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マレーシアのシングルマザーたちが、シンガポールの不妊カップルのために代理出産しているとChina Pressが報道した。シンガポールの不妊カップルは、たとえ出生証明書の母親の欄に代理母の名前が記載されても、代理出産サービスに支払うS$40,000を惜しまないという。

シンガポールで不妊カップルに代理出産サービスを提供しているAsian Surrogatesの創始者Ho Kok Keong氏(60)がこの仲介ビジネスを始めたのは7年前である。法規制を避けるため、Ho氏は不妊カップルと代理母がタイで全ての手順を踏めるようアレンジしてきた。シンガポールでは、女性が代理母になることも、不妊カップルが代理出産を依頼することも、また医師が代理出産を手助けすることも禁じられている。マレーシア人代理母は通常マレーシアで子供を出産し、子供の母として登録される。カップルはマレーシアで子供を引き取る手続きをし、合法的に子供を連れて帰る。代理出産サービスの値段は全部でS$45,000。Ho氏のところにいる代理母10人は全員20-22歳だという。

International Islamic UniversityのMajdah Zawawi 准教授は、マレーシアで代理出産が広がりを見せるなら、代理出産法を検討すべきだと考えている。現在のところ、ムスリム以外のマレーシア人に対して代理出産を禁止する法律はなく、代理出産に関するケースが裁判で争われたこともないので判例も不在。シンガポールやタイで契約が結ばれ問題が起きた場合、事態はいっそう複雑になると考えられる。

Childless S'pore couples seek surrogate mothers from Malaysia
[Asia One, Oct 28, 2013]

Pregnancy For Sale
[malaysiandigest.com 07 November 2013]

Single mums opt to become surrogate mothers for a fee
[The Star/Asia News Network, Oct 28, 2013]

The fertile debate over surrogacy
By June Moh
[The Heat, 21 Nov 2013]

Copyright(C) 2011 SGRH. All Rights Reserved.
by technology0405 | 2014-02-13 16:27 | Countries | Comments(0)

西欧諸国でIVF市場が円熟期を迎えた今、民間企業は先を争って、成長するアジア市場に進出しようとしている。

人口成長の停滞を打破したい韓国やシンガポールをはじめとするアジア各国の政府は、IVFの助成金を気前よく出す傾向にある。
2013年1月、出生率1.29のシンガポールは、IVFの助成を75%にまで引き上げた。
出生率1.15の韓国は、2006年から2010年で、不妊治療助成事業に180億USドルを投入した。
体外受精児の割合が1998年から2010年で0.9%から2.5%に跳ね上がった台湾でも、2010年以降、IVF助成金の導入が検討されている。

この助成金を追い風にしようと、不妊治療病院を経営する世界中の企業がアジア進出を計画している。オーストラリアのVirtus Health Ltdは、今最もアジア進出に意欲を見せている会社である。
アジアの少子化が、不妊治療に携わる海外企業の進出を招いている。

Asia's low fertility trap opens opportunities in IVF market
By Jane Wardell and Jackie Range
[REUTERS, Jun 13, 2013]

Asia's low fertility trap opens opportunities in IVF market
by Reuters
[ FZ.com, Jun 13, 2013]
出生率比較

Read more: http://www.fz.com/content/asias-low-fertility-trap-opens-opportunities-ivf-market#ixzz2h5V1YXHd

IVF grows in Asia with government subsidies
Xavier Symons
[Bio Edge, 23 Jun 2013 ]

Taiwan Weighs Subsidized IVF to Boost Birth Rate
[Want China Times, 2010-10-03 ]

Taiwan Gov't mulls subsidizing IVF to boost birth rate
[Oct 04, 2010, The China Post]

Higher subsidies for fertility treatments
By Tham Yuen-c
[Jan 24, 2013 The Straits Times]

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by technology0405 | 2013-07-10 12:04 | Countries | Comments(0)

シンガポールが2011年に出したAR(Assisted Reproduction)センターに対する規則『Licencing Terms and Conditions on Assisted Reproduction Services』概要
2006年の『DIRECTIVES FOR PRIVATE HEALTHCARE INSTITUTIONS PROVIDING ASSISTED
REPRODUCTION SERVICES』よりも詳細な内容になっている。

1.適用
2.定義
3.設備

4.人員
 4.2.ARセンターには、少なくとも以下の人員が勤務していなくてはならない。
a)認可医師1人
b)認可エンブリオロジスト2人(→2006年版では1人)

