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インドネシアのART法

インドネシアの代理出産は、Law No.23 of 1992 on health(Undang-Undang Nomor 23 Tahun 1992 tentang Kesehatan) の16条と、Regulation of the Minister of Health the number 73 year 1999 on the Implementation of Artificial Reproductive Technology Services ( peraturan menteri kesehatan no.73 tahun 1999 tentang penyelenggaraan pelayanan teknologi reproduksi buatan)で禁止されている。

婚姻関係にある夫婦間で、夫の精子と妻の卵子を受精させ、それを妻の子宮に戻すIVF以外は、正式だと認められない。移植胚の個数は一回に3個までで、状態によって4個も可。また、Indonesian Ulema Council(MUI)は、IVFは認めるが代理出産は認めない、配偶子提供も認めないというファトワを出している。

血のつながりを重んじるイスラム的な空気の強いインドネシアでは、精子バンクの設立は難しいと考えられている。TMC fertility centerのように、精子バンクをうたう不妊治療センターもまれにあるが、これは外資系病院なので、利用するのはインドネシア人ではなくメディカルツーリストの外国人である可能性も高い。

しかし隣国マレーシアで配偶子提供は徐々に浸透しつつある。マレーシアで治療を受けるメディカルツーリストの内訳で最も多いのはインドネシア人である。たとえインドネシアで禁止されても、精子提供、卵子提供をどうしても望むカップルには、マレーシアという選択肢があることになる。生殖補助医療は、隣国の状況と複雑に絡み合い、実態が見えにくい。


Rent Uterus in Indonesia
[Shoong.com November 13, 2010 ]

PERSPEKTIF HUKUM KEHAMILAN DI LUAR CARA ALAMI DI INDONESIA
[Undergraduate Theses from GDLHUB / 2008-06-27]

Banking on your sperm
[The New Straits Times Press (Malaysia) 2010/11/28]

ETIKA DAN HUKUM REPRODUKSI BUATAN
[Achmad Rizal’s blog 2010.12.28]


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by technology0405 | 2011-05-31 16:31 | Countries | Comments(0)

ヘルスケアを求めて国境を越える動きが世界的に起きている中、ベトナムも例外ではない。アジア随一のヘルスケアシステムを誇り、地理的にもベトナムに近いシンガポールへの渡航治療が、ベトナム人の間で流行している。2009年の時点で、シンガポールに来るメディカルツーリスト患者は年間40万人、そのうち1万人はベトナム人だった。

VietSing Healthcareは、シンガポールでの治療を考えるベトナム人のためのコンサルタント業務を行う会社である。代表者のNguyen Ngoc Anhは、渡航治療を患者が希望する場合というのは、複雑な治療や手術が必要なケースが多いという。「自国ではどこに頼ればいいのかわからないという患者がほとんど。渡航先には先端技術と最新の設備がある。実際、何百人もの人々が治療に成功して、正のフィードバックを返している。」

確かに、ダ・ビンチ・サージカル・システム(傷や患者への負担が少ない手術ロボット・システム)やAquilion ONE CTスキャナ(高速・高画質・低被爆の最先端スキャナ)など、世界でも一握りの施設にしかない設備にアクセスできることを考えると、Anhの言葉は間違っていない。ベトナムでは受けられない角膜移植、肝臓移植などの治療も海外でなら可能だ。

しかし、高額な医療費、不潔な病院、闇治療行為、更なる病状の悪化など、メディカルツーリズムにまつわる悪い記事も、最近のベトナムの新聞には掲載されている。どちらが正しいのか。真相はその中間といったところであろう。

「私がインタビューした渡航患者は誰もが、どこかで大きな不安を経験していた。渡航治療はすべての人に合うものではないし、賢明な患者になるためには、決断の前に客観的なデータを検討することだ。」と、ガイドブック『Patients beyond Borders』のアメリカ人著者Josef Woodmanは言う。「渡航治療はレジャーではない。娯楽的要素よりも自分の健康を優先させるべきだ。ビジネス旅行者は自分のことを観光客とは考えない。患者も同様であるべき。」

Singapore General Hospitalの疼痛管理センター長Tan Kian Hian医師は「地元の医師や医療専門家からの情報をしっかり受けること。」とアドバイスする。ただよい治療だけを求めて、早い段階で渡航治療を決断するのは、厄介なことになりかねない。

