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タイの医療審議会は、生殖技術サービスの基準に関する声明『No. 1/2540』の第2弾にあたる『Announcement No. 21/2545 on the standards of services involving reproduction technology』を発表した。
医師会通知_21-2545号

・クローニングの禁止
・婚姻関係にある夫婦の妻が妊娠を望む場合――配偶子提供、胚提供、体内受精、体外受精OK
・婚姻関係にある夫婦が代理出産を望む場合――夫婦の受精胚のみOK

・配偶子の売買禁止
・商業的代理出産の禁止
・代理母は夫か妻の血縁者に限定
・胚の着床前遺伝子診断は診断を目的とした場合のみOK。同意書が必要。性選択などは禁止。

・サービスを提供できるのは、タイ・ロイヤルカレッジの産婦人科の認可を受けた医師のみ


DEVELOPMENT OF THE ETHICAL GUIDELINES FOR RESEARCH IN HUMAN SUBJECTS IN THAILAND

เทคโนโลยีช่วยการเจริญพันธุ์ (Assisted Reproductive Technologies)


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by technology0405 | 2010-11-30 10:36 | Countries | Comments(0)

・不妊治療ツーリズムの渡航先としては、インドやタイ、ポーランドなどが主流であるが、近年、ブラジルやチリ、メキシコ、アルゼンチンなどのラテンアメリカ諸国が参入。2002年のペソの下落後、ツーリズムの渡航先として注目されるようになった。

・ラテンアメリカ諸国では、ブラジルとメキシコにはARTを規制する法律が存在する。アルゼンチンにはそうした法律はなく、ガイドラインをもつ登録機関に頼っている状態。代理出産に関しても、合法とも違法ともされない状態で行われている。

・アルゼンチンの不妊クリニックを対象とした登録機関は、Sociedad Argentina de Medicina Reproductiva(SAMeR)とRegistro Latinoamericano de Reproduccion Asistida(RLA)の二つ。

・ラテンアメリカの不妊クリニックの90%は、上の機関によって認可済み、または認可待ち(正式な認可まで3年かかる)の状態。こうした認可クリニックはガイドラインに沿って治療、運営されている。

・登録機関に認可を申請するかどうかは任意で、強制ではない。従って、ガイドラインに従わないクリニックや、ツーリズムに特化した利益追求型のクリニックに対し、国が取り締まることができない。

・認可クリニックには総合的な医療行為を行う病院が多いのに対し、無認可クリニックにはツーリズムに特化したところが多いのが特徴。利益の出やすいARTと美容整形のみを提供するクリニックなど。

・アルゼンチンの認可クリニックと無認可クリニックのウェブサイトを比較すると、無認可クリニックの方が検索エンジンでアクセスしやすく、デザインも中身も手がこんでいる。認可クリニックの方はスペイン語のみで表記されていることも少なくない。

・アルゼンチンの無認可クリニックの提示する治療費は、北アメリカやヨーロッパの約半分。不妊治療がパッケージ化されており、ホテルや観光までセットになったオールインワン型のツアーもある。→患者にとっては、こちらの方が楽

・先進国では胚の移植数を2個に減らす動きが強いのに対し、ラテンアメリカを含む途上国の胚の移植数の平均は4個。ツーリズムでは、一回の渡航で成果があげられるかどうか、妊娠率の方が重視される。

・ツーリズムで不妊治療をアルゼンチンで行い、出産は母国でというパターンが多い。治療後にアルゼンチンを出国するツーリズムの患者に対しては、医師も最後まで責任を持とうとしない。母国での医師と患者の関係とは異なる。

REDLARA(Latin America Network of Assisted Reproduction)のホームページ


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by technology0405 | 2010-11-26 10:36 | Countries | Comments(0)

ゲイの代理出産と倫理

2010年4月、UKでは法律の改正により、裁判所が二人の関係を認めれば、ゲイカップルでも、正式に婚姻していないカップルでも代理出産を依頼できるようになった。しかし、ドナーや代理母の数を考えると、インドで代理出産する欧米のゲイカップルの数は減らないだろう。インドでの代理出産の半数は白人ゲイカップルであり、代理出産問題においてゲイカップルの問題は切り離せない。