5.臨床業務
 5.4. ARセンターは、以下のどちらかを満たしておらず、カップルが新生児医療保険に加入していない場合、IVF(ICSI含む)を実施してはならない。
 a)夫婦どちらか、あるいは両方が、シンガポール人かシンガポール永住者である
 b)夫婦ともに外国人で、出産をシンガポールで予定している(→2006年版では、シンガポール人あるいは出産をシンガポールで予定している外国人、という記載。)

 5.6. ARプログラム(女性が45歳以上)の許可要請を衛生局長 (Director of Medical Services)に提出する場合、カップルが以下の事項についてカウンセリングを受けたことに対し書面で同意し、その同意書の複写を付ける(2006年版では女性が45歳以上のARの実施は禁止だったが、2011年版はセンターの医師による申請書の提出という条件付きでOKとなった)
 a)彼女の年齢に伴う、生殖補助医療技術と妊娠のリスク
 b) ARセンターの彼女の年齢での現成功率

 5.10. 夫婦が配偶子/ 胚を提供する意思を持った場合、夫婦から同意を得る前に、その決定を検討するための十分な期間が、最短でも1週間は与えられるものとする。(→2011年版で追加)

 5.13. ARセンターは、精子・卵子・胚提供者を含む、生殖補助医療を受ける全ての人物に対し、以下の感染症の有無を調べなくてはならない。
 a)ヒト免疫不全ウイルス感染症
b)B型肝炎抗原
c)C型肝炎ウイルス抗体(→2011年版で追加)
d)梅毒
e)風疹抗体

 5.15. ARセンターは、全てのドナーに対し、サイトメガロ・ウイルス(CMV)の検査を実施しなくてはならない。(→2011年版で追加)

 5.26. ARセンターは、夫の親族あるいは夫の姻戚関係にある女性からの卵子提供に際し、レシピエント女性の夫の精子が、CAP353の指定する禁婚親等の人物から提供された卵子との受精に使われないよう留意する(→2006年版では、夫の姉妹からの卵子提供が禁止)

 5.27. ARセンターは、女性が自分の親族あるいは姻戚関係にある男性から精子提供を受けるに際し、CAP353の指定する禁婚親等の人物から提供された精子がレシピエント女性の卵子の受精に使われないよう留意する(→2006年版では、妻の兄弟からの精子提供が禁止)

 5.30. ARセンターは、1回の移植で2個以上の卵子/ 胚(2006年版では3個)を体内に移植してはならない。しかし、以下の条件を全て満たす場合には、卵子/ 卵割段階の胚を最大3個まで(→2006年版では4個)移植しても良い。 
 a)移植の結果妊娠した子供を全員出産し、NIC施設を持つレベル3の病院でケアする
 b)患者が37歳以上である(→2006年版では35歳)
 c)患者が既に刺激サイクルで1回以上の(→2006年版では2回以上)失敗を経験している、あるいは良質胚を得られていない

 5.38. ARセンターは、倫理性と感受性をもって、配偶子/ 胚の成長の中断や残余物質の破棄を実行しなければならない。(→2011年版で追加)
 5.43. 配偶子を輸入する場合、ARセンターの認定医師は、海外バンクとその輸入物の取り扱い方が、配偶子/ 胚の回収、処理、保管、輸送、同意の取得に関して、本法で設定された基準を遵守していることを確認する。(→2011年版で追加)

 5.48. ARセンターは、以下の行為を実施してはならない。
 a)胚、卵子、精子の売買
b)代理出産
c)選択的減数手術
d)性選択を目的とした精子ソーティング技術
e)ヒト胚の他の生物への移植。およびヒト胚以外の胚を女性に移植すること。

6.研究室業務
7.記録管理
8.品質経営と危機管理
9.研究
10.ヒト動物交雑胚
11.ランセンス申請
12.その他

原文→https://www.moh-ela.gov.sg/ela/content/TC_2011_Assisted_reproduction_services.pdf

2006年のDIRECTIVES FOR PRIVATE HEALTHCARE INSTITUTIONS PROVIDING ASSISTED
REPRODUCTION SERVICES


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by technology0405 | 2013-04-04 17:03 | Countries | Comments(0)

