人気ブログランキング |

ブラジルのART

ブラジルでは1992年に出された『RESOLUTION No. 1.358/92 CFM』に基づいてARTが規制されている。主な内容は以下のようである。

『RESOLUTION No. 1.358/92 CFM』
・インフォームドコンセントの義務付け
・伴性遺伝病の診断以外(性別や外見の選択など)を目的としたARTの使用を禁止
・出産目的以外での配偶子の受精を禁止

・胚移植の数は一回4個まで
・ARTを使用して多胎妊娠が起きても、減数手術をしてはならない
・ARTを使用する際はパートナーの同意を得る

・ドナーは利益を得てはならない
・ドナーとレシピエントは互いに身元を知らせない
・クリニックは、ドナーの記録とサンプルを保管しておく

・ドナーは可能な限りレシピエントの外見に近い人間が望ましい
・ドナー由来の子供の数の制限
・ART提供者が自らドナーになることの禁止

・胚と配偶子の凍結保存OK
・胚を体外で培養できるのは14日まで
・ラボで作られた胚の個数の合計を、クリニックがカップルに伝えなくてはならない
・凍結保存では、カップルの離婚や、一方が重病、死亡した場合どうするかを書面で決めておく

代理出産について
・利他的代理出産のみOK
・代理母になれるのは、2親等までの親族

2007年には、ブラジルで51歳の女性が娘夫婦の子供を代理出産して話題になった。女性は、娘夫婦の受精卵による胚を4個移植し、双子の男の子を出産した。最初の1か月は代理母が母乳を与え、そのあとは娘がホルモン治療を受けて母乳を与える。「ためらいはなかった。娘を助けたかった。」と孫を自分で出産したこの女性は言う。

『RESOLUTION No. 1.358/92 CFM』

Woman gives birth to own grandchildren
[The Sydney Morning Herald :September 29, 2007]


Copyright(C) 2010 SGRH. All Rights Reserved.
by technology0405 | 2010-12-28 13:49 | Countries | Comments(0)

フィリピンの代理出産

フィリピンでは今のところ代理出産に関する法律はなく、商業的代理出産も行われている。一方議会では、代理出産を人身売買と同じとみなして禁止する法案を上院が提出するなどの動きが出ており、将来的には禁止される可能性もある。

シンガポールを拠点にした仲介業者「Asian Surrogate」を経営するMichael Ho氏は、2008年にフィリピン女性を代理母としてデンマーク人とマレーシア人のゲイカップルにあっせんした。代理母にデンマーク人の依頼者の精子を注入し、代理母は妊娠。子供を受け取ったカップルはAsian Surrogateに少なくとも45,000シンガポールドルを支払った。そのうち約22,000シンガポールドルが代理母に支払われ、それは代理母の年収の5.4倍にあたるという。

「フィリピン女性はとても役に立つし、熱心。代理母にぴったりだよ。」Ho氏は自分のあっせんする代理母が「決心を変えない、信用できる、思いやりと倫理観を持った女性」つまり「自分の利益のために依頼者の子供を手放さない」ような女性ではないと強調する。「彼女たちは得たお金を自分の家族に役立てたがっている。」

フィリピンでは代理出産に関心は払われてこなかった。社会福祉省大臣だったEsperanzo Cabral氏はインタビューで「フィリピン国内で商業的代理出産が行われているとは認識していない。もしそうであっても、代理出産を禁止する法律はない。」と述べている。

Ho氏はフィリピン女性を代理母のターゲットにしたのは、フィリピンに法律がないからだと認める。「シンガポールでは代理出産は違法だ。でも自分はフィリピンやインドやほかの国でやっているから、法律を破っていることにはならない。」

フィリピンに目を付けているのはHo氏だけではない。シンガポールの養子あっせん業者「Fox Family Services Adoption Centre」も、卵子ドナーや代理母のあっせんへとそのサービスを広げている。

