人気ブログランキング |

Whittaker 論文

タイの家父長制における取引と生殖補助医療
Patriarchal Bargains and Assisted Reproductive Treatment in Thailand
Andrea Whittaker
Gender, Technology and Development, 2014 vol. 18 no. 1 9-31

タイのART利用が、家父長制における不平等の再定義、再生産につながっている。タイ特有のジェンダー化された力関係の中で、女性たちはARTを利用する。この状況を分析する手段として「家父長制における取引(patriarchal bargain)」という概念を使用した。本論文は、公立クリニック2施設と私立クリニック3施設で行なわれた民族学的調査に基づく。タイのARTに関わった女性31人、男性13人、スタッフ6人のインタビューが分析されている。

なぜIVFを行なったかという問いに対しては、タイが男系社会であること、結婚が不安定化することへの懸念が重要な動機として挙がった。女性たちは、IVFを受けさせようとするあからさまな圧力があると語った。意に反してIVFを受けた女性もいた。

治療自体が夫婦の力関係をより家父長的な支配に向かわせるのと同様、IVFを実施するプロセス自体が、生活の安定を求める女性に更なる譲歩を強いている。ARTは、女性に妊娠を強要するタイ社会の家父長的規範を強化するだけでなく、新しい形態の服従を女性に強いる。様々な文化背景におけるART利用とジェンダー関係について、より詳細な研究が必要である。

Cross-border assisted reproduction care in Asia: implications for access, equity and regulations.
Whittaker, Andrea
Reproductive Health Matters. 2011 May;19(37):107-16. doi: 10.1016/S0968-8080(11)37575-1

アジア諸国における生殖補助医療の規制―インド及びタイの規制制度を中心に―
社会労働調査室  三輪和宏
国立国会図書館調査及び立法考査局 レファレンス2013年4月号

Copyright(C) 2010 SGRH. All Rights Reserved.
by technology0405 | 2014-02-21 15:17 | Countries | Comments(0)

西欧諸国でIVF市場が円熟期を迎えた今、民間企業は先を争って、成長するアジア市場に進出しようとしている。

人口成長の停滞を打破したい韓国やシンガポールをはじめとするアジア各国の政府は、IVFの助成金を気前よく出す傾向にある。
2013年1月、出生率1.29のシンガポールは、IVFの助成を75%にまで引き上げた。
出生率1.15の韓国は、2006年から2010年で、不妊治療助成事業に180億USドルを投入した。
体外受精児の割合が1998年から2010年で0.9%から2.5%に跳ね上がった台湾でも、2010年以降、IVF助成金の導入が検討されている。

この助成金を追い風にしようと、不妊治療病院を経営する世界中の企業がアジア進出を計画している。オーストラリアのVirtus Health Ltdは、今最もアジア進出に意欲を見せている会社である。
アジアの少子化が、不妊治療に携わる海外企業の進出を招いている。

Asia's low fertility trap opens opportunities in IVF market
By Jane Wardell and Jackie Range
[REUTERS, Jun 13, 2013]

Asia's low fertility trap opens opportunities in IVF market
by Reuters
[ FZ.com, Jun 13, 2013]
出生率比較

Read more: http://www.fz.com/content/asias-low-fertility-trap-opens-opportunities-ivf-market#ixzz2h5V1YXHd

IVF grows in Asia with government subsidies
Xavier Symons
[Bio Edge, 23 Jun 2013 ]

Taiwan Weighs Subsidized IVF to Boost Birth Rate
[Want China Times, 2010-10-03 ]

Taiwan Gov't mulls subsidizing IVF to boost birth rate
[Oct 04, 2010, The China Post]

Higher subsidies for fertility treatments
By Tham Yuen-c
[Jan 24, 2013 The Straits Times]

Copyright(C) 2010 SGRH. All Rights Reserved.
by technology0405 | 2013-07-10 12:04 | Countries | Comments(0)

2007年6月、台湾衛生省がまとめた新法案「人工生殖法」が、行政院(台湾の最高行政機関)によって正式に承認され、成立するに至った。この新法は、精子/卵子提供者に支払われる謝礼、いわゆる「栄養費」を認めている。つまり、ヒト配偶子の「商業化」に合法的な裏付けを与える可能性がある法律であるということだ。規定では、卵子ドナーはNT$50.000-100,000(US$1500-3000)の栄養費を受け取ることができる(精子提供はNT$4,000-NT$8,000)が、その卵子で子供が一人でも生まれたら、それ以降提供することは一切できない。逆に、卵子で子供が生まれない限り、提供回数に制限はなく、何度でも提供することができる。

