イスラエルで増える海外代理出産

イスラエルの法律は男女カップルにのみ代理出産へのアクセスを認めている。シングルの男女や同性カップルは承認を受けることができない。そのような人々が子供を持つには、海外の代理出産を利用するしかない。海外代理出産の利用は、国内代理出産を利用する資格のある異性カップルの間でも増加している。国内では、法的条件に合う代理母を適当な期間内で見つけるのが難しいからである。

近年、国内海外問わず代理出産に頼るイスラエル人は増加傾向にあった。しかしこの1年、国内での代理出産件数の増加が止まっている。
イスラエル国内で誕生した代理出産児は2011年49人、2012年41人。国内で代理出産の承認を受けるには、依頼女性が妊娠できない、あるいは遺伝的なリスクを抱えているという医学的証明が必要など、様々な条件がある。それに比べ、イスラエル人が代理出産のために渡航する主な国々にはそういった規制がない。

国内の代理出産件数が減っているのとは対照的に、海外で代理出産をするイスラエル人の数は著しい増加を見せている。海外で生まれた代理出産児の遺伝子検査の申請件数で、渡航代理出産の増加を確認することができる。この遺伝子検査は、イスラエル人の親と子供の遺伝的つながりを確定し、子供にイスラエル国籍を与え、帰国できるようにするために家庭裁判所に申請するものである。2011年には93件、2012年は126件の申請があった。ほんの5年前には6件の申請しかなかったことを考えると、海外での代理出産は比較的新しい現象であることがわかる。 ここ8年間でイスラエル人による海外代理出産は314件実施され、そのうち70%はこの2年間で実施されたものであるとHaaretz紙は伝えている。

2012年の海外代理出産の内訳をみると、73件がインド、25件がアメリカ、21件がグルジア、残り7件がアルメニア、ウクライナ、カザフスタンである。人口・移民当局の数字によると、海外代理出産を行なった人の53%がシングルで、その大多数が男性だという。この53%という数字には、片方だけの名前で申請したゲイカップルもおそらく含まれているだろう。次いで32%が男女の婚姻カップル、2%が婚姻していない男女のカップル、13%が同性カップルによる申請となっている。

国内には法律がないため、内務省は海外代理出産を選択するイスラエル人のために一時的な規則を策定したが、裁判所はしばしばこれを批判してきた。この規則によると、依頼親は、代理出産児との遺伝的つながりを証明する遺伝子検査を求める裁判所命令を請求しなければならない。命令の発行後、子供の唾液検査がイスラエルに送られる。また、代理出産が行われた国の法律や契約に関係なく、代理母は、子供に対する権利を放棄するという文書に、イスラエル領事館でサインしなくてはならない。

これらの手続きが全て終了したのち(3—6週間かかる)、子供にパスポートが発行され、依頼親は子供をイスラエルに連れて帰ることができる。しかしそれで終了ではない。今のところイスラエルは実父確定検査しか認めておらず、実父と確定された男性のパートナー(男であれ女であれ)は、子供を養子にしなければならない。これは、妻の卵子を使った子供であっても例外ではない。ここ1年で何度か、裁判所がこの養子縁組の義務に関して政府を非難している。この養子縁組手続きは、ソーシャルワーカーとの面談なども含めて数年かかることもある。

妊娠・出産問題を扱うために結成されたShlomo Mor Yosef教授を議長とするパブリック委員会は、2012年5月に勧告を出した。委員会の勧告では、何よりもまず、シングルの男女にも代理出産の資格を与えるべきだとしている。ただし代理母への報酬は認めず、利他的代理出産に限る。海外の代理出産についても認めるとし、海外のクリニックで代理出産した親の地位の承認を簡略化し、養子縁組の義務をなくすことを提案した。この勧告の公表後、保健省はそうした実施を検討することを委員会に約束したが、1年経った今も新たな動きはない。

現在、高等法院には、アメリカの代理出産で子供を得た2組のゲイカップルが請願を提出している。ひと組のカップルは、遺伝子検査を拒否し、文書と司法命令に基づいて自分たちを親として認めることを要求している。もうひと組は、子供と遺伝的つながりのある男性が遺伝子検査を受けたが、もう片方のパートナーも養子縁組なしで親と認めて欲しいというものである。

5か月前の法廷では、最高裁判所副所長Miriam Naor氏を長とする7人の司法官が、申立人の請願を受け入れてもよいという意見であった。司法官たちは、政府に対し、海外代理出産を利用するイスラエル人の親子の地位確定のための手続きを、もっと柔軟で迅速なものにする必要があると求めた。

最終的に政府は最近になって、一定の条件を満たしていれば、依頼親の一方と遺伝的なつながりがあれば養子縁組でなく「親子関係確定の司法命令」を出すつもりがあると公表した。この手続きは、現行より簡便なものになると言われている。条件を満たさないケースは、従来の手続きに従う。しかし、親子関係確定命令を出すために国の設置した条件は、かえって海外代理出産の機会を制限することにつながるという指摘もある。国の提示した条件に当てはまる渡航国はアメリカぐらいしかなく、アメリカの費用は他国よりもかなり高い。

イスラエル国内で代理出産すると、費用は約20万シュケル(約550万円)である。海外で代理出産する場合は、現地のクリニックを使って自分でやるか、仲介料を払って業者のサポートを得るかのどちらかになる。海外でやるほうが早いが、費用は国内より高い。代理母への支払い、治療費、交通費と滞在費、弁護士費用、仲介費用などが必要になる。インドなら最低でも25万シュケル、アメリカなら40—50万シュケルかかる。

費用の面以外にも障害はある。インドは人気のある渡航先だが、最近になって同性カップルとシングルの人間に代理出産を提供しなくなった。2013年6月にもロシアが外国人同性カップルによる養子縁組を禁じるなど、多くの国において外国人による養子縁組は禁止、あるいは非常に困難である。「イスラエル人が養子にできるのは、養子縁組に関する合意に調印している国の子供だけである。可能性は無いに等しい。子供を養子にするより代理出産の方がまだ可能性があり、代理出産する人が増えている。」とNew Family organizationの創設者であり会長であるIrit Rosenblum 弁護士は言う。

Israeli couples being forced overseas in search for surrogate mothers
By Ilan Lior
[Haaretz Daily Newspaper, Jun. 27, 2013]

A welcome step forward: on the recommendations regarding fertility and birth in Israel
By Dr Ruth Shidlo
[BioNews, 06 June 2012]
パブリック委員会の勧告に関する記事

Why Israeli gays opt for US surrogate births
Evan Pondel
[GlobalPost – International News, April 18, 2010]

Surrogate Motherhood
Father John Flynn
[February 08, 2013 Zenit.org]

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by technology0405 | 2013-09-05 15:29 | Countries | Comments(0)
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