IVF、ICSI、PGDの児へのリスクに関する論文

Reproductive technologies and the risk of birth defects.
Davies MJ, Moore VM, Willson KJ, Van Essen P, Priest K, Scott H, Haan EA, Chan A.
N Engl J Med. 2012 May 10;366(19):1803-13. doi: 10.1056/NEJMoa1008095. Epub 2012 May 5.
顕微授精(ICSI)による胎児への危険性を指摘した論文。サウス・オーストラリア州での調査。妊娠20週以降の出産、流産、400グラム以上での出産、胎児の奇形を理由とした中絶などが対象に含まれている。308,974birthのうち6163birthがARTによるもの。自然妊娠における出生異常(17,546 件, 5.8%)に対し、ART妊娠における出生異常(513件, 8.3%)の未補正オッズ比は1.47、IVF(出生異常165件、7.2%)の調整オッズ比は1.26と1.07、ICSI(出生異常139件、9.9%)のオッズ比は1.77と1.57であった。単胎で生まれたIVF児は、自然妊娠で生まれた単胎の子供に比べ、早産、死産、生後28日以内の死亡率が2倍近く高くなる。しかし、ARTの使用、不使用に関わらず、不妊経験者における出生異常率は有意に高かったため、出生異常の原因をIVFに特定することはできない。
IVFによる出生異常のリスク率は、親因子を調整因子に入れた場合有意ではなくなった。しかし、ICSIによる出生異常のリスクは、残差交絡が発生した可能性はあるものの、多変量調整後も高いままであった。

Autism and mental retardation among offspring born after in vitro fertilization.
Sandin S, Nygren KG, Iliadou A, Hultman CM, Reichenberg A.
JAMA. 2013 Jul 3;310(1):75-84. doi: 10.1001/jama.2013.7222.
児の自閉症および知能発育不全とIVFの関係を調査したスウェーデンの前向きコホート研究。1982年から2007年までに出生登録された子供の自閉症障害あるいは知能発育不全の発症率を2009年12月31日まで追跡調査した。凍結胚を使用したか新鮮胚を使用したか、ICSIを使用したかどうか、またICSIの場合は射精で得た精子か手術で得た精子か、といった項目に分けられている。また、単胎妊娠と多胎妊娠も区別されている。
250万人以上の子供のうち、30,959 人(1.2%)がIVF児。自閉症6959人のうち103人(1.5%) が、知能発達不全15,830人のうち180人(1.1%)がIVF児であった。自然妊娠と比較した場合のIVFの自閉症のRR(相対危険率)は1.14、知能発達不全のRRは1.18と、わずかに知能発達不全のリスクが高かった。単胎妊娠においては、統計的に有意な関連性は見られなかった。ただし、ICSIなしの新鮮胚移植に比べ、外科採取の精子を使用したICSIの新鮮胚移植における自閉症・知能発達不全のリスクは、有意に高かった。

Blood pressure and anthropometrics of 4-y-old children born after preimplantation genetic screening: follow-up of a unique, moderately sized, randomized controlled trial.
Seggers J, Haadsma ML, Bastide-van Gemert Sl, Heineman MJ, Kok JH, Middelburg KJ, Roseboom TJ, Schendelaar P, Van den Heuvel ER, Hadders-Algra M.
Pediatr Res. 2013 Nov;74(5):606-14. doi: 10.1038/pr.2013.137. Epub 2013 Aug 15.
PGDが児に与える影響を調べた、他施設共同の前向き追跡研究。PGDを使用して生まれた4歳のIVF/ICSI児(n=49)とPGDなしで生まれた4歳のIVF/ICSI児(n=64)を比較。血圧値や体格に差はなかった。医師による治療頻度も同等であった。言語障害治療、理学療法、作業療法など医師以外の医療従事者のケアを受けた割合がそれぞれ29%(14人)と14%(9人)(多変量解析:p=0.03)で、PGDとの有意な相関がみられた。

In vitro fertilization and late preterm preschoolers' neuropsychological outcomes: the PETIT study.
Berry KA, Baron IS, Weiss BA, Baker R, Ahronovich MD, Litman FR.
Am J Obstet Gynecol. 2013 Oct;209(4):356.e1-6. doi: 10.1016/j.ajog.2013.06.041. Epub 2013 Jun 28.
IVFは一般的に安全な方法だと考えられるが、早産との関連が指摘されている。対象は2004年から2007年に後期早産(LPT)で生まれた未就学児397人(平均年齢3.8歳)で、IVFによって生まれた子(n = 105)とIVFを使わず生まれた子(n = 292)を比較した。IVFがLPT児に対して知的、神経心理学的、行動的欠陥のリスクを増大させることはなかった。


Cancer risk among children born after assisted conception.
Williams CL, Bunch KJ, Stiller CA, Murphy MF, Botting BJ, Wallace WH, Davies M, Sutcliffe AG.
N Engl J Med. 2013 Nov 7;369(19):1819-27. doi: 10.1056/NEJMoa1301675.
1992-2008年に生殖補助医療で生まれた子ども106,013人を対象に、癌のリスクを調べたイギリスの研究。17年間の調査において、生殖補助医療と癌のリスクの関連性はみられなかった。肝芽腫と横紋筋肉腫のリスクが有意に高かったが、絶対リスクは小さいといえる。