問題は、こうした法整備のない国での代理出産契約は正式なものではないため、依頼者にも代理母にもリスクが高くなる点である。1987年の『The Family Code』164条には「事前の同意があれば、夫の精子、ドナーの精子、夫とドナー両方の精子どれかの人工授精で妻が妊娠して産まれた子供は、夫婦の子供とする」とあるが、代理出産には触れられていない。

フィリピンのSociety of Reproductive Endocrinology and Infertilityは商業的代理出産に強い反対の立場をとっている。会長のEileen Malapaya Manalo医師は次のように言う。「2005年には我々は自分たちでガイドラインを作成しました。代理出産とクローニングは一切認めません。我々は基本的にカソリック教育の影響を受けてきました。学会員の多くはカソリックです。」Ho氏の「ここだけの話、マニラのIVF医師はカソリックの教えによって代理出産はやっていないと口では言うが、実際はやっている。」という発言に、強い反発を示した。

フィリピンでは実際にローマカソリック教会の影響が強く、避妊や中絶などもよくない行為とされてきた。厳しい中絶禁止法のせいで、病院での安全な中絶の代わりに、産婆による腹部のマッサージやカテーテルの挿入などの方法がとられ、年間90,000人の女性が中絶の合併症を患い、1,000人が死亡しているという。2010年に出された、避妊や中絶、生殖技術に関する項目を含むreproductive health lawの法案に対しても、カソリックから反対が出ている。

法務大臣だったRaul Gonzalez氏は「フィリピンがこの問題に対して法律を制定するべき時がきた。」と言う。現在、上院から不妊治療の健康保険に関する法案と、代理出産を禁止する法案が出されている。こうした法案が通過すれば、フィリピンはインドとはまた違う道をたどることになるだろう。

代理出産禁止法案
代理母と依頼者は5年の懲役と1万ペソの罰金刑
医師、看護師、技術者、仲介業者などは2年の懲役と5000ペソの罰金刑

法案The Reproductive Health and Population and Development Act of 2010

Womb for Hire - Part 1
[ABS-CBNnews.com 06/16/2009]

Womb for Hire - Part 2
[ABS-CBNnews.com 06/19/2009 ]

p55 Philippine Society of Reproductive Endocrinology and Infertility のART researchに関するガイドライン Ethical Guidelines for Research on Assisted Reproductive Technology

Government to promote both artificial, natural birth control
[The Philippine Star September 30, 2010]

Catholic group bats for reproductive health law
[CathNews November 5, 2010]

Rights group slams Philippine abortion ban
[PHYSORG.COM August 2, 2010 ]


Copyright(C) 2010 SGRH. All Rights Reserved.
by technology0405 | 2010-12-24 15:49 | Countries | Comments(0)

ベトナムのIVF

ベトナムでは2003年2月に国民の家族計画に関する法令『Population Ordinance』とARTに関する政令『Decree on childbirth by scientific methods』が出された。主な内容は、以下のようである。

『Population Ordinance』
・クローニングの禁止
・胎児の性選択の禁止
・規準を満たさない避妊器具の製造、輸入、提供の禁止
・家族計画に対する妨害活動の禁止

『Decree on childbirth by scientific methods』
・精子提供者は20-55歳
・卵子提供者は18-35歳
・ドナーは健康で感染症や遺伝病にかかっていない人間

・レシピエントは20-45歳
・ドナーおよびレシピエントの情報は公表されない
・外国人もARTを利用できるが、ドナーにもレシピエントにもなることはできない

・ARTで生まれた子供の養育義務をドナーは有しない
・ARTで生まれた子供はドナーの財産を相続する権利を持たない
・精子・卵子・胚の違法なやり取りの禁止
・基準を満たしていない施設での行為を禁止

・9条1項 一人の精子ドナーの精子は、一人のレシピエントにのみ提供される。ドナー精子のレシピエントは不妊治療を受けている夫婦の妻でなくてはならない。
・9条2項 一人の卵子ドナーの卵子は、一人のレシピエントにのみ提供される。ドナー卵子のレシピエントは不妊治療を受けている夫婦の妻でなくてはならない。
・9条3項 一人の胚ドナーの胚は、一人のレシピエントにのみ提供される。提供胚のレシピエントは不妊治療を受けている夫婦の妻でなくてはならない。

