人気ブログランキング |


2014年8月、タイで代理出産がらみの二つの外国人スキャンダルが明らかになった。

一つ目は、オーストラリア人依頼者による代理出産子の遺棄事件であり、二つ目は、富裕な日本人依頼者が代理出産で何人もの子どもを得ていたという事件である。後者は、一時は人身売買や臓器売買との関わりも疑われた。この事件をきっかけにタイの代理出産業界は大混乱に陥った。軍事政権による急な摘発を恐れて音信不通となったエージェントもあったという。混乱の渦中、妊娠した身体を抱えて依頼者が子どもをちゃんと引き取りにきてくれるかどうか、不安に駆られた代理母たちもいた(Elina Nilson)。

タイ政府は、2015年始めから外国人への代理出産を禁ずる法律を施行した(但し、国内向けには禁止されていない)。タイでは代理出産は仏教の善行を意味する言葉と結びつけられ、不妊で困っている人々を助ける善い行いであるという考え方もあったが、醜聞と違法化によって、ネガティブなイメージが付着することになった。

タイが商業的出産の舞台として、その幕を閉じようとしていたその時、タイで代理出産ビジネスを開始したエージェントA社がある。もともとIT関係の仕事をしていたという経営者は、タイを中心に、東南アジア諸国と幅広く取引があり、そのネットワークを代理出産サービスの提供にも生かしている。ゲイカップルを中心に年間100組くらいのクライアントを扱っているという。「自分は代理出産の依頼者ではないが、人々が遺伝的繋がりのある子どもを得ることは素晴らしいことだ、自分はその手助けをしたいと思っている」と、このビジネスを立ち上げた動機を語った。

タイで禁止の見通しが明らかになった直後から、急遽カンボジアに新たなクリニックが設立され、商業的代理出産の舞台はカンボジアに移った。移行期にはタイのクリニックに残された依頼者の受精卵をカンボジアまで運び、タイ人代理母がカンボジアのクリニックまで移動して移植が行われていた。その後、タイ政府の監視を避け、タイ人代理母の出産はカンボジアで行われることもあった。この結果、カンボジアで出生したタイ人代理母の子どもの出国手続きに依頼者が手間取り、数ヶ月もの滞在を余儀なくされた日本人依頼者のケースも確認されている。こうしたトラブルは事前に十分に予測されるものであったが、こうした無責任なエージェントは後を絶たない。

2013年、インドの市場が外国人に対し規制を強化したことによって、タイに矛先を変えたゲイカップルや白人の外国人依頼者がタイで急増し、卵子ドナーを南アフリカやイスラエル、東ヨーッパなど、遠方の国から調達してタイで採卵するという方法が常態化していた。このとき、代理出産のプロセスが一国で閉じることなく、断片化する端緒が拓かれていた。卵子ドナーのリクルート、採卵、代理母のリクルート、受精卵の作成、受精卵の選別、受精卵の移植、代理母の出産と子どもの出国手続き、これらは必ずしも同じ場所で行う必要がない。つまりは、これらを別々の国で行うことで断片化し、規制する側から見えなくする効果も期待できる。A社は、東南アジアでも(軍事政権後は厳格化したとはいえ)比較的自由な国際都市バンコクに本拠地を置くことで、東南アジア全体を視野に入れた代理出産サービスの司令塔の役割を果たしている。

バンコクに本部を置くA社ではタイでの規制強化後、カンボジアでの代理出産サービスの提供を主導してきた実績を持つ。海外の顧客から依頼を受け、クリニック、代理母の手配、子どもの出国に関わる書類手続きの援助を行う。実際には、カンボジア人代理母のリクルートや妊娠中のケアは現地の個人ブローカーが行っている。A社にも代理母を紹介していたというカンボジア人のブローカーB氏は、カンボジアでは外国人エージェントのために代理母をリクルートする彼のようなエージェントが数人はいるという。B氏によれば、その多くが男性である。というのも、代理母をリクルートするために田舎の方まで泊まりがけで行動することも多く、女性だとこの商売は難しいという。但し、実際の説得や出産時のつきそいなどは女性のスタッフに手伝ってもらうこともある。また、カンボジアでは子どもの売買は処罰の対象となっているが、代理母になる女性たちは体外受精の仕組みについて、どのくらい理解しているのだろうか。B氏は「どうせお金のためなのだから、そんなことは、理解していようがいまいが、彼女たちに関係がない」と、女性たちが自分たちが行っていることについて、詳しいことは理解していないとしても、それは大した問題ではないと断定した。カンボジアで代理母になるのは離婚した女性であり、自らの困窮に加え、親がつくった借金の肩代わりを求められている女性も多い。たしかに、B氏が言うように、依頼者の受精卵を使う代理出産の意味を彼女たちが理解しようがしまいが、女性たちの選択には何ら変わりはないのだろう。一般にカンボジアでは女性に対する道徳的縛りがきつく、結婚している女性が、夫以外の子どもを孕むことになる代理出産に従事する可能性はほとんどない。代理出産は、売買春と同じように特殊な女性しか手を出さないビジネスになっているため、代理母の供給には限界がある。体外受精は一般のカンボジア人には知られておらず、同じ仏教国でありながらも、タイとは異なり、代理出産はよい行いだという考え方は存在しない。