渡航治療費用は、患者の希望、滞在期間、立ち寄り旅行、治療のレベルや内容によって大きく違ってくる。しかし、目的国への長期間のフライト、医師やスタッフとの度重なる面会、苦痛の伴う治療などの後では、患者が治療後すぐ飛行機で帰国することに医師は反対するだろう。体には休息時間が必要であるし、医師には患者の回復状況を見守ることが必要である。渡航治療にはそうした問題点もある。

アジア内でのメディカルツーリズムの人の動きは、今後ますます活発になるであろう。アジア諸国が協力してデータをとる必要性が高まっている。

Seeking healthcare abroad an emerging trend for Vietnamese
[asiaone Mar 25, 2009]

VietSing International Cooperation ホームページ
by technology0405 | 2011-05-31 13:29 | Countries | Comments(0)

渡航治療の目的地を決定する要因とは、価格の安さ、アクセスのしやすさ、観光資源の豊富さ、法的・倫理的規制の緩さ、待機期間の短さであるといわれる。この中で、価格やアクセス、観光に関する要因は、渡航先の国が他国の患者を呼び込むためのプル要因である。一方、自国に先進医療技術や専門家がいない、サービスの質が悪い、法的・倫理的規制が強い等の要因は、自国民を他国での渡航治療へと向かわせるプッシュ要因であり、こちらの方が渡航者の根本的な需要を反映していると考えられる。

生殖補助医療の分野でも、一般的には上に述べたような要因がメディカルツーリズムにおける要因だとされる。しかし、イランのイスファハン(イラン第二の都市)のクリニックで行われた調査によると、イランに不妊治療に訪れたカップルが最重要視したのは、宗教的に承認された処置であるかどうかという点だった。

イスラム教はスンニ派とシーア派の二大宗派に分かれている。スンニ派がムスリムの80-90%と多数派を占める。シーア派はイランを中心に、イラク、レバノン、バーレーン、シリア、サウジアラビア、アフガニスタン、パキスタンに居住する。シーア派とスンニ派は、ARTに関して異なる見解を持つ。シーア派は、限定された状況下での代理出産や卵子提供を認めている。対するスンニ派は、第三者が関わる生殖補助医療を一切認めない。同じイスラム教でも、宗派によって規則が違うのである。多くのムスリムカップルにとって、宗教的に正しい方法でARTを受けることが大変重要であるということが、調査でわかった。

イランには、公立、私立併せて不妊治療施設が70以上ある。その一つIsfahan Fertility and Infertility Centerを訪れた渡航患者は、94%がシーア派であった。国の内訳は、イラク人64.2%、アフガニスタン人17.9%、パキスタン人7.5%で、全体の82.1%が陸路での入国だった。

渡航先の選択に関しては、「アクセス条件」「価格」「観光資源」「自国の専門医の不足」が影響したと答えたカップルより、「宗教的に正しいやり方でARTを受けられることが重要である」という項目に同意したカップルの比率が断然高かった。

不妊カップルの信仰が尊重されるような環境を作り上げることで、生殖ツーリズムの可能性は広がっていく。逆にどんなに生殖技術が発展しても、道徳的、法的、宗教的、倫理的問題を総合的に考慮しなければ、技術のグローバリゼーションは起きないだろう。

Decisive factors in medical tourism destination choice: A case study of Isfahan, Iran and fertility treatments
by Farhad Moghimehfara, Mohammad Hossein Nasr-Esfahani
by technology0405 | 2011-05-27 13:47 | Countries | Comments(0)

イランの胚提供

イランはイスラム諸国の中で、ARTの使用に関して最もリベラルであると言われる。婚姻関係にある不妊カップルに限り、第三者による胚提供を受けることができる。2003年に議会で成立したAct of Embryo Donation to Infertile Spousesでは、胚提供を合法とすることが明記された。

『Act of Embryo Donation to Infertile Spouses』
・胚提供を希望できるのは、イラン国籍を持ち、不治の病や中毒症のない判断能力のある不妊夫婦
・裁判所が親としての適性を判断する
・提供胚は、正式な婚姻関係にある健康な夫婦の受精卵。胚凍結も可。
・提供は無償で、匿名にて行われる
・ムスリム夫婦にはムスリムドナーの胚が提供されるようにする

