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2010年に代理出産サービス会社Baby 101を経営していた台湾人が逮捕された事件で、関係したバンコクの病院が告訴される可能性が出てきた。この事件後、タイでは商業的代理出産を問題視する声が高まっており、代理出産サービスを中止する病院も出てきている。

Baby 101はバンコクにある2つの病院と提携していたが、そのうちの1つは、タイ国産科医師大学から代理出産を行うための承認を得ていなかったと、Office of Medical Registration Services and Hospital Service Standardの責任者Thares Krassanaijirawong氏は語った。当事務局は、国内の病院やクリニックの監視を行っている。

まだ調査中ということで病院の名前は明らかにされていないが、Hospital Service Standard Act 32条2項に違反した疑いが持たれている。認証を受けずに代理出産サービスを行ったことで、院長は、2年の懲役または/および20000バーツの罰金を科される可能性がある。
代理出産の認可を受けていた病院の方も、医師の医療倫理に対する監督不足として罰せられる可能性があると、Thares氏は言う。

タイのMedical Councilは今後、医師4人を関係者として取り調べる予定である。Medical Councilの会長Amnat Kusalanan氏によると、4人のうち2人は院長で後の2人が診療した医師だという。Medical Councilのサブパネルがこの問題を扱うこととなり、2011年4月から医師の取り調べが始まる。有罪と決まれば、医師免許はく奪の可能性もある。

商業的代理出産に対する世論の風当たりは強まってきている。現状では代理出産を直接取り締まる法律はなく、ガイドライン規制にとどまっており、代理出産法の通過待ちの状態である。しかし法案通過の前から、この事件を機に、タイでの商業的代理出産は難しくなるのかもしれない。

Hospitals in surrogacy business may face charges
[Bangkok Post 11/03/2011]


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by technology0405 | 2011-09-16 16:25 | Countries | Comments(0)

社会的・文化的観点から
シンガポールは面積641平方キロメートル、人口400万人ちょっとの国で、その人口の76.8%が中国系、7.9%がインド系、13.9%がマレー系、残りの1.4%がユーラシア人を含むその他の民族である。15歳以上の2000年現住人口のうち、51%が仏教徒あるいは道教(中国古来の宗教)、15%がキリスト教徒、14.9%がムスリム(主にマレー系が占め、インド系と中国系が少数)、4%がヒンズー教徒(主にインド系)である。従って社会政策は常に多文化的な観点から考えられ、宗教や文化の違いに対する気配りは、共通性の模索と同じくらい重要な課題である。

中国系の人々にとって、家族や子供の価値というのは、宗教に関わりなく社会組織としての家父長制度と結びついている。近代化が伝統的観点に影響を与えたといわれる今でも、男性側の遺伝的つながりに大変重きを置く。Kerdang Kerbau Women and Children's HospitalのNg医師によると「中国社会は血縁関係にとても慎重で、同じ名字の中国人カップルが遺伝子検査を求めることもよくある」といい、母親よりも父親がつながっている可能性を警戒するという。その結果、中国人カップルは、近親相姦の危険性を完全には排除できない精子提供よりも、精子の身元の保証がきちんとできる方法を好む。 

仏教徒は、命というのは作られるものではなく、生まれ変わりのサイクルを通してやってくるものだと信じている。第三者の関わる生殖補助医療も、それが生命を傷つけたり殺したりしない限りは容認可能だと考える。ただ仏教では受精の瞬間から命が始まるという考え方をするので、未使用胚の破棄の問題に関しては懸念している。

キリスト教徒(カソリック)は生殖補助医療に対し「生命に対する新たな攻撃への道を開いた」と、まっこうから反対している。法律的にはシンガポール政府の条件を満たす人は誰でも宗教に関係なく生殖補助医療にアクセスできるが、敬虔なカソリック信者は、道徳的、宗教的理由に基づき、アクセスしにくいだろう。

イスラム教はマレー人の文化や日常に根差している。しかし、シンガポールのイスラム法に関する文献やデータベースのどこにも、第三者の関わる生殖補助医療についての言及は見当たらない。イスラム教の基本的な概念では、遺伝子の混乱は避けるべきであり、第三者の関わる生殖補助医療は受け入れられない。従って、シンガポールのマレー系カップルは、配偶子提供、胚提供、代理出産どれも許されないことになる。ムスリムカップルが、シンガポール国内や海外でそうした処置を受けたという報告は全くない。シンガポールのシャリア(イスラム法)では、ムスリム男性は条件を満たせば4人まで妻を持つことができるので、女性が不妊の場合には、新たな妻を持つことが男性にとって子供を持つ手段の一つになりえる。

シンガポールの生殖補助医療の始まり
1982年7月、National Universityの産婦人科学部で体外受精プログラムがスタートしたのが、シンガポールのARTの幕開けだった。シンガポール初(アジア初でもある)のIVF児は1983年に生まれた。1986年6月にはアジア初のGIFTによる子供が、1987年にはアジア初の凍結胚を用いた子供が、1989年にはアジアで2番目の卵管受精卵移植(TET)による子供がシンガポールで生まれた。1989年4月には世界初の囲卵腔内精子注入法(SUZI)による子供も生まれている。1991年に世界初の共培養法による子供の出産が成功したことで、この技術により妊娠率は倍増、National University Hospitalは草分け存在として世界をリードしてきた。2000年12月には、シンガポールの私立病院Thomson Medical Centreが、世界初とされる凍結卵子と精子を使った双子の出産に成功した。