B氏は、外国人エージェントに代理母を紹介し、800ドルから1,000ドルくらいの仲介料を取っている。だが、現地のブローカーに対しきちんと謝礼を支払わない外国人エージェントもいるという。B氏のビジネスは、外国人に主導権を奪われるケースが多く、その分順調ではない面もある。また、カンボジア人代理母たちも、報酬として1万ドルもらえると聞いていても、実際には約束の金額をもらえないケースも少なくない。A氏によれば、そのようなケースで、怒った代理母が子どもを連れて逃げたトラブルがあったという。B氏は、自分のところでは、妊娠した代理母は、指定する部屋で生活を義務づけ、代理母が逃げないように誓約書で縛り、親戚などの居所もきちんと押さえておく、と付け足すのを忘れなかった。

カンボジアには、人身売買を処罰する法があり、カンボジア国籍を持つ日本人依頼者がタイで代理出産を依頼して十数人もの子どもを得ていた事件が人身売買との関連を疑われたこともあり、早い時期から商業的代理出産は人身売買であると政府から警告が発せられていた。カンボジアでの代理出産は早くからグレーゾーンに位置付けられ、そのことが、外国人依頼者の抑制にもつながっていたが、国内で代理出産の利用が難しい先進国の依頼者らが、グレーゾーンと知りつつも、カンボジアを訪れていた。その結果、生まれた子どものビザ取得や帰国問題に関し、各国の領事館などは、カンボジア側で準拠する法がなく対応に苦慮してきたと思われる。

こうした事態に対処するため、オーストラリア大使、ドイツ大使、フランス大使なども招き、2016年8月下旬、代理出産に関する政府会議が持たれ、本格的な法規制に向けて動き始めたことが報じられた(Cambodia Daily)。だが、肝心のカンボジア政府は「カンボジアでの代理出産の実態について、政府では何も把握していないし情報がない」(Ministry of Women's Affiare)という。一方、UNFPAのDr.Mark Derveeuw氏は、女性や子ども、依頼者を保護するために、外国人向けの商業的代理出産は禁止されるべきだが、カンボジア人は先端技術の恩恵を受けられるようにすべきだという。インドやタイ、ベトナムなどでも既に同じような趣旨の法整備がなされており、諸外国の意向も汲みつつ、カンボジアでも似たような規制が導入される可能性が高い。

バンコクのA社では、このような動きは既に読み込み済みであり、バックアッププランとして、ラオス(首都ビエンチャン、一人あたりGDP1,725ドル)、ミャンマー(首都ネーピードー・ 一人あたりGDP1,113ドル)での代理出産プログラムの構築が最終段階に入っている。これらの国々での代理母の手取りはタイやカンボジアよりももっと少ない。東南アジア諸国の養子法や国籍法、家族法など、関連する法律を常に調査しているが、だいたいどこの国も似たようなものだ、と経営者の男性は慣れた様子で言う。現地は、明文化された法よりも、人々の私的なつながりの中で賄賂と呼ばれる金銭が流通し、物事が曖昧に処理されていく社会である。そして、依頼者の母国側にしても、現地の領事館の協力がとれれば実際には手続きは容易だという。依頼者と子どもに対する人道的配慮を優先し、たとえ母国側では代理出産を禁止していても、代理出産子への母国への入国手続きについて、穏便に処理できるよう、協力する領事館は多いのだという。代理出産のプロセスは東南アジア諸国にちらばって断片化しており、タイ政府からはプロセスの全貌がつかめないようになっている。

これまで、筆者は多くの個人エージェントやタイ人代理母たちにインタビューを行ってきたが、その多くが違法になったことをきっかけにコンタクトを取ることが難しくなった。タイ政府の締め付けは功を奏している。しかし、それでも、依頼者がいるなら代理母にチャレンジしたいと積極的に売り込むタイ人女性もいた。エージェントを挟まず、依頼者と直接に取り決めるならビジネスにならず違法ではないと理解する女性もいる。皮肉なことに、連日のようにメディアを賑わしたスキャンダルをきっかけにそのようなビジネスの存在を知った女性も少なくない。妊娠出産は「母性」に基づく無償の行為だとされてきたが、いまや他者によって代替可能なものとなり、それもわずかな値段がつくだけのものに成り果ててしまった。違法だと知りつつ、それでも代理母に志願せざるを得ないタイ人女性は、最も困窮した人々である。その上、ラオスやミャンマーといった、もっと所得水準が低い国々の女性たちも代理母産業に参入しつつあり、妊娠出産の対価に下方圧力が掛かっている。2014年に出産したというタイ人代理母の中には10万バーツ(約27万円)しかもらっていないという女性もいた。上からの禁止命令と下からの価格競争にさらされたタイ人代理母は、多国籍化した代理出産ビジネスの末端に置かれ、容易に搾取されうる存在となっている。


Multinational surrogacy business among southeast Asian countries.

