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調査時期:2018年1月

 ベトナムでは2003年の法令で、代理出産は全て禁止の扱いとなっていたが、水面下では不妊カップルの実需に答える形で代理出産の斡旋が行われ、実施されていた。
 一方、2015年から改正婚姻家族法により、人道的目的で行われる代理出産が合法化された。改正婚姻家族法のもとで行われる利他的代理出産は次のような条件が課されている。

・代理母は夫か妻の同一世代の親族から
・代理母は出産経験があること
・代理母に夫がいる場合は夫の同意が必要
・依頼者が子の正式な父母となる

 法施行後は、ホーチミン市のトゥズー病院、ハノイ市のハノイ産科医院、フエのフエ中央病院の三箇所で代理出産の申請を受け付けることになった。2016年1月には、ハノイ市で初めての代理出産子が誕生するなど順調に成果を上げていることが報道されている。今後は実施できる病院がさらに増加する見込みである。

 トゥーズー病院のDr. Chau氏によれば、代理出産の希望者はまず申請書を病院に提出する。多数の書類が必要であり、その中には、依頼者と代理母の関係が親族であることを証する書類も含まれる。申請書は院内で審査を行い、審査期間は約1ヶ月ほどてある。産婦人科だけでなく、小児科医なども関わる。2018年1月の時点では、トゥーズー病院だけでこれまで100件の認可が下りたという。

 以上の聞き取り内容からすると、代理母は親族に限定されているものの、実施数はある程度の規模に達していることがわかる。

 一方、関係者に詳しく聞くと、別の姿が見えてくる。代理出産が合法化される前から代理出産の斡旋に携わっていたブローカー女性は、次のように述べる。

「代理出産が合法化されてから、前よりももっと仕事がやりやすくなって、依頼も増えている。書類の偽造は簡単で、バレても摘発されない」
 
さらに、児童福祉が専門の研究者は次のように述べた。
「やはり都会では、親族から代理母を見つけることは難しい。政府は成功していると宣伝しているが、実際にはほとんどのケースで親族以外から代理母を得ていると疑われる」

 ベトナムでは、家族は違いに助け合わなければならないという考え方はが強い。ベトナムで親族間の代理出産が合法化された背景にはそうした価値観がある。しかしそれでも、都会では人々の考え方がより個人主義的となり、代理母を親族から探すのは難しい状況になってきている。その結果として、従前のビジネス代理出産に頼らざるをえないという構図になっている。このように、ベトナムでは法施行後も制度と実態の乖離は解消されていない。とはいえ、今回の法改正の意義は、小さな窓を開けたということであって、今後、国内での実施の実績を積み、大きなトラブルがなければ、親族の範囲を拡大するか、知人や友人などからの代理母も認めるなど、間口を広げるという方策も残されてはいる。


Acknowledgements:
Dr. Nguen Thi Ngoc Phoung, M.D., My Duc Hospital
Dr. Le Thi Minh Chau, M.D., Tu Du Hospital
Dr. Le Minh Tien, Ho Chi Minh Open University
Dr. HoangThi Diem Tuet, M.D,, Hung Vuong Hospital
Ms. L.S. Truong Thi Hoa, Ho Chi Minh Bar Association
Mr. Ju Attawet, PhD candidate UTS


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by technology0405 | 2018-03-24 12:54 | field work | Comments(0)