新法の成立は、台湾の深刻な精子/卵子不足を動機とする。衛生省によると、総人口約2300万人の台湾で、精子/卵子提供は年に約300例しか実施されていない。欧米の生活水準からすると、卵子提供者への報酬NT$50,000-100,000は一見低いようにみえる。例えばアメリカでは、卵子提供者は1サイクルに付きUS$5000の補償をもらうのが普通である。しかしながら台湾は、多くの欧米諸国と比べ、物価もサービス料もかなり安いことに留意しなければならない。またニュー台湾ドルは、台湾製品の輸出を促進する目的で、外国為替市場ではわざと低めの評価がつけられている。購買力平価に直すと、台湾のNT$50,000-100,000はアメリカのUS$3000-6000に匹敵する。これは、若い女性、特に学費の支払いを抱えた大学生にとって、十分に実入りが良い金額であると思われる。では、台湾が卵子提供者の金銭的報酬を合法化したことによって、東アジア地域の生殖ツーリズムにどういった影響があるか。まずは、台湾近隣の東アジア諸国の現状をおさえる必要がある。

中国本土では、不妊患者ではない女性からの卵子提供自体が禁止されており、一般女性に報酬を払って卵子提供者になってもらうことはできない。提供卵子を入手するには、治療を受けている他の不妊カップルに報酬を払い、エッグシェアリングするしか方法はない。卵胞刺激ホルモン剤による排卵誘発は過度の排卵を引き起こすので、その結果生まれた余剰卵子は、不妊治療の無料化あるいは値引きと引き換えに、他の患者と共有することができる。しかし、ほとんどの不妊カップルは(医療費の支払いが難しいカップルでさえ)他のカップルに自分たちの卵子を分けることを極端に嫌がる。当然のことながら、自分たちの子供を作ろうという時に、知らないところで自分たちの子供ができるかも知れないと考えるのは不安なことである。不妊患者以外による卵子提供を認めないこうした法律が、中国本土での深刻な卵子不足を引き起こしている。中国本土のカップルが台湾に卵子提供を求めてやって来ることは十分に考えられる。

中国の特別行政区である香港やマカオでも、不妊カップルが提供卵子を入手するのは困難である。2007年現在、マカオには不妊治療を提供する病院やクリニックがない。また香港は、提供者に対するいかなる金銭的償還/補償も直接経費に厳しく基づいており、卵子提供者になるインセンティブがない。2002年の「生殖科技及び胚胎研究実務規則」4条14項には、配偶子や胚の提供は無償提供とすること、提供者への経費の払い戻しが認められるのは①配偶子・胚の採取、輸送、保管にかかった費用、②提供者の逸失利益、のみであることが明記されている。こうした経費や逸失利益の還付を提供者が要求する場合、請求書、領収書、銀行の収支報告書、給料明細書など証拠となるものを提供者自身が用意せねばならず、その還付額にも法的上限が付けられている。例えば、逸失利益はHK$380(US$48)まで、旅費は一律HK$300(US$38)などである。当然、香港ではこうした規制によって卵子提供者になろうとする者は少なく、卵子は不足している。

日本ではガイドラインによって、あらゆる状況下での卵子提供が禁じられている。韓国では卵子提供は認められているものの、提供者への償還/補償に対して非常に厳しい制限がある。2005年に施行された「生命倫理法」は、卵子提供者への支払いを全面的に禁じている。違反者は2年以下の懲役または3000万ウォン(US$30,000)以下の罰金を科せられる(2008年法改正によって宿泊費・交通費など実費に限り支払いが認められるようになった)。ファン氏とその同僚が起こしたスキャンダル(卵子提供における倫理問題とデータの捏造)の影響で、韓国の議員や一般大衆は、卵子提供の過度の誘引となりうる金銭的報酬を容認する空気にはなっていない。

従って、東アジアでは唯一台湾だけが、卵子提供に対する高額の金銭的報酬を認めている。これは、似通った人種的、身体的特徴を持つ東アジア諸国(中国、台湾、香港、マカオ、韓国、日本)からの生殖ツーリズムが加速する可能性を示唆している。台湾の新法は、外国人への卵子提供、あるいは外国人からの卵子提供に関して特に対応していないため、そこが法の抜け穴になる可能性がある。例えば、前述したように、卵子提供者は、自分が提供した卵子によって子供が一人でも生まれた場合、それ以上の提供は禁じられている。しかし、外国人レシピエントが台湾での治療後に母国へ帰ってしまったら、子供が生まれたかどうかを確かめることは困難である。

さらに懸念されるのは、外国人ドナーが台湾で卵子提供するケースである。台湾の高額なドナー報酬は、貧しい発展途上国、特にベトナムやタイ、フィリピンの女性にとって魅力的である。台湾は、売春婦貿易の中継地点であるだけでなく、低所得男性向けの花嫁(メール・オーダー・ブライド)になる東南アジア女性を人身売買する取引場所ともなっており、近年、悪評価を受けている。従って、外国人女性が台湾で卵子提供目的に搾取されるというのは、現実的な危険なのである。例えば日本人患者がベトナム人ドナーの卵子を買うといった場合に、台湾の不妊クリニックが、裕福な外国人と貧しい外国人の卵子提供の仲介場所となる、という筋書きが考えられる。

