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調査時期:2018年1月

 ベトナムでは2003年の法令で、代理出産は全て禁止の扱いとなっていたが、水面下では不妊カップルの実需に答える形で代理出産の斡旋が行われ、実施されていた。
 一方、2015年から改正婚姻家族法により、人道的目的で行われる代理出産が合法化された。改正婚姻家族法のもとで行われる利他的代理出産は次のような条件が課されている。

・代理母は夫か妻の同一世代の親族から
・代理母は出産経験があること
・代理母に夫がいる場合は夫の同意が必要
・依頼者が子の正式な父母となる

 法施行後は、ホーチミン市のトゥズー病院、ハノイ市のハノイ産科医院、フエのフエ中央病院の三箇所で代理出産の申請を受け付けることになった。2016年1月には、ハノイ市で初めての代理出産子が誕生するなど順調に成果を上げていることが報道されている。今後は実施できる病院がさらに増加する見込みである。

 トゥーズー病院のDr. Chau氏によれば、代理出産の希望者はまず申請書を病院に提出する。多数の書類が必要であり、その中には、依頼者と代理母の関係が親族であることを証する書類も含まれる。申請書は院内で審査を行い、審査期間は約1ヶ月ほどてある。産婦人科だけでなく、小児科医なども関わる。2018年1月の時点では、トゥーズー病院だけでこれまで100件の認可が下りたという。

 以上の聞き取り内容からすると、代理母は親族に限定されているものの、実施数はある程度の規模に達していることがわかる。

 一方、関係者に詳しく聞くと、別の姿が見えてくる。代理出産が合法化される前から代理出産の斡旋に携わっていたブローカー女性は、次のように述べる。

「代理出産が合法化されてから、前よりももっと仕事がやりやすくなって、依頼も増えている。書類の偽造は簡単で、バレても摘発されない」
 
さらに、児童福祉が専門の研究者は次のように述べた。
「やはり都会では、親族から代理母を見つけることは難しい。政府は成功していると宣伝しているが、実際にはほとんどのケースで親族以外から代理母を得ていると疑われる」

 ベトナムでは、家族は違いに助け合わなければならないという考え方はが強い。ベトナムで親族間の代理出産が合法化された背景にはそうした価値観がある。しかしそれでも、都会では人々の考え方がより個人主義的となり、代理母を親族から探すのは難しい状況になってきている。その結果として、従前のビジネス代理出産に頼らざるをえないという構図になっている。このように、ベトナムでは法施行後も制度と実態の乖離は解消されていない。とはいえ、今回の法改正の意義は、小さな窓を開けたということであって、今後、国内での実施の実績を積み、大きなトラブルがなければ、親族の範囲を拡大するか、知人や友人などからの代理母も認めるなど、間口を広げるという方策も残されてはいる。


Acknowledgements:
Dr. Nguen Thi Ngoc Phoung, M.D., My Duc Hospital
Dr. Le Thi Minh Chau, M.D., Tu Du Hospital
Dr. Le Minh Tien, Ho Chi Minh Open University
Dr. HoangThi Diem Tuet, M.D,, Hung Vuong Hospital
Ms. L.S. Truong Thi Hoa, Ho Chi Minh Bar Association
Mr. Ju Attawet, PhD candidate UTS


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by technology0405 | 2018-03-24 12:54 | field work | Comments(0)


調査時期:2018年3月

タイでは、2015年に新たな法律が導入された。(Protection of Children Born From Assisted Reproductive Technologies Act, No167/2553) (2014年11月議会で承認、2015年5月交付、同7月施行)

次のような条文がふくまれている。
・配偶子・胚の売買、商業的代理出産は禁止
・仲介行為や宣伝は禁止
・配偶子・胚の輸出入は禁止
・国内の法律婚をしている異性カップルのみが依頼できる(国際結婚の場合は、3年以上の婚姻期間が必要)
・依頼夫婦の正統な子供となる
・原則として、代理母は親族から
・代理出産に関わる費用算定は、医師会が決定する
・違反者らは懲役及び/または罰金

タイでは、2014年に明らかとなった外国人の代理出産に関するスキャンダルをきっかけに、商業的代理出産は禁止され、利他的代理出産に限定されたが、代理母は親族を原則とするものの、親族以外でも実施可能であると幅をもたせている点が特徴である。
また、代理母に支払う費用については、医師会が決定することとされており、現在までに明確な金額は提示されていない。

これまでの実施成果について、Ministry of Healthに聞き取りを行った。

まず、代理出産を希望する依頼者は申請書を提出し、許可を得る必要がある。(卵子提供ではクリニックの医師の許諾があれば可)
政府の委員会は20名ほどで構成されており、医師、小児科、児童福祉の専門家などから構成されている。審査期間は1ヶ月ほどで、これまでほとんどのケースで認可されている。認可されないケースとして、両親に知的障碍があり養育能力に疑問が付されたことなどがあるという。