人道的代理出産の行方

ベトナムでは2015年1月から親族間の利他的代理出産が合法化された。3月から施行され、ハノイ産科病院、フエ中央産科病院、トゥズー産科病院の国内三カ所の病院で実施されている。国内では代理出産への旺盛な需要を背景に、水面下で商業的代理出産が行われてきたことは政府当局も把握してきたが、違法代理出産をなくし、政府の監視のもとで実施することが可能になる。
 法施行以前からハノイで代理出産ビジネスを実施していた仲介業者Hさんは次のように述べた。「合法化されてからビジネスがやりやすくなった。米国在住のベトナム人が依頼してきている。ベトナムで合法化されたという噂を聞いてやって来たようだ」。ベトナムで合法化されたのは三親等以内の親族による非商業的代理出産だが、細かな条件については国民の間でほとんど知られていない。
 3月以降、代理出産の希望者からの申請書が出されている。ハノイ産科病院の医師によれば、合法以降、約40件の申請がなされており、既に約20件を実施した。その結果、10〜12人が妊娠に成功したという。医師は、親戚だけしか代理母になれないのは狭すぎると考えているという。このため、「依頼者と代理母が3親等以内の親戚にあたるかどうか、書類で確認するだけ。書類が整っていたらこちらとしては受付をする。ベトナムでは子どもはどうしても必要なので」と暗に非親族でもかまわないと匂わせる発言をした。仲介業者のHさんによれば、「合法化されてから依頼者は増えており、親族だという書類を偽造して病院に提出している」という。ベトナムで代理出産は子どもができない夫婦にとって必要な手段だと認められているが、親族内で協力者を見つけられる人々はごく僅かであり、多くの人々が、合法化以前から存在するビジネスルートに頼っているのが現状であるようだ。そして、合法化されたという政府のお墨付きによって、希望者は以前にも増して増えている。先述の医師は、親族間代理出産と非親族間代理出産を厳格に区別するそぶりが見られなかった。
 ホーチミン市のトゥズー産科病院では、体外受精は年間3,500サイクルほど実施されている。IUIは年間3,000サイクルだという。また、卵子提供は年間800サイクル行われている。卵子提供は体外受精の2割強を占めており、卵子提供は親族でも非親族でも、患者が自分でドナーを連れてくれば実施可能で、簡単に行われている。患者とドナーの間で金銭のやりとりが交わされていたとしても病院は関知しない。トゥズー病院でも、3月から代理出産の受付を開始しており、20-30件ほどの申請があったという。そのうち、書類で適格と審査されたのは7件のみで、1例が現在妊娠中だという。申請が多い理由は、「代理出産ができる条件について、国民がよくわかっていない。非親族なのに応募してくることもある」からだと医師は指摘した。
 ベトナム国内で代理出産ビジネスが国民の目にとまり始めたのは2010年頃からではないかと、Than Nien紙の新聞記者Aさんはいう。以来Aさんは代理出産の取材をしているが、「2015年にベトナムで人道的代理出産が合法化されたのには正直驚いている。女性は自分で産むことが大事で、母と子どもの結びつきは特別なものと考えられているので」。だが、代理出産の取材をしてきたAさんですら、「代理母になる女性は、お金目的がほとんど。子どもとの関係を深く考える女性はいないと思う。依頼者も、自分で生めるのに生みたくないという女性もいる。代理出産で生まれてきた子どもに対しては、何か普通の子どもではないように感じられる」と、代理出産の依頼者、代理母、子どもに対する偏見も覗かせた。「国民はまだ代理出産についてよく理解していない」。たとえ政府が人道的代理出産を合法化しても、ほとんど意味がなく、ビジネスで行われる代理出産がなくなることはないと考えている。「親族という近い関係でも代理母を依頼するのはやはり難しい。協力すると返事をしても実際にはやらないかもしれない。お金を払って知らない人にやってもらうのが一番簡単だと思う」とAさんはその理由を述べた。
 ホーチミン市で仲介業者をやるTさんは、「1月以降、7人の代理母が妊娠に成功している。最近はタイでも厳しくなったようで、タイで受精卵を作ってそれをカンボジアに輸送し、カンボジアで代理母に移植するということもやっている。タイでも親戚同士だと書類を偽造すればできる」という。非親族の代理出産は違法だと知っているが、「もし公安にバレても、親戚ではどうしても見つけることができなかった、と言い訳をすれば許してくれると思う」と自説を述べた。Tさんが言うとおりになるかどうかはわからないが、ベトナムでは、子どもがいない夫婦は社会からの同情を得ることが容易である。それと同時に、依頼者は富裕な人々であり、「お金持ちであれば法律は関係ない。お金持ちには依頼する権利がある」と拝金主義的な考え方も伺われた。
 一方、子どもが欲しい夫婦への子どもの売買も、依然として行われている。「9ヶ月の子どもがいる女性。男性に捨てられた。自分の仕事もしなければならず、子どもが負担だから、子どもを売りたいと言っている」「もし代理母を雇えば、9ヶ月間やきもきして、ずっと苦労する。それに、必ずできるとは限らない。それよりも、もうできた子どもをもらえば一番早いし、一番安全な方法だ」と仲介する男性はそのメリットを強調した。
 ホーチミン在住で妊娠初期の双子を孕んでいる代理母は、子どもを売る女性に対し「子どもを売る母親のことを自分は理解できない。どうして自分の子どもなのに売るのか。代理出産は違う。自分の子どもではないから。依頼者に渡しても仕方がない。代理出産の目的は経済的なことなので。子どもの売買とは全然違うことだと思う」と、代理出産を正当化するための自説を述べた。
 ベトナムで親族間の代理出産が合法化されてまだ間がない。国民に代理出産が合法化されたことは知られていても、代理出産が許可される条件については知られていない。親族かそうでないかの確認は書類を通じてなされ、書類の偽造は容易であり、不妊者への同情心から故意に見逃されている。親族間の代理出産が限定的に合法化されただけだが、実際にはあらゆる形態の代理出産が是認されつつあるようだ。とはいえ政府もそのような動きは把握しており、保健省の職員は、「商業化しないよう、依頼者と代理母が三親等かどうか慎重に確認する必要があると思っている」と述べた。代理母は親族か非親族か、お金が絡むのか、絡まないのか、線引きは限りなく曖昧化されてきている。そこに、政府が介入し、手綱を締める用意はある。だがむしろ、ベトナム政府の意図として、親族間での代理出産合法化において最も重要な線引きは、外国人による代理出産の利用を排除することであるという見方もできる。そうであるなら、現在の規制は十分機能しているといえるだろう。