代理出産やクローニングに関わった者には2000-3000万ドン(1273-1910ドル)の罰金、配偶子・胚提供に関する違反には1000-1500万ドンの罰金が科されるという。

ARTを受けられるのは婚姻カップル、事実婚カップル、シングル女性で、女性は45歳までという年齢制限がある。匿名の精子提供、卵子提供、胚提供が認められており、ドナーの年齢制限は、卵子ドナー35歳まで、精子ドナー55歳まで。1人のドナーが1組のレシピエントに提供できる。代理出産は禁止。IVMを提供するクリニックもある。

2004年の時点で、ベトナムには約80000組の不妊カップルがおり、国内の既婚女性のおよそ0.6%を占める。最初の体外受精児は1997年Tu Du Hospitalで生まれており、それ以来、ここ十年で国内の不妊センター10施設で4000人以上の子供が生まれている。ベトナムのIVFの費用は約2300-2500万ドン(1464-1592ドル)。他の国では平均6000ドルである。

現在ベトナムで問題となっているのは男女の出生比率である。中国やインドと同じく、ベトナムでも出生前診断によって選択的中絶が増え、出生比率が男子に偏っている。これが女性の結婚の低年齢化、風俗職や人身売買の増加を招くのではと専門家は懸念する。家父長制に根を持つこうした傾向に対して懲罰的アプローチをとることは難しい。女性の地位を向上させるための支援が必要である。

ベトナムの男女出生比は2000年に女100に対し男106であったのが、2008年には112になった。「現在はベトナムより中国の方が偏りが大きい。だが、ベトナムの特徴はその変化があまりにも急激な点。この傾向が続けば、3年以内に115に達するだろう。」とUNFPAのブルース・キャンベル氏は言う。

主要な原因は性選択技術にアクセスしやすくなったことである。ベトナムでは超音波診断も中絶も合法だが、胎児の性別を理由にした選択的中絶は違法である。ベトナム政府は最近、性選択に関する書籍を30000冊、性選択技術を宣伝したウェブサイトを7つ廃した。しかし、こうした取り締まりにも関わらず、子供の性別を選ぼうとする親は後を絶たない。

また、国内のIVF技術が目覚ましい進歩を遂げる一方で、2003年の法令の見直しを希望する声が現場から出ている。IVFを受ける年齢が45歳に制限されているため、不妊治療を受けることができないカップルがたくさんいるとHung Vuong Hospitalの不妊治療部門のNguyen Thi Ngoc Suong医師は言う。

代理出産でしか子供を持つことができない夫婦の希望にも、医師はこたえることができない。また、同じドナーの精子・卵子・胚を複数のレシピエントに使うことも禁止されているので、精子バンクでは精子の供給も全く追いついていない状態にある。

Ho Chi Minh City Reproductive Endocrinology and Infertility Association(HOSREM)のHo Manh Tuong医師によると、政府は、現行のIVF法の欠点を報告するよう不妊センターに要請しているという。

『Decree on Childbirth by Scientific Methods』

 『Population Ordinance』 

Vietnam has made significant progress in infertility treatment
[Foreign Press Center 08 January 2009 ]

Vietnam forbids women to act as surrogate mothers
[www.chinaview.cn 2005-04-11]

Vietnam to ban human cloning and surrogacy
[HindustanTimes.com February 15, 2003 ]

Sex ratio imbalance worsens in Vietnam
[The Lancet 24 October 2009 ]

IVF regulations pose barrier to infertile couples
[lookatvietnam February 5, 2009 ]

Vietnam’s sperm banks lack “capital” 
[VnnNews.net May 6, 2010 ]


Copyright(C) 2010 SGRH. All Rights Reserved.
by technology0405 | 2010-12-21 16:16 | Countries | Comments(0)