先進国の男性ゲイカップルがインドで代理出産することに対して、女性差別と人種差別を両方含んでいるという見方をする学者もいる。アフリカ系アメリカ人のフェミニスト学者Dorothy Robertsは、次のように述べている。
 
「新しい生殖技術は、遺伝子を残したいという男性の欲望を優先し、女性の出産能力を物とみなす、家父長的役割を強化した。・・・IVFは、女性に生殖の自由を与えるというよりむしろ、既婚男性が自分の遺伝子を受け継ぐ子供を作るのに役立っている。」

遺伝的を受け継ぐ子供が欲しいという強い欲望は、特定の家族の形のみが理想化された欧米社会の産物だという見方もできる。ゲイ男性が家族を持ちたいと思った時に、社会で承認される「家族」の定義の狭さゆえに、とりわけ遺伝子にこだわらざるを得ないのかもしれない。

同性愛者の権利はもちろん重要な課題であるが、欧米男性の欲望をかなえるために非白人女性の子宮が使われるという現実には、議論が必要である。Smerdon(2008)は、依頼者の白人にとって、代理母の人種が子供の人種と異なっている方が、女性の子宮を単なる道具として見やすいのだという。また、依頼者がインド人代理母をまるで家族か親戚のように扱うことで(kinship narratives)、代理母に(依頼者の期待に応えようという)義務感を植え付けるというやり方も見られる(Vora,2009)。

資本主義の下で人間が従事する労働と、妊娠を通じて女性が経験する心理的・肉体的労働とは、同じ規準で測れない。空き臓器(子宮)を利用するだけのビジネス契約として代理出産をみなすことは、代理母の妊娠中の経験や心理を無視することである。何より、依頼者と代理母が人種的にも経済的にも明らかに対等でない状況で行われていることは、少なくとも自覚すべきである。

Gay Men, Race Privilege and Surrogacy in India
Damien W. Riggs and Clemence Due


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by technology0405 | 2010-11-16 16:03 | Comments(0)

中国のAID倫理

中国では、2001年に出された『人類補助生殖技術管理弁法』の第3条にて「人類補助生殖技術の応用は医療機関により実施されなければならない」とした上で「あらゆる形式での配偶子・胚の売買を禁止する。医療機関や医療関係者は、あらゆる形式の代理出産技術を実施してはならない」と規定した。

しかし上記は医療者のための法律であり、実際の市場を取り締まるには至っていない。そのため2003年8月に「人類補助生殖技術規範」が公布され「いかなる組織や個人も、あらゆる形式で卵子提供希望者を募集しビジネス行為をしてはならない」とする条文が加えられた。政府は、一向に減らないネット上での代理母あっせんや精子の売買について、ペナルティーを強化するなどして再三警告しているが、仲介業者の活動は盛んになっている。


中国で支配的な儒教では「男子を産み家系を絶やさぬようにするのが人間の務め」という考えが根強く、生殖補助医療は不妊夫婦にとって希望の光となっている。しかし、AIDは夫の血を引き継がない子供を持つことになり、男系を重んじる儒教倫理とは矛盾する。

2001年に出された2つの規制法の内容は次のようである。

Human sperm bank management
・ドナーは22-45歳までの健康な人間
・提供できる精子バンクは1か所で、その精子が使用できる女性は5人まで
→2006年には体外受精は5人まで、人工授精は8人までとなった
・ドナーに対する医学的検査を厳密に行う
・新鮮な精子の使用は禁止
・精子バンクはドナーとレシピエントの情報を秘密にし、同意なく公開してはならない
・精子バンクはドナーの情報をきちんと管理し、データベースに永久に保存する
・精子の調達と提供はドナーから無償で行われる
・委員会の倫理的原則である、身体部位の非売買、人間の尊厳の保護を遵守する
・クリニックも個人も精子のやり取りによって利益を得てはならない
  →しかし、ドナーに対する支払いの禁止はない