ポスト・タイの代理出産の受け入れ先

 カンボジアでは2014年9月に初の体外受精クリニック(Fertility Clinic of Cambodia)が設立された。これまで200サイクルほどが実施されたという。6月に初めての体外受精児が誕生している。また先述のように隣国ベトナムとの行き来も盛んである。これまで、カンボジアの富裕層は隣国ベトナムやタイ、シンガポールなどで体外受精を受けることを余儀なくされていたが、国内で治療を受けられる環境が整ったことになる。カンボジアでは生殖補助医療や代理出産に関する法律はない。代理出産の規制強化がなされたタイから凍結受精卵が送付され、タイ人代理母に移植することも行われているようである。また、このクリニックではゲイカップルでも代理出産を依頼できるという。代理母のリクルートや管理は、ジョージアに本部があるエージェントが行っている。
 代理出産以外にも、産科病院では、子どもを生んでも育てられない女性から乳児を貰い受けることは容易である。中絶は妊娠12週までしか認められていない(それ以降は闇中絶に頼ることになる)。出生証明書を養親の名前に書き換えることや養子縁組も可能である。国際養子縁組は合法化されている。さらには、代理出産に類似した別の方法もある。子どもが欲しい依頼者がカンボジア女性との間に子どもを作り、いったん結婚した後は離婚し、子どもだけを母国に連れて帰るのだという。そのようにすれば、「自分の子ども」を合法的に手に入れることができる。このような方法が以前は行われていたという。体外受精が普及すれば別の方法にとって代わられる可能性もある。カンボジアでは、代理出産に関する法律がないため、代理母が母親になる。出産後、依頼者は子どもを母国に連れてかえるため、何らかの法的手段を採る必要がある。
 カンボジアでは体外受精技術が導入されたばかりであるが、既に、世界的に行き場を失いつつある生殖ツーリズムのホスト国の一つとして、ありあまる代理出産需要を満たすための拠点の一つとなりつつあることが伺えた。一方、カンボジアでは人身売買などに関して人権団体の発言力も少なくないため、これらの団体が代理出産に対し、どのような見解を示すかが注目される。海外から利用する動きが活発化すれば、規制導入に向けた動きが取られる可能性もある。


Acknowledgements
Reproductive Health Association of Cambodia
Ms. Seng Theany, Patient coordinator, Fertility Clinic of Cambodia
Than Nien紙
Prof. Nguyen Van Cu, Hanoi Law University
Dr.Le Thi Minh Chau, Tu Du Obstertic Hospital.
Dr. Ho Sy Hung, Hanoi Obstetric Hospital.
Dr. Nguyen Huy Quang, Ministry of Health, Vietnam
Dr. Nguyen Viet Tien, Ministry of Health, Vietnam



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ハノイ産科病院

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ハノイ産科病院

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Ngoc Lan 病院 (ホーチミン)

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Fertility Clinic of Cambodia

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Fertility Clinic of Cambodia

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助産院(プノンペン市内)

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市場(ハノイ)

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漬け物(ハノイ)
by technology0405 | 2015-08-30 21:27 | field work | Comments(0)

ベトナムの婚姻家族法が改正され、親族間の代理出産が合法化される見通しとなった。2015年1月1日から施行される。
 
ベトナムでは妊娠出産するという女性の働きが非常に重視されている。たとえば、雇用される男女では、女性の方が定年が早く年金をもらえる年齢も若い。妊娠出産する女性に敬意を表するという考え方が背景にはある。妊娠中の母体と胎児は、血液を通して栄養や排泄物のやりとりをすることで、母子の間には排他的な絆が形成されるものと考えられている。このような血縁概念のもとで、卵子提供あるいは代理出産といった技術はどのように受容され、また、これらの技術により従来の血縁概念はどのような変容を被りつつあるのだろうか。

上述のように、ベトナムでは生物学的・生理学的プロセスを通した母子のつながりが重視されてきた一方で、遺伝子やDNAに関する知識は庶民層にはほとんど理解されていない。このため、卵子提供に際し、卵子ドナーの役割や貢献は、実際よりも低く見積もられている。例えば、卵子ドナーは生まれてくる子どもに対し、2-3%の関与にすぎないと医師から教えられたと語る卵子ドナーもいた。他方、レシピエントの女性たちは、卵子提供を受けても子どもは妊娠出産した自分に「似る」と理解していた。また、そのように医師から教えられたというレシピエントの女性もいた。これらは、卵子提供をドナー・レシピエントの双方にとって受け入れやすくするための説明であると考えられ、ベトナムの血縁概念と親和性がある。
 
有償で卵子ドナーや代理母を斡旋する仲介業を営む女性は、次のような興味深い‘民俗生殖理論’を語ってくれた。「子どもへの貢献度は、夫の精子が70%、妊娠出産した女性が20%、卵子ドナーが10%」ここには、血縁に対する男性優位な考え方と、遺伝的つながりよりも生物学的なつながりが優位である考えが読み取れる。

他方、こうした血縁概念を前提としたとき、妊娠出産した女性が依頼者へ子どもを引き渡すというプロセスを含む代理出産はどのように理解されうるだろうか。元卵子ドナーに聞いた。「依頼者の妻の卵子を使って代理出産をした場合でも、自分が妊娠出産したのだから、子どもは渡さない。」

さらに、経済的困窮のため、代理母になりたいという女性に遺伝的繋がりと生物学的つながりについて聞いた。すると、彼女は「代理出産は、自分の卵子でも他人の卵子でもいいが、やったことがないのでその違いがよくわからない」といい、その後、「子どもと別れるのは悲しい」と子どもを依頼者に渡す場面を想像して泣き出す場面が見られた。遺伝的つながりの意味は理解されておらず、また、妊娠出産が女性と子どもを分ちがたく結びつけるという考え方が明瞭に伺えた。

このような血縁概念のもとで代理出産を行う場合、代理母と依頼者妻の間の感情的負荷や緊張は高くなるのではないかと推測される。ベトナムでは簡便で安価な人工授精型の代理出産もかなりの数が行われているが、遺伝的つながりに対する認知が進めば、こうした実践にどのような変容がもたらされうるか、興味深い。