2015年に審査が開始され、2016年には76件が申請され、72件が認可された。現在までに計140件ほどが認可されている。子供もすでに生まれている。プライバシーの問題もあるので公表されていない。
代理母の内訳としては、夫婦の姉妹などの近い親族が3割、それ以外の親族が3割、親族以外が3割となっている。
利他的ではないケースも含まれていかもしれないが、書類上、問題がなければ認可し、後から実態が判明するようなことがあれば処罰されるという。
審査は厳しいものではなく、仮に対価にあたる金銭が支払われていても当事者間でトラブルがなければ認容するという態度である。

生殖医療に詳しい医師は、次のように述べた。

「タイでは外国人ができなくなったというだけ。タイ人ならできると、そんなに厳しくしていない。親族から代理母を見つけられなかったとしても、友人から見つければいい。対価に関しても、厳しく見ていない。具体的な数字はまだ出ていないが、9ヶ月も妊娠するので、適当な額のお金を支払うのは許されるという考えでやっている。だからタイ人でわざわざ海外にいって代理出産を依頼する人はいないのでは」

つまり、この法律によって、タイ国内の依頼者が合法的に代理出産を依頼できる環境が整ったと評価できるだろう。

一方、ビジネスは消滅したわけではなく、タイを中心に、カンボジアやラオスなど近隣国を巻き込んで水面下で行われ続けている。2017年1月にフィリピン人女性4名が代理母になる目的でプンペンに向かおうとしてフィリピン当局に拘留されるという事件が起こっている。(カンボジアでは2016年10月に禁止の措置が取られた) その後、2017年4月、凍結精子が入ったタンクを持ちラオスに入国しようとしたタイ人の男がラオス国境付近で逮捕されるという事件が起こっている。これは氷山の一角にすぎない。タイの医師や外国資本が出資する形でタイ国外にクリニックを設立、そのクリニックを拠点に受精卵の作製や移植が行われる。タイ人代理母らが渡航して移植を受け現地などで出産を行う。こうした形のビジネスが広がりを見せている。

タイのブローカーは次のように述べる。

「現在のメインは中国人の顧客で、タイ人代理母をラオスやロシアに連れて行き、そこで受精卵の移植を行う。移植後、いったんタイに帰国する。7ヶ月後に中国に連れて行き、そこで出産する。中国の病院で出生証明書が出される。」

このような形で実施される代理出産にかかる費用は以前よりも高騰している。代理母に支払われる対価も上昇している。ラオスなどでも代理母のリクルートは可能だが、現地の女性が関与すれば、ラオス政府が禁止へと動きだす可能性もある。タイ人代理母であれば、すでに代理母のリクルートなどに関して、経験を積んだプローカーやルートが開拓されており、スムーズにビシネスを進めることができる。また、タイでは、すでに妊娠出産が対価を生むという考え方が一定程度浸透し、代理母のリクルートが容易である点もある。

タイの法律について、ある研究者によって、医師の権限や裁量が大きすぎ、玉虫色だとの批判もでている。とりわけ卵子提供や男女産み分けを目的とした着床前診断などは、現在も外国人に対して提供されている。法律やガイドラインではなく、現場の医師の裁量によって全てが行なわれているという批判は当てはまっている。新しい法律は、国内の依頼者にとって便宜が図られた形だが、国境を越えて現在も行われているビジネスに関して、タイ人代理母の保護が今後の課題である。



acknowledgements:
Mr. Nandana Indananda, Tilleke & Gibbens
Prof. Soraj Hongladarom, Faculty of Arts, Chulalongkorn University
Prof. Suphakde Julavijitphong, M.D., Department of Obstetrics and Gynecology, Siriraj Hospital, Mahidol University.
Prof. Somboon Kunathikom, M.D., Hangkok Hospital.
Dr. Akom Praditsuwan, Department of Health Service Support.
















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by technology0405 | 2018-03-23 10:13 | field work | Comments(0)

調査時期: 2018年1月

2002年に商業的代理出産を合法化したインドだが、2008年、2010年の法案提出を経て、
一転してツーリズム抑制へと向かった。2012年に医療ビザ規制が敷かれ、2015年には代理出産目的での医療ビザ発給は停止された。つまり外国人は代理出産目的でインドに一切、入国できなくなった。

2016年に新たな代理出産法案が議会を通過した。(Surrogacy Regulation Act 2016 )

この法案は、以下のような条文を含んでいる
・商業的代理出産は禁止
・依頼できるのは正式に婚姻している異性カップルのみ (シングルや同性カップルは依頼できない)
・インド在住のインド人のみ依頼でき、インド国外に住むインド人(NRI)は依頼できない
・代理母は依頼者の親族に限られる (利他的代理出産のみ)
・代理出産を依頼できるのは原則として1回のみで、女性が代理母になるのは生涯で1回のみ。