精子提供、卵子提供に関しては記述がなく、正式には認められていない。特に精子提供に関しては、男系重視のイスラム社会では姦通罪に相当するとして反対派が多い。しかし、イランカップルの10-15%が不妊とされる今日、ARTはイランで盛況であり、イランの宗教的リーダーは生殖テクノロジーに寛容で、第三者が関わる生殖補助医療にも柔軟な対応を見せている。今後ファトワで認められる可能性は十分に残されている。

イスラム社会での「親族」とは、生まれながらの家族、婚姻により生じた関係、同じ母乳を飲んだ人間の3種類を指す。他人の子を妻の母乳で育てた場合は養父母となるが、基本的に孤児を養子にすること自体禁じられている。こうしたイスラムの伝統的な親族関係、婚姻関係を、生殖補助医療が崩しつつあるのは確かである。

Ethical and Religious Aspects of Gamete and Embryo Donation and Legislation in Iran
by Bagher Larijani , Farzaneh Zahedi
Embryo donation to Infertile Spouses Actの原文はTable1
by technology0405 | 2011-05-17 15:32 | Countries | Comments(0)

反商業的代理出産の再考

商業的代理出産に対する反対意見には2種類ある。代理母の権利を論拠としたものと、子供の権利を論拠としたものである。この論文では、後者に焦点が当てられている。子供の権利を論拠とした反対意見で最も一般的なのは、商業的代理出産は子供の人身売買にあたるというものである。裁判所や議員、政府が商業的代理出産契約の無効化や禁止を正当化する際には、この論理が多く用いられ続けている。

『Is Women's Labor a Commodity?』の著者Elizabeth Andersonは、代理出産によって親権は一種の「財産権―所有物を使い、捨てる権利―」に変貌したという。しかし、これは間違いである。代理出産契約は、親が子供に対する所有権を有することを前提にはしていないからである。親には子供の利益を保護する義務があり、依頼親には親権とともにこの義務が課されるのであって、子供を所有物として好きにしてよいわけではない。子供の幸福のために親権が行使されることを関係者(及び法)が承認するのが、代理出産契約である。

では、「代理母が親権を金で依頼者に売っている」という指摘はどうだろう。物の売買の原則は、ある者が他者から物の受け取りを条件に金を支払うことである。しかし、代理出産契約時には子供も、生まれる子供の親権も存在しない。親権はある特定の子供がいて初めて発生する。「誰でもよいからAIDで生まれてくる子供」の親権というものはそもそも存在しないのである。

依頼親は、代理母の生殖労働を金で買っているだけであって、親権を買っているわけではない。従って、代理出産が代理母の権利を侵している可能性は残っても、子供の権利を侵してはいない。労働を買った人間は、その労働による産物も手にする権利を持つ。これは工場で人を雇ったオーナーが工場の生産物に対する権利を持つのと同じ原則である。依頼親が代理母の生殖労働を買った場合、その労働で発生した子供は、被雇用者の代理母でなく依頼親のものになる。

もちろん、生殖労働の場合は例外的に金で買うことはできない、という意見はあるだろうが、これは代理母の権利に関わる問題で、子供の権利からは離れることになる。著者は、代理出産が人身売買と同種の問題ではないこと、子供の権利の侵犯に関わる問題ではないことを結論として提示する。


REVISITING CHILD-BASED OBJECTIONS TO COMMERCIAL SURROGACY
JASON K.M. HANNA


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by technology0405 | 2011-05-10 16:35 | Materials | Comments(0)

インドの商業的代理出産

インドで盛んな代理出産産業は、女性の生殖労働の商品化を議論する上で興味深い。この問題のコンテクストは「善か悪か」に偏っているが、搾取は確かにある。第一に、「不妊」に対する社会的構造が、遺伝的につながりのある子供を得るために莫大な金を親に払わせている点で搾取的である。第二に、今や数十億ドルのART産業が、自身が負う身体的リスクに無知な代理母を巧みに募集し、彼女らの子宮を利用している点。第三に、同性愛者が子供を持つ手段として歓迎される代理出産だが、インド国内での同性愛は認められていない点、これも明白な差別である。