ベトナムで親族間の代理出産が合法化されようとしている背景には、不妊に対するスティグマが極めて強いことがあげられる。不妊へのスティグマは、産む女性への崇敬と表裏一体のものである。不妊カップルは、ベトナム社会で居場所を見つけることが難しい。こうした不妊カップルを救済するという目的があるだろう。

ベトナムで親族間の代理出産が合法化されるとき、いくつかの問題が懸念される。一つは、母子間の生物学的つながりを重視する血縁概念によって、依頼女性と代理母の間に強い葛藤が生じる可能性があることである。たとえ依頼女性の卵子を使用していたとしても、依頼母は、自分で産んでいないことに対し、子どもとの絆を感じることができず、また後ろめたさを感じるかもしれない。他方、代理母も子どもを手放すことによって、生涯、消し去ることができない罪悪感を覚えることになるかもしれない。

だが、ベトナムでは親族間の助け合いの精神が発達していることから、代理母候補者を親族から調達することが容易であるというメリットがある。したがって、親族間の利他精神によってこうした葛藤は乗り越えられていく可能性もある。他面、代理母が親族間に限定されていることによって、自由な意思決定が阻害される懸念もある。今後、社会や個人の意識が変容していけば、親族間に代理出産を押し付けるような行為は、当事者によって抑圧と感じられる事態も生じうる。

ベトナム政府の規定では、依頼者の精子と卵子を使用することとされており、代理母と子どもとの遺伝的つながりが切断されているなど、一定の配慮がなされている。現時点ではその意味は代理母に十分に理解されるかどうか心もとないが、今後、遺伝的知識が普及していけば、依頼者と代理母に生じうる葛藤が緩和される可能性がある。

遺伝的「母」と生物学的「母」の分離は、従来の血縁概念と様々な矛盾や葛藤を孕む事が予想されるが、親族間の利他精神の発動によって、そうした問題が乗り越えられていくことになるのかどうか、興味深い。


ライチの収穫
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by technology0405 | 2014-06-27 10:28 | Countries | Comments(0)

2014年6月19日、ベトナム婚姻家族法の改正が決議された。

2015年1月1日から改正法が施行されることになる。

親族間での代理出産が容認されることになる。議会では、代理出産について未知のリスクが懸念されたものの、60%近くの賛成票を得た。

依頼者は下記の条件を満たすことが求められる。
・妻が不妊であることの医療機関の証明書
・子どもがいない婚姻夫婦のみ
・法律、心理、医療についてカウンセリングを受けること

代理母は下記の条件を満たすことが求められる。
・夫または妻の親族のみ
・出産経験があること
・代理母になれるのは1回のみ
・適切な年齢
・代理出産が可能であることの関係機関の証明書
・代理母が結婚している場合、夫の同意書

費用については、妊娠出産に掛かる費用など、必要な経費を依頼者が支払うことが求められる。

同性婚についても協議されたが、これまでの「禁止」を緩め「認めない」と改められた。

Được phép mang thai hộ từ 2015
by technology0405 | 2014-06-19 08:57 | Countries | Comments(0)

中国当局「ベトナムお見合いツアー」を捜査 詐欺・人身売買の疑い、背景に深刻な花嫁不足
2013.11.18 産経ニュースより抜粋
【上海=河崎真澄】ベトナムで花嫁を探す「お見合いツアー」の募集サイトに詐欺や人身売買の疑いがあるとして、中国公安当局が捜査に乗り出した。
 地元紙によると、ベトナムで集団お見合いをした中国人男性が花嫁の候補を選んで多額の紹介料を払ったとたん、女性が逃げるなどの被害が出ている。紹介業者は「女性に暴力を振るった」として返金を拒んだという。ベトナム人女性を金銭で取引したケースも疑われている。
 抽選で旅費を無料にすると宣伝した花嫁探しツアーのサイトには、11月の募集で数時間に4千人以上の男性が殺到。中国では30代の未婚者が男性約1200万人に対し、女性は約580万人との調査もあり、深刻な花嫁不足が背景にありそうだ。
 一人っ子政策が続いた中国で男の跡継ぎがほしい両親が、妊娠中に女の子と判明すると中絶するケースもあり、昨年の新生児は女の子100人に対し男の子は118人。結婚の条件として、高収入の職業やマンション、乗用車を男性側に突きつける傾向も強い。
 お見合いツアーの宣伝には、「ぜいたくな要求をしないベトナム花嫁を探しに行こう」との文句もあった。

その他ベトナム人身売買関連記事
Trafficking in Persons Report 2013
[Embassy of the United States of America in Vietnam 2013/12/30]
在ハノイアメリカ大使館の報告

Human traffickers jailed for 80 years
[Viet Nam News, December, 24 2013]

中国:73万円で手に入れたベトナム人妻を売る、湖南省男性に有罪判決
[newsclip.be 2013年12月24日]

Girl smuggled into Britain to have her 'organs harvested'
By Steven Swinford
[The Telegragh, 18 Oct 2013]
臓器売買目的でソマリア人少女がイギリスに売られた事件が発覚。イギリスで人身売買の対象になった371人の子供のうち、95人がベトナムから、67人がナイジェリアから、25人が中国から連れてこられた子供だった。その他ルーマニア、バングラディシュなど。

