人気ブログランキング |

イギリス人の不妊カップルに自分たちの代理出産プログラムを利用してもらおうと、イギリスに宣伝しにやってくるインドの医者が増えている。

ロンドンのとある家で、人々がキッチン近くを歩き回って雑談している。一見、ありふれた郊外のディナーパーティーのように見える。飲み物が振る舞われ、サモサやオニオンバージなどの料理が並ぶ。
しかし、ここにいるカップルたちは交流が目的ではない。インドでの代理出産についてさらに情報を得るために来ているのだ。

主賓はKaushal Kadam医師である。専門知識を伝えてもらうために、Bobbi & Nikki Bains夫妻が彼女を招いた。Bains夫妻には、3歳のDaisyと1歳のDhillonという二人の子供がいる。どちらの子供も、イギリスでの不妊治療か何度か失敗した後に、インドの代理出産で生まれた。

「最初の治療が失敗した時はとてもショックでした。」Nikki は言う。「その後、代理出産で二人の可愛い子供ができて、すべてが変わったのです。今度は私たちが、子供のできないカップルのお手伝いをしようと考え、こうした会を開きました。」

Kadam医師はムンバイの不妊クリニックの院長で、2010年にはイギリス、アメリカ、カナダを主とする外国人に代理出産サービスを提供し、18人の子供が生まれた。彼女のクリニックはICMRが定めたガイドラインを順守している。

需要は伸びている。「少なくとも月に6組から7組の外国人カップルが私のクリニックに代理出産をしにやってきます。」とKadam医師は語る。
「ここでは、私はただ、我々のクリニックで実施している代理出産プログラムについて情報をお伝えし、皆さんが十分な心構えを持ってインドに来られるように、不安や疑問、あいまいな点があればお答えするだけです。」

Kadam医師は、代理出産に関する情報の提供を目的として定期的にイギリスを訪れているインド不妊専門医たちの一人である。イギリスでは一切治療を提供せず、また、こうした非公式のプレゼンテーションに対して報酬もとらない。

しかし、インドへの渡航代理出産に対しては、法的な懸念がある。代理出産を専門に扱うNatalie Gamble弁護士は、インドの法律とイギリスの法律が矛盾するために、多くのケースで子供が無国籍になる可能性があると言う。

The childless UK couples considering Indian surrogates
[BBC 20 October 2011]
by technology0405 | 2012-01-31 16:58 | Countries | Comments(0)

 『How patient-centred care relates to patients’ quality of life and distress: a study in 427 women experiencing infertility』 J.W.M. Aarts, Human Reproduction, Vol.0, No.0 pp. 1–8, 2011
不妊治療の質に関する研究はこれまで、治療の有効性(妊娠率)や安全性など成果測定に焦点が当てられてきた。本研究では、不妊治療の経験が、どの程度まで患者のQOL(Quality Of Life:生活の質、人がどれだけその人らしい望み通りの生活を送ることが出来ているかを計るための尺度)とストレス度に関係するのかを調査。不妊女性に対する横断的アンケート調査を、オランダの不妊クリニック29施設にて実施した。マルチレベル回帰分析を行い、不妊患者のQOL[FertiQoL]とストレス度[Hospital Anxiety and Depression Scale(病院不安およびうつ尺度:HADS尺度)を使用]、不妊治療の経験[質問票patient-centredness questionnaire(PCQ)-infertilityを使用]の相関関係を調べた。

結果・結論
調査の結果、妊娠をしていない女性患者427名の回答が得られた(有効回答率76%)。この回答を分析したところ、PCQ、FertiQoL、HADSの3尺度には有意な関係性が見られた。患者中心の不妊治療と患者のQoL、ストレス度は相関関係にあることが分かった。不妊治療では、患者のQoLの数値が低くなり、ストレス度が高くなることが多い。これらの変数に留意することで、ケアの質や患者の経験を改善することができる。将来研究では、これらの変数の因果関係の特定を目指す。

 『Patient-centred infertility care: a qualitative study to listen to the patient’s voice』 E.A.F. Dancet、Human Reproduction, Vol.0, No.0 pp. 1–7, 2011, doi:10.1093
「患者中心の不妊治療」が重要なのは言うまでもないことだが、これまでの研究で、そうした治療のモデルが示されることはなかった。本研究では、患者の視点から見た「患者中心の不妊治療」を探ることを目的に、オランダ人とベルギー人の患者103人によるフォーカス・グループ・ディスカッション(FGD)を14回実施し、不妊治療での良い経験と悪い経験を調査。会話の内容分析と患者の優先順位リストの分析を行った。

