PSREI倫理ガイドライン

Philippine Society of Reproductive Endocrinology and Infertility, Inc. (PSREI) 2011
"Guidelines on the Ethics and Practice of Assisted Reproductive Technology and Intrauterine Insemination"
October, 2011

(省略)

7条 定義およびART倫理
ARTの定義
ヒトの卵子、精子、胚の取り扱いが付随する、妊娠を目的とした治療行為。IVF(体外受精)、ICSI(顕微授精)は含むが、人工授精や薬物療法(排卵誘発)は含まない。

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8条 ARTの利用が認められる患者 /ARTの臨床的適応
ART/ IVFの利用が認められる者
1.夫と妻両方から書面でのインフォームド・コンセントが得られている婚姻カップル
2.ART / IVFの適応条件を満たすすべての年齢の女性。ただし新鮮胚移植をすでに5回以上経験した者は除く(凍結胚移植に関しては制限なし)。40歳以上の女性は、その年齢層の成功率が低く、異常児のリスクが高まる点について、適切なカウンセリングを受けなくてはならない。

9条 ART / IVFによって生まれた子どもの福祉
ARTによって生まれた子どもの福祉が損なわれてはならない。このことは、ARTを実施する前からすべてのカップルに対し確認しておく。また、ARTで生まれた子どもは、自分がARTで生まれた事実を知る権利がある。情報の公開は親の責任とし、分別のつく年齢に達した子供に親が知らせる。

10条 生命の始まり
人の生命は、精子と卵子が結合し受精卵を形成した受精の瞬間から始まる。
* 受精卵とは2前核胚を指す。厳密にいうと、受精後14日以内を前胚(pre-embryo)と呼び、原始線条あるいは胚軸の出現後を胚 (embryo)と呼ぶ。これは、原始線条の出現後は双生児への分離の可能性がなくなり、胚が一人の人間になることが確実になるからである。

受精卵、前胚、胚の道徳的地位
受精卵、前胚、胚はすでに一個の人間とみなされ、成人と同様に完全な道徳的保護を受ける資格がある。

11条 凍結保存
凍結保存および凍結保存施設
様々な不妊治療において、凍結保存は一般に認められた効果的な補助技術である。最近の数々の調査が、凍結保存の効果と安全性を立証してきた。凍結保存施設は、どのARTプログラムにおいても以下の理由で必要だと考えられる。
1.多胎妊娠の可能性を減らす
2.治療費の負担を減らす
3.治療サイクル数が増えることで妊娠率が上がる

胚の凍結保存
ART治療を受けるカップルは、後の使用のために余剰胚を凍結保存することにあらかじめ同意しなければならない。カップルが余剰胚の凍結保存に同意しない場合、卵胞刺激は最小限にとどめ、作成した胚は新鮮サイクルにおいて移植する。
* 胚はヒトになる可能性を持っているため、尊重・保護されるべきである。

精子・卵子の凍結保存
精子・卵子の凍結保存は、将来の胚の質を守るため、国内外の標準的ガイドラインに従わなければならない。特殊な状況下にある独身者が、将来結婚した時に使用できるよう配偶子の保存を希望することを認める。
* 癌患者には、妊孕性温存と将来的妊娠のため、凍結保存という選択肢を治療前に知らせるべきである。癌患者に対し、生まれてくる子どもの福祉を理由に生殖補助の提供を拒否してはならない。未成年の癌患者が配偶子保存に同意し、その介入が子供の純便益を高める可能性が高い場合は、親による子どもの妊孕性温存のための行為を認める。患者の死その他の偶発的出来事が起きた場合の凍結配偶子の処分に関しては、詳細な取り決めを設けておく。

凍結配偶子・凍結胚の処分
ART治療を開始する前に、すべてのカップルから、以下の点に関して、書面による合意を得ておく。
1.配偶子/ 胚の保存期間
2.無能力状態、別居・婚姻無効・離婚、死亡などが夫婦に起きた場合の配偶子/ 胚の後見人
3.無能力状態、別居・婚姻無効・離婚、死亡などが夫婦に起きた場合の配偶子/ 胚の処分

12条 第三者の関わる生殖補助医療
配偶子提供、胚提供
提供された卵子、精子、胚の使用はいかなる不妊治療においても道徳的に認められない。

代理出産
不妊カップルのために第三者が妊娠する代理出産は、フィリピンでは認められない行為である。代理出産は、未解決の道徳的・法的問題をはらんでいる。

13条 移植胚の個数と減数手術
移植胚の個数
品胎以上の多胎妊娠の潜在的リスクを考慮し、患者に移植する胚は3個までとする。しかし、以下の条件のいずれかに当てはまる場合は、3個を超えて移植してもよい。
a. 妊娠した胎児全てを、NIC施設を有する病院で出産できることが確実である場合
b. 患者が少なくとも2回以上IVFで失敗している場合
c. 女性患者の年齢が35歳より上である場合
d. カップルが余剰胚の凍結保存を希望しない場合

減数手術
品胎以上の多胎妊娠における減数手術は容認できない。慎重な卵巣刺激と、移植胚の個数を減らすことで、多胎妊娠を予防することが強く推奨される。

14条 着床前遺伝子診断(PGD)
性選択目的や、異常児を避けるために特定の遺伝病を突き止める目的で実施されるPGDは、配偶子に対しても胚に対しても認められない。

15条 前胚/胚研究
前胚および胚の研究
国民の間で一般的な宗教的信念を考慮すると、現時点において、前胚および胚研究がフィリピンで実施される余地はない。

16条 HIV陽性患者に対するART治療
HIVは深刻だが管理可能な慢性疾患なので、遺伝的につながりのある子供を持ちたいという患者が出てくる可能性もある。リスクを減少させるための療法(抗レトロウイルス療法、帝王切開分娩、授乳しないなど)をカップルが実践するなら、技術的・経済的に対応能力を持つ不妊治療クリニックが、そうしたケースを扱ってもよい。 

17条 ART治療の無効性
医師が患者のベネフィットとリスクを評価し、患者に成功率の低さを十分に伝えていれば、無効あるいは予後不良が予測されるケースでも、治療の実施が認められる。医師が無効あるいは予後不良と判断すれば、その治療法の選択を拒否しても構わない。

18条 特別な場合
上記の規定のいずれかに抵触するような場合、あるいはどの規定にも当てはまらないような場合には、そのART施設を監督する倫理委員会に対し、正式な判断を求めることができる。その場合、判断要請に対する評価や承認は、問題となっている治療が実施される前に完了していなければならない。

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by technology0405 | 2013-12-02 16:57 | Countries | Comments(0)
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