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by technology0405 | 2014-01-06 14:44 | Countries | Comments(0)

Biomedical infertility care in poor resource countries: barriers, access and ethics
表紙
目次
編者: T Gerrits, W Ombelet, F van Balen, S Vanderpoel
Social Science Study Group of the ESHRE Special Task Force “Developing countries and infertility” in cooperation with the Walking Egg npo, the University of Amsterdam and the WHO

序論要約
Biomedical infertility care in low resource countries: Barriers and Access
T. Gerrits
FVV in ObGyn, 2012, Monograph: 1-6

このモノグラフに収められた論文はどれも、低資源国における不妊治療が多くの障害に直面していることを指摘している。同時に、アクセスやケアの障害を(部分的に)克服した仕組みについても知ることができる。エジプト、トルコ、イラン、ベトナムの例は、政府が、出生率を下げるための家族計画を進め人口増加を抑える一方で、不妊ケアにも意識を向け始めるプロセスを示す。こうした各国の例は、人口統計学者オディール・フランク (1983)の予言を証明している。「男も女も、不妊に対する懸念や不安を真剣に取り合ってもらえるとわかれば、もっと避妊しようという気になるだろう。」また、ロビー活動や不妊ケア擁護運動において中心になる人物や機関の存在が非常に重要であることもわかる。

経済的障害は、関係者全て――政府、(民間の)治療提供者、顧客――にとって大きな困難であり続けている。何人かの著者が指摘しているように、予防から治療まで含めた不妊治療サービスの入手、アクセス、費用をもっと利用しやすくするための革新的対処法が求められる。本モノグラムに寄せられた論文は、以下の問題を含む革新的なアプローチについて我々が創造的に考えるための刺激になるだろう。1) 新しいタイプのパートナーシップの開発(官民連携、国際間協力、治療の一部を外注するなど)、2) 既存の保険制度の拡大、保健融資の代替方法の探求、3) ESHREのタスクフォースが注目している、低価格かつ簡便なART治療の開発(1日で終わる診察など)

不妊治療およびARTの規制や提供に関わる政治家、法律家、臨床医は、法的・倫理的・心理的な疑問やジレンマ――文化的・宗教的コンテキストに起因することが多い――に直面する。これらの疑問やジレンマについては、性差別や他の不平等を避けるためにも熟慮しなくてはならない。特にHIV/AIDSが蔓延する地域では、不妊治療を必要とする人々の間に、そうした不平等が存在している。  

生殖権という観点でバイオメディカルな不妊治療に集中しても、不妊の男女が置かれている現状の解決には至らない。たとえARTが広く利用可能になったとしても、従来の価値観において妊娠出産の持つ文化的・宗教的重要性を考えると、子供のいない人々が直面する問題に終わりは来ないだろう。バイオメディカルな不妊治療の発達は、不妊の人間に対する冷遇とスティグマ化の問題には対処できない(それどころか悪化させる可能性がある)。これは2011年のヘンク専門家会議において大いに議論されたテーマである。バイオメディカルな不妊治療へのアクセスの拡大と同時に、不妊によるスティグマ化と苦痛の軽減策が必要である。また、生体医学的知識の社会的啓蒙――例えば、男性不妊と女性不妊は同程度に起こりうるという事実を知らせるなど――も必須である。

さらに、夫婦間、家族間、コミュニティレベルで不妊女性が置かれる地位の脆弱性に対処する方法を探す必要がある。成功した不妊女性によるマスメディアへの「カミングアウト」は、そうした方法の一つであろう。この分野に関しては、例えばインド人の子供のいない高齢女性たちの人生が常に悲劇的であるとは限らないとか、ガーナ人の高学歴女性は低学歴女性に比べてスティグマを感じにくいなどの事実を示す研究から得られる洞察に期待できる。経験、見方、医療が絶え間なく変化するグローバル化社会では、不妊女性のライフコースもまた静止したままではなく、時間と共に変化する。これは、今後の研究における重要なテーマの一つである。また、それぞれの低資源国のコンテキストにおいて、不妊治療へのアクセスの障害を見出すこと、アクセス的にも費用的にも妥当な不妊治療を供給・利用できるように、整備、評価、追跡調査することも進められている。長らく無視されてきたリプロダクティブ・ヘルスとしての不妊に、向き合うときが来ている。

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by technology0405 | 2013-12-27 16:35 | Countries | Comments(0)

The economic impact of infertility on women in developing countries – a systematic review
S. J. Dyer, M. patel
FVV in ObGyn, 2012, MOnOGraph: 38-45

良質のヘルス・ケアを提供すること、医療費による貧困化を防ぐこと、これは医療制度の責務である。
発展途上国の不妊治療においては、良質なケアが提供されないことが多く、また治療費はたいてい患者もちである。社会的因果関係がさらなる経済的困難を引き起こす可能性もある。不妊および不妊治療がもつ経済的意味づけに対し、体系的な調査はこれまでなされてこなかった。

本論文では、不妊治療における患者の自己負担額(out-of-pocket payment: OoPP)と、不妊によるその他の経済的影響についてのオリジナル・データを含む発展途上国の英語論文を検討している(MEDLINE検索)。