Status of Children (Assisted Reproduction Technology) Bill
1章 序文
 1.はじめに
 2.解説

2章 生殖補助技術が用いられる場合の親子関係
 3.「母親」の定義
(1) 女性が生殖補助医療技術によって子供を妊娠した場合、その女性(本章では、出産女性と呼ぶ)を子供の母親とする。
(2) 出産女性が生殖補助医療を受けた場所がシンガポールであった場合も、そうでない場合も、共に(1) が適用される。
(3) 女性が(1)に基づいて母親であると認められた場合には、その他の女性が子供の母親とみなさることはない。
 4.「父親」の定義
(1) 出産女性が生殖補助医療を受けて妊娠した際に結婚しており、かつその際に妊娠した子供が出産女性の夫の精子を利用した結果である場合、当該夫を子供の父親とする。
(2) 出産女性が生殖補助医療を受けて妊娠した際に結婚しており、かつその際に妊娠した子供が出産女性の夫のものではない精子を利用した結果である場合、夫が治療に同意していなかったことが証明されない限り、当該夫を子供の父親とする。
(3) 出産女性が生殖補助医療を受けて妊娠した際に結婚しており、夫が治療に同意していなかった場合、子供が自分の精子によるものでないことを知りながら子供を夫婦の子供とすることを夫が認めるなら、その夫は子供の父親とみなされる。
(4) (2) のケースに当てはまる子供は、誕生の瞬間から夫婦の正式な子供とみなされる。
(5) (3) のケースに当てはまる子供は、出産女性の夫の同意が得られた瞬間から夫婦の正式な子供とみなされる。
(6)本章では、婚姻が無効であった場合でも、夫婦のどちらかあるいは双方が婚姻関係を有効と捉えるに足る状況であれば、婚姻関係にあったとみなす。
(7) (a) 出産女性が結婚していなかった場合
(b) 出産女性が生殖補助医療を受けて妊娠した時に事実上のパートナーがいた場合
(c) 出産女性が、事実上のパートナーの同意を治療時あるいはそれ以降に得て、子供を妊娠した場合
出産女性が、パートナーを子供の父親と認める要請を高等裁判所に提出する。
 5.夫の同意なく生殖補助技術が実施された場合
 6.卵子、胚、精子が誤って使用された場合の親子関係の主張について
   関係者は、裁判所に対し親子関係の主張を申し出ることができる
 7.2章の適用範囲
 8.規則
 9.裁判所規則

3章 雑則
 10.本法によって生じるEvidence Actの改正
 11.本法によって生じるLegitimacy Actの改正
 12.移行条項

Status of Children (Assisted Reproduction Technology) Bill

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by technology0405 | 2013-04-02 17:08 | Countries | Comments(0)

シンガポールの新法案

ARTで生まれた子供の地位とその親を明確にするための新法案「The Status of Children (Assisted Reproduction Technology) Bill」が、シンガポールで提出された。議会への提出前に政府は法案を公開し、2012年11月20日-12月20日の1ヶ月間パブリックコメントを受け付けた。

この法案は、ARTで生まれた子供の両親を1組だけ――法律上の父母――にすることを前提として起草されている。子供を生んだ女性が、法律上の母親となる。カップルが婚姻関係にあり、夫の精子を使用すれば、夫が法律上の父親とみなされる。精子提供なら、夫が治療に同意していた場合、あるいは夫が子供を「夫婦の子」として受け入れる場合に、夫が正式な父親となる。

女性が未婚の場合、彼女のパートナー(法案では「出産した女性と同居し、配偶者と同程度の関係を持つ男性」と定義)の精子が使われている場合、あるいは彼が子供を認知すれば、正式な親権を裁判所に申請することができる。

イギリスでは、未婚者がパートナーの精子を使えば、そのパートナーは自動的に法律上の父親になる。精子提供の場合は、認可クリニックで治療すること、パートナーが正式な父親になることに双方が同意することが条件になる。パートナーがレズビアンであっても、認可クリニックで治療を受けていれば――シビル・パートナーシップを結んでいれば自動的に、そうでない場合は双方の同意によって――正式な親と認められる。

シンガポール法相は、親子関係法の改正は必要だと考えている。「ARTで生まれる子供が国内で増加していることを考えると、法律の制定は時宜にかなっている。国民が豊かになったこと、社会が高齢化したこと、不妊を治す医療技術が進歩したことが、ARTの普及を促進している。」