インドは代理出産ツーリズムのパイオニア的存在であるが、今、グアテマラで同様のことが行われている。グアテマラは国外に養子を多く送り出していることで有名である。しかし、子供の人身売買だという国際非難を受け、国際養子縁組に関するハーグ会議後は、2004年をピークに養子の数は減っている。それに呼応するように増加しているのが、代理出産である。

グアテマラには代理出産に関する法律はなく、養子ビジネスに携わっていた業者が代理出産へとシフトしている。男女の不平等が深刻な問題となっているグアテマラでは、読み書きすらできない貧しい女性が、明らかに依頼者に有利な契約を通して代理出産を行っている。報酬は安く、1500ドル程度という。

代理出産ツーリズムといえばインドばかりが注目される傾向にあるが、インドの代理出産に対する調査が進めば、他の国のこうした現状も明らかになるだろうと、Virginia Commonwealth UniversityのDr. Nicole Bromfieldは考えている。

Reproductive Tourism: Surrogacy Outsourcing Takes Hold in Guatemala
[Biopolitical Times June 1st, 2010]

Surrogacy Replacing International Adoption from Guatemala
[RHRealityCheck.org. May 20 2010 ]


Copyright(C) 2010 SGRH. All Rights Reserved.
by technology0405 | 2010-12-17 16:00 | Countries | Comments(0)

カナダのブリティッシュコロンビア州に住む夫婦が、胎児にダウン症が見つかったとして代理母に中絶させた出来事が議論を呼んでいる。代理母は自分で子供を育てると中絶を拒否したが、夫婦が一切の資金援助を断ったため、2児の子供を持つ若いシングルの代理母は中絶せざるをえなかった。

カナダでは2004年から利他的代理出産のみが認められているが、その代理出産契約に関してはクリニック任せであり、政府が監督しているわけではない。もし代理出産契約の内容について法廷で争われるケースが出てくれば、契約そのものを認めない判決も出てくる可能性がある。

治療にあたったKen Seethram医師によると、この代理出産契約は「非強制的な」環境のもとで交わされたが、代理母の権利を損なった可能性があると示唆した。契約上では、代理母が中絶を拒否した場合には、子供に対して依頼夫婦が責任を負わなくてよいことになっていた。

Calgary大学のJuliet Guichon教授は次のように言う。「これは、欠陥品があったといって生産ラインを止めるようなものだ。商品の製造では通用するが、生殖では問題が大きい。裁判所も、代理出産契約より家族法を重視し、依頼者夫婦に子供の責任を負わせる可能性が高い。」

しかし、カナダでもアメリカでも、代理母が依頼者の希望に反して中絶を拒否した場合は依頼者の主張が認められる場合がほとんどであるとSurrogacyInCanada.ca.のSally Rhoadsは言う。「全責任を負わされるのは代理母側。夫婦が離婚して代理出産を途中でキャンセルしたので代理母がその子供を育てているケースがカナダで3件。双子を妊娠した代理母に減数手術を行い、妊娠そのものがだめになったケースもあった。不当な扱いをされたと感じて終わるのはたいてい代理母の方だ。」

今のところ、代理出産契約がカナダの法廷で争われたことはない。しかし、依頼者と代理母、生まれてくる子供の立場をあいまいにしないためには、代理出産契約の内容にまで踏み込んだガイドラインが必要であろう。

Couple urged surrogate to abort fetus due to defect
[ National Post · Oct. 6, 2010]

Canadian Surrogacy Case Sparks Intense Debate
[Family Law Prof Blog November 18, 2010]


Copyright(C) 2010 SGRH. All Rights Reserved.
by technology0405 | 2010-12-17 12:04 | Countries | Comments(0)

カナダでは、2004年3月に「Assisted Human Reproduction and Related Research Act」が制定され、卵子・精子の売買や商業的代理出産が禁止された。しかし、それが生殖ツーリズムを加速する結果になっている。