検討された論文は21本。国はマラウイ、ルワンダ、カメルーン、モザンビーク、ナイジェリア、ボツワナ、ジンバブエ、セネガル、ガンビア、バングラデシュ、パキスタン、インド、ベトナム。OoPPに関する情報は乏しいものの、不妊治療が、基本的な治療や効果のない治療においてすら、高額出費のリスクを負っていることが示唆された。他の経済的不都合としては、様々な支援に子供がいないとアクセスできないこと、離婚、不妊夫婦に差別的な慣習法などがある。特に女性がそうした影響を受けている。

入手可能なエビデンスは限られているが、発展途上国では、不妊が広い範囲で経済的不利益とつながっており、時には不妊によって全てを失うこともあるということが分かった。法外な治療費はこれまで「医療のポバティートラップ(貧困の罠)」と呼ばれてきた。発展途上国の女性にとって、不妊は「医療および社会的なポバティートラップ」といえるだろう。経済的困難の社会的側面のいくつかは医療制度の権限を越えているものもあるが、良質な不妊治療の全体的な不足と、不妊治療でのOoPPに対する経済的リスクに何の保護もない現状は看過できない。女性のリプロダクティブヘルス権に対する重大な侵害である可能性がある。

Copyright(C) 2011 SGRH. All Rights Reserved.
by technology0405 | 2013-12-26 16:58 | Countries | Comments(0)

ベトナム婚姻家族法の改正によって、近親者による代理出産が認められる可能性が高まっている。司法省民事経済法局のDuong Dang Hue局長が、今回の改正について説明した。

Q. ベトナムでは長年代理出産は違法とされてきました。なぜ司法省は、婚姻家族法の改正においてこの禁止を撤廃しようと考えたのですか。

改正法案には、人道目的の代理出産を認める条文が追加されるだろう。この着想自体の出所は、ベトナム国民からの直接的な要求から来ている。ベトナム文化において、子供をつくり家名を存続させることを重要視する家族は多い。北部ではそれほどでなくても、南部ではその傾向が強い。残念ながら、子供のできないカップルは我々の社会に多く存在する。カップル自身に兄弟がいない場合は、特に不幸である。
病院に代理出産の提供を求めるカップルは多い。医師の多くはこうしたカップルを助けたいと思っているが、法律を破るわけにはいかない。そこで医師らが司法省に対し、人道的見地からこの問題を再考するよう依頼してきたという訳である。
私自身はこの法案を全面的に支持している。代理出産は不妊問題を解決する最善の方法であり、人道主義的意義を持つ。代理出産は、子供を生めない女性に、母になるチャンスを与える。

Q. 代理出産が合法化されれば、金儲けのために法を悪用する人間が出てくるとは思いませんか。

その問題については大勢の人が懸念している。 しかし私の考えでは、そうした懸念は根拠を欠いているように思われる。現在禁止されているにも関わらず、違反は起きている。代理出産を合法化することによって、我々は闇で行なわれている有害行為を防ぐことができ、代理出産児は妊娠初期の段階から医師の下で適切なケアを受けることができる。それは子供にも代理母にもよいことであり、妊娠に伴う合併症についても対処することができる。

Q. 新法は、誰が代理出産を依頼でき、誰が代理母になれるのかという要件を定めるのでしょうか。

当然、新法は依頼カップルと代理母の適格要件を明確にする。改めて言っておくが、代理出産は、妻が健康上の理由で身体的に子供を妊娠出産できないカップルに限る。代理母は21-40歳の健康な女性で、すでに子供が1人以上いなくてはならない。

最も重要なことは、二者間で交わされる代理出産契約は、金銭的利益をベースにしたものではなく、人道主義をベースにしていなければならないという点である。法案は、代理母が夫婦の親族でなければならないと規定している。そうした親族を見つけられない場合は、親族でなくてもよい。これは合理的だと思う。

確かに起草時には、代理母を親族にするという条件に賛否両論があった。しかし、私自身の立場は政策要件と一致している。代理出産が商業化されるリスクを最小限に抑えることができ、また代理母がカップルの気持ちにより共感しやすいという2つの理由から、私は、代理母はできるだけ親族でと考える。

New surrogacy laws to allow couples chance at parenthood
[Viet Nam News, August, 13 2013]

Hôn nhân đồng tính: không cấm nhưng không thừa nhận
[báo Tuổi Trẻ, 2013年9月11日]
日本語訳→国会常務委が婚姻家族法改正案を討議、「同性婚」が焦点 [Viet Jo, 2013/09/13]

Không nên nửa vời về hôn nhân đồng tính?
[báo Tuổi Trẻ, 2013年9月10日]
同性婚は合法化されるか?

Surrogacy should be legalised but kept under tight control
[Viet Nam News, August, 31 2012]

Vietnam deliberating on surrogate births
By Tuong Lam - Translated by Uyen Phuong
[SGGP English edition, 20/05/2013]

国会、同姓婚・代理出産について様々な意見が出される
[Tokyo University of Foreign Studies]
2013年11月26日付 VietnamPlus紙 (翻訳者:小泉里夏、伊牟田梨加、小谷岳)

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by technology0405 | 2013-12-24 16:32 | Countries | Comments(0)

