンビアなど近隣諸国からもやってくるようになっていた。しかし、2013年、代理母と代理出産の依頼者をタバスコ州住民に限定するという改定案がタバスコ州の与党女性議員によって出された。改定案が発議された背景として、代理母の権利の保護や子どもの福祉が謳われているが、その具体的な施策は明らかではない。民法の改定案は、こうした表向きの理由以上に、タバスコ住民だけに課される税の徴収に絡んだ利害関係に端を発するものだとの見方も強い。また、この改定案に基づくとされる帰国トラブルが2015年5月に報道された。米国人依頼者に対し、タバスコ州裁判所が出生証明書の発行を拒んだというのである(実際には書類手続きの遅延に過ぎない可能性もある)。
 タバスコ州では代理出産が合法化されているが、代理母になる女性にとって、夫や家族の強い反対が大きなプレッシャーとなっている。スペイン人ゲイカップルの代理母となった女性(30歳)は、次のように話した。
 「当時の夫(現在は離婚)は代理出産に強く反対した。自分のことを悪い母親だと罵った。夫は、妊娠するのが彼の子どもではないので、そのことが自分をひどく傷つけたといって愚痴っていた。自分の両親も子どもに悪い影響があると言って反対した。自分はいまエージェントで代理母たちのサポートをやっていて、孤立しがちな彼女たちを勇気づけて安心させている」
 受け取った報酬については、「エージェントからは依頼者から代理母になる動機を聞かれたら人を助けたいからと答えるようにと言われているが、お金が必要だというのが本音」「借金があったのでその支払いにあてた。その金額で十分かといわれれば・・・妊娠中は食べ物も多く必要なので・・・十分とはいえないかもしれないが、借金を完済するのには十分な金額だったとはいえる」と述べた。
 代理母の困難には、ラテンアメリカ諸国に見られる男権主義マチスモの影響がある。一般に、エージェントからみて、(代理出産に反対する)夫がいない女性が代理母として望ましいと考えられている。子だくさんであることが男性としての魅力の証となり、女性の心身をコントロールすることが男としての力の誇示になるというのが、マチスモのステレオタイプである。たとえ性交渉がなくとも、妻が自分以外の子を孕むことはマチスモに反するであろう。それは「男の沽券」に関わることだと認識される。
 また、マチスモでは女性遍歴が奨励される。マチスモ的男性による女性遍歴の犠牲になった女性は、しばしば若くして妊娠出産を余儀なくされる。カトリックの影響が強いメキシコでは中絶は禁止されている。一方、避妊に関する知識は普及していない。また、男性側の責任は回避される傾向が強い。メキシコでは離婚した女性やシングルマザーの女性が非常に多い。若年での妊娠出産によって教育機会を奪われ、経済的に困窮した女性が代理母の供給源の一つとなっていると考えられる。
 タバスコ州に追随する動きは他州にも広がっている。シナロア州では2015年に代理出産が合法化され、メキシコシティでは代理出産の合法化に向けた議論が行われている。しかしメキシコの各州の動向と外国人依頼者の利害が一致していくかどうかは明らかではない。最近のタバスコ州の動きからすると、外国人依頼者は歓迎されておらず、メキシコへの代理出産ツーリズムは既に収束に向かいつつあるという見方もできる。

Acknowledgement
Ms. Marisol Morales (Babies at Home Cancun)
Dr. Rosilu Estrada (Mexican surrogacy)
Dr. Dra Mayra W. De La Garza Almeda (Galenia Hospital)
Mr. Carlos Rosillo (Mexico Surrogacy)
Fertility Clinic Tabasco
Dr. José Eligio Gaytán Melicoff(Fertility Center Cancun)
Dr. Azul Estefanía Torres Rivera(Fertility Center Cancun)
清水恵氏 (メキシコ日本語教師会)


d0170396_190961.png
d0170396_18545196.jpg
d0170396_17255615.jpg

d0170396_17293738.jpg
d0170396_17291961.jpg

d0170396_18105449.jpg

by technology0405 | 2015-05-06 18:56 | field work | Comments(0)