Regulations of human assisted reproductive technologies
・配偶子・受精卵・胚をいかなる形でもビジネスに利用してはならない
・医療機関や医療従事者は、代理出産に関わってはならない
・生殖技術を使用する施設には、専門スタッフと適切な設備、医療倫理委員会の人間を配置させる
・医療施設は生殖補助医療に関わる全ての人間の秘密を守る
・医療的な正当性のない性選択は禁止
・違法施設から手に入れた精子を使用してはならない

2003年、2006年とさらに規制が付け加えられたが(不妊センターのライセンスを2年ごとに更新するなど)、基本路線は変わっていない。2007年には、基準を満たさない精子バンクを政府が閉鎖し、認可精子バンクの数を10にまで減らした。


AIDで生まれた子供の立場に関しては、1991年に最高裁が次のような声明を出している。
「AIDで生まれた子供は、すべての点で、AIDに同意し依頼した夫婦が自然に妊娠・出産した嫡子と同様の立場にある。婚姻法の中の、親と子の権利と義務に関する条項がそのまま適用される。」

2003年「Ethical Principles of Assisted Reproductive Technology and Human Sperm Banks」にも、AIDで生まれた子供は自然妊娠で生まれた子供と同じ権利と義務があることを、医療機関はレシピエントに伝えなければならない、とある。

子供が「親が誰なのか知る権利」は、中国では特に難しい問題である。伝統的に血縁関係が神聖なものとみなされる中国社会では、AIDで生まれた事実を子供本人や周囲に知らせない傾向が強い。AIDで生まれた子供が成長し、互いに血縁関係があることを知らずに結婚したり、自分に遺伝病があることを知らないまま子供を持つ可能性も否定できない(中国では婚姻届を出す際に遺伝病の検査を受けることが義務付けられていたが、2003年以降、義務ではなくなった)。
香港では、21歳に達していれば自分がAIDで生まれたのかどうか検査することができるが、ドナーに関する情報は一切公開されないことになっている。

独身者が子供をもつ権利については「Ethical Principles ~」中で「独身女性はAIDで子供を持つことができない」と否定されている。独身男性は、代理出産が禁止なのだからもちろん不可。養子縁組法6条と9条により、独身男性も独身女性も養子をとることは認められている。
同性愛は中国で認められておらず、差別の対象となっている。

精子の売買は法律で禁じられているが、認可精子バンク10か所のうち2か所は、ドナーに金を支払っている。Shandong精子バンクでは、ドナーが一回病院を訪れるごとに20ユーロ支払われ、精子が使用可能な場合には100ユーロ追加される。Shanghai精子バンクではドナーに約350ユーロ支払われるという。中国には著名人の精子や博士号を持つ人の精子を扱う精子バンクも存在し、倫理的に様々な問題をはらんでいる。

儒教的倫理観と西洋的倫理観との対立、商業的なARTの使用を禁ずる法律と仲介業者の横行など、中国の生殖補助医療は様々な矛盾をはらんでいる。それだけに、国内での生命倫理学者の関心も高い。こうした議論に医者が加わることが少ないのが、西欧と異なる点である。

China tightens control over assisted reproductive technology
[GOV.cn Friday, June 1, 2007 ]

Chinese health official reiterates surrogacy against law
[GOV.cn Monday, April 10, 2006 ]

・2001年『人類補助生殖技術管理弁法』
http://www.gov.cn/fwxx/bw/wsb/content_417654.htm
・2001年『人類精子庫技術規範』
http://fjthk.now.cn:7751/vip.chinalawinfo.com/newlaw2002/slc/SLC.asp?Db=chl&Gid=35148
・2003年『人類補助生殖技術規範』
http://www.docin.com/p-15831804.html

The ethical debate on donor insemination in China
Juhong Liao, Bart Dessein, Guido Pennings
Reproductive BioMedicine Online (2010) 20, 895-902

論説 中国における生殖補助医療の状況
夏芸
東洋文化研究10号、2008

最高人民法院 关于夫妻离婚后人工授精所生子女的法律地位如何确定的复函
1991年7月8日、民他字第12号

 
两高一审典型案例
林伟杰 主编
中国民艺出版社

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by technology0405 | 2010-11-12 14:06 | Countries | Comments(0)