「また、卵子や精子、胚の取り違えによって生まれた子供の法的地位に関する問題についても、法律で明記する必要がある。」2010年には、Thomson Medical Centreの過失により、夫のものではない精子から子供が生まれた事件が起きている。
「こうしたケースでは、2組のカップル――ART治療を受けていたカップルと、自分たちの精子/卵子/胚が知らない内に治療に使われていたカップル――が子供の親権を主張する可能性を孕んでいる。あるいは両方のカップルが子供の引取りを拒否し、子供が事実上親のいない状態に置かれる可能性もある。」と法相は声明で述べている。

法案では、配偶子や胚の取り違えが起きた場合、出産した女性とその夫が子供の親とされる。また取り違えから2年以内であれば、「当事者」が正式な親権を裁判所に申し出ることもできる。「どんな状況であれ、決して子供が親のない状態に置かれないようにする」ことが法務省の意図である。Singapore general hospital(SGH)産婦人科のシニアコンサルタントYu Su Ling医師も、取り違えに関するこうした法案の采配は評価できると語った。

Singapore proposes new laws on parentage of children born through ART
By Maria Sheppard
[BioNews, 26 November 2012]

『STATUS OF CHILDREN (ASSISTED REPRODUCTION TECHNOLOGY) ACT 2012』

Public Consultation on the Proposed Status of Children (Assisted Reproduction Technology) Bill
Ministry of Law Singapore パブリックコメントの受付サイト(既に終了)

Singapore - Proposed law to address parentage of IVF babies
[The International Institute of Medicine and Science,  November 23, 2012]

Singapore mulls new laws to clarify legal status of ART children - 19Nov2012
ニュース YouTube動画

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by technology0405 | 2013-04-01 16:23 | Countries | Comments(0)

社会的・文化的観点から
シンガポールは面積641平方キロメートル、人口400万人ちょっとの国で、その人口の76.8%が中国系、7.9%がインド系、13.9%がマレー系、残りの1.4%がユーラシア人を含むその他の民族である。15歳以上の2000年現住人口のうち、51%が仏教徒あるいは道教(中国古来の宗教)、15%がキリスト教徒、14.9%がムスリム(主にマレー系が占め、インド系と中国系が少数)、4%がヒンズー教徒(主にインド系)である。従って社会政策は常に多文化的な観点から考えられ、宗教や文化の違いに対する気配りは、共通性の模索と同じくらい重要な課題である。

中国系の人々にとって、家族や子供の価値というのは、宗教に関わりなく社会組織としての家父長制度と結びついている。近代化が伝統的観点に影響を与えたといわれる今でも、男性側の遺伝的つながりに大変重きを置く。Kerdang Kerbau Women and Children's HospitalのNg医師によると「中国社会は血縁関係にとても慎重で、同じ名字の中国人カップルが遺伝子検査を求めることもよくある」といい、母親よりも父親がつながっている可能性を警戒するという。その結果、中国人カップルは、近親相姦の危険性を完全には排除できない精子提供よりも、精子の身元の保証がきちんとできる方法を好む。 

仏教徒は、命というのは作られるものではなく、生まれ変わりのサイクルを通してやってくるものだと信じている。第三者の関わる生殖補助医療も、それが生命を傷つけたり殺したりしない限りは容認可能だと考える。ただ仏教では受精の瞬間から命が始まるという考え方をするので、未使用胚の破棄の問題に関しては懸念している。

キリスト教徒(カソリック)は生殖補助医療に対し「生命に対する新たな攻撃への道を開いた」と、まっこうから反対している。法律的にはシンガポール政府の条件を満たす人は誰でも宗教に関係なく生殖補助医療にアクセスできるが、敬虔なカソリック信者は、道徳的、宗教的理由に基づき、アクセスしにくいだろう。

イスラム教はマレー人の文化や日常に根差している。しかし、シンガポールのイスラム法に関する文献やデータベースのどこにも、第三者の関わる生殖補助医療についての言及は見当たらない。イスラム教の基本的な概念では、遺伝子の混乱は避けるべきであり、第三者の関わる生殖補助医療は受け入れられない。従って、シンガポールのマレー系カップルは、配偶子提供、胚提供、代理出産どれも許されないことになる。ムスリムカップルが、シンガポール国内や海外でそうした処置を受けたという報告は全くない。シンガポールのシャリア(イスラム法)では、ムスリム男性は条件を満たせば4人まで妻を持つことができるので、女性が不妊の場合には、新たな妻を持つことが男性にとって子供を持つ手段の一つになりえる。