帝王切開の五日後、Nancyは自宅に帰るためにビヤエルモサで夜行バスに乗り込んでいた。赤ちゃんの代わりに彼女は札束の入った青いハンドバッグを大事そうに抱えそれから目を離さなかった。その現金はサンフランシスコのゲイカップルの代理母になった報酬150,000ペソ(7,000ポンド)日本円で約120万円の最後の分割払い金だった。赤ちゃんを譲り渡すために余分のお金を要求したという濡れ衣を着せられ代理出産斡旋業者から捨てられトラウマとなった1年を経て、Nancyは代理出産をすることにそれほどの価値があったのか確信できなくなった。「ただお金が欲しかっただけ。でも今はお金も全部なくなった。」24歳でメキシコシティの貧しい地域に住むNancyの話は、インドやタイにおける代理出産規制の強化を背景に、新しく南メキシコのタバスコ州が国際的な代理出産の中心として出現したことを物語っている。

メキシコにおける「代理出産の旅」が順調に運ぶ一方で、悪辣な代理出産斡旋業者によるお金や卵子の盗難、妊娠している代理母への精神的な虐待、支払いへの手抜きといった恐ろしい話がある。また多数の代理母は精神的、肉体的に代理出産に適合するかどうかの厳しい審査なしで採用されていた証拠もある。代理出産斡旋業者は疑いなく合法的なサービスを提供していると言うが、実際にはタバスコ州での代理出産は、利他的であることを要求されるため、法的なグレーゾーンで全ては行われている。
「良い代理出産斡旋業者と悪い斡旋業者がいます。」タバスコ州首都ビヤエルモサ出身で斡旋業者の経営するハウスや自宅にいる代理母達を訪問している看護師は、名前を公にしないことを条件に、代理出産斡旋業者には代理母との約束を守る業者と守らない業者がおり、代理母達がなんとか自力でやっていくことを求められていると語った。

1980年代後半よりいくつかのアメリカの州において、女性が遺伝的な関連のない赤ちゃんを妊娠することで報酬を得られる商業的代理出産が実施されていた。しかし費用の高騰100,000ドル(61,000ポンド)にともない、医療ツーリズム斡旋業者は代理出産が許可されていて、もっと安い費用で行えるいくつかの国を見つけた。何年もの間インドは代理出産ツーリズムで世界の中心であったが、代理出産の依頼主は結婚している異性同士のカップルに制限する厳しい法律が2012年末に制定され状況は一転した。

数ヶ月の間に国際的代理出産斡旋業者は、彼らの焦点を1998年以来タバスコ州民法で商業的代理出産が許可されているメキシコのタバスコ州に切り替えた。斡旋業者は最初の拠点を、タバスコ州都ビヤエルモサから450マイルのカンクンに設置した。カンクンはすでに医療ツーリズムの中心であり、リゾート地の砂浜と、太陽、海、そして今は代理出産を依頼主に約束した。斡旋業者は、赤ちゃんはタバスコ州生まれになるのでIVFがどこで行われるかは問題ではないと話した。

国際的代理出産斡旋業者は、同性愛者の市場に焦点を合わせた主にインターネットの上の広告で、ドナーのネットワーク、通常アメリカの半分以下の価格で喜んで子宮を貸す女性やクリニックの情報を提供した。斡旋業者は、ダウン症の赤ちゃん引取りを拒否したオーストラリア人カップルの事件後タイ政府が代理出産規制の強化に乗り出した結果、最近オーストラリアからおし寄せる多数の問い合わせについても報告している。

ビヤエルモサを拠点とするMexico Surrogacyを設立したCarlos Rosilloは「今この瞬間にも1ヶ月あたり10人から15人の代理出産による赤ちゃんが誕生している。でもこれが毎日10人から15人になると問題の始まりだ。我々がそれに備え準備をしてないと混乱が生じることになる。」と語った。

代理出産斡旋産業は、すでにカンクンの先駆者であり多数の依頼主から手付金を騙し取ったPlanet Hospitalの事件に対処している。カリフォルニアを基盤とするこの企業は破産を強いられ、アメリカ合衆国FBIの調査下にある。
この事件は代理母の脆弱な状況をはっきりと示している。Planet Hospital閉鎖後、妊娠中の5人の代理母と、胚や受精卵の移植を待つ女性達が残された。彼女達はその際ひどい扱いを受けたと言うが、当時Planet HospitalのマネージャーだったMarisol Garibayは、ライバル会社が彼女の立ち上げた会社の営業妨害を意図して流布したにすぎないとそれを否定している。