結果・結論
「患者中心の不妊治療」には、システムに起因する6つの要素(情報、能力、調整力・統合力、アクセス、継続と移行、身体的な苦痛の緩和)と、人間に起因する4つの要素(スタッフの態度・関係、コミュニケーション、患者の参加とプライバシー、情緒的支援)の計10要素が挙げられた。「患者中心の不妊治療」という概念が患者の口述によって具体化され、また、挙げられた要素の相互作用モデルが示された。


不妊治療ケアを患者中心のものに見直す動きは広がってきている。インドのCalcutta Fertility MissionのディレクターであるSiddhartha Chatterjee医師が新たに設立した不妊クリニックは、子供のいないカップルの相談にのっている。Chatterjee医師は、新たなクリニック設立の目的を「不妊治療のコストを庶民の手の届く範囲に収める」としており、その治療は、ただ腹腔鏡検査やIVFを推し進めるのではなく、通常の方法での妊娠も進めていくという。

New Fertility Clinic In Kolkata For Counselling Childless Couples
[ localtiger.com 2011-06-06]

Copyright(C) 2011 SGRH. All Rights Reserved.
by technology0405 | 2012-01-31 12:21 | Materials | Comments(0)

Chori Chori Chupke Chupke 2001年

Filhaal...  2001年

Vicky Donor 2012年
精子提供がテーマ

I am Afia  2010年

Doosri Dulhan 1983年

ボリウッド以外の映画
The Baby Maker 1970年

Made in India  2000年
ドキュメンタリー
by technology0405 | 2012-01-24 12:03 | Countries | Comments(0)

スペインのゲイカップルがインドで卵子提供と代理出産サービスを受け、2011年2月1日代理母が双子を出産した。Delhi IVF Fertility Research and Test Tube Baby Centreの院長Anoop Gupta医師は、公の場で次のように発言した。「このカップルは私と契約し、子供を持つためにはるばるスペインから来て、幸運にも彼らの夢は叶った。」

Gupta医師によると、センター側がエージェンシーを通して卵子ドナーを斡旋し、別に代理母を用意したという。「体外受精の後、代理母の子宮に胚を移植した。移植は成功し、代理母は双子を出産した。双子は代理母のもとにいるが、まもなくカップルに引き渡される予定だ。」
費用は総額20000ドルであった。父親は38歳、パートナーは27歳だという。

「この業績はゲイ社会の権利を実現する重要なステップだと考える。同性のカップルでも子供を持つことができるという希望を与えるのだから。」とGupta医師は言う。彼によると、Indian Council of Medical Research (ICMR)のガイドラインもこの理念を支援しており、同性のカップルや独身者が子供を持つ権利は認められているという。厚生省が出した法律でもこの権利は尊重されているというのが彼の意見だ。

しかし、このゲイカップルが双子を養子にしたという報道があった次の日、Delhi Commission for Protection of Child Rights (DCPCR)はGupta医師に、この代理出産と養子縁組についての説明を求めた。

「我々はこの双子の養子縁組にどのような手続きが取られたのかも、そしてそれが正当なものであるのかも分かっていない。規則やガイドラインはかなり厳しく、こうしたことをするには決まったやり方がある。それを踏まえた上でのことだったのか確信が持てない。」とDCPCRの委員長Amod Kanth氏は語った。

警告はこの代理出産に関係した医師に出され、カップルからの回答も求められる。地元の警視庁の副総監、Central Adoption Resource Authority、National Commission for Women and Child Welfareにも通知された。ただ、これらの団体がどこまで関わるのかは、まだはっきりしていない。

「DCPCRはこの出来事全体を深刻に捉えている。子供たちは結局、国際養子縁組ということになって外国(スペイン)に連れて行かれるわけですから。」とKanth氏は、外国人による代理出産契約で生まれる子供の権利と法的地位に対する懸念を強調する。
「インドの法律ではまだ同性愛結婚は認められていないので、委員会は、ゲイの外国人カップルが代理出産をする法的権利や、養子縁組などを行う法的権利を持つのかどうかという問題に、重大な懸念を示している。」

現在議会で審議されている法案が、同性のカップルの代理出産を認めるのかどうか、注目されるところである。

Birth of surrogate child highlights difficulties with Indian surrogacy laws
[BioNews 21 February 2011]

Questions raised over gay couple’s surrogate twins
[Hindustan Times New Delhi, February 17, 2011]

Spanish gay couple's child dream comes true in India
[Sify News 2011-02-16]

Copyright(C) 2011 SGRH. All Rights Reserved.
by technology0405 | 2012-01-20 16:51 | Countries | Comments(0)