Taiwan (Republic of China) legitimizes substantial financial remuneration of egg donors: implications for reproductive tourism in East Asia
Boom Chin Heng
Expert Rev. Obstet. Gynecol. 2(5), 545-547 (2007)

New rules legitimize pay for egg, sperm donors
[The China Post, May 11, 2007]

Copyright(C) 2011 SGRH. All Rights Reserved.
by technology0405 | 2013-04-16 15:13 | Comments(0)

胎児売買の規制の難しさ

乳児に対する需要の動機は様々である。主な動機としては、売春その他の性的搾取、奴隷あるいは奴隷に近い形での強制労働、不法な国際養子縁組、臓器の取り出し(臓器移植のためではなく強壮剤やアンチエイジングなど「健康」目的で使用される)、少年兵の調達、物乞いや競技者として利用(競駝の児童騎手など*)等があげられる。労働や調教が目的の場合、乳児の方が記憶のない分、搾取的な環境に適応しやすい、性感染症にかかっていない(これは事実ではないが)という利点がある。養子縁組の場合は、元の親を知らない子供への需要が高く、年齢が低いほど高い値段で取引される。

児童の権利に関する条約は、1989年11月20日に国連総会で採択された国際条約である。子供の誕生時点から適用され、胎児の権利を保護する法律ではない。新生児の密輸は昔からあったが、移送途中で死亡するなど効率的ではないため、今は妊婦を移動させる形をとる場合が多い。こうした「人の密輸」は、出稼ぎ自体が人身売買と言えないため、妊婦への搾取が発覚しない限り違法とは断定しにくく、人身売買法をかいくぐりやすい。しかし、新生児を保護するためには胎児の保護について対策をとらねば、売買が完了したあとでは遅すぎる可能性がある。2006年のブルガリア-フランス間の乳児売買業者が捕まった事件では、母親たちの身元まで突き止められたものの、売られた9人の乳児の居所は結局わからずじまいだった。国連の人身売買禁止議定書では、妊婦の保護の項目が、現実的に胎児保護につながっている。

東南アジア諸国でこの人身売買禁止議定書に署名している国は、タイ、ミャンマー、ラオス、カンボジアである。しかし中国、ベトナム、シンガポール、マレーシアといった周辺国は調印していない。米国務省による2007年度の人身売買に関する報告では、タイ人が様々な国へ売られている事実が指摘され、シンガポールとマレーシアへの言及も見られる。

特に周辺国間で法律が一貫していない場合、人身売買業者はより規制の緩い国へ胎児(妊婦)を移動させる。ブルガリア女性(主にロマ族のジプシー)の妊婦を、私的な養子縁組が認められているギリシャで出産させ、国際養子縁組をさせる例がある。中国は包括的な人身売買法をもたず、強制や詐欺を伴う商業的な性的搾取といった局所的な規制しかないため、例えば借金の肩代わりの人身売買は禁止されない。グアテマラは養子制度の悪用が甚だしく、母親が読めない外国語の契約書にサインさせた後、子供の身元の書類を偽造するといったことが横行している。2年半で33人の子供の養子縁組を扱ったあるグアテマラ人女性は、全員を自分の子供として養子に出していた。

胎児/乳児の人身売買は、この世で一番無力な人間に対する最も明白な人権侵害の一つである。またその問題の顕在化と排除は非常に難しい。しかしだからといって何もしないわけにはいかない。南アジアは出生登録のない子供が非常に多い地域である。2000年だけをとってみても未登録の子供が約22,500,000人に登る。そうした子供の売買は非常に容易い。アジア諸国は協力し、胎児の時点からの保護を念頭に置き、人身売買を防ぐ努力をすべきである。


*競駝(けいだ)の児童騎手問題
ラクダは馬と違い、複雑な操作をしなくても全力で疾走するため、騎手は手綱を持って走る方向だけを調節していればよく、高度な騎乗技術が要求されない。このため、騎手は体重が軽ければ軽いほど有利となり、従来は競駝の騎手として4~6歳程度の児童が使役されていた。多くの児童騎手は人身売買のような形で取引され、十分な教育の与えられない環境で競駝に従事させられていた。(Wikipediaより)


International Conference on Child Labour and Child Exploitation: Trafficking in Unborn Children
by John H Pascoe
FEDERAL MAGISTRATES COURT OF AUSTRALIA,  4 August 2008

世界人口白書2006 希望への道-女性と国際人口移動

LegalWise 2nd Annual International Family Law Conference Cambodia:
Intercountry Surrogacy – A new form of trafficking?

FEDERAL MAGISTRATES COURT OF AUSTRALIA
Friday 19 September 2012
Chief Federal Magistrate Pascoe AO CVO

Copyright(C) 2011 SGRH. All Rights Reserved.
by technology0405 | 2013-03-05 16:52 | Materials | Comments(0)
各国のARTに関する資料や記事を集めています (※ このブログに書かれている情報の信ぴょう性は各自でご判断ください)