シンガポールの生殖補助医療の始まり
1982年7月、National Universityの産婦人科学部で体外受精プログラムがスタートしたのが、シンガポールのARTの幕開けだった。シンガポール初(アジア初でもある)のIVF児は1983年に生まれた。1986年6月にはアジア初のGIFTによる子供が、1987年にはアジア初の凍結胚を用いた子供が、1989年にはアジアで2番目の卵管受精卵移植(TET)による子供がシンガポールで生まれた。1989年4月には世界初の囲卵腔内精子注入法(SUZI)による子供も生まれている。1991年に世界初の共培養法による子供の出産が成功したことで、この技術により妊娠率は倍増、National University Hospitalは草分け存在として世界をリードしてきた。2000年12月には、シンガポールの私立病院Thomson Medical Centreが、世界初とされる凍結卵子と精子を使った双子の出産に成功した。

第三者の関わる生殖補助医療に関するガイドライン
ヒト胚研究や体外受精の実施に関するガイドライン作成のため、厚生省は、諮問委員会を設立した。しかし、厚生省のガイドライン「Guidelines for Assisted Reproductive Services(2001)」でも「Report of the Sub-Committee on the Status of Children Born Through Artificial Conception(1997)」でも、第三者の関わる生殖補助医療が、カップル自身の配偶子や胚を使う場合と区別されていない。代理出産は違法とされている。

厚生省の最初のガイドラインが出されたのは1990年で、2001年に改訂された。(注:現在は2006年版が出ている)。ARTを受けられるのは45歳未満の女性。夫婦に対する事前カウンセリングの内容も決められている。①考えられる結果(医学的、社会的、経済的)について知り、夫婦が書面で同意する。②40歳以上の女性は成功率が低く、合併症のリスクも高いという事実。③35歳以上の女性が出産する場合、遺伝子異常のリスクがあるという事実。④治療費と強制保険代のおよその総額について。

40歳以下の女性は最高10サイクルまでトライすることが認められている。ただし、女性が未経産もしくは生児出産を一度経験している場合で、海外での治療サイクルも含む。5回連続で失敗した女性がさらに治療を続けることはよくないとされているが、海外で受けた治療をチェックすることは難しい。40歳を超えた女性は5サイクルまで。しかし45歳になれば、治療はストップされる。移植胚の個数は一回3個まで。しかし次の条件を満たせば4個移植してもよい。①移植の結果妊娠に至った子供は全員出産する。また新生児集中治療室のある病院でケアすること。②患者が少なくとも2回、卵巣刺激を伴う治療で失敗していること。③患者が35歳を超えていること。

卵子のドナーは35歳未満と決められている。できるだけ夫婦の配偶子を使うことが推奨されるが、胚提供も可。ただしその場合、卵子と精子のドナー両方からの同意書と、レシピエント夫婦の同意書、さらにドナーに一切の責任を負わせないという誓約書に夫婦がサインしなくてはならない。配偶子や胚の保存に関しては、基本5年間で、10年経つと破棄することになっている。

第三者の関わる生殖補助医療で生まれた子供の地位
第三者の関わるARTで生まれた子供の地位については、1995年にLaw Reform Committeeの分科委員会が設立され、1997年に報告書が出された。この報告書では、5つの形態が想定されている。
①母親の卵子とドナーの精子を受精させる場合②母親の卵子と、父親とドナーの精子を混ぜて受精させる場合③ドナーの卵子と父親の精子を受精させる場合④ドナーの卵子とドナーの精子を受精させる場合⑤ドナーの卵子と、父親とドナーの精子を混ぜて受精させる場合
代理出産は厚生省が許可していないため、想定からは外されている。報告書では、親子証明に遺伝子的つながりがどう関わるかという点が現行法で曖昧であるため、たとえARTの使用に父親が同意していたとしても、親子関係が覆される可能性はあると報告されている。子供の地位に関しては現行法で対処しているシンガポールでは、早急の法整備が必要であろう。

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Third Party Assisted Conception Across Cultures: Social, Legal and Ethical Perspectives