治療では治らない深刻な男性不妊(無精子症や無精液症)がある場合や、卵子がなかったり質が悪かったりする場合、体外受精で失敗が繰り返される場合に、胚提供が適応される。胚提供では、レシピエントと子供との間に遺伝的つながりがないケースが多い。胚提供には2種類ある。
①卵子提供と精子提供を組み合わせる――ドナーにはすでにカウンセリングが行われている
②別の不妊患者が凍結保存しておいた余剰胚を、持ち主の同意を得て使用する

カウンセリングの持つ意味は、①の場合には卵子提供や精子提供と同様であるが、②の場合には付加的なケアが必要である。胚提供が及ぼす影響について関係者全員が理解し、不安なく治療を進められることを目的として、カウンセリングが行われるべきである。そのための時間と場所は十分に確保しなければならない。

カウンセリングの目的
ドナー
自分の胚が遺棄されたり研究に使われたりするよりは、別のカップルに提供した方が良いと考えるドナー患者は、提供前に以下のことを考慮する必要がある。
・すでに今いる子供のために兄弟をもうけてあげたいと将来考えることは、本当にないだろうか
・自分の胚で生まれた子供がどこかで生きているという現実的な可能性について、どう思うか
・どんな人たちが胚提供を必要とするのだろうか
・提供胚が成功かどうかを(おそらく)知らされないことについて
・匿名性の保持について
・ドナーとレシピエントの両方から十分なインフォームドコンセントを得る必要がある

レシピエント
提供胚のレシピエントの懸念は以下のような事柄である
・ドナーには適切な健康診断(エイズ、肝炎、染色体異常の分析など)がなされたのか。家族内に身体的、精神的、遺伝的異常が発生したことはないか。
・ドナーの学歴や社会的背景などは?
・ドナーの動機は?報酬を得ているのか?
・レシピエントやその家族からは考えられないような性質の子供が生まれることがあるだろうか。
・胚提供で生まれた事実を子供に告げるべきだろうか。
・匿名性――ドナーの身元を知ることはできるだろうか。完全な匿名性が守られる国も多いが、一部の国では(スウェーデンなど)子供がドナーの身元を知る権利を持つ。

典型
胚提供は、比較的新しい選択肢である。作成された胚が凍結保存されてしばらく時間が経った後ようやく、胚提供が受けられる状態になる。患者は胚凍結時に、保管期限があること、その時に胚を破棄するか、別のカップルに提供するか、研究に提供するかなどの選択を尋ねられる。国によってはこうした選択肢が法律で禁じられている。余剰胚を破棄する選択をしたカップルはしばしば、宗教的なものであってもなくても、別れの儀式を希望する。胚を人とまでは考えなくても、命の可能性を持つ生きた存在だとみなすことが多い。そうした思いをくみ取るような最期の迎え方が必要である。

これまでに起きた問題点
①ドナーカップルの中には、自分の子供とよく似た子供が(胚提供の結果)生きているかもしれないという事実を受け入れることが難しい者もいる。それと分かるほどよく似た子供に会うかもしれないと懸念するカップルもいる。胚提供することに気が進まず、破棄を選ぶカップルもいれば、地理的にかなり離れた場所で提供胚が利用されるのなら不安がないと考えるカップルもいる。提供前のカウンセリングは非常に重要である。
②レシピエントの成功率を考えると、凍結余剰胚が3つ以上なければ胚提供は提案できないと考えるクリニックがほとんどである。しかし、自分の余剰胚にはできるだけ生きるチャンスを与えたいと強く望むドナー患者にとって、こうしたクリニックの態度は過酷である。
③胚提供に対する受容力は男女で同じとは限らない。男性パートナーの方が、胚提供の可能性を受け入れることに困難を感じる場合が多い。女性は子供を妊娠・出産することで報われる。
④レシピエントは、子供に本当のことを告げると決めた場合、どのように伝えるべきか悩むことが多い。子供の絵本は、告知の際の手助けに有用である。

コミュニケーション技術
カウンセラーは、他の不妊カウンセリングと同様の技術を求められる。また、匿名性を守るために特別な注意を払う必要がある。例えば、ドナーとレシピエントのマッチングをカウンセリング過程から切り離すことなどは、賢明な予防策であろう。

GUIDELINES FOR COUNSELLING IN INFERTILITY
ESHRE  PSYCHOLOGY AND COUNSELLING

Theory and practice update in third party reproduction
ESHRE 3 July 2011 Stockholm, Sweden

Copyright(C) 2011 SGRH. All Rights Reserved.
by technology0405 | 2012-01-20 14:51 | Materials | Comments(0)