メディアによると、商業的代理出産を行う代理母は、物乞いなどの社会の最底辺層でも、中流・上流階級でもない。郊外やその近郊に住む不利な条件に置かれた階層に属する人々である。「豊かな暮らし」を切望する彼女たちは、子供に教育を与えること、家を持つこと、事業を始めることを夢見るが、現実は日々の生活のやりくりで精いっぱいである。彼女たちにとって、9か月で3万ルピー稼げる代理母には逆らい難い魅力がある。

商業的代理出産に関しては228th Report of the Law Commission of India (2009)とDraft Assisted Reproductive Technologies (Regulation) Bill 2010 で食い違いが見られた。前者が現実的な禁止を提案したのに対し、法案ではそれを受け入れなかった。また、代理出産を正式な労働として国に認めさせようという動きもある。

商業的代理出産が規制の方向に動いても、ART産業に対する規制の動きは全くない。フェミニストや女権活動家たちは、生殖労働の商品化と経済主体との間のジレンマに取り組んでいる。

The Curious Case Of Commercial Surrogacy
[By Sneha Banerjee , 09 March, 2011, Countercurrents.org]


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by technology0405 | 2011-05-10 16:30 | Countries | Comments(0)

タイには今のところ代理出産関連の法律が存在しない。これを法の抜け穴として利用し、代理出産をビジネスの道具にしようとする者がいる。先日も、台湾人が経営する会社Baby-101が、ベトナム人代理母をタイであっせんしていたことが判明した。

内閣は商業的代理出産を阻止しようと2010年に法案を承認し、現在は議会で審議中。この法案は生殖補助医療で生まれた子供に関するものである。夫婦の精子と卵子を使い体外受精する代理出産と、夫婦どちらかの精子か卵子を使い人工授精する代理出産、どちらのタイプの代理出産もカバーしている。法案では、代理出産で生まれた子供は法的に依頼カップルの子供とみなされる。さらに重要なのは、仲介業者や代理母に対する支払いを禁じている点である。

アジアで代理出産の実需が存在する以上、代理出産を規制することは非常に重要になってくる。契約が法的に曖昧であるがゆえリスクを負う可能性があってもなお、タイに代理出産サービスを買いにやってくる顧客は多い。

この法の抜け穴が悪用されれば、判然としない事態を招くことになる。例えば先日救出されたベトナム人代理母たちの件では、台湾人の依頼夫婦が子供の引き取りを拒否し、子供を望まない代理母に押し付けたケースがあった。この遺憾な結末を知った議会は、速やかな法案承認へと走るかもしれない。しかし、新法案はこうした事例をなくすことができるのだろうか。また、代理出産サービスをただで提供する代理母が見つからなければ、それにどう対処するのだろうか。

Baby-101のケースは、代理母が置かれた虐待的な労働条件を根拠に、人身売買事件として扱われた。しかし、商業的代理出産の議論で常に争点となる「人間の商品化」についての言及はどこにも見当たらない。商業的代理出産は子供の売買、人身売買と同一視できるだろうか。赤ん坊は商品として扱われているのだろうか。

反商業的代理出産の主な論拠は、代理母への支払いは子供の値段である、というものである。この議論では、人間を商品として扱うことを道徳的に悪であると考える。それが子供ならなお一層悪質であるということになる。この主張には、反論の余地が2点ある。

まず第一に、代理出産目的で子供を懐妊し出産後は依頼親に引き渡すという契約は、依頼親と遺伝的につながりのない、すでに懐妊された子供を売ることとは機能的に異なるという点である。

第二に、支払いについてである。代理出産契約で依頼親は実際何に対して支払うのか。赤ん坊に対して?それとも代理出産サービスに対して?商業的代理出産の擁護者は、この支払いは赤ん坊の値段ではなく、代理母が妊娠・出産を通して引き受けた尽力とリスクに対する報酬だと主張する(食事処方、健康維持、産休による収入減に対する補償など)。

反商業的代理出産の主張はまた、貧しい女性に不平等な契約を強いる経済的搾取の側面を強調する。依頼者は代理母を目的達成のための道具と見なしているという。これに対し擁護者たちは次のように反論する。