On Aug 2014, two surrogacy scandals in Thailand were reported worldwide through media. One case was entitled Baby Gammy scandal. Australian intended parents got twin through surrogacy, but abandoned the other baby boy because of his disability. Another case was that a Japanese single man asked surrogacy repeatedly and as a result he had more than a dozen of children. Human trafficking was suspected regarding the Japanese man’s case, but finally there was no evidence. Following these two scandals, The Thai government closed commercial surrogacy for foreign clients at the beginning of 2015.
However, the lucrative business is still ongoing in the area of southeast Asia. Soon after the scandals were disclosed, financed of the surrogacy industry discovered Cambodia as an alternative destination to Thailand. There is no regulation on assisted reproductive technology as well as IVF surrogacy in Cambodia. Hastily an IVF clinic was established in Cambodia, and embryos created and kept at an IVF clinic in Thailand were transferred to Cambodia. Embryos were transferred to Thai surrogates and then delivery was happened in Cambodia subsequently. There were no prior practices in Cambodia and therefore the problem of legal status was happened among resulted child. Some agents did not think sufficiently beforehand and as a result, Japanese clients got involved in such trouble as well.
Since many foreign clients, such as single and Western gay couples, were asking surrogacy in Thailand, they asked egg donor from south-Africa, Israel, eastern Europe. The Egg donor traveled to Thailand and the egg retrieval procedure was conducted there. Surrogacy process has thus been fragmented. Namely, surrogacy process was divided into egg donor from worldwide, surrogate mother recruited from emerging countries, embryo creating, embryo transfer, and delivery. Each procedure can happen in a different country.
One Surrogacy Agent A, who stared the business in Bangkok soon after the scandals happened in 2014, has adopted this scheme. Using this scheme, the company has managed the whole surrogacy process in Bangkok and sent Thai surrogates to Cambodia.
On Aug in 2016, local media reported that the government of Cambodia will create a law regarding surrogacy and they will have a meeting on this. The meeting will be attended by the Australian, German, and U.S. ambassadors in addition to the ministry of women’s affaire of Cambodia, the ministry of internal affaire of Cambodia and so on. It is assumed that the intended parents from these countries were facing immigration issues with their offspring in Cambodia and they need a law to resolve this problem. Dr. Mark Derveeuw, a representative of UNFPA, suggested that Cambodia should set up a law regulating surrogacy to protect the interested parties. His opinion is that commercial surrogacy for foreigners should be banned, but altruistic surrogacy between local people should be permissible. This rule is almost the same with other emerging countries such as India, Thailand and Vietnam, so it is very a very feasible option for Cambodia.
Sooner, Cambodia will soon close the door for foreigners, but there are already alternatives. An owner of surrogacy agency A, which is located in Bangkok and where surrogacy process is managed, has a plan to execute surrogacy in Laos and Myanmar. In both countries, there are many women who have been suffering from poverty and they can be prospective surrogates. Moreover, they might be paid less than Thai surrogates. There is no law regarding IVF surrogacy in both countries. The owner of agent A said the company has enough experience and achievements in this field already and they can deals with well. Moreover, the owner testified that if the local embassies are cooperative with intended parents, it is easier for the newborn baby to enter into the native country.
On the other hand, there are still Thai women who are willing to become a surrogate even after the prohibiting law was enacted. Ironically, some of them have learned about delivery with payment, by scandals which were disseminate though media. Formerly, women delivered the child altruistically because of the love. But now, pregnancy and childbirth is a labor for poor women with minimal payment. Therefore wealthy women can be exempted from the obligation of childbearing and they can have their own child without any physical burden.
Thai women who are willing to participate in surrogacy industry are very poor until now as well as under extremely difficult situation as then. They might be accused if the arrangement comes to light. It will become more risky, but they had no choice but to apply. Moreover, surrogate mother recruited from Laos and Myanmer will be forced to accept low payments due to poverty. Such extremely poor women are very vulnerable to exploitation even after the enforcement of statute law.


Key words: Cambodia, Thailand, Laos, Myanmer, Commercial Surrogacy


オーストラリア大使、代理母出産規制法の起草にカンボジア法務省へ協力の意向 (2016.08.03) Link

無規制の代理母出産、政府指針発表の予定―カンボジア女性省 (2016.08.27) Link

As Surrogacy Trade Grows, Government Charts Course (2016.08.26) Link





Acknowledgements:
Dr. Mark Derveeuw, representative of UNFPA in Cambodia (United Nations of Population Fund)
European Fertility Clinic
Angkor Clinic
First Fertility PGS Center Limited.
New Genetics Global Limited
Ministry of Women’s Affaire, Cambodia
Cambodia Daily




d0170396_129673.jpg



Ministry of Women's affaire, Cambodia

d0170396_1385344.jpg



Fertility Clinic of Cambodia

d0170396_1343229.jpg



UNFPA Cambodia

d0170396_1332930.jpg



バンコクの高層ビル

d0170396_1313964.jpg

マッサージをする女性


(C) Yuri Hibino 2016

by technology0405 | 2016-09-13 09:13 | field work | Comments(0)

2012年から2015年にかけて、代理出産ツーリズムの渡航先に大きな変化が見られた。
 
インドは2002年に商業的代理出産を合法化して以来、代理出産ツーリズムの中心地であったが、2012年に医療ビザ規制を導入したことにより、事態は急変した。依頼者の大部分がインドを去り、タイへと向かったのである。短期間で大量の依頼者を迎えることなったタイでは、法規制もない中、すぐに大きなトラブルが勃発した。メディアでも大きく報道された深刻なトラブルをきっかけに、タイは2015年初めに商業的代理出産を禁止した。