原発性卵巣不全や早期閉経などの卵巣疾患を持つ女性の不妊には、卵子提供が解決策となる。さらに、体外受精が繰り返し失敗するような場合には、卵巣機能が正常な女性でも卵子提供が必要になる。加齢による不妊の場合もある。
問題は、提供卵子の不足である。精子提供と違い、卵子提供はドナーに対する侵襲性が高いので、利他的に卵子を提供しようという女性は少ない。待機期間が長くならないよう、エッグシェアリングや、患者によるドナー探しなど様々な方法が提案されている。

カウンセリングの狙い
卵子ドナーボランティア
Englert(1996)によると、「偶発的な」ドナーは精神的にもろく、承認や自己修復を求めている女性であるという。別の研究でも、卵子ドナーボランティアは家族に関するトラウマや生殖に関するトラウマを抱えていると報告されている。こうしたトラウマによって、卵子を必要とする女性の喪失感にドナーが共感するケースがよくある。

Englert(1996)は、不安定な精神的バランスが崩壊するリスクを恐れ、「偶発的な」ドナーを排除することもあった。一方Schoverら(1991)は、ドナーが喪失感の問題について診察を受けている場合や、ドナーの期待が現実的である場合には、他の女性を助けるプロセスが自己修復に役立つと考えた。カウンセラーは、トラウマが精神的苦痛を引き起こす可能性を考慮し、非常に慎重になる必要がある。また、緊張の多い医療行為下では更なる支援が必要かもしれない。

患者が募集した卵子ドナー
センターによっては、レシピエント患者は2種類の提供方法を選ぶことができる。知り合いによる提供(患者が募集する)あるいは匿名者による提供(ドナーとレシピエント間の匿名性保護のため、別の患者が募集したドナーと交換する)である。カウンセリングの目的は意思決定そのものではなく、意思決定プロセスへと導くことである。決定によって生じうる精神的影響についても、注意を払うべきである。

エッグシェアリング
IVF患者を利用するエッグシェアリング制度を紹介したのはAhujaら(1996)である。医学的危険が追加されない点で、IVF患者は理想のドナーのように思われる。ドナーが匿名のレシピエントと卵子を共有し、その代りに、レシピエントがドナーの医療費を分担する。しかし、ドナーが妊娠せずレシピエント女性だけが妊娠・出産した場合に、倫理的な問題が生じると主張する者もいる。Ahujaらによれば、ドナーとなった患者には、そうしたケースで通常より苦しむ兆候は見られないという。ピアグループがドナーに適さず、自分でドナーを連れてくることのできない40歳以上の女性にとっては、エッグシェアリングが唯一の解決策であることが多い。

カウンセラーの役割
卵子ドナーボランティアの場合
・治療の内容とリスク、治療がドナーの生活に及ぼす影響について何度も説明する
・ドナーの動機、治療の不安とストレスに対処する能力、彼女が提供に抱いている期待、その期待が現実的であるかどうかを評価する
・卵子が使われることや、ドナーの継続的な協力の重要性について、ドナーに圧力をかけることなく伝える
・ドナーのパートナーの同意と支持があることを確認する
・ドナーの気が変わる可能性について、レシピエントは覚悟しておく必要がある

患者が卵子ドナーを募集する場合
・提供に向けての意思決定プロセスへと導き、この選択がレシピエント、ドナー、子供に与える影響について話し合う
・ドナーの動機を評価するとともに、自分の役割の範囲(ドナーはしばしば「第三の親」のように振る舞ったり見なされたりする。それが対立を生みやすい。)をドナーが理解しているか、またドナーにインフォームドコンセントを示す能力があるか、そこに外圧が働いていないかを確認する
・レシピエントが知り合いあるいは匿名者からの提供を選んだ動機を評価するとともに、その選択がドナーからの圧力によるものではないこと、ドナーの役割の範囲をレシピエントが理解しているかどうかを確認する
・周囲に対する公開/非公開と、その選択の結果を考えるカウンセリングを行う
・子供に教える/教えないの選択と、その結果について考えるカウンセリングを行う

エッグシェアリングの場合
・ドナー患者自身の治療の結果について、ドナー患者と共に評価する。匿名での寄贈の結果についてドナーと話し合う。経済的理由で提供しようとするドナー患者には特に注意を払う。経済的困窮は、決断の自由を制限してしまう。
・レシピエントには、匿名提供がもつ影響についてカウンセリングを行う必要がある。さらに、人種以外の条件は合わない可能性があること、待機期間を覚悟しておかねばならないことについても話し合う。レシピエントには、ドナーの卵子の数によっては治療が延期される可能性があることも知らせる。
・卵子提供が禁止されている国からの渡航患者に対しては、文化的違いを尊重するとともに、「違法な」方法で子供を持つことによって生じる罪の意識に対処するための支援を行う
・別の卵子ドナーによって複数の子供をもつ家族にも、カウンセラーの支援が必要である