ギリシアのART

2005年1月27日、ギリシアはARTの適用に関する法律を制定した(Law 3305/ 2005)。ギリシアは代理出産を認めるなど、ヨーロッパの中では最も進歩的なART法を持つ国の一つである。不妊カップルがARTを受ける権利と、子供の利益に焦点が当てられている。

現行法の主要原則
・生殖補助医療は合法で、妊娠可能年齢の上限と考えられる50歳までの女性に認められる。
・卵子・精子提供を認める。ただしパートナーの同意が必要。
・カップルの同意があれば、胚が遺伝的に異常かどうかを検査するための着床前診断を認める。
・性選択は禁止。ただし伴性遺伝による重大な障害を回避する場合を除く。
・生殖目的のクローニングは禁止。
・遺伝物質や受精卵の凍結保存を認める。

・代理出産を認める。この場合の代理出産とは、子供を持ちたいが医学的理由から妊娠できない女性のために、別の女性が、体外受精で得られた他者の胚を身ごもり、出産することである。すべての手続きには裁判所の認可が必要。
a)代理母と、子供を持ちたい女性(結婚している場合は夫も)との間に、書面での同意書が必要
b)報酬のやりとりは禁止。ただし、検査費や妊娠中の給与の損失の保障などは別。
c)代理母は医学的、心理的検査を受け、代理母に適していることを確認
d)代理母と依頼女性は両方ともギリシア在住
e)移植する前に、裁判所の同意が必要
f)生まれた子供は依頼女性の子供とみなされる

・ART関連の施設の設立と運営には、政府の認可を受けた所轄団体から発行される、法的条件をすべて満たしていることを保証するライセンスが必要。違反に対しては行政処分と刑事罰が下される。
・精子提供者の年齢は40歳より下、卵子提供者は35歳より下とする。
・シングルの女性、婚姻関係にないカップルもARTで子供を持つことができる。ただし公正証書が必要。
・ドナーは医学的検査、臨床検査を受けなくてはならず、遺伝的疾患、遺伝病、伝染病のある場合はドナーになってはならない。第三者から新鮮な精子の提供を受けることは禁止。ドナーの凍結精子の使用のみ認められる。

The legal framework for the IVF treatment in Greece

MEDICAL ASSISTED REPRODUCTION IN GREEK LAW


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by technology0405 | 2010-11-09 14:41 | Countries | Comments(0)

マレーシアではイスラム教の影響からか代理出産を行う病院は少ないが、不妊治療センターを持つ外国人向けの大病院は多く、卵子提供を行う病院も多い。例えばDamai Service Hospitalの不妊治療センターConcept Fertilityの卵子提供プログラムは、次のようである。

まず夫の精子を分析し、凍結――卵子との受精は凍結精子か新鮮な精子にするか選べる――(RM250)。妻は基礎ホルモンを調べる(RM176)。夫婦は自分たちの写真を病院に渡し、容姿や血液型などが一致するドナーを病院のエージェントが提供する。レシピエントはドナーの情報を知ることができるが、ドナーの写真は不可。

卵子提供プログラムは1) IVF/ICSI +新鮮胚移植 または 2) IVF/ICSI + 凍結胚移植 を選べる。
価格
1)卵子提供費用(ドナーとエージェントへの支払い) - RM10,000-RM14,000
2) IVF/ICSI費用 -RM14,000-RM16,000

他の病院の価格設定も、大体これくらいであると思われる。
病院に問い合わせたところ、ドナーの数はそれほど多くないという返事。これまでに約25組の日本人夫婦が治療を求めてやってきたという。外国からは、アラブやオーストラリア、モルディブ、ベトナム、ミャンマーなどの患者の方が多いそうだ。


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by technology0405 | 2010-11-09 11:17 | Countries | Comments(0)


日本からのメディカルツーリズムの議論は、日本がいかにメディカルツーリズムの目的地となるか、という問題ばかりが論じられ、メディカルツーリストとしての日本人はほとんど話題になっていない。治療のため海外に渡航する日本人の数や渡航先のデータや現状調査などは、ほとんどなされていないといえる。


メディカル・ツーリズム.com.