ベトナムでは有償・無償に関わらず代理出産は禁止されている。現在、婚姻家族法の改正が議論されており、姉妹間での代理出産が容認される方向で改正が進められようとしている。依頼者の女性が法的母親として登録される。代理出産を依頼できるのは、当面の間、子宮がない女性など子を産めないことが明確に判断できるものに限られる。代理出産を実施し、様々な問題点を国が把握し十分な予防措置を講じることができれば、将来的には適用範囲が広げられる余地もある。
 ベトナムでは、女性に子どもを作る権利が認められている。婚姻家族法(2条6項)に「国と社会は母親と子供を保護し、また、母性という尊い役割を果たせるよう母親を支援する義務を有する」とある。戦後の結婚難から女性を救うため、独身女性にも母親になれる権利を認めたもと理解されている。伝統的に子どもを産む女性の働きは重視され、母性には高い価値が与えられている。ベトナムでは独身女性でも生殖補助医療を受けることができ、おそらく独身女性も代理出産を依頼できることになるだろう。
 ベトナムでは、不妊の女性は強い差別や偏見に晒される。子どもを持てない夫婦は窮地に立たされる。男性の血縁の継承が最重視されるため、妻は、夫が他の女性と関係を持ち子どもをつくることも認容せざるを得なくなる。ベトナムで代理出産が容認される背景には、不妊に対する強いスティグマがある。子どもがいない夫婦の場合、極端な場合、社会的排除に近いことも起こりうる。過去には、法的に一夫多妻が認められていたが、現在は廃止された。こうしたこともあり、一夫多妻に代わる方法として、代理出産が機能することにもなる。また、親族間の絆が強く、不妊の女性は、親族から自発的協力者を得ることが容易である。こうしたことが、姉妹間の代理出産が容認される背景にある。ベトナムで2-3年以内に代理出産が容認されることになれば、東南アジアでは初となる(ハノイ法科大学Cu教授)。
 現在代理出産は禁止されているが、水面下では有償の代理出産がさかんに行われており、政府もそのような実態を把握している。体外受精を伴う代理出産は、依頼者夫婦から代理母への胚提供を装う形で行われる。代理母の多くが離婚した女性などであり、独身女性でも生殖補助医療を受けられることが、こうしたやり方の隠れ蓑になっている。体外受精を伴う代理出産の場合は、技術が進んだタイの病院で実施されることも多い。不妊治療を行っている病院の周辺で仲介業者が活発に活動を行っており、ベトナムの医師だけでなくタイの病院と連携している。ベトナム国内では、IUI型の代理出産が多く行われている。依頼者の夫の精子を代理母の女性に人工授精するというもので、伝統的な一夫多妻の延長線上にあり、簡便で費用もかからない。さらに、代理母の卵子を使用したIUIの方が、依頼者夫婦の胚を使用する体外受精より成功率が高いと考えられる。仲介業者が運営する代理母の家もある。食堂の経営を装い、女性たちが働いている。代理母たちが住む家は、すぐに周囲や近隣の知るところとなるため、公安の目を警戒し、定期的に転居している。

※写真と文章は、関係がある場合とない場合とがあります。

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ベトナム保健省


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IVFクリニック受付


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ハノイC病院前風景


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食堂で働く女性


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仲介業の女性


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ビンロウを売る女性


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ビンロウを包む女性
by technology0405 | 2013-08-17 14:45 | field work | Comments(0)

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不妊患者のコミュニティ
 ベトナムで初の体外受精は1999年にTu du hospitalで行われ、現在、ハノイ、ホーチミンなど都市部のいくつかの病院で体外受精が行われている。
 不妊治療で最も有名なのはホーチミン市のTu du hospitalで、ベトナム全土から治療を受けるため不妊患者が集まってくる。体外受精ができる施設は限られているため、遠方に住む不妊患者は、数週間、なかには数ヶ月にわたって病院周辺にある安価な宿泊施設に滞在しながら治療を受けている。宿には、投薬・採卵と一定期間病院通いが必要な妻だけでなく、しばしば夫も休暇を取得し付き添いをしている。このため、病院の待合室は妻に付き添う男性であふれている。また、夫婦だけでなく、両親や姉妹、親戚なども付き添いのため上京し、複数の不妊患者とその家族が、相部屋で生活空間を共有しながら生活をしている。
 医療資源へのアクセスの問題から、不妊治療を受ける患者の一定割合が、地方出身者で占められるため、不妊治療を行っている施設の周辺にある宿では、宿泊客の大半が不妊患者とその家族等で占められている場合もある。宿の女主人や宿泊客の間では、生活空間の共有を通して、日常的に様々な会話が交わされており、不妊の原因、不妊治療の進行状況、妊娠成立の有無といった事柄だけでなく、家族関係なども、すべて公のものとなり、互いに把握する関係となっている。そのため、例えば卵子提供を受けた場合など、本人が隠したいと思ってもその事実を隠し通すことが難しい。