GUIDELINES FOR COUNSELLING IN INFERTILITY
ESHRE PSYCHOLOGY AND COUNSELLING

Copyright(C) 2011 SGRH. All Rights Reserved.
by technology0405 | 2012-01-20 11:12 | Materials | Comments(0)

事件のあと

タイでは、ネットで子どもを売るために代理出産サービスを女性に強要していたとして、2011年2月に台湾人が経営するBabe-101が摘発された。妊婦7人を含む19-26歳のベトナム人女性15人が救出されたことは、現地でも大きく報道された。

この事件以降、代理出産に対する病院の姿勢は厳しくなった。
第三者生殖の商業的利用を避けるため、卵子提供や代理出産を引き受ける女性は建前上、依頼者の親戚などに限られる。病院で実際に親戚である証明書まで求められることはほとんどないが、有償で卵子提供や代理出産を引きうけようとする女性にとっては、親戚であるという建前で実施した場合、一つの病院(医師)に複数回出入りすることは難しいケースも生じるだろう。また、日本人依頼者がタイ人卵子提供者やタイ人代理母をともなってタイのクリニックで治療を受けるケースは、(タイ在住の国際結婚のカップルのケースを除いてもともと少ないと思われるが)難しくなるだろう。日本から卵子提供者を連れて来る日本人同士のケースであれば、親戚同士であると取り繕うことも容易である。

一方、バンコクでは、事件後も、新たなIVFクリニックが増えている。昨年5月頃に開業したクリニックでは、日本のエージェンシーが入っており、この業者が紹介する日本人患者が約3割を占めるという。卵子提供を利用する日本人が多い。ここでは中華系のタイ人女性を紹介している。医師によれば、第三者生殖の商業的形態を禁止するガイドラインや法案については、医師会からの文書が来たことを覚えているが、あまり気にしていないということであった。そもそも無償で引き受ける人などいないので、有償を禁止する規定は、実際に第三者生殖を行う医師の多くがナンセンスであると考えている。無償規定(実費補償を除く)には反対である医師も少なからずおり、さらに、今後の見通しとして生殖補助医療に関する法案がタイで通過するにはまだまだ時間がかかりそうであるという。代理母斡旋事件に関わった病院の医師に対する処分はタイの医師会で検討されているが、「そんなに厳しい処分にはならないだろう」(バンコク病院医師)と予測されている。

今後暫くの間は、表面上は有償にならない形を装いつつ、しかし実際には金銭の授受を伴う形で、卵子提供や代理出産などが行われていくことになるだろう。そしてその間、その行為が違法であるか合法であるかの位置づけは曖昧なままに置かれることになる。

代理出産については、IVFクリニック、分娩施設、エージェンシーがこれまで以上に密に連携をとりあって注意深く実施されていくと思われる。代理出産の場合、体外受精を行う施設と分娩する施設は異なる。複数の病院に出入りしている医師が主治医であれば、移植から分娩まで施設が変わっても同じ医師に見てもらうこともできる。代理出産の場合の実親は依頼者の名前で登録される。このために、移植を行った施設でのカルテは代理母名義になっているが、分娩施設のカルテは依頼者の名前で作成され、依頼者が分娩したことになっている。出生証明書の準備や発行など、全て「分娩施設がやってくれる」(代理母経験者)という。

これまでは、仲介業者を通して外国人患者を多く受け入れているクリニックなどを利用する日本人が多かったと考えられる。タイは駐在員家族や国際結婚などにより日本人在住者も多く、不妊治療を利用する在タイの日本人患者も一定数存在する。最近は、タイの不妊治療についての情報が日本語で得られるようになってきたこともあり、仲介業者を通さず自分で医師などとやりとりをして卵子提供を依頼するようなケースも増えてきていると思われる。タイのメディカル・ツーリズムを掲げる私立総合病院では日本語通訳も無料で付くため、渡航者でも不妊治療サービスを利用することはそれほど困難なことではない。


d0170396_13222835.jpg


d0170396_13224574.jpg


d0170396_13225896.jpg


d0170396_13221014.jpg


d0170396_13221646.jpg

by technology0405 | 2012-01-19 19:57 | field work | Comments(0)

代理出産カウンセラー

代理出産で生まれた子供を手渡された瞬間、依頼親は幸福感でいっぱいになる。しかし代理母にとってそれは、受け取る金銭に関わらず、心痛む瞬間になりうる。9か月お腹にいた子供と永遠に分かれることになるのだから。カウンセラーが登場するのはそうした場面である。

