代理出産における産休 ECJの判断

代理出産で子供が誕生した場合、依頼親にも代理母にも産休を与えるべきである、という意見書が欧州司法裁判所(ECJ)から出された。これは、イギリス・ニューカッスルでNHS(国民健康保険)の職員として働く女性が訴え出たケースが基になっている。ECJは、産休を分割し、それぞれの女性(代理母と依頼母)が最低2週間の有給を取得するべきという判断を下した。

これはECJの法務官による意見書ではあるが、こうした最初の意見書が大法廷の終局判決で採用されることは多い。ルクセンブルグにあるECJは欧州連合における最高裁判所に相当し、EU法を決定する。イギリス政府は、今後計画的な改善の推進を迫られるだろう。

CDと名乗るこのNHS職員は、2011年8月に代理出産で子供が生まれた直後に子供を引き取り、母乳育児を開始した。彼女とそのパートナーはその後正式な親となる。彼女には休暇が認められたのだが、それは職場の自由裁量による特別休暇であった。しかし、CDは自分に合法的に産休を取る資格があったとして、雇用審判所に訴えた。

意見書には出産休暇の分け方に関する指示はないが、子供の養育に携わる母親はたとえ母乳育児でなくても最低2週間の有給休暇を受けるべきだと述べられている。
「代理出産契約によって乳児を得た依頼母は、たとえ母乳で育てていなくても、子供の誕生から自分で養育している場合、産休を取得する権利を有する。当該加盟国は代理出産を認めており、国の求める条件を満たしている。産休は最短で2週間とし、代理母に分け与える産休は差し引かれる。」

Berwin Leighton Paisner法律事務所のMarian Bloodworth氏は「これは大きな前進。ECJが、出産した女性と同程度の保護を依頼親に与えるべきだと提案したのは、これが初めてだ。EJCがこれまで目指してきた法的保護――子供を生みたいという女性の生物学的要求を満たすこと、出産した女性が職場復帰の前に子供と絆を築くための十分な時間を持つこと、出産と産休の取得によって後から女性が職場で被る潜在的な不利益をなくすこと――は、出産した女性のためのものだった。」と言う。
「雇用主はECJが依頼親に対しても同様の保護を与えるのか、成り行きを見守る必要がある。もしそうなれば、雇用主もそれに従って家族休暇規定を修正する必要が出てくる。代理出産自体は年間40件から70件程度しかないので、そうした産休の拡大で影響を受ける雇用主は国内にそれほど多くないだろうが、出産をめぐる権利を裁判所が積極的に拡大するとなれば、社会に大きな影響を与えるだろう。」

Eversheds 法律事務所で差別問題を担当するAudrey Williams氏は「代理母が、母乳育児かどうかに関係なく依頼母に直接産休を分け与えることができ、その権利が直接的実効性を持つことが裏付けられる。」とし、「ECJ判決が意見書の法解釈を採用する可能性は高い。そうすれば、イギリス政府に法改正を求める圧力が高まる。雇用主も注意する必要がある。」と言う。

別のケースにおいてECJは、カリフォルニア人代理母に依頼して子供を得たアイルランド人教師である依頼母が、産休をもらえなかったのは不妊者に対する差別であると訴えたのに対し、産休は認められないという意見書を出していた。アイルランド人依頼母は、母乳育児ではなかった。

二つのケースの内容は非常に似ており、またこの意見書がほぼ同時に出されたことから、意見書の食い違いは一見すると不可解に感じられる。しかし、それぞれのケースはEU差別禁止法の中の別条項の下で論じられており、また、イギリスと違い、アイルランドが国として代理出産を認めていないことがカギとなったと考えられる。

イギリス政府は、2015年までに代理出産の依頼親にも出産休暇が得られるように法改正をする予定である。

Intended and birth mother in surrogacy entitled to maternity leave, says ECJ
Owen Bowcott
[The Guardian, 26 September 2013]

European Court of Justice – should mothers through surrogacy have a right to maternity leave?
[Natalie Gamble Associates, September 30th, 2013]

ECJ to give opinion on adop leave denial
[Rollercoaster.ie. 26 Sep, 2013]

Un padre por vientre de alquiler logra permiso de maternidad
[VANGUARDIA 18 December 2012]
2012年、代理出産で子供を得たスペイン人ゲイカップルに対し、マドリッド高等裁判所が育児休暇を認める

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by technology0405 | 2013-12-12 11:28 | Countries | Comments(0)
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