不妊のスティグマ
 ベトナムで体外受精の費用は日本と同様、40万〜60万程度かかり、平均的なベトナム人にとって経済的負担は非常に大きいが、夫婦の間で子どもは「絶対に」必要であると考えられており、親戚などから借金をしてでも治療費を工面する必要に迫られることもある。「どれだけお金持ちであっても子どもがいなければ人生の意味がない」(不妊患者)。既婚女性にとって子どもを産むことは何にも増して最優先事項であり、子どもができない場合、両親や親戚などから公然とプレッシャーをかけられる。不妊の女性に対する同情心や共感もないわけではないが、哀れみや蔑みの感情も容易に見いだされる。長期にわたって子どもができない場合、夫と夫の家族から離婚を言い渡されることも覚悟しなければならない。そうでなければ、夫が他の女性との間に子どもをつくることに同意するか、自ら申し出なければならないなどの状況に追い込まれることになる。子どもを産めない女性に対するスティグマや抑圧は非常に強い。不妊をめぐるこうした社会的背景から「不妊の人々を助けたいのでこの仕事をやっている」と語る仏教の熱心な信徒で、仲介業をやっている女性もいた。
 ベトナムでは一夫多妻制度が存在していたが、現在では廃止されている。しかし子どもが「絶対に」必要であるという価値観は変わっていない。一夫多妻や養子などの伝統的手段に代わり、体外受精という最新の生殖テクノロジーが、地方在住の不妊の人々をも徐々に巻き込んでいる。「少数民族などもいる村に住んでいる。少数民族に伝わる伝統的な漢方薬を飲んでいたが効き目がなく、体外受精を受けた隣人から聞いてこの病院に来た。体外受精のことは近所の人には言っていない。良く知らないので勘違いするから」(不妊患者)
 ベトナムでは精子バンクがあり、精子提供も行われている。精子バンクは病院・医師によって厳格に管理されている。ドナーの匿名性を維持すること、近親婚を回避することに特に注意が払われている。こうしたことは卵子提供には見られない。また、配偶子提供の事実について、子どもへの告知が必要であるという考え方は皆無である。ベトナム社会では、男性の血縁が重視されており出生児における男女比も男性に偏っている。男性優位社会で、精子の欠如などの男性不妊について語られること自体がまれで、多くは秘匿されている。男性不妊は、ベトナム社会では不可視化されている。

血縁概念と生殖テクノロジー
 夫婦には子どもが必須であり、なおかつそれは、夫の血縁を継ぐものでなければならないという価値観により、卵子提供や代理出産(夫と妻以外の女性が性交渉をする場合も含めて、ベナトムでは代理出産と呼んでいる)などは認容される素地があるといえる。その必要さえあれば、不妊治療を行っている病院の周辺や、不妊治療患者が宿泊する宿では、依頼するために必要な情報やつてを容易に入手することができる。親戚、宿の女主人、知り合いの不妊患者、守衛・バイクタクシーの運転手や病院の周辺で屋台を経営する女性からの紹介など、不妊患者を日常的に取り巻くあらゆる人間関係のなかから、卵子提供者や代理母候補者を探すことは比較的容易である。また、紹介料をとっている仲介者も存在する。ベトナムでは、2003年の法律で、代理出産は全面禁止とされ、配偶子提供は無償であれば実施可能とされている(現在、婚姻家族法の改正に向けた議論が行われており、そのなかで無償の代理出産に限り合法化するという方向性が示されている)。だが、多くの場合、親戚や人のつてで卵子ドナーや代理母候補者が探されるため、現実には有償と無償の境目は曖昧である。
 卵子提供や代理出産に際して、男性の血縁に関する概念は揺るがない。一方、女性の血縁に関する概念は、遺伝上のものと妊娠出産によるものとに分断されることになる。体外受精という生殖テクノロジーが出現する迄、両者は自明のものとして一致していた。ベトナムでは妊娠出産という営みによって母子は強い結びつきを形成すると考えられている。一方、ベトナムでは、遺伝に関する近代的な知識がほとんど普及していない。こうしたことから、卵子ドナーの貢献や役割は軽視されている。たとえば、卵子ドナーは産まれてくる子どもに対し、2-3%の関与にすぎないと医師から教えられたと語る卵子提供者もいた。また、ほとんどのレシピエントの女性が、卵子提供を受けても子どもは妊娠出産した自分に「似る」と理解していた。さらにそのように医師から教えられたというレシピエント女性もいる。またさらには、「卵子提供の場合、70%は父親の血縁、20%が妊娠出産した母親の血縁、10%は卵子ドナーの血縁」(仲介者の女性) という興味深い“生殖理論”が、不妊治療を行っている病院の周辺では流通していた。
 一方、代理出産の場合、「依頼者の妻の卵子を使って代理出産をした場合でも、妊娠出産した自分の子どもであるので子どもは渡さないと思う」(卵子ドナー経験者)、「卵子提供を受けても自分で妊娠出産するので自分の子どもといえる。代理出産の場合でも、自分の夫の精子を使っているので妻である自分の子どもといえる」(卵子提供を受けて妊娠判定待ちの女性)、というように、代理母と不妊女性との間で子どもの所有権について矛盾した見解が示されていた。母子の血縁は妊娠出産によって培われ、強固なものになるという女性の血縁に関するベトナムの伝統的な概念をMellisa J. Pashgian は「子宮中心主義(womb-centrism)」と名付けている。このような文化的素地のなかでは卵子提供は比較的受け入れられやすいと考えられるが、代理出産の場合、代理母と依頼者妻との間での感情的負荷や緊張は高くなるのではないかと考えられる。インドやタイなどの場合と異なり、遺伝子中心主義が伝統的な血縁概念にとって代わらなければ、ビジネスとしての代理出産が浸透するのは難しいだろう。

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代理母らが生活する部屋

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卵子ドナー・代理母候補者が働く食堂

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精子バンク

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病院近くの裏路地

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Tu Du Hospital
by technology0405 | 2013-05-10 09:34 | field work | Comments(0)
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