メディカル・ツーリズムジャパン

メディカル・ツーリズムの最前線

メディカル・ツーリズム研究会

特集メディカル・ツーリズム

広がるメディカル・ツーリズム“後進国”日本の強みは

メディカル・ツーリズムと医療の産業化

旅先で先端医療も受ける~「医療観光」で注目の南アフリカ

激化するアジアの医療事情-メディカル・ツーリズム市場に台湾が参入

日本の論点 メディカル・ツーリズム(医療観光)

タイ・シンガポールの病院に学ぶ

経済産業省 国際メディカルツーリズム調査事業 報告書
[平成21年度サービス産業生産性向上支援調査事業]

進む医療の国際化~医療ツーリズムの動向
[DBJ 2010年5月]

医療にも産業育成を
[2009年1月15日 読売新聞]

グローバル化 止まらない
[2007年1月9日 読売新聞]

官民一体で推進されるタイのメディカル・ツーリズム
[WBC 2010年3月]

パンタイ・ホスピタル、日本からのメディカルツーリストを受け入れ
[南国新聞 Dec 13 2010]

韓国のメディカルツアー
[medical tour guide]

何がいいのか? 日本人患者が増えている韓国の病院
[日刊ゲンダイ 2010年11月18日]

インド メディカル・ツーリズム、アジア最大規模に成長
[インド新聞11/25/2008]

 
「医療観光」海外大手、大阪・梅田北ヤード進出へ
[2011年1月20日 読売新聞]
by technology0405 | 2010-11-06 20:58 | Materials | Comments(0)

ロシアのART

ロシアには、ARTを包括的に規制する法律も、イギリスのHFEAのような機関もない。
商業的代理出産を含めて代理出産は合法であり、海外からも代理出産のサービスを求めてロシアに来る人々は多い。

ロシアがART関連に寛容なのは、1993年のCitizens' Health Protectionの第35条による。
「出産年齢にある女性は皆、人工生殖医療と胚移植を受ける権利を持つ。人工生殖医療と胚移植は、認可を受けた施設で、夫婦(あるいはシングルの女性)の同意を書面で得た上で行われる。実施された人工生殖医療や胚移植に関する情報は、ドナーの身元と同様に医療秘密とする。」

2003年2月26日に出されたOrder No.67 of the Russian Federation Ministry of Healthcare「男女の不妊治療のための生殖補助医療技術の使用について」は、制定法でなくあくまで条例であるが、すべてのIVFクリニックがこれに従っている。
・IVF治療を受けるのに年齢制限はない。ただし、女性患者は成人年齢(少なくとも18歳)に達しており、「出産可能な」年齢であること。
・ARTを受けるのに結婚しているかどうかは関係なく、シングルの女性でも同じ治療が受けられる。

女性の「母になる権利」が1993年以降、法律によって保障されている点がロシアの特徴。代理出産に関しては、親の資格という観点からシングルの女性を断るクリニックが多かったのだが、それも最近は変化してきている。一方、男性の「父になる権利」を認める考えはロシアに存在しない。

配偶子提供や胚提供も認められている。イギリスなどと異なり、子供はドナーの身元を知る権利を持たない。人口80万人の地域で同じドナーの子供が20人生まれたら、その地域でのドナーの使用はそこで差し止められる。レシピエントは、クリニックが提供する匿名のドナー、あるいは親戚、知り合いをドナーとすることもできる。

提供を受けるにあたっては、医学的、社会的適応資格(性関係のあるパートナーが女性にいないこと)が必要。しかし、性関係のある女性パートナーがいないことを記載する、などといった、シングルの男性が卵子提供を受けるための適応資格は存在しない。
配偶子や胚の提供を受けた場合でも、法的な母親は子供を出産した女性となり、女性が結婚している場合はその夫が法律上の父親である。
通常、卵子提供の報酬は大体1000USドルで、関連経費すべてが加算されて支払われる。


