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イスラエルの死後生殖 息子の精子を他人女性に移植

2013年5月、イスラエルで、6年前にガンで亡くなった男性の精子を使用し、女性が子供を出産した。死後生殖は今や新しい概念ではないが、このケースは死後生殖に新境地を開いたといえる。出産した女性の家には亡くなった男性の写真がたくさん飾られているが、彼女はこれまで一度も彼と会ったことはない。死んだ息子と遺伝的つながりを持つ孫が欲しいという彼の両親の希望によって、子供は生まれた。

ガンの治療中、男性は自分の精子を凍結保存し、いつか親になりたいという希望を両親に語っていた。彼の死後、両親は生前の彼の夢をかなえる責任があると感じた。彼らは子供を生んでくれる母親探しに乗り出し、30代の女性と出会う。彼女は子供を欲しがっていたが、精子バンクから匿名提供を受けることにためらいを持っていた(現在イスラエルでは匿名の精子提供しか認められていない)。2者は弁護組織New FamilyのIrit Rosenblum氏の助けを借りて契約書を作成した。裁判所は精子を使用したいという両親の請願を認めた。裁判所の見方は、これまでの類例と同じく、「関係者全員の利益が一致している」というものであった。

イスラエルは死後生殖を希望する人が比較的多い。過去10年間に、死んだ息子の精子を使って孫を得たいという請願は10件以上あった。2001年にそうした請願が2件続いた後、法務長官は2003年にガイドラインを出し、死後に精子を利用できるのは配偶者かパートナーに限るという規則をしいた。
このガイドラインによって、たとえ同意書がなくてもパートナーであれば「推定同意」に基づく精子の使用が可能になった。裁判所は、故人が死後に父になることについて同意していたという明確な証拠がなくても、父になりたいという願望があったことが確認できれば、精子の使用を検討できる。

裁判所が、このガイドラインに反して、死んだ息子の両親に精子使用を認め、男性と関係のない独身女性が母親になったことで、イスラエルは新しい倫理的チャレンジに直面する。イスラエルは現在、National Committeeの最終報告書に基づいた包括的なART規制法の作成を検討している。National Committeeの報告書は裁判所より保守的な立場をとっており、両親による死んだ息子の精子の使用も認めていない。

今日、シングル女性が匿名の精子ドナーを利用する現象は社会的に広く行き渡っている。匿名の精子提供で生まれた子供は、自分の出自について知ることなく成長する。これは、アイデンティティ形成や心理社会的な健康に影響するだけでなく、家系の病歴が半分しか分からないことから医学的な危険が生じる。

故人の精子を選択することで、出産する女性は、子供の祖父母と拡大家族の愛情と支援を得られるだけでなく、子供に出自を知る権利を保証してやれる。子供は故人の「代わり」にはならないが、息子を亡くした祖父母に慰めと喜びをもたらすことができる。もし故人に「Biological Will」- Rosenblum氏によって2001年に考案された法的ツール - があると考えるなら、裁判所の寛容な見方は倫理的に正当なものである。配偶者・パートナー以外が出産する死後生殖が法律で禁止されることなく、New Familyのような機関が支援し、裁判所が寛容な立場をとり続けるなら、同様の契約の下で次々と子供が生まれるであろう。

New frontiers in posthumous reproduction
By Hila Rimon-Greenspan and Vardit Ravitsky
[Bio News 17 June 2013]

Nationwide use of postmortem retrieved sperm in Israel: a follow-up report
Arieh Raziel
Fertility and Sterility
Volume 95, Issue 8, 30 June 2011, Pages 2693–2695

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by technology0405 | 2014-03-24 16:53 | Countries | Comments(0)
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