代理母の脆弱な状況は部分的には彼女たちの難しい法的立場に根ざしている。タバスコ州民法では代理出産が許可されており、出生証明書には代理母ではなく、契約した親の名前が記載されるが、その一方で代理出産は英国、カナダ、オーストラリアでなされるように「利他的」であるべきとも定められている。
タバスコ州における代理出産のブームは、比較的保守的な文化に育つ貧しい女性達が、代理出産にかかる費用と感謝の気持ち以外に見返りを求めず、しばしばゲイや外国人に親になるチャンスを与えたいと思う高潔な衝動に根ざしていることをも意味する。
Nancyはサンフランシスコのゲイカップルのために女の赤ちゃんの代理母になるというアイディアを気にいっていた。「いつの日か、彼女が私に興味をもって尋ねてくれるかもしれない。」
しかし大多数の女性達は、たとえそれが因習に一石を投じることとなろうと彼女達が就ける他のどの仕事よりも稼げるという約束に動機づけられて代理母となっている。
3人の子を持つシングルマザーはノウルェイ人男性の赤ちゃんを妊娠中だが、隣人や友人達からまた妊娠したことへの説教を受け家族の中での立場が危うくなっても、真実を話すつもりはないと語った。自身と斡旋業者の名前は出さないように頼みながら、赤ちゃんを売るという恥辱を振り払うことはできないが、代理母であることには満足している、月払い10,000ペソの報酬は、以前彼女がメイドとして働いていた収入の3倍にあたると、彼女はこう話した。

代理出産斡旋業者は、ウェブサイトで医療費と生活費以上の代理母への支払いを示してはいない。斡旋業者の1つNew Life Mexicoの代表は、代理母が斡旋業者から受け取る13,300ドルを報酬と呼ぶことは許されないといった。けれどもしそれを、経済的援助と呼ぶことが許されるなら、それはその言葉どおりになる、それがこの国のやり方だと語った。
Mexico SurrogacyのCarlos Rosilloは、法的に詳細な調査に耐えうる契約を発展させた形としてcontracting parentsより「寄付」をつのり、それを代理母へ「援助」の形で渡す慈善団体を立ち上げた。「代理母達は我々の最も大切な資産であり我々は彼女達の世話をしたい。」と彼は語る。けれども彼もまた、代理出産斡旋業者が代理母を保護するという彼らの約束を守ることを強制する法律がないことを認めた。
代理母は、もし妊娠中に依頼主の気持ちが変わっても自分が子供を抱えどうすることもできないことに気がつく。赤ちゃんに責任があることと同様、契約にも依頼主は責任があるが、もし彼らが市民登録所に現れなかった場合、どうするべきか、次にどうなるのかは明らかにされていない。
ある午後代理出産斡旋業者の事務所で交わされたスペイン人のカップルと彼らの代理母であるLauraのスカイプでの会話にもそのヒントはなかった。Lauraは彼らの双子がお腹をよくけるので男の子であると知っていたと話し、カップルの1人は赤ちゃんの性別はどちらでもいいと話した。「私は彼らを助け、彼らは私を助けている。母は最初はショックを受けていたけれど、いまでは理解してくれています。」とLauraは語った。

ビヤエルモサを基盤としGMSと呼ぶ代理出産斡旋業者を経営する代理出産弁護士のLeón Altamiranoは、どんなやり方であれ取引が行われたのなら契約書が存在する限り、依頼主が子供を家に連れて帰ることへの真剣さは証明されている、たとえ代理母への支払いが契約書に記載されていなくとも何も心配しなくても良いと主張する。「依頼主の最も大きな心配は、代理母が赤ちゃんを渡さないのではないかということです。取引を破りたい人は誰もいません。」
代理出産斡旋業者が代理母への支払いや世話についての大部分をコントロールしており、もしその斡旋業者と代理母との関係が悪化したら、代理母には頼るべき場所がほとんどないことになる。Claudiaは30歳で、前Planet Hospitalの代理母であり事件後Babies at Homeに移ったが、Facebookのメッセージ経由で水も電気も通じないアパートと不充分な食事を与えられている現状を訴え、助けを求めた。アメリカ、ニュージャージー州のカップルの子供を妊娠しており、そのカップルがライバルの斡旋業者にクラウディアの救助を求めBabies at Homeより彼女を救出した。
けれども過熱する代理出産産業は、そのダークサイドを直接経験する者たちでさえ、約束される報酬という申し出をあきらめたがらないという現象を起こしている。
Claudia の赤ちゃんの父親の一人、Thomas Chomkoは、彼の新生児が集中治療で苦痛の3週間を過ごし感染症から回復したのは、代理母への移植前の不十分なスクリーニングが原因なのではないかと疑っていると電話インタビューで語った。けれど彼は、自分の話がメキシコでの代理出産の潜在的な親の意欲をなくすものであってはならないといって譲らない。
母乳を止める薬物治療を受ける余裕がないため出産後4ヶ月がたっても母乳がでているNancyでさえ、二度目の代理出産挑戦を考えている。「今ならどうすべきだったかがわかる。」彼女が物事にちゃんと準備して対応することで落とし穴にはまることを避けられるだろうと説明した。「これ以外に娘をこの貧しい地域から出す他のどの方法も考えられないから。」


