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代理出産の法的問題(中国語論文)


葉剣、呉敏(2006)「代理出産技術における倫理的や法的再考」『河南医学研究 15』pp.178-180



中国では「誰かに代わってもらって妊娠する」という行為は法律的に禁止されていない (1)。ゆえに、国民はその意思を持っていれば上記の行為を行っても問題にならない。契約法にも違反していないし、もし双方が合意に達していれば、禁止すべきではない。さらに、世間では強い需要が存在しているゆえ「代理出産を合法化すべき」と唱える専門家もいる。しかしながら、代理出産によって起こされる倫理的問題や法的問題は無視することができない。

1. 代理出産技術における社会的倫理再考
まず、代理出産の技術はわが国の国情に合わないと思われる。わが国が2000年以上も儒教の影響を受けてきており、現在に至っても儒教の倫理観が大多数の国民の心に留まり続けている。代理出産という倫理観に反した行為は少なくとも現在の人々に受け入れられそうになく、代理出産で出生した子供たちも差別のまなざしを浴びながら生きていくことは間違いないであろう。また、わが国はいまだに未だに発展途上国であり、貧困や格差の問題が根強く残っている。実際のところ、富裕層は国民のごく一部であり、逆に経済的に最低限の生活すらできない人は多々いる。この状況の下で、代理出産の高額報酬のためにあえて危険を冒す女性が増えていきかねない。その結果として女性が商品化されてしまうことになる。したがって、わが国では代理出産を禁止すべきだと思う。
次に、代理出産の技術の運用は公衆の利益を犯しかねないと考えられる。現在の中国において代理出産はほとんどの国民の利益や社会全体の利益に合わなく、法律の「平等原則」に違反していると筆者は思う。代理出産の実施は莫大な金がかかり、ごく一部の富裕層の家庭を除けば治療費用だけでもほとんどの家庭が負担できない。もっと注目してもらいたいのは、一部の女性が「美意識」に促され、金銭を駆使することで妊娠や出産がもたらす苦痛から逃避しようとしていることがある。その結果、「富裕層の人が貧困層に出産という責任を転嫁しようとしている」ということになり、高いリスクが伴っているだけでなく、一人の人間としても不公平極まりないといわざるを得ない。

2. 代理出産の法的再検討
中国現行の民法から見ると、代理出産は女性の身体権を犯すことになる。身体権をめぐる議論はまだ続いているが、憲法第37条では「公民の身体を侵害することを禁ずる」と明記されており、女性が自分の体を支配する権利を持っている。したがって、女性の生殖器官である子宮を自分の意思で支配すべきだということは言うまでもないであろう。ただし、その権利の行使は無制限なものにならないよう、ある程度の制限を設ける必要がある。実際のところ、現代民法理論では公民の身体権を放棄、もしくは譲渡することは無効だと明記されている。
次に、婚姻法の角度から見ても、代理出産がもたらした弊害も言うまでもないであろう。まず、親族関係を混乱させる恐れがある。子供の母親は誰かという問題が起こり、事実上数人の親を持つことになってしまうこともあり得る。遺伝的親(卵子と精子の提供者)、産みの親(妊娠した代理母)、養育親(子供の扶養者)、どちらが親としての義務を果たすべきなのか?親子関係はどうやって確立するのか?代理出産で生まれた子供の法的地位はどうなるのか?上記のような問題は往々にしてあるものである。
さらに、契約法の角度から見ても代理出産は違法だと思われる。代理出産の契約は合意に達してから締結したものであるが、その契約は法的効力がなく無効なものだと筆者は思っている。契約法に従い契約を作ったといっても、内容の面では現行の法律に違反する箇所があり、その上社会や公衆の利益を犯すため、契約が無効になる。実際のところ、代理出産は上記の憲法第37条に違反しているだけでなく、『民法通則』の第98条「公民の生命健康権」にも違反している。したがって、契約締結という方法で代理出産を合法化しようとすることは間違っていると考えている。


(1)代理出産に関する法律はこの論文が提出された時点より5年前ほど実施されており、この論文の本文にも「代理出産が法律によって禁止されている」と繰り返して強調している。しかし、ここでは「誰かに代わってもらって妊娠するという行為に対して法律的に禁止されていない」という前文と明らかに矛盾していることが記載されている。ただし、「代理出産」ではなく「誰かに代わってもらって妊娠するという行為」という表現が用いられている。
by technology0405 | 2015-02-18 10:21 | Countries | Comments(0)
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