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「タイ代理出産騒動」問われるオーストラリアの姿勢

 2014年8月、タイで代理出産を依頼したオーストラリア人夫婦が、双子のうち障害のある男の子の引取りを拒否した事件が波紋をよんでいる。タイでは安価に代理出産が行われるため需要が多く、200組以上オーストラリア人カップルに大きな影響が出ていると考えられている。アボット首相は「代理出産については州政府の管轄事項であり、政府が関わるつもりがない」と述べたが、オーストラリアでの代理出産にまつわる政策の諸問題は悪夢となっている。
 これまでタイには代理出産を管理する法律は制定されておらず、バンコックオーストラリア大使館は、個人的な法的紛争に関して申し立てをすることができないため、タイで活動している弁護士リストを一般に情報公開している。ただし、オーストラリア大使館は弁護士の法的手腕においていっさいの責任をおうことはない。
 タイ政府はこのたび商業的代理出産を法的罰則にあたる草案を承認した。オーストラリア外務省はタイ当局に、すでに代理出産の過程にあるオーストラリア人カップルが影響を受けずにすむよう、過渡期に諸問題が発生するのを見越し、新法制定前に移行期間を考慮するようにうながしている。オーストラリア外務省報道官は、個人に向けタイで代理出産に臨む前にタイとオーストラリアの両方の国で法的アドバイスを求めることを進めている。
 タイ政府が今回の事件を経て途中で規則を変えたために、複雑な事態には陥ったが、事件が再発しないように、北部準州を除くオーストラリア各州、政府は商業的代理出産の法律を徹底的に見直すべきである。また誰もが何が起きているかを把握できるように、タイやインドでの論争のようなことが繰り返されないように国際的な法の枠組みを作ることが求められている。
 タイでの事件がニュースを占領しているとはいえ、現実には政府が国内での商業的代理出産の禁止や高額な費用に関する障壁を法律改正しなければ、絶望的になったオーストラリア人カップルはグルジアやメキシコのような新たな他の国での代理出産を考えざるおえなくなるだろう。オーストラリア各州が海外での代理出産を禁止する法を制定しているのは非現実的である。家族評議会のレポートがこのことを示唆している。「評議会は法律で禁じられているにもかかわらず、過去数年の間に海外での商業的代理出産が急激に増加し、たくさんの子供たちが誕生していることに気がついている。」
 この他にもオーストラリアでの代理出産に関する現行制度はうまく機能していない。利他的代理出産は、子宮のない女性や妊娠を維持できない女性、同姓愛者カップルに制限されているし、代理出産での妊娠期間中子供の親権に対する法的整備がないため、依頼者は赤ちゃん誕生後まで不安が消えることはない。このことは、代理母、依頼者すべての関係者に大きな不安を生じさせる。このような状況が続く限り、オーストラリア政府と各州は代理出産に対する諸問題が消え去ることはないことに気がつくだろう。


Surrogacy in Australia needs government conversation not just state legislation
[Fairfax Media Network. Aug 19.2014]

Australians hit by Thai surrogacy ban are 'pawns in a disastrous game'
[The Guardian. Aug 15.2014]

Children born as a result of a surrogacy arrangement in Thailand
[Australian Embassy Thailand]
by technology0405 | 2014-12-10 13:16 | Countries | Comments(0)
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