インドやタイに代わって渡航先として浮上したのが、ネパールやグルジア、メキシコ、カンボジアなどであった。これらの渡航先のうち、ネパールやメキシコでは2015年の末までに閉じられた。また、インドでも、2015年秋に外国人への代理出産の提供は一切禁止となった。残る選択肢として、東ヨーロッパ、グルジアやウクライナなどもあるが、これらの国では婚姻している男女カップルしか受け入れておらず、独身やゲイカップルは依頼することができない。非異性愛カップルは商業的代理出産の依頼者の一定割合を占めており、こうした依頼者の一部は、(リスクがあると知りつつも)カンボジアへと渡航している。

カンボジアでは、現在までに代理出産についての法律がない。その意味ではタイと環境が似ているが、しかし、現在、最もリスクが高い渡航先となっている。それは以下に述べるような事情がある。

カンボジアでは代理出産に関する法律がないだけでなく、体外受精などの技術はまだほとんど人々に知られていない。たとえ体外受精で他人の卵子を使っていたとしても、生まれた子どもは代理母の子どもとして登録される。体外受精クリニックがプノンペンに初めて設立されたのは、2014年9月のことであり、翌2015年に体外受精による初めての出産が成功を収めている。これには伏線がある。つまり、タイで代理出産がらみの大きなスキャンダルが勃発したのが2014年8月、その後すぐにタイ政府が代理出産を禁止するとの見通しが明らかとなった時期であり、この時すでに、カンボジアがポストタイの有力な移転先となっていたということである。

タイで代理出産が禁止される見通しとなり、タイのクリニックで保管されている受精卵をどうするかが、依頼者にとって愁眉の問題となった。急ぎ受精卵をタイ国外に出すことが安全策として求められ、近隣のカンボジアへと移送されることになった。それとともに、代理母への移植もまた、カンボジアのクリニックで行われることになった。そして、これまで多くのタイ人代理母が送り込まれ、受精卵の移植を受け、たいに戻っていった。だが、カンボジア政府がこうした動きを察知するのは早かった。2014年11月には、商業的代理出産は違法であるとの見通しがカンボジア政府によって示されたのである。カンボジア政府の警告を受け、カンボジアで代理出産を依頼しようとする母国人に対し、カンボジアでの代理出産の依頼を取りやめるよう、オーストラリアや英国の当局によってガイダンスがなされた。当初、代理出産の禁止を目前にタイが大混乱に陥っている最中でもあり、十分に考える時間もないまま、カンボジアで代理出産を行った依頼者も少なからず存在しただろう。その後、タイ人代理母のみならず、カンボジア人女性や近隣の貧しい国々から代理母を連れてきて、カンボジアのクリニックで移植するという形で、代理出産が行われている。

タイでの商業的代理出産は2015年1月をもって正式に閉じられることになり、2015年3月には代理出産ツーリズムの大手であるNew Life Global Networkがカンボジアに支店を開いた。New Lifeでは、カンボジアでは代理出産そのものを禁止する法律がないことや、父親と母親と子どもに対し同等の権利を持つという既存の条文を根拠に、実施可能であると見なしているが、現地ではたびたびカンボジア当局による調査が行われたとみられる。New Lifeは、その度に賄賂を支払い、追及を逃れてきたものと思われる。

 タイのオルタナティブとして見いだされたカンボジアだが、きわめてリスクが高い状況となっている。既に日本の複数のエージェントが、カンボジアに日本人依頼者を送り込んでいる。しかしこれは後先を考えない危険な行為である。人身売買は刑法により禁止されており、商業的代理出産はまさに人身売買にあたるというのがカンボジア政府の公式見解である。こうした警告を無視し、あるいは既存の別の法を都合良く解釈することによって、New Lifeを始めとするエージェントは独自の見解によってカンボジアでの代理出産は違法ではないと判断し、依頼者を送り続けている。

カンボジアは後発開発途上国であり、貧しい女性や子どもが売春を始めとする人身売買の犠牲となっている現実がある。先進国からの援助を受けた人権団体も活発に活動を行っており、 女性や子供の人権が絡む違反行為に対し、政府も厳しい姿勢をとっている。カンボジアでは、離婚した女性などが代理母となることが多い。代理出産で産まれてきた子どもは、代理母の子どもである。したがって、子どもはカンボジア国籍を有する。生まれたばかりの乳児を母親の手から引き離し、外国人依頼者が国外に連れ出すことができるのか、カンボジア当局が許可を出すのかどうか。代理出産が疑われる場合、子どもの連れ出しにはストップがかかる可能性が高い。この結果、カンボジア人代理母から生まれた子どもが、カンボジアを出国できない可能性は十分にある。日本のエージェントは、事前に十分に調査することなく、日本人依頼者を送り込んでおり、その結果、帰国困難となれば必然的に乳幼児を抱えた状態で長期滞在を強いられ、打開策がなければ国際的な問題にまで発展する可能性がある。

一方、カンボジアは国籍ですらお金で買うことができるという金持ち優遇の賄賂社会でもあるため、関係者に対して多大な賄賂を支払うことで解決策を見いだせる可能性はある。たとえ自力で解決できたとしても、長期滞在を余儀なくされれば、依頼者は、精神的にも追いつめられ、時間もお金も浪費することになる。このように、カンボジアは最もリスクが高い渡航先となっているにも関わらず、エージェントらは、こうした事実を伏せて、あるいは自らのビジネスにとって都合が良い解釈だけを提示し、依頼者を送り込み続けている。そのリスクや結果を引き受けるのは、決してエージェントではないことに留意が必要である。
 