インドのグジャラート州アナンドにあるAkanksha IVF Centerには67人の代理母がおり、カナダ人を含む外国人カップルのために代理出産を引き受けている。院長のNayana Patel医師は次のように言う。「カナダ人の患者もたくさん来ます。代理母たちには他にお金を稼ぐ方法がないのです。代理出産で彼女たちの生活は360度変わります。」Patel医師のもと代理出産で生まれた子供は約250人になるという。インドの法律では、代理母は自分の子供を含めた妊娠を5回まで認められている。一回に移植される胚は3-4個。「時々、代理母が合併症を起こすこともあります。本当にたまにですが。」「代理母たちは学び、自信をつけ、道徳的に周りの代理母仲間に支えられている。代理出産をするのは自分一人ではなく、間違ったことをしているわけではないことを知るのです。」

カナダ人に代理母をあっせんするSurrogacy Abroad Inc の経営者Benhur Samson氏は現在25-30カップルの依頼を受けている。「インドの女性は不平等だよ。そのありがたみが忘れられて気遣いされていないという意味でね。インドでは子供も夫も親族も女性を当てにしている。妻が代理母になると夫が突然花を持って訪ねてくるようになったりするんだ。」Samson氏の依頼者はほとんどが白人である。「インド女性の卵子提供で生まれた子供でも、父親の特徴を受け継ぐ赤ちゃんがほとんど。髪の色でインド人のドナーだって判ることが時々ある程度だよ。」

カナダ・モントリオールのマギル大学で不妊の専門家として名高いSeang Lin Tan医師は次のように言う。「率直に言って、カナダにこの法律が出来てから、カナダでの卵子提供は実質ゼロに落ち込んだ。我々の患者のうち、友人や親戚など自分でドナーを見つけられるのが50人くらい。大多数はドナーを見つけられず海外に行くことになる。」

不妊治療を支援する組織Infertility Awareness Association of Canada(IAAC)は、ドナーを求める女性に対してはアメリカに行くよう勧めている。「カナダに一番近いし、言葉の壁もない。我々は患者のストレスを最小限に抑えようとしている。」とIAACの取締役Beverly Hanck氏は言う。「自分が子供を生めず不妊だと判った時のことを想像できますか?まずはその事実に打ちのめされるでしょう。そしてさらに、早発閉経になり卵子が必要な時に、この国では卵子を入手できないと判ったら?」

カナダは国内での配偶子売買や商業的代理出産を禁止したが、国外での代理出産や卵子提供を禁じているわけではない。海外で代理母から生まれた子供でも、夫婦のどちらかと遺伝的つながりを認められれば、カナダ国籍を取得できる。インターネット上ではカナダ人カップルがドナーを募集する広告も見られる。「闇市場だから、思うようなドナーが見つかるわけじゃない。代理母を募集したら、6回の中絶と4回の帝王切開を経験した肥満の4児の母親が応募してくるケースもあった。患者の立場からするとこれはノーだ。何より、代理母の健康を非常なリスクにさらすことになる。金銭のやり取りは多分現金で行われて、誰にもわからない。インターネットのこの状況を止めるのはほぼ不可能だろう。」とHanck氏は語る。

しかし、生殖ツーリズムには倫理的問題が付きまとう。貧しい女性の身体を金持ちが搾取しているのではないのか?本当にPatel医師の言うようなウィンウィンの関係なのか?卵子提供者は、複数の卵子をつくるために卵巣刺激ホルモンを注射しなければならない。通常、女性がつくる卵子はひと月に1個である。ある東ヨーロッパのセンターでは、ドナーに100個まで卵子をつくるよう強いている。これは卵巣過剰刺激症候群を引き起こす危険性を伴う。