第一に、貧しい女性だけが商業的代理出産を行なうというのなら、合法的な代理出産でもっと収入を得られるような保護政策を提供することはできないのか。第二に、経済的搾取が問題なら、代理母が負うリスクと不自由に対する補償をするのが当然ではないか。第三に、1980年代、商業的代理出産が大いに議論された時期にアメリカで行われた調査によると、以下の事実が示された。
・商業的代理出産の担い手は、必ずしも経済社会上最も貧しい階級出身だとは限らなかった。従って、貧しい女性のみが商業的代理出産に従事するという仮説は成り立たない。
・代理母になるという決断は必ずしも金銭的な理由からではなかった。調査によると、妊娠を楽しむ女性や、利他的な善行と感じる女性もみられた。

タイでは、新法によって商業的代理出産は禁止されることになるだろう。しかし、ベトナム人代理母の事件が示しているように、アジアには実需が存在する。商業的代理出産の禁止は、子供のない親たちを、Baby-101の台湾人顧客のように違法な解決策へと向かわせるかも知れない。今こそ、商業的代理出産の法的地位について議論の口火を切るときである。

Should commercial surrogacy be legalised?
[Bangkok Post 6/05/2011]


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by technology0405 | 2011-05-10 12:03 | Countries | Comments(0)

タイのART 2001年-2007年

Assisted reproductive technologies in Thailand:2001–2007 results generated from the ART Registry, Royal Thai College of Obstetricians and Gynaecologists
by Teraporn Vutyavanich, Waraporn Piromlertamorn and Jason Ellis, On Behalf of
the Reproductive Medicine Subcommittee, The Royal Thai College of Obstetricians
and Gynaecologists

2001年から2007年の間にタイで実施されたARTに関する資料。認可を受けたタイのARTセンターには、患者数、サイクル数、治療内容、治療結果をRoyal Thai College of Obstetricians and Gynaecologists の Reproductive Medicine Subcommitteeへ毎年報告する義務がある。その報告をまとめたもの。



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by technology0405 | 2011-05-06 16:02 | Countries | Comments(0)

メディカルツーリズムは世界で最も急成長しているビジネスで、2012年には年間1000億ドルの利益を上げると予測されている。インドやシンガポール、タイは、質の高い医療を、英語の堪能な医師と安価な費用で提供するハブ国である。しかし、こうしたメディカルツーリズムは国に巨額の利益をもたらす一方で、貧しい人々への医療に悪影響を及ぼす「悪政」だと、タイの著名な経済学者Ammar Siamwalaは批判する。

タイの病院に治療に訪れる外国人は年間160万人以上、そのうちメディカルトラベラーは50万人と見積もられる。メディカルツーリズム産業が発足してたった数年でこれだけの驚異的な数字をたたき出した。前大統領Thaksin Shinawatraがタイをメディカルツーリズム のハブ国にすると宣言した2003年以来、積極的なマーケティングと、外国人医師に対する規制緩和を推し進めてきた。

この政策は、タイにもたらされる巨額の財政的利益を理由に支持された。実際、外国人向け医療部門は2015年までに33億ドルの利益が見込まれている。政府はさらに、メディカルツーリズムが医学的専門知識や新たな医療設備の導入を促進するだけでなく、海外の有能なタイ人医師が国内に戻ってくることで「頭脳流出」にも歯止めをかけられると説明する。

しかし、Ammar氏はこのメディカル・ハブ政策を「タイ史上最悪の政策」と呼ぶ。私立病院の医者の給料は公立病院の8-10倍もあり、こうした民間病院の拡大が公立病院での賃金インフレを引き起こすだろうとAmmar氏は警告する。「国はすでに公立病院の医者の給料を再三にわたり引き上げたが、それでも不十分。私立病院と張り合えるわけがない。」

National Health Commission of Thailand (NHC)の事務局長 Amphon Jindawattana医師は言う。「メディカル・ハブ政策は医者の頭脳流出を促進した。優秀な専門医師や医療従事者が私立病院に流れていった。」タイではすでに医師不足が起きており、低賃金を是正しようとする改革が健康保険制度の重荷になっている。2005年に政府は1300人の医師を何とか養成したが、同年に辞めた医師が700人。その多くは私立病院で働くためであった。