※この記事は第23回ファイザーヘルスリサーチ振興財団研究助成によるものです。

Link
Nacelle Dickinson Stop8: Cambodia

Surrogacy in Cambodia

'Somebody has to be the icebreaker': Aussies seeking babies turn to Cambodia

Gov’t to Crack Down on Surrogacy Clinics

The billion dollar babies

Australian Embassy Cambodia

Paid Surrogacy to be declared "Human Trafficking' in Cambodia

d0170396_21181271.jpg
 


d0170396_21415921.jpg

by technology0405 | 2016-04-08 10:44 | Discussion | Comments(0)

カンボジア調査報告

カンボジアは人口約1,500万人、一人あたりのGDPが1,000ドルほどという「アジアの最貧国」の一つである。しかし首都プノンペンでは、瀟洒な門構えの邸宅が立ち並び、高級車の姿も目につく。政治家、高級官僚、国内外の事業家などの富裕層である。
 東南アジアの中進国、タイで2015年に商業的代理出産が禁止され、行き先に困ったエージェントの次の標的になったのがカンボジアであった。カンボジアでは、2014年9月に初めてのIVFクリニックが設立されたばかりである。体外受精はこの国にとって全く新しい技術であり、当然ながら法規制も全く存在しない。急遽、タイのクリニックに保管されていた受精卵を移動し、タイ人やカンボジア人代理母への移植がカンボジアのクリニックで行われてきた。New Lifeがカンボジアに支店をひらいた2015年3月以降、これまで100組以上が移植を行ったのではないかといわれている。
 カンボジアでは人身売買は厳しい処罰をもって禁止されている。商業的代理出産は人身売買として処罰されるという警告が、カンボジア当局からオーストラリア政府などに向けて発せられている。既に何人かのカンボジア人代理母が妊娠していると思われるが、出産を迎えた代理母はいない。カンボジア人代理母が出産後、依頼者はどのようにして子どもを母国に連れてかえることができるのか、法的手続きがスムースに運ぶかどうかは未知数である。このため、カンボジアはリスクが高い渡航先となっている。その後、タイに続いて、2015年10月にネパールでの代理出産の道が閉ざされたことにより、安価な渡航先の選択肢が限られてきており、リスクを犯してでも代理出産を依頼しようとするクライントはいる。世界的な代理出産エージェントのNew Lifeはカンボジアに支店を開いたものの、その場所は点々と移動している。New Lifeはゲイカップルを始め、数組のクライアントをまとめて送ってくるため、現地の人々の目につきやすい。このため既に警察から目をつけられており、度々事務所に踏み込まれ、賄賂を要求されるいといった事態が生じている。こうした警察による介入が、個々の依頼者に対して行われないとの保証はない。ただし、たとえ何らかのトラブルに巻き込まれたとしても、カンボジアに蔓延する拝金主義と政治的腐敗が代理出産の依頼者にとって有利に働くことは容易に想像できる。
 カンボジアで代理母のリクルートにかかわるエージェントの男性は、元々は政府の貿易関係の機関で働いていたという。タイ人の友人から代理出産について聞いたときは「驚いた」という。現在、前職を辞め、この仕事をやっている。このエージェントでは、代理母をリクルートし海外のエージェントに紹介するまでが仕事である。代理母の紹介一人につき、400〜700ドルが彼らの報酬になる。紹介した後のことは、このエージェントは一切、関与しない。
 代理母となる女性は知り合いなどのつてをたどって、口コミで探していく。男性が誘うと女性から警戒される可能性があるのではないかとの質問に対し、「代理母になれる女性を探しているので知り合いを紹介してほしい」という言い方をするという。そうすれば「自分がやりたい」と言ってくるのだという。代理母は、離婚した35歳までの女性で、酒、タバコをやらないこと、借金がないことが条件となっている。女性には技術を使って妊娠することや依頼者の精子や卵子を使っているので子どもは遺伝的関係がないことなど、一通り説明するという。また、お金をもらってやっていることは公言しないよう女性に指導しているという。金銭が絡むと人身売買として処罰される可能性があるからである。