Eric Blyth / Jessica Kingsley Pub

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by technology0405 | 2011-09-06 16:35 | Book | Comments(0)

精子取り違え事件

シンガポールの厚生省認可不妊センターThomson Fertility Centre で、2010年に精子の取り違えが起きた。シンガポール在住の夫婦から体外受精で生まれた子供の血液型について、両親はO型とA型で、子供がB型だったことから、夫婦はDNA検査を実施。その結果、体外受精に使われた精子が夫のものでないことが分かった。

病院は両親に謝罪し、夫婦はその子供を引き取ることに決めた。生殖補助医療にまつわるトラブルは、シンガポールではこの事件が初めて。国内で大きな話題となった。

厚生省は、事件後に原因究明のための調査を開始した。その結果、2種類の精子に、通常なら一回で使い捨てるはずのピペットを使いまわしていたことが原因と判明した。また、その時、2種類の精子の処理を、同じ場所で同時に行っていた。

病院は20000ドルという最高額の罰金を支払うこととなった。また、厚生省は、この病院が新鮮胚を使った体外受精を新たに行うことを一時差し止め、さらに監視と調査を続けていくことを決めた。現在Thomson Fertility Clinicにかかっている患者に対しても、希望があれば、他の政府認可病院に移れるように配慮される。


IVF baby does not have father's DNA
[Nov 03, 2010 AsiaOne]

Thomson Medical Centre fined $20,000 for semen mix-up
[Jun 22, 2011 AsiaOne ]

Thomson Fertility Centre Suspended From Initiating Fresh Cycles of Assisted Reproduction Treatment
[Ministry of Health: Press Releases 04 Nov 2010]
by technology0405 | 2011-09-02 13:55 | Countries | Comments(0)

10年で養子縁組が半減

シンガポールでは、養子縁組の数が激減している。統計によると、地方自治開発省 (Ministry of Community Development, Youth and Sports :MCYS)が2010年に処理した養子縁組申請数は325組だった。2005年は556組、2001年は703組と、ここ10年で半減した。

養子縁組あっせん機関と任意福祉団体は、この落ち込みについて様々な理由を挙げた。チェックの厳しさ、供給サイドのルールの強化、そして生殖補助医療の普及。体外受精のような手段を求める人々が増え、養子縁組に目を向ける人が少なくなっている。

生殖補助医療に頼る人が増えたのは、政府の共同出資制度により、今やそちらの方が手頃になったからである。さらに、産児制限技術の向上により、望まれずに生まれてくる赤ちゃんが減ったことも一因だと、National University of Singaporeの社会学部准教授Paulin Straughan氏は言う。また、きょうび子供を育てること自体が、時間、エネルギー、金銭の大きな負担でもある。

しかし、養子縁組の急減にも関わらず、2010年にNational University of Singapore が行った調査では、子供を持つための最も実行可能な方法が養子縁組だと答えた人は、国民の91%を超えた。

養子縁組の数を気にする必要はなく、シンガポール人が早めに結婚し、家族を持つような政策が問題を解決すると専門家はみている。「ワークライフバランスの推進をリップサービスで終わらすのも、もうやめなければならない。」とStraughan氏は言う。

Adoptions in Singapore fall by half over last decade: gov't figures
[English.news.cn 2011-08-22]

10 ways to have more babies
[The Straits Times 1/20, 2011]

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by technology0405 | 2011-08-30 16:11 | Countries | Comments(0)

子供の性別を選ぶために渡航治療するシンガポール人が増加している。アメリカ合衆国やタイといった国では、PGDによって子供の性別を選ぶことができる。こうした国々はIVFの技術でも知られており、不妊ツーリズムの目的地になっている。PGDによる性選択はシンガポールでは禁止されている。

中国系の人々にとっては息子を持つことが重要
バンコクにあるIVF施設Marvel IVF Solutionsの最高経営責任者によると、シンガポール人、中国人、香港人の90%が男子を希望するという。男が相続人となり、他の兄弟姉妹の世話をすることになっているからである。他にも、バンコクのSafe Fertility and PGD CentreやロサンゼルスのFertility Institutesなどの不妊施設でも、シンガポール人から同様の要望が出されるという。