カウンセラーは数回の面接を通じて代理母と話し、来るべき瞬間に向けて心の準備をさせる。金のためだけではなく、善い行いをしているという思いと共に子供を引き渡すことができるように。
代理母はまた、自分の体の泌乳生産をストップさせるというトラウマを経験しなければならない。専門家によると、代理母は母乳分泌を止める薬を摂るのだという。
カウンセラーは代理母とも依頼母とも面談を重ね、代理出産の過程に対し双方に心の準備をさせると同時に、彼女らの自尊心を高める手助けをする。

NarainaでNurture IVF Clinicを経営するArchana Dhawan Bajaj氏は、代理母とカウンセラーが面談する機会を約20回設けているという。
「まず私たちは、その女性が代理母となり、9か月後に子供を引き渡すことができるのか、その精神的適性を確認する必要があります。代理母候補を決めたら、次に、彼女に心の準備をさせなくてはなりません。彼女はお金のためにそれをやるわけですが、同時に善い行いをしていると感じられるようにするのです。彼女の自尊心が高まれば、彼女の参加意識も高まる。そうすれば彼女は自分から検査に来るようになります。」Dhawan Bajaj 氏はIANSにそう語った。
「それでも彼女は子供を引き渡したことで感情的なトラウマを経験するかもしれません。子供に授乳する機会もないでしょう。薬で泌乳を止めますから。」

依頼母の方も、代理出産に対して医学的・精神的な準備が必要である。
「依頼母は、母親になれない、自分は完全ではないと感じ、自尊心の深刻な欠落と鬱症状に苦しむので、常にカウンセリングが必要です。」
代理母と依頼母の交流について尋ねると、良い関係を育めるよう双方が出来るだけ何度も会うことが「奨励されて」いるという答えがDhawan Bajaj氏から返ってきた。

Max Healthcareの顧問精神科医で精神衛生と行動科学部門のチーフSamir Parikh氏は、代理出産の担当経験はないものの、体外受精をする女性のカウンセリングを何度か担当した。「IVFにおける最も一般的な症状は、子供が持てないという女性の苦悩です。彼女たちは自分を責めることもあります。」とParikh氏は語る。
「IVFをする予定のカップルは、カウンセリングを受ける必要があります。IVFが一度で成功するとは限らないからです。」

Nurture ClinicのカウンセラーであるRuchi Goyal氏は、代理出産のケースを1か月に約10例担当するという。「けれど、全員が代理出産をやるわけではありません。途中でやめる人もいます。」
Goyal氏によると、代理出産を依頼しようとするカップルは上流中産階級か、「ほとんどが上流階級出身で、ごくたまに、血のつながった子供がどうしても欲しい中流下層階級出身者が来ます。」
カップルが代理母をどうやって見つけるのかという質問に、彼女は「カップルには、自分たちで探すことを勧めている。」と答えた。

Dhawan Bajaj 氏は次のように言う。「広告を出すカップルが多いですよ。親戚に代理母をお願いするカップルもいれば、口コミで代理母になってくれそうな人と知り合うカップルもいます。使用人を代理母に雇うこともあります。」

そうした場合、金銭面はどうなるのだろう。
Dhawan氏によると、代理母と依頼親の合意で決められるという。
デリーにあるBLK Hospital の不妊専門医Indira Ganeshan氏の話では、代理出産のほとんどは海外からの依頼で、月に5-10件。国内のケースはまれで、月に1件程度だという。

こうしたカップルはどのようにして代理出産のクリニックを探しているのか。
「彼らはウェブ上で探します。たくさんの情報が見られますから。それから行きたい場所を決めます。ムンバイ、デリー、アフメンダバード、バンガロール。クリニックを絞り込めば、クリニックと彼らと代理母を橋渡しする仲介人がいます。」とGaneshan氏は語った。

インドで代理出産を提供しているウェブサイトによると、代理母にかかる費用は10万ルピーから20万ルピー、それに医療費や諸経費が加算される。

Counselling surrogate moms to give up their babies
[DCCAN HERALD Jan 15 ,2012(IANS)]

Copyright(C) 2011 SGRH. All Rights Reserved.
by technology0405 | 2012-01-19 16:35 | Countries | Comments(0)

自分の遺伝子を持つ子供をもうけることは「権利」だと主張する人々によって、商業的代理出産の躍進は、利己的選択どころか、おしなべてポジティブに捉えられている。卵子ドナーや代理母を提供するオフショアビジネスの広告が、ロンドンの地下鉄や数多くの出版物で見られる。こうした生殖の産業化が進むにつれ、養護施設で暮らす何万人もの子供たちに家を見つけるという仕事はますます厳しいものになっている。