Surrogacy boom in Mexico brings tales of missing money and stolen eggs
[The Guardian September 25 2014 ]
by technology0405 | 2015-03-31 08:47 | Countries | Comments(0)

メキシコの代理出産

メキシコには、基本的に生殖医療に関する法律はなく、唯一タバスコ州民法において代理出産が法制化されている。タバスコ州民法92項により、依頼親は代理母が受胎した瞬間から法的に親であるとみなされる。提供卵子や提供精子を使用した場合でも依頼者の正式な子どもとなる。依頼者は、正式な手続きをふめば、子どもの出生証明書に親として記載される。タイやインドでの代理出産への厳しい規制を背景に、メキシコは代理出産を望む個人にとって最も好ましい国のひとつとなっており、斡旋業者からも熱い注目を浴びている。
不妊治療クリニックでは英語の話せる医師や看護師、スカイプでの相談などきめ細かな対応がなされており、カナダ、イギリスその他の国では禁止されている子どもの性別の選択も提供されている。外国人依頼者を受け入れる不妊治療クリニックは、この数年で急速な成長を遂げている。斡旋業者もまた同様に経済的成功の恩恵を受けている。メキシコの生殖医療は、アメリカ合衆国やカナダ、ヨーロッパなどから来る外国人依頼者にとって、安価で高度な治療を受けられ、卵子ドナーの入手が容易で、白い砂浜のリゾートに滞在する旅ができるとして、キプロス、インド、トルコ、南アフリカに代わり人気となっている。アメリカ合衆国の約半分の金額で女性が子宮を貸してくれる。代理出産は実入りのよい仕事であり、代理母にとっては、妊娠一件につき最低賃金5年間に相当する金額となる。斡旋業者は最高品質の宿泊設備と医療を外国人依頼者に提供している。
しかし代理出産ツーリズムの人気の裏で、明確な法的ガイドラインの欠如は確実な卵子提供プログラムの実行やドナーの健康を守ることを困難にしていると、臨床医兼クリニック経営者は語る。「もし法律があれば我々はドナーの登録ができ、どこで卵子もしくは精子が提供されているか知ることもできるが、現状では追跡が難しい。」
 また代理出産は法的、倫理的にも論議を呼んでおり、代理出産業界内部でも討論がなされている。プラネットホスピタルは、伝えられるところによると、40人以上の依頼親を騙したとして、アメリカ合衆国FBIによる調査下におかれ、現在メキシコでの営業を停止している。それ以外にもグレーな法規制のもと、斡旋業者による代理母への報酬未払いや、卵子の盗難、代理母に精神疾患があるなど恐ろしい話も水面下では伝わっている。タバスコ民法ではgestational surrogacyが許可されており、出生証明書には代理母ではなく、契約した親の名前が記載されるが、その一方で代理出産は「利他的」であるべきとも定められている。代理母を守る法規制もなされておらず、このようなグレーな法規制のもとで、実際には明確に定められていない部分に関しては、代理母に犠牲を強いることもあると斡旋業者は語る。
「斡旋業者には良い業者と悪い業者が存在する。」とタバスコの看護師は言うが、代理母にとってそれを見分けるのは容易ではない。劣悪な環境や、不十分な食事のもとでの妊婦生活や、代理出産を望んだカップルの気が変わった場合、明確な法的規制がないために、赤ちゃんを引き取らなければならなくなるケースもあり、代理母の人権は守られないこともある。「それでも売春婦になるよりはいいから。」と、代理母を希望する女性は後を絶たない。タバスコやその近辺では、高い貧困率と雇用機会の少なさのため代理出産は地元の女性達にとって魅力的な選択肢となっており、需要は伸びている。
ステークホルダー達は、メキシコの重要な経済新興策として、慎重に規制化された代理出産産業の成立と、代理出産の啓発の機会を提供することを目指しているが、この見通しは実現していない。楽観主義者は代理出産がすぐにカンクンで法制化されると確信している。その他、新しい法律の草案に対し、タバスコでのゲイ代理出産を規制する取り組みを行うグループもあり、法律が通過すればカトリック教会の権威に対する挑戦であると見なす人々もいる。
 このような背景があろうとも、メキシコにおける代理出産ビジネスの加熱はとどまる事がない。今後ますます斡旋業者は増加し、クリニックは外国人による代理出産の依頼の増加を目指し、代理出産産業はブームになっていくのは間違いないだろう。