代理出産に関しては、ロシアでも、旧ソビエト国(アルメニア、アゼルバイジャン、ベラルーシ、グルジア、カザフスタン、キルギス、ウクライナなど)でも合法であるが、通常は異性カップルとシングルの女性のみ可能

Family Codeの51条4項には「婚姻関係にあり、出産目的で他の女性に胚を移植することに互いに同意した夫婦は、代理母の同意がある場合に限り子供の両親として登録される。」と定められている。つまり、代理出産で生まれた子供を依頼者の子供にするのに必要なのは代理母の同意のみで、代理母の名は出生証明書に記載されない。いったん出生証明書が依頼者夫婦の名で出されてしまえば、代理母の子供に対する一切の権利は失われ、くつがえることはない。

ただし代理母が依頼者夫婦に子供を引き渡す義務というのは明文化されていないので、出生証明書が出される前であれば、たとえ事前の同意があっても、代理母は妊娠を途中でやめることもできるし、子供を自分のものにすることもできる。

イギリス(HFEA,2009)やウクライナ(Order No.771 of Ukrainian Health Ministry)では依頼者夫婦のどちらかの配偶子が代理出産で使われなければならないが、ロシアではそうした遺伝的つながりは必要ではない。代理出産の報酬は15,000USドルから30,000USドルまで様々で、100,000USドルという高額報酬のケースもあったようだ。

ロシアで最初の代理出産プログラムは、1995年St Petersburgの産婦人科協会IVFセンターで実行された。世論も代理出産には寛容で、代理出産を公言している有名人もいる。外国人もロシア人と同じようにARTを受ける権利を持っている。代理出産プログラムによってロシアで生まれた子供は、ロシア国籍を持ち、出生証明書には依頼者夫婦の名前が記載される。配偶子提供により依頼者夫婦と遺伝的なつながりがなくてもよい。

Russian legislation
by Konstantin Svitnev

Surrogacy
by Konstantin Svitnev

Surrogacy and it’s Legal Regulation in Russia
by Konstantin N. Svitnev
Rosjurconsulting, Reproductive Law & Ethics Research Center


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by technology0405 | 2010-11-05 16:02 | Countries | Comments(0)

マレーシアには、インドと同じくARTに関するガイドラインが存在する。インドとのおおきな違いは、ガイドラインが代理出産を認めていないこと。法律ではないので刑罰による拘束力はないが、マレーシアの不妊クリニックでは、このガイドラインにより代理出産を行わない病院も多い。
ガイドラインは代理出産について、以下のような言及にとどめている。

ガイドラインの12条「代理出産」
代理出産契約とは、女性が他人のために子供を妊娠し、出産時に引き渡すことに同意することである。こうした行為は我が国の主な宗教のほとんどにとって受け入れがたいものである。またこのような代理懐胎には、関係者にとって、多くの法的ジレンマが伴う可能性をはらんでいる。

ガイドラインの全体は以下のようである
1条 定義
人間の尊厳と統合性の尊重、ヒト遺伝物質が不適切な使い方をされないよう保護すること、ケアの質の向上、の原則

2条 原則
人間の生命の尊重、不妊の人の権利への配慮、子供の福祉の保護、医学的知識より得られる利益を個人と社会に還元すること、生殖補助医療は婚姻関係にある夫婦にのみ提供されること

3条 ケアの質の原則
クリニックが治療とその結果を十分に分析すること、配偶子や胚の記録をつけた上で適切に保管すること、保管された胚を使う場合には同意書を得ることなど

4条 同意
・いかなるARTも、夫婦の同意なしに施してはならない
・治療や研究に遺伝物質を使う場合には、夫婦の同意が必要
・治療に成功した夫婦の余った遺伝物質をどうするかについては、夫婦の同意と決定による
 ただし遺伝物質は最長5年まで、政府の承認を受けた場合は10年まで保管可能とする
・離婚や死亡の場合は保管された配偶子が破棄されることに、夫婦は同意しなければならない