 代理母候補の女性(35歳)は、プノンペン郊外の出身。離婚して3歳の息子がいるが、離婚した夫に引き取られ、今は親と一緒に住んでいるという。工場で働き、1ヶ月200ドルの給料を得ている。前の結婚でひどい目にあったので、もう結婚はしたくないという(カンボジアでは離婚した女性が再婚できる可能性は極めて低い)。代理出産の仕事のことを聞いたとき、彼女は「嬉しかった」といい、それまで暗かった顔はぱっと明るくなった。代理出産の報酬は1万ドルである。つまりは、彼女の月給の50倍にあたる。妊娠に成功したら毎月500ドルを受け取り、最後に残りの5,500ドルを受け取ることになっている。エージェントの男性によれば、夫がいる女性のお腹が大きくなれば周りの住人は不審に思うかもしれないが、離婚した女性の大変さをわかっているので見て見ぬ振りをしてくれることもあるという。女性によれば、代理出産をやるとき、使うのは他人の精子でも卵子でも、自分の卵子でも、「何でもいい」。また、2回目も乞われれば是非やりたいという。エージェントの男性は、「皆貧しくて、お金のことで頭が一杯なのでそれ以外のことは何も考えていない」と口を挟んだ。
 お金のためだからという女性に対し、スタッフの女性は、「自分の子どもを売ることと代理出産とは違うと思う。やはり自分の子どもを売るのは悪いと思うから」と自分の見解を述べた。日常生活の厳しさからお金のためにはどんな要求にも応じざるを得ない女性がいる一方、その行為のよし悪しを論じるのは、相対的に恵まれた立場の人間である。
 エージェントの男性によれば、卵子提供は2,000ドルでできるという。そのうち、卵子ドナーの女性が受け取るのは400-500ドルほどだという。卵子ドナーには容姿端麗さが求められるため、リクルートがよほど難しい。そのような女性はお金に困っている可能性が少なく、卵子ドナーにはならないだろうからである。つまりは、代理母のほうがはるかに簡単にリクルートできる。卵子ドナーとなる女性は、代理母になる女性と同様、卵子を提供するからといって、そのことで躊躇したり、思い悩むということはない。あくまでもお金が欲しいと考えているだけだとスタッフは証言する。
 カンボジアの一般庶民の間では体外受精は一般的ではない。夫婦にとって子どもは必要だと考えられているが、血縁上の繋がりが最重要とは考えられていないようだ。夫婦の間で子どもが得られない場合、施設から子どもをもらうことが一般に行われている。あるカンボジア人夫婦(妻31、夫33歳)は、夫が事故で精子を作る能力がなくなり、施設から子どももらったという。それ以来、夫は働いていない。妻が美容院をやって月150ドルほど稼いでいる。精子提供という方法について妻はどこかで聞いたことがあったが、具体的に検討したことはなかったという。その理由は、高いというイメージがあることや、お金目的で貧しい男性が提供した精子なので、その質に疑問があること、また、他人の精子をもらうことに対して夫が反対したからだという。生まれてすぐの女児をもらい、産んだ女性には一度も会っていない。また子どもの役所への届けは夫婦の名前で行い、産みの親の名前はどこにも記載されていない。このような方法は、カンボジアの法律に正式に則ったものではないと思われるが、一般的に行われているという。このプロセスは200〜300ドルほどでできる。子どもには、夫婦の遺伝的子どもではないことは伝えないつもりだ。近所の人は皆事実を知っていて、子どもに話す可能性があるが、それでも子どもに対しては認めなければ問題ないと考えている。血液型などは合わせていないが、カンボジアで血液型を調べることはまれである。2人目も欲しいという。子どもを貰いうけた夫婦にとっては、産みの親の情報が子どもにとって重要だとは考えられていない。また、産みの親が子どもを手放す理由やその切実さについても生活感覚として十分に理解しているため、産みの親が子どもに対し何らかの思いを残しているとは考えられていない。 
 タイが選択肢から消えた後、カンボジアで密かに代理出産が行われているのは事実だが、まだ大きな社会問題にはなっていない。ある女性団体の代表によれば、外国人がカンボジア人女性の身体を使うことや代理出産には反対の立場だが、何かトラブルがない限り動きがとれない状況だという。カンボジアでは貧困を背景として、売春や児童売買、人身売買が活発に行われており、先進国から援助を受けたフェミニスト団体が女性や子どもの人権について活発に活動している。代理出産は、たとえ依頼者の精子や卵子を用いていたと主張しても、現象面として商業的に行われるなら、人身売買と同等のものだというカンボジア政府の認識が実現に移される日が来る可能性がある。商業的形態をとる代理出産が、それとして禁止される日も近いかもしれない。