胚に対する性別と遺伝病の検査
PGDはIVF治療と合わせて行われる。受精胚に対し、性別、遺伝病、あるいはその両方が調べられる。希望にかなう胚のみが母親の子宮に移植される。クリニックによると、PGD性選別はほぼ100%正確であるという。Marvel IVF Solutionsでは、PGD込みのIVF1サイクルが 280,000バーツ($11,380)である。Safe Fertilityでは260,000バーツ、 Fertility Institutes ではUS$18,000 (S$22,000)。

シンガポールでは、公立病院でのIVF1サイクルが$8,000から$11,000 、私立病院では $15,000である。PGDを使った性選択は禁止されている。PGDの使用は、ダウン症、エドワーズ症候群、ターナー症候群のような遺伝病の診断について、医師が必要と判断した場合にのみ認められる。

More S'poreans going abroad for IVF to choose baby's gender
[AsiaOne Aug 22, 2011]


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by technology0405 | 2011-08-30 14:19 | Countries | Comments(0)

シンガポールでは、生殖補助医療で生まれる子供が急増している。この不妊治療ビジネスの急成長の主因としてあげられるのが、母になる年齢を遅らせようとする女性の増加である。厚生省から最近出された数字が、その傾向を証明している。2009年には1158人の子供が生殖補助医療で生まれた。厚生省が調査を始めた2007年の802人から44%増加したことになる。また、生殖補助医療を利用した女性は2009年3271人と、2004年の1716人のほぼ倍に増えている。

生殖補助医療を利用する人の年齢が年々上がってきていることも分かっている。例えば、KK Women's and Children's Hospital (KKH) では、IVF患者の平均年齢が10年で20代後半から35歳に上がった。急増するART需要に応えるべく、国内には10施設の不妊治療センターがある。2010年11月にオープンしたばかりの新顔、Parkway East IVF centreの医師によると、このART需要の急増のカギとなるのが、キャリア志向の女性であるという。こうした女性は、結婚を、あるいは子供を持つのを遅らせる傾向にある。女性の年齢が上がるにつれて、妊娠率は下がってくる。出生率の低下にも、こうした社会的な理由が背景にある。Gleneagles IVF Centre の所長Christopher Chen医師は、長時間労働と度重なる出張といったストレスの多い生活のせいで、カップルは「子供を作る時間すらない」と言う。そうした多くのカップルにARTという手段が知られるようになったこと、また多くの人がART技術にオープンになってきたことが、不妊治療を盛んにしている。

近年導入された政府の助成金制度によっても、より多くの人々が生殖補助医療にアクセスしやすくなった。IVFの1サイクルは、公立病院で8000-11000ドル、私立病院で15000ドルである。政府は2008年8月に、条件を満たす患者に対し、3回まで、IVFとICSIの1サイクルにつき最大で3000ドルの助成を出すことにした。この治療は公立病院で行われる。

晩婚女性の窮状が政府の方針を変えたと、助成金制度を導入した前厚生大臣Khaw Boon Wan氏が2008年に語っている。彼はまた、この政府の立場の変化は、やみくもに子供を増やすことを夫婦に求めるという古い政策からの脱却であり、助成はシンガポールの子供不足を軽減する政策の一つであると話した。2008年8月のスタート時から2010年12月までに政府がARTに共同出資した金額は940万ドルになる。この制度で生まれた子供の数は619人になった。

国内最大の不妊治療施設を持つKKHの生殖医療部門のトップLoh Seong Feei医師によると、当病院でも、助成制度によりARTを求めるカップルが急増したという。助成制度の導入前にIVFあるいはICSI治療を行った女性の数は、2000年380人、2007年650人であった。これが2010年には1260人と、2007年のほぼ倍となった。これに対応するため、KKHでは人員、設備、診察室を増やした。

シンガポールでは、不妊治療専門医の育成、増加も進められている。現在、生殖補助医療の提供を厚生省に認められている産婦人科医は46人いる。2011年3月、アジア太平洋地域で初の不妊治療訓練センターがNational University Hospital (NUH) に発足した。このCentre for Reproductive Education and Specialist Training(Crest)は、「独立した専門の訓練施設で、きちんとした訓練を受けたいという要望」に応えるよう設置されたと、NUHの生殖内分泌と不妊治療部門の部長P.C. Wong教授は言う。世界中の先進国で、不妊治療は数百万ドルのビジネスになっている。

Fertility business booming in Singapore
[Health Xchange 23 l 07 l 2011]


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by technology0405 | 2011-08-30 12:03 | Countries | Comments(0)
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