5条 卵子/胚の移植
・危険物質に汚染された可能性のある配偶子や胚は使用しない
・医師と患者夫婦は、移植する胚の数について書面で同意しておく
・医師は、多胎妊娠の危険を最小限にとどめる努力をする

6条 胚盤胞移植
胚を2-3日以上培養し、卵割期の終わった胚盤胞の段階まで成長させてから子宮に移植することで、より高い妊娠率が期待できる。これは胚の自然な成長を利用した方法であり、この処置について倫理的問題は一切ない。

7条 アシスト・ハッチング
胚の表面の透明体の一部を酸で溶かし、着床を助ける技術であり、胚の成長の進行を変えるものではない。従って、この処置について倫理的問題は一切ない。

8条 卵子提供/胚提供/精子提供
卵子、胚、精子の提供には、15条に示した禁止事項が伴う。この処置に入る前に、患者と医師の宗教的、文化的感性が考慮されなければならない。

9条 性選択
社会的、個人的理由による性選択は禁止する。しかし、伴性遺伝による重度の遺伝子疾患の診断は認められる。

10条 選択的減数手術
慎重な排卵誘発と移植胚の数の制限によって、過度の多胎妊娠は最小限に抑えるべきである。それでも4人以上の胎児を妊娠した場合、胎児や母体に危険があると判断されれば減数手術を考えてもよい。この処置をする場合は患者への十分な説明を行う。

11条 配偶子と胚の保管と廃棄
胚の保管と廃棄に関しては、ARTを受けている夫婦に決定権がある。夫婦が離婚したり片方が死亡した場合、保管された配偶子を夫婦片方だけの一存で使うことはできない。

12条 代理出産
代理出産契約とは、女性が他人のために子供を妊娠し、出産時に引き渡すことに同意することである。こうした行為は我が国の主な宗教のほとんどにとって受け入れがたいものである。またこのような代理懐胎には、関係者にとって、多くの法的ジレンマが伴う可能性をはらんでいる。

13条 精子の凍結保存/精子バンク
特に化学療法をこれから行う予定の患者は、将来の使用を見越して精子を保管してよい。精子を精巣上体や精巣から採取することも可。精子サンプルの識別を適切に行うこと。提供精子の使用においては、医学的必要性と、患者と医師の宗教的感性に従って進められるべきである。

14条 着床前遺伝子診断
現在PGDは主に病気の診断に利用されている。また、病気の兄弟に臍帯血を移植するための胚を選択するのにPGDを使う者もいる。胚の道徳的地位などに関しては世界的にも意見は一致していない。現時点では、重篤な遺伝子疾患の診断にのみPGDを使用するのが妥当である。障害や病状に関係のない遺伝形質を選択するための使用は倫理に反する。

15条 禁止/望ましくない行為
・ドナーの同意なくヒト配偶子を使用した研究や実験を行ってはいけない
 そうした研究や実験はマレーシアでは禁止されている
・ART治療以外の目的で胚を培養することを禁止
・受精卵を培養できるのは、低温保存期間を除いて14日まで
・クローニングの禁止
・移植胚を増やすために胚を分割する行為を禁止
・胎児の配偶子を受精に使うことを禁止
・人間と動物の配偶子を交雑させることを禁止
・違う配偶子や胚を混ぜて、生物学的な親子鑑別を混乱させる行為を禁止
・ヒト胚を動物に移植することを禁止
・胚の細胞核を他人の細胞核と取り換えることを禁止
・胚の細胞の遺伝子構造を変えることを禁止
・胚のフラッシングを禁止
・配偶子や胚の売買を禁止
・デザイナーベビーを作るための着床前診断を禁止
・死体から採った配偶子や胚をARTに使用することを禁止
・婚姻関係にないカップルにARTを使用することを禁止

GUIDELINE OF THE MALAYSIAN MEDICAL COUNCIL ASSISTED REPRODUCTION

Malaysian Medical Council


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by technology0405 | 2010-11-02 13:50 | Countries | Comments(0)
各国のARTに関する資料や記事を集めています (※ このブログに書かれている情報の信ぴょう性は各自でご判断ください)