Pubertal development in ICSI children.
Belva F, Roelants M, Painter R, Bonduelle M, Devroey P, De Schepper J.
Hum Reprod. 2012 Apr;27(4):1156-61. doi: 10.1093/humrep/des001. Epub 2012 Feb 10.
ICSI児の青春期発達を調べたベルギーの論文。ICSIで生まれた14歳の子供217人(男116人, 女101人)と自然妊娠で生まれた14歳の子供223人(男115人, 女108人)を比較。初潮、生殖器発育、陰毛の発生などに違いは見られなかった。乳房の発達に関しては、潜在的交絡因子の調整後も、ICSIで生まれた女の子の方に有意な遅れがみられた。ICSI児の成長に関してはさらに長期追跡調査が必要。

Assisted reproductive technology and birth defects: a systematic review and meta-analysis.
Hansen M, Kurinczuk JJ, Milne E, de Klerk N, Bower C.
Hum Reprod Update. 2013 Jul-Aug;19(4):330-53. doi: 10.1093/humupd/dmt006. Epub 2013 Feb 28.
45のコホート研究のレビュー。ARTで生まれた子ども (n = 92671) は自然妊娠で生まれた子ども(n = 3870760)に比べ、出生異常のリスクが高かった(相対リスク1.32、95% 信頼区間1.24-1.42)。主要な出生異常に限定すると1.42、単胎に限定すると1.36と、相対リスクはさらに増加した。全ての多胎のデータを用いた場合の相対リスクは1.11だが 、ARTによる多胎に限定すると相対リスクは1.26になった。出生異常は依然としてARTにより生まれた子どもの方が高かった。

Are imprinting disorders more prevalent after human in vitro fertilization or intracytoplasmic sperm injection?
Vermeiden JP, Bernardus RE.
Fertil Steril. 2013 Mar 1;99(3):642-51. doi: 10.1016/j.fertnstert.2013.01.125.
インプリンティング異常症とIVF/ICSIの相関関係について、8つの疫学研究のレビュー論文。Beckwith-Wiedermann症候群(BWS)の相対リスクは5.2で有意であった。Silver-Russell症候群(SRS)はデータ自体が少ないが、関連性はみられた。Angelman症候群(AS)とプラダー・ウイリー症候群では、IVF/ICSIとの関連性は見られず、むしろ親の不妊との関連が考えられる。IVF/ICSIによって生まれた児はインプリンティング異常のリスクが高い。しかし、ART自体がインプリンティング異常を引き起こしているとは考えにくく、更なる研究が求められる。

In vitro fertilization and the cloacal/bladder exstrophy-epispadias complex: a continuing association.
Wood HM, Babineau D, Gearhart JP.
J Pediatr Urol. 2007 Aug;3(4):305-10. doi: 10.1016/j.jpurol.2006.10.007. Epub 2007 Jan 16.
cloacal/bladder exstrophy-epispadias complex (CBEEC:排泄腔外反症など)とIVFの関連を調べた論文。アメリカでは1997年から2004年に推定322,937人のIVF児が誕生した。CBEECが起こる確率は通常6.2:100,000と推定されている。Johns Hopkins Hospitalの Brady Urological Instituteで 1997-2004.年に生まれたCBEEC患者は150人、そのうち8人がIVF児であった。IVFとCBEECの間に関連性がないと仮定した場合の推定値より、CBEEC患者におけるIVF児の割合は有意に高かった。

Asthma in Swedish children conceived by in vitro fertilisation.
Källén B, Finnström O, Nygren KG, Otterblad Olausson P.
Arch Dis Child. 2013 Feb;98(2):92-6. doi: 10.1136/archdischild-2012-301822. Epub 2012 Aug 8.
IVFとぜんそくの関連性を調査したスウェーデンの論文。1982-2007年に生まれた2,628,728人の子供のうち、31,918人がIVF児。2005年7月1日から2009年12月31日に最低5回の 抗ぜんそく薬剤の処方を受けた子どもは115,767人で、うち2323人がIVF児であった。
IVF児がぜんそくにかかる率は有意に高かった。

Assisted reproductive techniques and the risk of anorectal malformations: a German case-control study.
Zwink N, Jenetzky E, Schmiedeke E, Schmidt D, Märzheuser S, Grasshoff-Derr S, Holland-Cunz S, Weih S, Hosie S, Reifferscheid P, Ameis H, Kujath C, Rissmann A, Obermayr F, Schwarzer N, Bartels E, Reutter H, Brenner H; CURE-Net Consortium.
Orphanet J Rare Dis. 2012 Sep 15;7:65. doi: 10.1186/1750-1172-7-65.
IVFと直腸肛門奇形(ARM)の関連性を調べたドイツのケースコントロール研究。1997年から2011年にドイツで生まれた295人の直腸肛門奇形患者が対象。同時期に生まれたドイツ人(n=10,069,986) が対照集団。このうちIVFかICSIで生まれたのはそれぞれ、患者においては30人(10%)、対照集団においては129,982人となり、変量解析でのARTとARMのオッズ比は8.7であった。個別分析では、IVF、ICSIともにARMのリスクは有意に高く、単胎、多胎両方の項目でリスクが高かった。



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by technology0405 | 2014-02-05 12:10 | Materials | Comments(0)
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