CEFAM

Surrogacy boom in Mexico brings tales of missing money and stolen eggs
[The guardian
Surrogacy Beyond Borders

CARE Surrogacy Center Mexico
[you tube 動画]

Reproductive tourism booms on Mexico’s Mayan Riviera
[ International Medical Travel Journal 2014]



by technology0405 | 2015-01-14 17:12 | Countries | Comments(0)

インド人代理母を雇い子供を持つカップルが年間数千人いることから、インドは世界の「Surrogacy Capital」と呼ばれてきた。しかし、インドの新規制によって、このトップの座が覆るかもしれない。この変化をビジネスチャンスとして捉えた、自称「メディカルツーリズムのポータルサイト」Planet Hospitalが、先月プレスリリースとして出したタイトルは「So long Surrogacy in India, Hello Surrogacy in Mexico and Thailand(さようならインドの代理出産、こんにちはメキシコとタイの代理出産)」だった。

インドの新規制によって、同性カップル、非婚カップル、シングルの代理出産は禁止となった。顧客のかなりの割合を占めていたこうした人々は、今や、選択肢を見直す必要に迫られている。これを「メディカルツーリズム」新市場開拓の好機と捉え、PlanetHospitalは、メキシコやタイで同性愛者の代理出産を提供すると発表した。創始者でありCEOでもあるRudy Rupak氏は、誇らしげにこう述べている。

私はメディカルツーリズムを契機に、インドでの代理出産、ゲイのインド代理出産、パナマでの代理出産、エイズ患者のための代理出産、世界規模の臓器移植、マイクロ保険 (新興国や開発途上国の貧困層向けに提供される少額の保険)、その他ありとあらゆることに関して草分けであり続けてきた。
インド代理出産がダメになった今、今度はメキシコとタイの代理出産の道を開いてゆく。


渡航代理出産に関しては、多くの人々が、裕福な人間のために貧しい女性の体が搾取されていることについて倫理的な良心の呵責を口にしてきた。とはいえ、ヨーロッパ諸国、オーストラリア、カナダなどの人間は自国の法的な障害を理由に、また多くのアメリカ人は金の節約のために、インド代理出産を利用している。インドの魅力は、依頼親にとって「法的な煩わしさ」が最小限に抑えられている点だ。同時に、代理母が虐待を受けたり死亡したりといった、多くの問題も抱えている。

しかし、Rupak氏がインド代理出産の「破綻」と呼ぶのは、搾取の問題ではない。ゲイ、シングル、非婚カップルの代理出産を禁止する新規制のことである。この規制は差別的ではあるが、代理母の不利益を最小限に抑えることを目的としている。

メキシコとタイが新たな代理出産のフロンティアとなる場合、どうなるのか。代理母や生まれてくる子供、その子供を育てる親に対する適切な保護策はあるのだろうか。それとも、何でもありの新たなワイルド・ウェストになるのだろうか。

PlanetHospitalの告知は、こうした懸念に一切触れていない。Rupak氏の書いた内容は、世界中から顧客を惹きつけるためのプランに終始する。「我々の顧客は、オーストラリア人やアジア人ならタイに、アメリカ人やカナダ人ならメキシコに行くことになるだろう。」

メキシコがインドに勝るもう一つの理由としてRupak氏は「子供の性別が事前に分かる(ので、もう子供部屋を黄色に塗らなくてもよい)」ことを挙げ、さらに「メキシコの卵子ドナーは白人が多く、外見も西洋人好み」と続く。

