メディカルツーリズムの影で空洞化するイスラエルの国民医療2

テル・アビブにあるIchilov Hospital の会長Gabriel Barbash氏が、公立病院の規定料金の上限より高い治療費を渡航患者に請求していた3人の外科医に対し、停職処分の手続きを進める決定を下した。この医師らの現状を調査したテレビ番組“Uvda” ("Fact") の報道を受けて、こうした決定が出された。
病院の医師とスタッフにBarbash会長が送った手紙には、こう書かれていた。「昨晩放映された‘Uvda’ の中で、上級医3人が渡航患者に治療費を要求したことが報道された。公立病院が国民あるいは渡航者に治療費を要求したり受け取ったりするのは禁じられている。この衝撃的な番組が放送された今、行動を起こすことが求められている。」
Barbash 会長は「彼らは朝から晩までこの病院で働き、何千人もの命を救ってきた優秀な医師たちだ。」と、この決定が苦渋の決断だったことを示唆し、病院機能に一時的な副作用をもたらす可能性もあると言った。

イスラエル保健省のデータでは、国立病院がメディカル・ツーリズムから得た収入は2009年5400万シュケル、2011年には1億1900万シュケルと2.2倍の伸びをみせている。2013年に承認された航空自由化協定によるフライト数の増加で、イスラエルのメディカル・ツーリズムはさらに成長することが期待されている。

しかし、メディカル・ツーリズムはイスラエルの医療制度にとってセンシティブな問題でもある。イスラエルでは世界でもトップクラスの国民健康保険が提供されている一方で、病院の混雑ぶりは有名で、治療の待ち時間が長い。渡航患者が入り込むことでイスラエル患者が締め出されるのではないかという疑問は当然持ち上がる。

渡航患者の滞在期間は限られているので、イスラエル人が直面するような待ち時間はカットされる。病院側にとっては、渡航患者は特に実入りが良い患者である。病院がHMO(イスラエルで最大の会員制医療保険組織)会員に適用する割引を考えると、渡航患者に請求する治療費はイスラエル人よりかなり多い。外科医は、イスラエル人に手術するより3-4倍の報酬を受け取ることができるという。
さらにHMO会員と違い、渡航患者は病院に即日現金で支払う。その金は政府の監視下にある予算と違って、院長がコントロールしやすい金であり、病院のパラレルビジネスの運営などに回すことができる。 病院にとってメディカル・ツーリズムのインセンティブは大きい。

保健省Yael German大臣はメディカル・ツーリズム促進派である。イスラエルの医療制度を存続させるためには資金の源泉を確保することが重要であることを強調し、「どこの病院に空きベッドがあるか、どこの病院に渡航患者を回せばよいかをオンライン・システムで分かるようにするなどの方法を模索したい。適切に規制をかけることで、イスラエル国民のためになると同時に、国庫を潤すことができるだろう。」と語った。

State hospitals' income from medical tourism up 220% since 2010
Dan Even
[HAARETZ, Apr. 24, 2013]

Netanyahu's office lobbying to expand medical tourism
Ronny Linder-Ganz
[HAARETZ | Jun. 19, 2012]

Just what the doctor ordered? Israeli medical tourism makes a more-than-healthy profit
Ronny Linder-Ganz
[HAARETZ, Oct. 29, 2013]

Israeli hospital to suspend doctors accused of medical tourism corruption
Ronny Linder-Ganz
[HAARETZ | Dec. 17, 2013]

Experts: Regulation needed for medical tourism
By JUDY SIEGEL-ITZKOVICH
[The Jerusalem Post, 12/23/2013]

New rules could kill medical tourism, hospitals charge
Ronny Linder-Ganz
[HAARETZ | Dec. 29, 2013]

Copyright(C) 2011 SGRH. All Rights Reserved.
[PR]
by technology0405 | 2014-02-14 13:44 | Countries | Comments(0)
各国のARTに関する資料や記事を集めています (※ このブログに書かれている情報の信ぴょう性は各自でご判断ください)