第三者の関わる生殖補助医療に関するガイドライン
ヒト胚研究や体外受精の実施に関するガイドライン作成のため、厚生省は、諮問委員会を設立した。しかし、厚生省のガイドライン「Guidelines for Assisted Reproductive Services(2001)」でも「Report of the Sub-Committee on the Status of Children Born Through Artificial Conception(1997)」でも、第三者の関わる生殖補助医療が、カップル自身の配偶子や胚を使う場合と区別されていない。代理出産は違法とされている。

厚生省の最初のガイドラインが出されたのは1990年で、2001年に改訂された。(注:現在は2006年版が出ている)。ARTを受けられるのは45歳未満の女性。夫婦に対する事前カウンセリングの内容も決められている。①考えられる結果(医学的、社会的、経済的)について知り、夫婦が書面で同意する。②40歳以上の女性は成功率が低く、合併症のリスクも高いという事実。③35歳以上の女性が出産する場合、遺伝子異常のリスクがあるという事実。④治療費と強制保険代のおよその総額について。

40歳以下の女性は最高10サイクルまでトライすることが認められている。ただし、女性が未経産もしくは生児出産を一度経験している場合で、海外での治療サイクルも含む。5回連続で失敗した女性がさらに治療を続けることはよくないとされているが、海外で受けた治療をチェックすることは難しい。40歳を超えた女性は5サイクルまで。しかし45歳になれば、治療はストップされる。移植胚の個数は一回3個まで。しかし次の条件を満たせば4個移植してもよい。①移植の結果妊娠に至った子供は全員出産する。また新生児集中治療室のある病院でケアすること。②患者が少なくとも2回、卵巣刺激を伴う治療で失敗していること。③患者が35歳を超えていること。

卵子のドナーは35歳未満と決められている。できるだけ夫婦の配偶子を使うことが推奨されるが、胚提供も可。ただしその場合、卵子と精子のドナー両方からの同意書と、レシピエント夫婦の同意書、さらにドナーに一切の責任を負わせないという誓約書に夫婦がサインしなくてはならない。配偶子や胚の保存に関しては、基本5年間で、10年経つと破棄することになっている。

第三者の関わる生殖補助医療で生まれた子供の地位
第三者の関わるARTで生まれた子供の地位については、1995年にLaw Reform Committeeの分科委員会が設立され、1997年に報告書が出された。この報告書では、5つの形態が想定されている。
①母親の卵子とドナーの精子を受精させる場合②母親の卵子と、父親とドナーの精子を混ぜて受精させる場合③ドナーの卵子と父親の精子を受精させる場合④ドナーの卵子とドナーの精子を受精させる場合⑤ドナーの卵子と、父親とドナーの精子を混ぜて受精させる場合
代理出産は厚生省が許可していないため、想定からは外されている。報告書では、親子証明に遺伝子的つながりがどう関わるかという点が現行法で曖昧であるため、たとえARTの使用に父親が同意していたとしても、親子関係が覆される可能性はあると報告されている。子供の地位に関しては現行法で対処しているシンガポールでは、早急の法整備が必要であろう。

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Third Party Assisted Conception Across Cultures: Social, Legal and Ethical Perspectives

Eric Blyth / Jessica Kingsley Pub

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by technology0405 | 2011-09-06 16:35 | Book | Comments(0)

精子取り違え事件

シンガポールの厚生省認可不妊センターThomson Fertility Centre で、2010年に精子の取り違えが起きた。シンガポール在住の夫婦から体外受精で生まれた子供の血液型について、両親はO型とA型で、子供がB型だったことから、夫婦はDNA検査を実施。その結果、体外受精に使われた精子が夫のものでないことが分かった。

病院は両親に謝罪し、夫婦はその子供を引き取ることに決めた。生殖補助医療にまつわるトラブルは、シンガポールではこの事件が初めて。国内で大きな話題となった。

厚生省は、事件後に原因究明のための調査を開始した。その結果、2種類の精子に、通常なら一回で使い捨てるはずのピペットを使いまわしていたことが原因と判明した。また、その時、2種類の精子の処理を、同じ場所で同時に行っていた。

病院は20000ドルという最高額の罰金を支払うこととなった。また、厚生省は、この病院が新鮮胚を使った体外受精を新たに行うことを一時差し止め、さらに監視と調査を続けていくことを決めた。現在Thomson Fertility Clinicにかかっている患者に対しても、希望があれば、他の政府認可病院に移れるように配慮される。


IVF baby does not have father's DNA
[Nov 03, 2010 AsiaOne]

Thomson Medical Centre fined $20,000 for semen mix-up
[Jun 22, 2011 AsiaOne ]

Thomson Fertility Centre Suspended From Initiating Fresh Cycles of Assisted Reproduction Treatment
[Ministry of Health: Press Releases 04 Nov 2010]
by technology0405 | 2011-09-02 13:55 | Countries | Comments(0)
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