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2012年10月、インドの女性活動グループOur Bodies Ourselves (OBOS)が、ニューデリーの女性権利団体SAMAと、ネパールのWomen’s Rehabilitation Centre (WOREC)の創設者Dr. Renu Rajbhandariと共に、カトマンズで、渡航代理出産について話し合うワークショップを開催した。

代理出産のために来印するカップルが年間25,000組、代理出産を実施するセンターが1000施設と、既にインドで好況ビジネスとなっている代理出産が、ネパールに広がるのは時間の問題である。貧しく、働けるあてもない状況下で、代理母に魅力を感じるネパール人女性は多いであろう。代理出産の報酬はインドで大体$5,000 -$7,000で、農村部の人々にとっては年収の10倍にもあたる可能性がある。

WORECがホストを務めたこのワークショップには、女性の権利活動家が全国から集まり、CBRCにおける市場の拡大や、ネパールへの影響、女性を効果的に教育・エンパワーするための戦略などについて理解を深めた。またNY在住の映画製作者Vaishali SinhaとRebecca Haimowitzによる『Made in India』と、SAMAが最近公開した『Would Like to See Baby Bump Please』、2本のドキュメンタリー映画の鑑賞も行なった。 

<インドの代理出産規制>
カトマンズのIUIクリニックの看護師2名、ヘルスカウンセラー数名、産科瘻孔(ろうこう)患者の心理社会的カウンセラー、家族計画コーディネーター、女性季刊誌の編集者、女性人権擁護団体のメンバー数名、看護学の教授、セーブ・ザ・チルドレン(国連承認のNGO)のメンバー、東ネパールの女性ラジオ放送局のスタッフなどが参加者であった。ワークショップは、主にヒンディー語とネパール語、必要であれば英語の通訳を入れて進められた。

SamaのメンバーSarojini とPreetiは、議会で議論中のART法案の説明を交えながら、インド代理出産の概要を述べた。この法案は、依頼父の精子を使った人工授精でなく胚移植による代理出産だけを認めている。
人工授精の方がはるかに安全であるため、ワークショップの参加者の多くは人工授精も選択肢に入れるべきという意見であった。胚移植の場合、代理母の体は強力なホルモン注射と外科的措置に晒され、リスクが大きい。

法案では、代理母が自己卵子を使用した場合は子供に愛着が生まれ手放し難くなるが、他人の卵子を使えばそうした懸念が減ると推測されている。しかし、この仮説を支えるエビデンスは乏しい。

<用語の重要性>
例えば、依頼親の渡航の実態を見ると「リプロダクティブ・ツーリズム」という当てつけ感の漂う単語よりも、「国境を超えた商業的代理出産(cross-border commercial surrogacy)」という用語を使用する方が適切だと考えられる。
同様に「surrogate mother」「gestational carrier」という用語は、女性が9ヶ月間妊娠し出産するという実感を薄める。ワークショップではより記述的な「妊娠母(gestational mother)」という用語を使用した。

<ネパールの準備>
本質的に、商業的代理出産において、依頼親とエージェンシーの利益が代理母のニーズや利益に反映されることはない。だからこそSAMAやWORECなどの団体は、公共政策として代理母を保護し啓蒙することを主張している。万一の場合にはフォローアップ治療や償還を確保できるような政策も進められるべきである。

ワークショップの参加者たちは、ネパールでも同様の法案が準備されることを望んでいる。ネパールの女性活動家たちと情報を共有し、代理母の健康と権利を守る方法を模索したい。参加者はART自体についてよく知らなかったため、医学的、社会的、経済的影響について多くの質問が出た。

インドとネパールの国民はビザなし、パスポートなしで両国を行き来でき、ネパール国民はインドで自由に働くことができる。そのため、ネパール人女性が代理母としてインドに出稼ぎに行くケースも大いに考えられる。また、この先ネパールの政治経済的状況が整えば、ネパールにもARTが普及し、インドと似た状況になることは容易に予想がつく。
インドの代理出産に関する情報をネパールの女性活動家が共有しておくことは、大きな意味を持つだろう。

OBOS Goes to Nepal: Women’s Health Activists Discuss Cross-Border Surrogacy

Sama: Resource Group for Women and Health

WOREC NEPAL

Our Bodies Ourselves

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by technology0405 | 2012-12-21 17:04 | Countries | Comments(0)

ネパールで、代理出産で生まれた子供をめぐって妻が夫を訴える事件が起き、商業的代理出産についての議論が浮上している。カトマンズの上流階級Sambhavi Ranaは、夫のUjjwal Ranaが、代理母に生ませた子供に財産を残そうとしていることを不服とし、最高裁に訴えた。

Rana氏は代理母Ayushma Nagarkotiと代理出産の契約を結んだ。Rana氏は代理母をIVFのためインドに連れて行き、Rana氏の精子を使って娘Binaが生まれた。Nagarkotiは結婚しており、外国にいる夫も代理出産に同意していたという。

Rana氏は、妻は不妊で代理出産にも同意していたと主張したが、妻のSambhaviは、自分は不妊ではなく、契約のことは何も聞かされていなかったと反論。契約では、Binaが2歳になったらRana夫妻に引き渡されることになっていた。

ネパールで代理出産に関する争いが起きたのは初めて。Tek Narayan Kunwar裁判官は、代理出産で生まれた子供は通常の子供と同じ権利を持つべきであり、相続権も認められると述べた。また、妻は子供を引き取る義務があるとした。

ネパールの代理出産については、ネパール人女性がインドの裕福層や外国人のために代理母になる目的でインドに渡る現象が報告されていた。インドと違い、ネパールには代理出産に関する法律がなく、こうした問題は見て見ぬふりされてきた。医療ツーリズムの新たな目的地として注目されるネパールで、こうした裁判をきっかけに、生殖補助医療も徐々に方向性を定めていくのだろう。

Womb for sale debate surfaces in Nepal
[Times of India , Mar 8, 2011]

Surrogate child's right upheld
[The Himalayan 2011-03-07 ]

KDC verdict: Surrogate mother’s kid, wife to inherit
[ekantipur.com 2011-03-08]

Private hospitals promote Nepal as medical tourism destination
[News Today Oct. 24 2010]



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by technology0405 | 2011-04-01 16:22 | Countries | Comments(0)
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