国家機関Assisted Human Reproduction Canada(AHRC)の前科学顧問Raywat Deonandan氏は次のように話す。「カナダ政府が人体組織関連のサービスへの支払いの禁止を明文化したのには理由がある。精子や卵子に金は払えない。血液や臓器にも払えない。なぜなら、いったん人体組織を商品化してしまうと、倫理は泥沼にはまってしまうからだ。インドのある村では、イスラエル人のゲイカップルの代理母になった女性が村八分になった。代理出産には社会的スティグマが付きまとうこともある。代理母は産後のケアを受けているのか?ほとんど受けていない。インドでは不妊は呪いだと考えられており、アメリカ人やカナダ人カップルの不妊の呪いを解いてあげることが神聖な行為なのだと思わせて、インド人女性に代理母をさせている。」

モントリオールのマギル医療・倫理・法センターの創設長Margaret Somerville氏は次のように言う。「気がかりなのは、親子関係という最も密接な人間関係が完全に商業化され、非人格化され、人間らしさが失われている点です。」Somerville氏は、イスタンブールの臓器売買と臓器移植ツーリズムを止めるための法案作りに参加した人物である。「ひどい悪用が起きるって分かっているから。優先されるのは、どれくらい利益が出るかという点。生殖ツーリズムと同様、利用されるのは貧しい人々で買い手は裕福な人々よ。」

こうした倫理的問題を考慮し、カナダは法律で国内の精子・卵子売買や代理出産を禁止した。しかしこの禁止は「ドナーが倫理的に扱われない可能性のある他国に負担を上手に押し付けただけ」だとカナダ・ハミルトンにあるマックマスター大学の産婦人科教授Edward Hughes医師は非難する。「配偶子提供を必要とする多くのカップルが、この国で治療を受けることができなくなった。安全面や成果を考えると、我々が治療する方が理にかなっているのに。」

カナダ政府は、ドナーや代理母が支払う実費については「receipted expence(領収書付費用)」として依頼者からの返還を認めている。しかしトロントにあるWomen's College Hospitalの不妊カウンセラーJan Silverman氏は「receipted expenceとは何を指すのか」と疑問を呈す。「卵子を提供して報酬をもらう人々がいる。これは現実だし、見ないふりは出来ない。その事実をオープンにしてほしい。人々がきちんと保護されていないことが私には腹立たしい。こうした取引がオープンにできず、契約が正当な契約だといえないなら、人々が公平に扱われているとはいえない。ドナーと代理母が依頼カップルと同等に扱われているとはいえない。今の状態では悪用の余地が大きい。」Silverman氏は、卵子提供や代理出産を最初から選択する人はいないと言う。「皆自分の子供を生みたいと思っている。自分の子宮を使いたいと思っている。自分のスタイルが崩れないように代理出産を選択するような女性は見たことがない。」

カナダのサスカチュワン州に住む31歳の女性は、4年の不妊と2回の流産を経験したのち、不妊を引き起こす遺伝子の異常が見つかった。アメリカのコロラド州のクリニックで卵子提供を受け、現在妊娠8週。「後でカナダ政府に見つかるのではないかと、大変恐れています。法律が気がかりで、匿名のドナーをクリニックにお願いしました。」

トロントにあるFirst Steps Fertility Centreの不妊専門家Marjorie Dixon医師は次のように言う。「患者は医師に対して以前のような接し方をしなくなった。水面下で動き、うそをつく。法的な制裁はかえって患者に危険でしかも高くつく選択に向かわせた。」

Turning to the world's baby farms―― Six years after Canada outlawed the 'renting' of wombs, an international business is flourishing――
[The Vancouver Sun December 11, 2010 ]

Reproduction law forcing ‘dangerous alternatives’
[National Post · Mar. 12, 2010]

代理母あっせん業者
Surrogacy Abroad, Inc.