自身を「中立の」「案内役」といいながら、PlanetHospitalは、追加料金さえ払えばあらゆる要望に応えてくれる。男の子がご希望ですか?それなら「6千ドルのPGDでほぼ間違いなく男の子かどうか分かります」。卵子ドナーに特別な女性を?ならば「卵子ドナーは通常5千ドルですが、特別な希望がある場合は料金が上がります」。

PlanetHospitalのマーケティング文法は、性選択や形質選択の議論を全く気にしていない。しかもRupak氏は、自分の軽率な発言が引き起こした負のフィードバックに心底困惑しているようだ。しかし結局のところ、人権保護のための法律をいかに避けて通るか、ということにそのビジネスモデルを置く会社の創始者にあっては、驚くことではないのかもしれない。

PlanetHospitalは代理出産を靴の買い物に例えるが、商業的代理出産はそんな単純で無害な商取引ではない。渡航代理出産を望む人々に案内役的なサービスを提供するということは、地球規模市場で女性の体を交換可能な商品として扱うことに伴う懸念や問題、リスクを外に丸投げしているのと同じである。

多くの国で商業的代理出産が禁止されているのは、女性を搾取し身体を商品化する可能性があるからだ。仲介業者は、依頼親の要望と都合を最優先しながら、困難な状況にある弱い立場の女性を代理母に誘うことが多い。合法にする場合、くれぐれも、倫理的、社会的、潜在的問題を見過ごすことのないようにすべきである。

So long Surrogacy in India, Hello Surrogacy in Mexico and Thailand
[PLANET HOSPITAL, February 4, 2013]

Shifts in the Global Body Market: Access or Exploitation?
Jessica Cussins
[Biopolitical Times, April 1st, 2013]

Concern as Australians turn to Thailand for surrogates
By Kerri Ritchie
[ABC NEWS, Apr 13, 2013]

Surrogacy Abroad Inc. Launches its Service in Thailand
[PRWEB, April 07, 2013]
インド代理出産を仲介してきたSurrogacy Abroad Inc.が、タイに参入

※ これは、記事の内容を紹介したものであり、書かれている情報の信ぴょう性は各自でご判断ください。

Copyright(C) 2011 SGRH. All Rights Reserved.
by technology0405 | 2013-04-10 11:53 | Countries | Comments(0)

メキシコシティの議会で、代理懐胎を合法化する条例が承認された。メキシコ国内でこのような条例が出されるのは初めて。メキシコには、他の多くのラテン諸国と同様、代理出産を規制する国家法はない。

認められるのは利他的代理出産のみ。胚移植から出産までの費用はすべて依頼者が負担する。代理母の気が変わり子供を手放さなかった場合には、依頼者は、代理母の民事責任にとどまらず刑事責任を問うことも可能。

この法律により、代理出産は市の保健機関の監督の下で行われることになる。胎児に障害が見つかった場合、中絶は依頼者の判断にゆだねられる。ただし、代理母の生命が危険にさらされる場合には、代理母が決定することができる。

依頼できるのは不妊と診断されたカップルのみ。代理母には依頼者の親族が望ましい(親族でなくてもよい)。代理母になれるのは2回まで。

メキシコには約150万の不妊カップルがおり、法律が彼らの助けになるだろうと、この法律の制定に関わった女性下院議員Marisela Contrerasは語った。

生殖補助医療に関わるメキシコの国家法としては『General Health Law:Regulation on Scientific Research』があり、生殖補助医療は不妊の問題を解決するためにのみ使用されるべき、と規定されている。PGDに関しては明記されておらず、現在、重篤な遺伝子疾患の診断以外のPGDの使用を禁止する方向で議論がなされている。

Surrogate pregnancy legally recognized in Mexico City
[Fox News Latino December 01, 2010]

Mexico City passes law to allow surrogate mothers
[Fox News Latino November 30, 2010]

Regulation of the General Health Law on Scientific Research (January 1987).  (in Spanish)


Copyright(C) 2011 SGRH. All Rights Reserved.
by technology0405 | 2011-04-15 16:12 | Countries | Comments(0)
各国のARTに関する資料や記事を集めています (※ このブログに書かれている情報の信ぴょう性は各自でご判断ください)