農村医療協会(Rural Doctors Society )も外国人医療の拡大を厳しく非難している。バンコクは農村地域の8倍の数の医師を抱えており、RDSは、都市部への医師の集中が格差を悪化させるだろうと指摘する。

公立病院と私立病院の間で設備環境が大きく違ってくることへの懸念もある。大きな私立病院の中には今や五つ星ホテル並みのところもある。ドアマンが患者を大理石のロビーで出迎え、エレベーター係が待合室まで案内する。こうした外国人向けの、ホスピタルならぬ「ホテル-スピタル」が意味するのは、タイの中流家庭がますますこうした医療センターでの治療を受けにくくなっているということである。

タイの大きな私立病院はさらに多くの外国人への医療サービス提供を免れず、欧米の政府や保険会社はさらなる外注でコストや順番待ちリストを減らそうとするだろうと、エルサレムのヘブライ大学・社会科学部の名誉教授Erik Cohenは予想する。ある学術予測では、外国人患者に充てられる資源は2015年までに、私立病院に現在勤務する医師全体の23%-34%に上るだろうと見積もられている。

一つの解決策として、医師の南東アジア諸国間の移動を自由化し、農村に他の国の医師を呼ぶ方法がある。しかしこれはベトナムやラオス、カンボジアなどの国に悪影響を及ぼすであろう。タイ自身が他国の頭脳流出を引き起こすかも知れないのである。

メディカルツーリズムの急成長は、タイのような国の医療制度に重大な影響を与える。民間部門の拡大やメディカルツーリストの利益よりも重要なのは、地元の住民の医療である。医療サービス税の増税や医学訓練への投資の拡大など、強力な予防手段を講じることによって、国民もまた、医療のグローバリゼーションとメディカルツーリズム革命の利益を得られるようにすべきである。

Thai embrace of medical tourism divides professionals
[guardian co.uk. 26 April 2011 ]


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by technology0405 | 2011-05-06 14:50 | Countries | Comments(0)

タイで商業的代理出産を提供していた業者が摘発されたニュースによって、タイの代理出産法案の行方が再び注目されている。タイでは、親の権利と義務はCivil and Commercial Codeで、養子縁組はChild Adoption Actで規定されている。しかし、そうした問題は、ARTが使用される場面では非常にグレイである。体外受精や代理出産は実施されているが、法律は不妊治療の発達に追いつけず、後手に回っている。

代理出産法案の作成には数年が費やされ、すでに内閣で通過しているにも関わらず、未だに検討中で議会の承認が待たれている。法案では、正式な婚姻関係にあるカップルは、以下の条件下で代理出産契約を交わすことができる。
・カップルは二人とも親になるための精神的、肉体的な適正を備えていること
・代理母と依頼カップルに血縁関係がないこと
・代理母は経産婦で、夫がいる場合は夫の同意が得られていること
・適正評価は、子供に影響する環境や疾患を考慮した上で、法律に基づいて行われること

最も重要なのは、この法案が依頼親、代理母、子供の権利を現している点である。現行法では代理出産で生まれた子供は代理母(とその夫)の子供になる。依頼した親は一切の親権を持たず、養子縁組するしかなかった。しかし養子縁組には公的手続に時間がかかり、特に外国人カップルにとっては負担が大きかった。また、これまでに代理出産契約がタイの裁判所で認められたケースはないので、代理出産契約は社会的秩序や道徳に反するとみなされる可能性もあった。

法案が成立すれば、依頼親は、養子縁組や法律をかいくぐる様な方法をとらずとも正式な親権を手にすることができる。さらに、少年・家庭裁判所が管轄権を与えられ、代理出産に関する親権問題を扱うことができるようになる。

商業的代理出産は今のところ違法ではないが、法案成立後は禁止され、厳しい罰則が付けられる。代理母の健康維持のための費用以外の報酬は許されない。ただし、その費用の基準は明示されていない。商業的代理出産に関する仲介業務や広告業務も同様に罰則付きの禁止となる。

Draft surrogacy act under consideration
[Bangkok Post 22/04/2011]


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by technology0405 | 2011-05-06 12:12 | Countries | Comments(0)
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