IAACのホームページ
Infertility Awareness Association of Canada

国家機関AHRC
Assisted Human Reproduction Canada

トロント女性大学病院
Women's College Hospital


Copyright(C) 2010 SGRH. All Rights Reserved.
by technology0405 | 2010-12-14 14:31 | Countries | Comments(0)

Chulalongkorn Hospitalは、タイで最初の試験管ベビーが生まれた病院である。その20周年を祝うイベントで、Chulalongkorn Hospitalで生殖生物学と不妊部門のチーフKamthorn Pruksan医師は、国の支援がないせいで、タイが生殖補助医療技術の分野で後れをとっていると話した。

「我々は、中国の7か月前に、試験管ベビーの誕生を成功させた。それなのに、今や中国の医療技術はタイよりずっと進歩している。体外受精児の誕生は、その国のバイオテクノロジーのレベルを測る基準とされている。つまり、20年前タイはARTの分野で世界に後れをとってはいなかったのだ。」

タイの最初の試験管ベビー Pavornvitch Srisahaburiは、1987年8月に生まれている。世界初の試験管ベビーがイギリスで1978年に生まれてから9年後であった。それ以来タイ国はARTの実施や研究を促進するための政策をなんら打たなかったと、Kamthorn医師は政府を非難した。

「共同研究のためには、お金が重要になってくる。他の国が10億ドルの話をしているときに、我々は2-30万バーツがどうのという話をしている。そんな状況で誰が我々と手を組みたがるというのか。」

Kamthorn医師は、タイもヨーロッパや台湾、韓国に倣い、ARTを不妊カップルに提供されるべき基本的医療サービスと位置づけ、国の保険制度に組み込むべきだと言う。「そうすれば、クローン技術や幹細胞、ヒトゲノム研究など、ARTから派生する先進技術も促進されるだろう。」

正式な数字は明らかにされていないが、Kamthorn医師は、タイには数千人の体外受精児がいると考えている。これは、タイの5年前に初の試験管ベビー誕生に成功したアメリカに比べると、ずいぶん少ない数字である。2003年時点でアメリカにはすでに35,000人の体外受精児がいた。

生殖技術を使う医師もタイでは少なく、the Royal College of Obstetrics and Gynaecology に登録されている医師のうち100人しか生殖技術を使っていない。研究の促進は、ART分野の医師や専門職の開発にもつながると医師は言う。
「倫理的にも何ら問題はない。最初の試験管ベビーから、今や代理出産というところまで世界は動いた。議論はクローニングや幹細胞についてなされるべきだ。」

Chulalongkorn病院のPramuan Viruntamasen医師は、タイ初の試験管ベビーを世に送り出した人物である。彼はARTに関する法整備が必要だと考えている。法務省事務次官Charan Pakdithanakul もPramuan医師に賛成する。「法律は道徳的観点と、ARTを使用する人々の権利に焦点を当てるべきだ。」

Test-tube fertilisation'should be basic care'
[The Nation June 24, 2007]


Copyright(C) 2010 SGRH. All Rights Reserved.
by technology0405 | 2010-12-10 15:51 | Comments(0)

オーストラリアのニューサウスウェールズ州(NSW)では商業的代理出産は禁止されているが、利他的代理出産は認められている。しかし、善意で代理母になる女性をオーストラリアで探すのは難しく、インドやタイ、アメリカに代理母を求める人は多い。そのような状況の中、2010年11月にNSWの議会が海外での商業的代理出産も禁止する法律を通過させた。

新法律では、NSWの住民が海外で商業的代理出産を行った場合、2年の禁固刑か高額の罰金、あるいはその両方が科される。住民が地元の法律をくぐり抜けることと、海外の貧しい女性を搾取することを防ぐ目的だという。

同性愛を支持するオーストラリアの団体Gay Dads AllianceのスポークスマンSam Everingham は、この法律に反対する。「オーストラリアで代理母を探すのはほとんど不可能。この法律は、すでに商業的代理出産によって子供を得た家族を不当で違法だとするメッセージもはらんでいる。」

タイやインドには代理出産のためにオーストラリアから多くの患者が訪れる。多く今後、この法律が海外の代理出産に影響を及ぼすのかどうか、興味深い。

法案
Surrogacy Bill 2010

Childless couples face jail as part of international baby ban
[The Daily Telegraph November 22, 2010 ]


