フィリピン女性による胎児売買

2011年8月フィリピンのマカティで開催された第11回Global Consultation on Child Welfare Servicesで、 社会福祉部門を統轄するAlicia Bala次官が、児童売買の新種形態である胎児の人身売買について紹介した。これは、妊娠したフィリピン人女性を旅行者として合法的に海外に連れて行き、そこで待っている養父母に生まれた子を売るというものである。

この報告が出されたのは、フィリピンが海外養子制度を改善するなどの努力をし、米国務省による人身売買報告でティア2 WATCH LIST(監視対象国)の評価をようやく脱した矢先のことだった。
現在フィリピンでは、孤児や棄児を含む400-500人の子供が、Inter-Country Adoption Board (ICAB)の制度にのっとって海外に養子に出されている。養親に対する入念な調査とマッチングが行われた後、多くのフィリピン児童が、アメリカやカナダ、フランスや他のヨーロッパ諸国の家庭に、養子として合法的に迎え入れられる。ハーグ国際私法会議の代表者Jennifer Degeling氏は、フィリピンの国際養子縁組制度について、訓練を受けた専門家が適切に手続きを処理しており、他の国の手本となるものだと評した。

Bala氏によると、フィリピン人妊婦が移動する子供売買のケースは、2011年の時点で2件の事例が報告されているという。1件は2009年にオーストリアで、もう1件は2010年にマルタ共和国で発覚した。「これは氷山の一角に過ぎない。あらかじめ仕組まれた計画にのっとって、フィリピン女性が出産し、子供を引き渡す。フィリピン女性も最初から海外に養子に出すつもりでいるので、子供を引き取ろうとしない。」

母親は合法的にフィリピンを出国できるので、こうしたケースは受け入れ国からの報告がないと見抜くことが難しいという。「旅行者を引き止めることはできない。妊婦が海外に行くことについて移民局職員が介入するわけにはいかない。フィリピン国内に仲介人がいるのだろう。」とBala氏は言う。

マルタは、これまでにも、性的人身売買被害者になりやすい東欧女性の供給、中継そして需要国とみなされてきた。マルタに一時収容されるアフリカ移民もまた、子どもも含めて人身売買の対象になりやすいことが問題視されている。フィリピン人妊婦が人身売買の中継地点であるマルタで出産し、そこから子供が海外養子に出されるという、新しい子供人身売買のルートが確立されている可能性は十分考えられる。

New racket: Trafficking in unborn babies
By Tarra Quismundo
[Philippine Daily Inquirer, August 18th, 2011]

Pregnant Filipino woman sold unborn child to Maltese parents
[MALTA TODAY, 19 August 2011]

Maltese Authorities investigating unborn child trafficking case
by Elaine Attard
[MALTA INDEPENDENT, 20 August 2011]

Malta raises alarm over Filipino trade in unborn babies
[Trade Union Congress of the Philippines (TUCP) , Mar 28, 2012]

マルタ:拘束される移民たち
[Human Rights Watch, 2012年07月18日]

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by technology0405 | 2013-10-18 13:47 | Countries | Comments(0)
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