ESHREの調査:ヨーロッパ11ヶ国の卵子ドナーの動機

ESHREのデータによると、ヨーロッパで2009年に実施された卵子提供でのIVFは16,872サイクルで、IVF全体の6%であった。妊娠率は42.2%と高い。妊娠率は、レシピエントの年齢ではなくドナーの年齢にはっきりと影響を受けることも分かっている。加齢による不妊の増加に伴い、卵子提供の需要も増えていると考えられる。卵子提供は、カップルが渡航不妊治療を選択する主な理由の一つである。卵子提供を求めて渡航するカップルの増加は、母国の規制回避や金銭的誘因に対する懸念から、大きな議論を引き起こしている。しかし海外のクリニックで卵子提供する女性たちについては、どのような女性がドナーになるのか、またその動機や報酬について、ほとんど知られていない。

ESHREはヨーロッパ11か国(ベルギー、チェコ、フィンランド、フランス、ギリシャ、ポーランド、ポルトガル、ロシア、スペイン、イギリス、ウクライナ)のクリニック60施設の卵子ドナー1423人をアンケート調査した。スペインとチェコからの回答が最も多かった(スペイン31% 、チェコ12%)。その結果、ドナーの大部分は利他的な理由から卵子を提供しているが、個人利得―金銭的利得――を期待してドナーになる者の割合も大きいことがわかった。

調査はESHREのタスクフォース(Cross-border Reproductive Care and European IVF Monitoring Consortium) が2011-2012年にかけて実施したもので、タスクフォースの長Guido Pennings 教授(ベルギー・ゲント大学)が主導した。ドナーの年齢が提供の動機に重要な影響を与えていることが分かった。調査対象のドナーの年齢は比較的若かったが(全体平均27.4歳, スペイン平均25.6歳-フランス平均31歳)、年齢と利他的動機の間には有意な関連性があった。25歳未満で「利他的動機のみ」の割合は46%、35歳以上では79%。「金銭的動機のみ」の割合は25歳未満で12%、35歳以上では1%。若ければ若いほど、金銭的動機の割合が高くなった。

ドナーは次の4つにグループ分けされた。
•学生 (スペイン18%, フィンランド16%, チェコ共和国13%)
•失業者 (スペイン24%, ウクライナ22%, ギリシャ17%)
•完全雇用者 (ベルギー75%, ポーランド70%, スペイン28%)
•独身の女性 (スペイン・ポルトガル50%+ , ギリシャ30%)

調査対象のドナーの3分の1が大卒、半分が子持ちであった。
ドナーになる理由に利他的動機を挙げた女性が多かった一方、調査の結果、ドナーの大部分が金銭的な補償を受け取っていることが分かった。「補償金や報酬を受け取ったからといって、報酬目当てだとはいえない。」とPennings教授は言う。しかし、特にいくつかの国において、金銭的補償が重要な動機となっていることを調査は示している。例えばギリシャではドナーの40%が「金銭的動機のみ」と答えており、またロシアとウクライナにおいても金銭的動機が主要な理由であった。

報酬の金額は、フランスの「全くなし」からベルギーの「2000ユーロ」まで様々であったが、ほとんどの国が500-1000ユーロであった。これらの報酬を購買力平価換算して比較すると、ギリシャ、ロシア、ウクライナなどの失業者や貧しい女性にとっては、非常に魅力的な金額であることがわかる。

提供の動機は「利他的動機のみ(不妊のカップル、家族、友人を助けるため)」「利他的動機と金銭的動機の両方」「金銭的動機のみ」「利他的動機と治療(エッグシェアリング)目的の両方」「治療目的のみ」の5項目。
•46% 利他的動機のみ
•32% 利他的動機と金銭的動機の両方
•10% 金銭的動機のみ
•5% 利他的動機と治療目的の両方
•2% 治療目的のみ

「利他的動機のみ」の割合が高かったのはベルギー(86%)、フィンランド(89%)、フランス(100%)で、「金銭的動機のみ」の割合が高かったのはギリシャ(39%)、ロシア(47%)、ウクライナ(28%)であった。ポーランドとイギリスはエッグシェアリングの割合が高かった。ヨーロッパ諸国の卵子ドナーの多様性を示す結果となった。「償還制度の違いと、報酬・匿名性の法的基準の違いによって、ドナーの特性に違いが生まれている。ヨーロッパ諸国の卵子ドナーの多くは他の女性を助けたいという気持ちで卵子提供しているが、一部にとって金銭的補償が誘因になっていることも確かだ。」とPennings教授は言う。

Egg donation in European clinics: Why do women do it?
[AAAS and EurekAlert! , 8-Jul-2013]

Egg donors mostly motivated by urge to help others
By Siobhan Chan
[BioNews 09 July 2013]

Why do Women Donate Eggs? Study Looks into European Egg Donors
Cheri Cheng
[Counsel & Heal Jul 08, 2013]

Focus on REPRODUCTION
European Society of Human Reproduction and Embryology, SEPTEMBER 2013

Egg donation tourism soars across Europe
Kounteya Sinha
[Times Of India Jul 9, 2013]

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by technology0405 | 2014-02-10 15:21 | Materials | Comments(0)
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