Copyright(C) 2010 SGRH. All Rights Reserved.
by technology0405 | 2010-12-10 12:56 | Countries | Comments(0)

精子提供トラブル

精子提供において、病院が「白人男性の精子」を使うつもりで「混血の白人男性の精子」を使用したため、イギリスで白人夫婦の間に黒人の子供が生まれるという出来事が起こった。たとえドナーの見た目が白人であっても混血であれば、子供の見た目は白人、黒人どちらにもなりうる。

ミスを犯したのは、BelfastのRoyal Victoria病院。Williams夫婦はこの病院で精子提供を受け娘を出産し、3年後、同じドナーからの精子提供によって息子を出産した。娘は白人だが息子の見た目は黒人。白人男性の精子を希望していた夫婦は強いショックを受けた。

夫のキースは卵巣嚢胞により精子がない。「私は子供をこの上なく愛しているが、このミスは我々家族に大きな打撃を与えた。人の視線が気になり、家族そろって出かけることもできない。息子は成長するに従い混乱し、学校では人種差別的なあざけりで苦しんでいる。私たちが住んでいるのは、圧倒的に白人の多い地域なので、皆が息子に注目し、あれこれ推測する。」夫婦は精神的苦痛を受けたとして病院に対し訴訟を起こしている。

妻のキャサリンはこう語る。「浮気したの?とか、あなたの息子なの?とか言われると傷つく。子供が大人になって理解できるようになれば本当のことを話そうと考えていたけど、もっと傷つきやすい年ごろに話さなくてはならないでしょうね。どうして肌の色が違うのか、息子にいつも尋ねられるの。病院の言葉だけの謝罪は、私たちには無意味だわ。」

カソリック教徒の親族からの反対を恐れたのと、キースの強い希望で、精子提供を受けた事実は周囲に秘密にされていた。「正直に言うと、子供たちにはずっと知らないままでいてもらいたいと思っていた。精子提供で生まれた子供が、本当の父親を知らないことに苦しむという記事を読んだから。」

キャサリンも「周囲には不妊治療のことを知られたくなかったから、病院のスタッフに念を押したのよ。スタッフは、夫の肌の色や髪と目の色に合わせてドナーを選んだから大丈夫だと言ったわ。」口座記録から不妊治療のことが知られるのを恐れ、キースは現金で治療費を払った。

娘が生まれて2年後、病院側から、余った受精卵の保管期限がもうすぐ切れそうだという連絡を受けた。夫婦は2人目の子供をつくることを決め、同じドナーの受精卵から息子を出産。だが生まれたばかりの息子には地中海人種特有の母斑があり、肌は明らかに暗い色をしていた。

息子が3歳になったとき、病院から初めて提供精子の選択ミスの連絡を受けた。ドナーが混血であること、娘の子供は黒人になる可能性があること、病院側は複数の患者にこのドナーの精子を使っており、他の患者からの警告で発覚したことが説明された。病院側とは7年経った現在も法廷で闘争中。

病院が何人の患者にこのドナーの精子を使ったのかは明らかにされていない。今回は病院側のミスだが、インターネットでドナーの写真付の情報から精子や卵子を買うような場合にも、起こる可能性の高い出来事であると思われる。

Why am I dark, daddy? The white couple who had mixed race children after IVF blunder
[Mail Online 13th June 2009]


Copyright(C) 2010 SGRH. All Rights Reserved.
by technology0405 | 2010-12-10 11:38 | Countries | Comments(0)

Coanの論文

ASSISTED REPRODUCTIVE EQUALITY: AN INSTITUTIONAL ANALYSIS
by Andrew B. Coan   / October 25, 2010

The Future of Reproductive Freedom
by Andrew B. Coan / October 24, 2010
by technology0405 | 2010-12-07 15:05 | Related Link | Comments(0)
各国のARTに関する資料や記事を集めています (※ このブログに書かれている情報の信ぴょう性は各自でご判断ください)