イギリスに代理出産を禁じる法律はないが、アメリカや他の国のように代理母が広告を出すことはできない。また、イギリスの代理出産契約は法的強制力をもたない。つまり、依頼親が約束の報酬を払わなくても、代理母が子供を引き渡さなくても、裁判所は契約を強制執行できないのだ。

ではなぜ、代理出産は高額で、しかも本国イギリスでは法的拘束力がないことを知りながら、親たちは養子縁組や里親という選択肢を拒否して他国へ渡航治療に行くのだろうか。養子縁組や里親制度は簡単な手続きではないが、IVFや代理出産のように高額でもないし、複雑な医療介入も存在しないことは明白である。また、卵子や子宮を依頼親に提供する女性たちも、自分たちが搾取され傷つけられることが分かるだろう。

今年の始めにチャンネル4(Channel Four Television Corporationイギリスの公共テレビ局)で放送されたドキュメンタリー映画『グーグルベビー』では、「世界一の代理出産国」インドにあるクリニックと「代理母ハウス」が取り上げられた。西欧人のために子供を妊娠する女性の多くは、夫の説得で代理出産をさせられており、抵抗する力もない。女性たちは狭い部屋に詰め込まれ、飲食時間や就寝時間に至るまで管理されている。卵子ドナーや代理母が抱える身体的・精神的影響は深刻だが、それでもこうしたことはますます一般的になってきている。

インドでは何百という斡旋業者が、今や年間5億ドル産業といわれる生殖ツーリズムで利益を得る。インド国内には代理出産を提供するクリニックが350施設ある。卵子代や薬代、代理母の報酬、すべての医療費がヨーロッパやアメリカに比べて格段に安いので、ヨーロッパから多くの個人やカップルがそうした生殖サービスを求めて渡航する。

WHOは、多くの子供慈善団体と同様、生殖の産業化に非常に批判的である。多くの女性が状況をよく理解したうえで代理出産契約を結んでいるにも関わらず、そうした女性への精神的・身体的健康への影響は恐ろしいものがある。いったん契約が取り交わされてしまえば、依頼親は卵子ドナーや代理母の行動を管理することができる。食べ物、運動、使用する薬物まで。

NSPCCの統計によると、イギリスには83,000人もの要保護児童がいる。この数字は、民間の里親契約の下にいる児童や、鑑別所、学校の寮にいる子供などを除いたものである。イングランドとウェールズ地方の2010年の養子縁組の数は4472組で、前年より4.1%減った。

施設で育つことには困難が伴い、しかも後の人生に重大な影響を与える。施設出身者は、圧倒的に社会の最下層を占めている。ホームレスの5分の1は施設を出て2年以内の人間であり、路上生活者の3分の1は施設出身者が占める。25歳以下の囚人の半分が施設出身者である。22%は学校を卒業してすぐ無職になる。これは国内平均の3倍にあたる。売春に関わる率も高い。大学に進学するのは、一般の人では3分の1強であるのに対し、たった6%にすぎない。

施設に預けられる子供たち、中でも5歳以上の子供たちは特に、多くが断絶の経験によるトラウマを抱え、愛情と保護を切望している。そのような状況がありながら、女性を搾取し人口過剰の地球に新たな子供を生みだすデザイナーベビーという選択肢は、倫理に反する利己的な選択である。

It is selfish to have a surrogate baby
[the guardian 31 December 2011 by Julie Bindel]

Copyright(C) 2011 SGRH. All Rights Reserved.
by technology0405 | 2012-01-19 13:03 | Countries | Comments(0)

代理出産は、人間性を圧力の下に置く、感情的・倫理的リスクの多い領域だといわれてきた。ヨーロッパ諸国の多くで代理出産は禁止、あるいは実施されておらず、イギリスとイスラエルのみが代理出産を公式に認めている。アメリカではヨーロッパよりも盛んに実施されている。

代理出産には2種類ある。
①代理母に人工授精を施し、代理母が自分の卵子から生まれた子供を妊娠する方法。クリニックや医師が関わっていない場合も多く、「Do It Yourself(ドゥ イット ユアセルフ)」式の代理出産が起こる。多くの場合カウンセリングも一切なし。
②体外受精による胚を、代理母の子宮に移植する方法。従って、代理母と子供との間に遺伝的つながりはない。通常、クリニックがカウンセリングと支援を行う。実施するたびに前もって倫理委員会の承認を受ける場合が多い。

カウンセリングの狙い
カウンセラーが患者の査定を下すことは、難しい場合が多い。しかし、代理出産適用の不可の判断をカウンセラーの役割から切り離すことで、この難しさはある程度緩和される。