この案については関係者からは大きな反発が上がっている。
それは、代理母を親族に限定するという規定に関し、依頼者は代理母を見つけることができず、国内で代理出産を実施することは実質的に不可能になるというものである。

「代理母は自分の身体を使っているし、リスクが高い。代理母はもっともらうべき。きちんと対価を支払ってやるのが良いやり方だ。貧しい女性たちは教育を受けていないので、何も仕事がない。だから代理出産は一つの機会になると思う」(法律家)

「利他的代理出産の場合でも、将来的に何か問題が出てくる可能性がある。そうなると代理出産は全部ダメになる可能性がある」(法律家)

「貧しくて働いたこともないような女性なら、代理出産をやることで人生が変わることもあるだろう。アナンドには成功列もある。利他的だけに限定すれば、そのような機会がなくなる」(記者)

「フェミニストや人権団体らが、搾取だと声を上げている。代理母じしんは何も語っていない。彼女たちは、お金さえもらえば、何も言わない。そのように雄弁に語れるような教育もない」(記者)

「利他的代理出産のケースを自分は今まで見たことがない。誰もやっていない。義理の母なり家族なり、周りの人に知られので、選ばないと思う。代理母が一番大変なのに、医師だけで儲けて有名になっている。そのことに女性たちは気がついていきて、今は70-100万ルピーくらいの対価になっている。代理母の立場から見ると、ビジネスをやったほうがいい。今までみたこともないような金額のお金になる。代理母が別の代理母を紹介すればコミッションももらえる。皆が幸せになるのに、なぜ制約するのはわからない。利他的代理出産といっても、結局は同じ。それに、実際にはビジネスでも親族だと偽ってやればいいだけ。ドバイやオーストラリア、ケニアなどに卵子ドナーや代理母を連れて行くというプロジェクトがこれから始まる」(代理母のブローカー、ケアテーカー)


代理出産から商業的な要素を排し、利他的とするため、代理母を依頼者の親族に限定するという案は非現実的であるとの批判がある。アナンドで代理出産を提供していた医師によれば、親族が代理母になるという利他的代理出産のケースは、これまで扱った1,000件中、25件しかないという。
親族から代理母を依頼できないインド人依頼者は、諦めるか、海外で依頼せざるをえなくなる。海外で依頼するためには大金が必要であり、諦めざるをえない人々の方が多いことが予想できる。

外国人が大量にやってきて、代理出産を依頼することにより、貧しい女性が搾取されることが懸念され、外国人をシャットアウトしたわけだが、国内に限定したところで、依頼者の親族から代理母を見つけるのは難しく、結局のところ、このリスクの高い行為は、貧しい女性の身体に依存せざるをえないということに変わりはない。

さらに、外国人の入国を禁止したことによって、新たなビジネスが広がろうとしている。それは、代理母の輸出ビジネスである。

インド国内で受精卵の作成や移植が難しいため、国外で受精卵の作成を行う。インド人代理母は渡航して移植を受け、一旦帰国する。そして妊娠後期になると、再度国外に出てその地で出産に及ぶというものである。女性にとって知らない国での出産は重荷であり大きなストレスになるだろう。インド人女性が海外で過ごす際のビザの問題もある。さらに、インド人代理母が外国で生んだ子供が、最終的に何らかの形で依頼者の母国へと入国できるのか、法的に安定した親子関係を築くこどかできるかどうか、法的側面から慎重に判断されなければならない。

このように、インドでは法案の審議が続いている状況をよそに、ビジネスはすでに別の形態に進化を遂げている。それは、代理母となる女性にとってよりリスクが高く、また生まれてくる子供の将来も極めて不安定なものである。

2008年頃から生殖補助医療法案の議論が本格化して以来、約10年が経過しているが、インドでは、インド国内では、現在もなお法律が不在の状況が続いている。


Acknowledgements:
Dr. Jatin Shah, M.D., Bombai Fertility Clinic
Dr. Radhika Thapar Bahl, LL.M., LL.B.,
Ms. Rekka Pimple, caretaker.
Dr. Pradeep L. Chitra, Dr. Chitre(s Creation Fertility Centre.
Ms. Jyoti Shelar, Assistant Editor of Kasturi& Sons, Ltd., The Hindu.
Dr. Geetendra Sharma, M.D., LL.B., Medical Consultant.
Mr. Vidnyan S. Daware, Advocate High Court, Lega Advisor.
Dr. R.S. Sharma, M.D.,Indian Medical Council.








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by technology0405 | 2018-03-22 09:44 | field work | Comments(0)
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