Acknowledgements
Ms. Ros Sopheap, executive director of Gender and Development for Cambodia.

Link

カンボジア

d0170396_10231523.jpg
d0170396_10224914.jpg

d0170396_1202612.jpg

d0170396_1023441.jpg

by technology0405 | 2015-11-25 15:55 | field work | Comments(0)

人道的代理出産の行方

ベトナムでは2015年1月から親族間の利他的代理出産が合法化された。3月から施行され、ハノイ産科病院、フエ中央産科病院、トゥズー産科病院の国内三カ所の病院で実施されている。国内では代理出産への旺盛な需要を背景に、水面下で商業的代理出産が行われてきたことは政府当局も把握してきたが、違法代理出産をなくし、政府の監視のもとで実施することが可能になる。
 法施行以前からハノイで代理出産ビジネスを実施していた仲介業者Hさんは次のように述べた。「合法化されてからビジネスがやりやすくなった。米国在住のベトナム人が依頼してきている。ベトナムで合法化されたという噂を聞いてやって来たようだ」。ベトナムで合法化されたのは三親等以内の親族による非商業的代理出産だが、細かな条件については国民の間でほとんど知られていない。
 3月以降、代理出産の希望者からの申請書が出されている。ハノイ産科病院の医師によれば、合法以降、約40件の申請がなされており、既に約20件を実施した。その結果、10〜12人が妊娠に成功したという。医師は、親戚だけしか代理母になれないのは狭すぎると考えているという。このため、「依頼者と代理母が3親等以内の親戚にあたるかどうか、書類で確認するだけ。書類が整っていたらこちらとしては受付をする。ベトナムでは子どもはどうしても必要なので」と暗に非親族でもかまわないと匂わせる発言をした。仲介業者のHさんによれば、「合法化されてから依頼者は増えており、親族だという書類を偽造して病院に提出している」という。ベトナムで代理出産は子どもができない夫婦にとって必要な手段だと認められているが、親族内で協力者を見つけられる人々はごく僅かであり、多くの人々が、合法化以前から存在するビジネスルートに頼っているのが現状であるようだ。そして、合法化されたという政府のお墨付きによって、希望者は以前にも増して増えている。先述の医師は、親族間代理出産と非親族間代理出産を厳格に区別するそぶりが見られなかった。
 ホーチミン市のトゥズー産科病院では、体外受精は年間3,500サイクルほど実施されている。IUIは年間3,000サイクルだという。また、卵子提供は年間800サイクル行われている。卵子提供は体外受精の2割強を占めており、卵子提供は親族でも非親族でも、患者が自分でドナーを連れてくれば実施可能で、簡単に行われている。患者とドナーの間で金銭のやりとりが交わされていたとしても病院は関知しない。トゥズー病院でも、3月から代理出産の受付を開始しており、20-30件ほどの申請があったという。そのうち、書類で適格と審査されたのは7件のみで、1例が現在妊娠中だという。申請が多い理由は、「代理出産ができる条件について、国民がよくわかっていない。非親族なのに応募してくることもある」からだと医師は指摘した。
 ベトナム国内で代理出産ビジネスが国民の目にとまり始めたのは2010年頃からではないかと、Than Nien紙の新聞記者Aさんはいう。以来Aさんは代理出産の取材をしているが、「2015年にベトナムで人道的代理出産が合法化されたのには正直驚いている。女性は自分で産むことが大事で、母と子どもの結びつきは特別なものと考えられているので」。だが、代理出産の取材をしてきたAさんですら、「代理母になる女性は、お金目的がほとんど。子どもとの関係を深く考える女性はいないと思う。依頼者も、自分で生めるのに生みたくないという女性もいる。代理出産で生まれてきた子どもに対しては、何か普通の子どもではないように感じられる」と、代理出産の依頼者、代理母、子どもに対する偏見も覗かせた。「国民はまだ代理出産についてよく理解していない」。たとえ政府が人道的代理出産を合法化しても、ほとんど意味がなく、ビジネスで行われる代理出産がなくなることはないと考えている。「親族という近い関係でも代理母を依頼するのはやはり難しい。協力すると返事をしても実際にはやらないかもしれない。お金を払って知らない人にやってもらうのが一番簡単だと思う」とAさんはその理由を述べた。
 ホーチミン市で仲介業者をやるTさんは、「1月以降、7人の代理母が妊娠に成功している。最近はタイでも厳しくなったようで、タイで受精卵を作ってそれをカンボジアに輸送し、カンボジアで代理母に移植するということもやっている。タイでも親戚同士だと書類を偽造すればできる」という。非親族の代理出産は違法だと知っているが、「もし公安にバレても、親戚ではどうしても見つけることができなかった、と言い訳をすれば許してくれると思う」と自説を述べた。Tさんが言うとおりになるかどうかはわからないが、ベトナムでは、子どもがいない夫婦は社会からの同情を得ることが容易である。それと同時に、依頼者は富裕な人々であり、「お金持ちであれば法律は関係ない。お金持ちには依頼する権利がある」と拝金主義的な考え方も伺われた。
 一方、子どもが欲しい夫婦への子どもの売買も、依然として行われている。「9ヶ月の子どもがいる女性。男性に捨てられた。自分の仕事もしなければならず、子どもが負担だから、子どもを売りたいと言っている」「もし代理母を雇えば、9ヶ月間やきもきして、ずっと苦労する。それに、必ずできるとは限らない。それよりも、もうできた子どもをもらえば一番早いし、一番安全な方法だ」と仲介する男性はそのメリットを強調した。
 ホーチミン在住で妊娠初期の双子を孕んでいる代理母は、子どもを売る女性に対し「子どもを売る母親のことを自分は理解できない。どうして自分の子どもなのに売るのか。代理出産は違う。自分の子どもではないから。依頼者に渡しても仕方がない。代理出産の目的は経済的なことなので。子どもの売買とは全然違うことだと思う」と、代理出産を正当化するための自説を述べた。
 ベトナムで親族間の代理出産が合法化されてまだ間がない。国民に代理出産が合法化されたことは知られていても、代理出産が許可される条件については知られていない。親族かそうでないかの確認は書類を通じてなされ、書類の偽造は容易であり、不妊者への同情心から故意に見逃されている。親族間の代理出産が限定的に合法化されただけだが、実際にはあらゆる形態の代理出産が是認されつつあるようだ。とはいえ政府もそのような動きは把握しており、保健省の職員は、「商業化しないよう、依頼者と代理母が三親等かどうか慎重に確認する必要があると思っている」と述べた。代理母は親族か非親族か、お金が絡むのか、絡まないのか、線引きは限りなく曖昧化されてきている。そこに、政府が介入し、手綱を締める用意はある。だがむしろ、ベトナム政府の意図として、親族間での代理出産合法化において最も重要な線引きは、外国人による代理出産の利用を排除することであるという見方もできる。そうであるなら、現在の規制は十分機能しているといえるだろう。

