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イスラエルのゲイと代理出産

アメリカをはじめとする同性愛活動家たちが婚姻の平等を第一の目標に掲げるのに対し、イスラエルでは代理出産の権利が重視される。子供を持つ権利が同性結婚よりも重要な争点となるのが、イスラエルのゲイ解放運動の特徴である。

同性愛者たちが公に結婚を認めてもらうことに関心が低いのは、婚姻の平等によって得られる政策的利益が少ないからだ。イスラエルでは、結婚と離婚に関する全ての事柄が宗教裁判所、つまりラビの管轄下にある。イスラエルに民事婚の制度はなく、従って、伝統的な宗教パラメーターの枠に入らないカップルのための規定を作成することができない。

その結果、宗教法で承認されない(異教徒間の結婚など)、あるいはラビの承認を得るための面倒な手続きを踏みたくないなどの理由で、法律婚をしない異性カップルも多い。「彼らはウエディングドレスから全て揃えてプライベートな儀式をやるが、それは正式な結婚ではない。内務省への登録もしない。」と、同性愛者の家族問題を扱う第一線の弁護士Victoria Gelfandは言う。「正式な結婚なのかどうかなど、誰も気にしない。結婚指輪をしていれば、異性カップルでも同性同士のカップルでも事実婚カップルとみなされる。」

イスラエルのCentral Bureau of Statisticsによると、結婚せずに同居しているユダヤ人カップルは10年前と比べて2.5倍に増えている。そうした同棲カップル達――同性愛、非同性愛にかかわらず――には、イスラエルの最高裁が、内縁の配偶者としての地位を認めており、正式に結婚しているカップルと同等の市民権や法律上の権利の多くを与えている。つまり、イスラエルのゲイカップルはアメリカのカップルよりずっと多くの権利を持っており、婚姻の平等の問題は彼らにとってさほど急を要するものではないのだ。それどころか、イスラエルで結婚すると、アメリカと違い、税が付加されたり父親産休が減らされたりといった実質的な不利益が生じる。また、2006年時点で、国外で行われた結婚に関してはすべてイスラエル政府が認めているので、本当に結婚したいゲイカップルは海外で結婚すればよいのだ。

同性愛者が結婚の権利に関心がないというのではない。ただ、それは現在のイスラエルの結婚概念にそぐわず、多くのイスラエル人は――同性愛者も非同性愛者も――結婚を避けて安易な道を選ぶことができる。婚姻の平等のために闘うことは、さらに大きな法制度の宗教的支配に立ち向かうことになるが、そうした闘いは同性愛者のアジェンダをはるかに超えているといえる。

では、平等と承認を求めるイスラエルのゲイたちの聖杯が結婚でないなら、何なのか。それは、子供を持つ権利である。「我々イスラエル人は伝統を大事にする。」とGelfand 氏は言う。「同性愛者であることを公表すると、親の反応は、子供をどうするのか、ということに終始する。彼らは孫のことで頭がいっぱいである。」

宗教的影響の色濃いイスラエル社会は、ゲイの結婚を制限もするが、同時に「極めて家族志向な」文化を作り出してきたと、テル・アビブでゲイのための代理出産コンサルティング会社を設立したDoron Mamet氏は言う。「イスラエルで家族を持たないのは存在しないのと同じことだ。規範的な社会の一部であるためには家族が必要なのだ。」最近のCentral Bureau of Statisticsの報告では、イスラエル人カップルの75%は子持ちだという。

イスラエルで子供を持つことには、国家主義的な側面もある。イスラエルは、地中海からヨルダン川の間の地域においてユダヤ人の多数支配を保とうと奮闘している。しかし、アラブ人とユダヤ人の人口構成は徐々に拮抗してくるという見方もある。この人口問題が、世界的に最もリベラルなIVF政策と、医療制度による気前の良いIVF助成の理由の一つでもある。(イスラエル国民1人あたりのIVF実施回数は世界的にもトップで、その割合はアメリカの13倍である。)「イスラエル人は、子供を持つことがユダヤ人国家建設への貢献だと思っている。アメリカ人のゲイの父親が、子供を持つこととアメリカ国家建設を同等に語ることはない。」と、ゲイの結婚を専門に扱うアメリカ人の法律専門家Frederick Hertz氏は言う。

「親になりユダヤ人の子供を作ることは、シオニストの価値観の一部であり、イスラエル層にとって非常に重要である。」とテル・アビブ大学の法学教授Eyal Gross氏は述べる。「あなたはいいゲイだ、私たちに素敵な子供を生んでくれた――これが、結婚よりも強力なノーマライゼーションへの切符となる。」
しかし「ゲイでも子供を持てるというという考えがイスラエルでは普通になってきたせいで、同性愛者も異性カップルと同様のプレッシャーを感じるようになっている。」とGross氏は苦言を呈する。「ゲイが子供を作るケースを人々が知れば知るほど、子供を作るべきだというゲイに対するプレッシャーは大きくなる。」

Forget Marriage Equality; Israeli Gays Want Surrogacy Rights
Zvika Krieger
[The Atlantic, Apr 4 2013]

Joan Rivers backs surrogacy for Israeli gay couple
By YONI COHEN
[The Jerusalem Post 03/11/2013]

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by technology0405 | 2013-05-08 12:03 | Countries | Comments(0)
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