従って、カウンセリングの目的は2方向に分かれる。
①関係者全員が実施に伴う影響をすべて理解し、自分の資源を活用し、不安に対処できるよう支援すること。関係者には以下の人間が含まれる。
・依頼カップル
・代理母、代理母のパートナー/夫、依頼カップルの子供、代理母の子供
・より広い意味での家族、友人、仕事仲間
・医療関係者、特に子供の引き渡しに関わるスタッフ

②代理出産適用の不可の判断を下す人間に、関係者の同意を添えて、以下のような判断材料を引き渡すこと。
・依頼カップルと代理母の間には健全な信頼関係があり、このケースはそうした関係性の上に構築されたものであるという確信が十分に持てる。
・関係者たちがこの先困難に陥った時でも、適切に支援できる体制が整っている。
・今いる子供たちと、生まれてくる子供の福祉が考慮されている。
・養子縁組の手続きや、親権の引き渡しが可能である。
・生まれてくる子供・今いる子供を含めた関係者全員にとって、予測し得るリスクがそれほど高くない。

考慮すべき事項
依頼カップルと代理母の関係――イギリスでは代理出産の約50%が親族、あるいは友人によるものである。残りの50%は、元々知り合いではなかったが一定期間を共に過ごしたおかげで、理解と信頼が生まれたというケースである。
婚姻関係――多くの依頼カップルが婚姻関係、あるいは安定した関係にある一方で、代理母の中にはシングル、離婚中、別居中の者がいる。代理出産を引き受ける際に、十分な家族の支援があることを確認することが必要である。

代理出産の適応――子宮摘出、癌、子宮の遺伝性欠損、習慣性の流産や子宮外妊娠など。代理出産を必要とする理由は痛ましいものである。社会的理由による代理出産(仕事が忙しいなど)は、通常クリニックに受け入れられない。
代理母の動機――代理母の多くは、友人が子供を持てずに苦悩する姿を見ており、自身に子供がいることをありがたく感じて、他の人を助けようとする。金銭上の動機から引き受けるケースもあり、カウンセラーはこうした可能性に目を配る必要がある。

今いる子供および生まれてくる子供への影響――代理母の子供であろうと、依頼親の子供であろうと、その子供の福祉は考慮されるべきである。代理母の子供が代理出産を不快に感じるならば、代理出産契約の話を進めるべきではない。
法的状況への考慮――代理出産の実施を禁じている国の中には、代理出産によって子供を「もつ」こと自体を違法とはしていない国もある。イギリスやアメリカなどの国に助けを求める患者は多い。代理出産契約の前に、生まれてくる子供の将来に対し適切な法的枠組みを築けるよう、カウンセラーが患者を手助けする必要がある。

知識――代理母が懐胎する子供は、遺伝的には完全に(あるいは部分的に)依頼親の子供であるということを、代理母自身が最初からしっかり理解する。
配偶子提供による代理出産が依頼親と子供に引き起こす問題――誰が親なのかを定義することが難しくなり、遺伝的母親、依頼母、代理母とそのパートナー、遺伝的父親、依頼父を巻き込む問題に発展する可能性がある。

子供の引き渡しと絆――子供は出産時に引き渡されるため、代理母と子供の絆を生むようなスキンシップは最小限に止められることを代理母は覚悟しておく。代理母は、自分が子供を依頼親に「あげて」しまったことを忘れはしないだろう。こうした心残りは、依頼親に自分が幸せをあげたのだと知ることで補われるべきである。
子供の出生届――法的親権の変更や養子縁組の手続きが、場合によっては渡航国と母国との間で必要なことがある。

妊娠合併症と産後鬱――合併症のリスクのない妊娠は存在しない。また代理出産に関しては、「見返り」となる子供が産後いない。
異常――中絶の可能性を伴うような異常・障害が起こる可能性もあり、こうした場合、関係者全員が苦痛を受ける。
流産――友人間や親族間の代理出産の場合は特に、情緒的問題を引き起こすことがある。
コンタクト――代理母が将来子供と接触をとることについて、検討されるべきである。
費用vs報酬――どこまでが実費で、どの程度の金額がサービスへの報酬にあたるかを区別することは難しく、ヨーロッパでは法的問題となっている。どの程度の報酬が支払われているかというエビデンスを裁判所が示すことが必要であろう。
子供への告知は?――多くの国では、養子縁組や親権の移行があった場合、18歳以上の子供に知る権利が与えられる。

GUIDELINES FOR COUNSELLING IN INFERTILITY
ESHRE SPECIAL INTEREST GROUP PSYCHOLOGY AND COUNSELLING

Copyright(C) 2011 SGRH. All Rights Reserved.
by technology0405 | 2012-01-17 11:02 | Materials | Comments(0)
各国のARTに関する資料や記事を集めています (※ このブログに書かれている情報の信ぴょう性は各自でご判断ください)