ポスト・タイの代理出産の受け入れ先

 カンボジアでは2014年9月に初の体外受精クリニック(Fertility Clinic of Cambodia)が設立された。これまで200サイクルほどが実施されたという。6月に初めての体外受精児が誕生している。また先述のように隣国ベトナムとの行き来も盛んである。これまで、カンボジアの富裕層は隣国ベトナムやタイ、シンガポールなどで体外受精を受けることを余儀なくされていたが、国内で治療を受けられる環境が整ったことになる。カンボジアでは生殖補助医療や代理出産に関する法律はない。代理出産の規制強化がなされたタイから凍結受精卵が送付され、タイ人代理母に移植することも行われているようである。また、このクリニックではゲイカップルでも代理出産を依頼できるという。代理母のリクルートや管理は、ジョージアに本部があるエージェントが行っている。
 代理出産以外にも、産科病院では、子どもを生んでも育てられない女性から乳児を貰い受けることは容易である。中絶は妊娠12週までしか認められていない(それ以降は闇中絶に頼ることになる)。出生証明書を養親の名前に書き換えることや養子縁組も可能である。国際養子縁組は合法化されている。さらには、代理出産に類似した別の方法もある。子どもが欲しい依頼者がカンボジア女性との間に子どもを作り、いったん結婚した後は離婚し、子どもだけを母国に連れて帰るのだという。そのようにすれば、「自分の子ども」を合法的に手に入れることができる。このような方法が以前は行われていたという。体外受精が普及すれば別の方法にとって代わられる可能性もある。カンボジアでは、代理出産に関する法律がないため、代理母が母親になる。出産後、依頼者は子どもを母国に連れてかえるため、何らかの法的手段を採る必要がある。
 カンボジアでは体外受精技術が導入されたばかりであるが、既に、世界的に行き場を失いつつある生殖ツーリズムのホスト国の一つとして、ありあまる代理出産需要を満たすための拠点の一つとなりつつあることが伺えた。一方、カンボジアでは人身売買などに関して人権団体の発言力も少なくないため、これらの団体が代理出産に対し、どのような見解を示すかが注目される。海外から利用する動きが活発化すれば、規制導入に向けた動きが取られる可能性もある。


Acknowledgements
Reproductive Health Association of Cambodia
Ms. Seng Theany, Patient coordinator, Fertility Clinic of Cambodia
Than Nien紙
Prof. Nguyen Van Cu, Hanoi Law University
Dr.Le Thi Minh Chau, Tu Du Obstertic Hospital.
Dr. Ho Sy Hung, Hanoi Obstetric Hospital.
Dr. Nguyen Huy Quang, Ministry of Health, Vietnam
Dr. Nguyen Viet Tien, Ministry of Health, Vietnam



d0170396_21365368.jpg

ハノイ産科病院

d0170396_21324284.jpg

ハノイ産科病院

d0170396_21301748.jpg

Ngoc Lan 病院 (ホーチミン)

d0170396_14385576.jpg

Fertility Clinic of Cambodia

d0170396_14383044.jpg

Fertility Clinic of Cambodia

d0170396_14454671.jpg

助産院(プノンペン市内)

d0170396_2127444.jpg

市場(ハノイ)

d0170396_21351860.jpg

漬け物(ハノイ)
by technology0405 | 2015-08-30 21:27 | field work | Comments(0)

2012年初めにプノンペン(カンボジアの首都)にオープンしたDr Sean Sokteangのクリニックには、670組のカップルが患者として登録されている。このクリニックは、カンボジアで初にして唯一の、不妊治療を提供するクリニックである。

患者の一人で、2年間の不妊に悩むDavidも、タイでの治療に失敗したあと、このクリニックでIUI(人工受精)を受け、2ヶ月後に妻が妊娠した。「子供がいないことを恥ずかしいことだとは思っていないが、周囲に子供のことを聞かれ続けてうんざりした。」とDavidは言う。

カンボジアの不妊について統計はとられていない。Sokteang医師は「カンボジアにも世界の他の国と同様に不妊の問題は存在する。しかし、医療へのアクセスや健康問題に対する意識が低いため、不妊カップルの多くが誰にも相談せず苦しんでいる。コンドームの使用を促進する活動は盛んだが、妊娠を望む人々に対する援助はない。」と語る。

Sokteang医師は、国内の不妊治療に自分の使命を見出している。彼女は、2014年初めに国内初のIVFとARTを提供したいと考えている。現在クリニックではIUI(人工受精)をタイ・ベトナムの半額で提供しており、IVFはシンガポールの4分の1の値段で提供するつもりだという。
「IVFを提供してカンボジア人を助けるというのは私たちにとって当然の次段階。もう、不妊治療のために外国にまでわざわざ大変な思いをしに行かなくてもいい。」
彼女のクリニックでは、これまでに130組のカップルが妊娠した。
「誰にでも子供を持つ権利がある。しかし、技術による後押しが必要な人もいる。」

Help on hand
By Charlie Lancaster
[Southeast Asia GLOBE, June 24, 2013]

PRO IVF Center
カンボジア人向けのエージェンシー。タイでの治療をアシストする。

Copyright(C) 2011 SGRH. All Rights Reserved.
by technology0405 | 2013-09-30 16:05 | Countries | Comments(0)
各国のARTに関する資料や記事を集めています (※ このブログに書かれている情報の信ぴょう性は各自でご判断ください)