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台湾の超少子化と政策対応

2010年、台湾はTFR(合計特殊出生率)0.89を記録し、Population Reference BureauのCarl Haubに「世界で最も低い出生率」と言わしめた。この「超少子化」は多くの人口学者に注目されてきた。

1950年代後半から台湾の出生率は急激に下がり始め、1951年に7.05だったTFRは1975年に2.76になる。1976年は辰年のため3.08に一度回復するも、1984年まで着実に下がり続けて1.75付近でしばらく留まり、1997年の東アジア経済危機のあと再び下降、2003年には1.23にまで落ちた。

台湾の人口政策
1969年「人口政策綱領」によって、台湾の家族計画が始動する。
1970年代後半から、個人クリニックが中絶手術を実施し始め、出生率が大幅に下がった。1985年の「優生保健法」により中絶が合法化され、出生率は2.1を切る。
1992年人口抑制を目的としていた「人口政策綱領」が改定され、人口の「適正な」成長維持を目指す政策へ転換される。
2008年少子化対策の指針を打ち出す「人口政策白書」が発表される。
2010年政府が「“Children are our most precious treasures (孩子~是我們最好的傳家寶)”」のスローガンを掲げ、子供手当てを開始する。台北市では育児手当2,500元/月、出生補助金20,000元/子供一人といった手当補助金制度を2011年から導入した。

また台湾の移民政策も、出生率と相関関係にある。台湾では、都市部の男性が中国人女性と結婚するケースや、農村部の男性がベトナムやフィリピンの女性と結婚するケースが比較的多い。移民妻の受け入れに積極的であった期間は出生率が横ばいになり、2000年以降の移民の減少と共に出生率は再び下がっている。

台湾やその他東南アジアの中国人社会の生殖行動に対し、寅年と辰年は強い影響力を持つ。その影響は、ただのマスコミの煽りと捉えられがちであるが、人口統計において非常に重要な問題である。国の人口動態統計をみると、常に辰年の出生が急増し、寅年で激減する。人口統計学の専門家Wen-Shan Yang博士の指摘によると、寅年に出生数が下がるのは相変わらずだが、辰年の余波で次年度に落ち込む出生数が昔のように回復しなくなっているのが最近の特徴だという。

台湾は2011年のIMD世界競争力年鑑で6位にランクインした。しかし、この高評価は、生産力と効率性の高い民間部門の功績によるもので、政府の功績ではない。実際、台湾の実質賃金の上昇は、都市部での格差の拡大によってここ数年停滞している。子供一人あたりにかかる教育費が増大する中で、若い人々が都市部で快適なライフスタイルを維持するのは難しく、政府による少子化対策が必須である。

子供の数が減るにつれ、子供一人あたりへの投資が大きくなることは立証済みである。経済発展に伴う人口転換期に、第一次人口配当(デモグラフィック・ディビデンド:就労人口の増加により経済的利益があること)の配当が人的資本に投資された。この人的資本投資は第二次人口配当を生み出すための重要なメカニズムである。台湾では若者が高学歴化しており、その傾向は女性に特に顕著だが、同時に晩婚化・晩産化を生み出した。2010年の平均出産年齢は30.6歳、女性の初婚年齢は29.2歳である。インフォーマル・セクターで働くことが多かった年配の同等の女性たちと異なり、フォーマルな労働市場で働く高学歴の若い台湾女性たちは、仕事と家庭の両方を選ぶことが難しい状況にある。本論文では、世代間のVOC(value of children)スコアの違いも調査した。
社会が男女平等な家族関係の構築に向かうのを手助けするような、台湾の社会的コンテキストに沿った政策を打つことが少子化対策として重要である。

Trends in Low Fertility and Policy Responses in Taiwan
Yu-Hua Chen (Population and Gender Studies Center, National Taiwan University)
The Japanese Journal of Population, Vol.10, No.1 (March 2012)

台湾における世界最低水準の出生率、その背景を探る: 陳玉華さん 台湾大副教授
[朝日新聞グローブ March 22 , 2013]

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by technology0405 | 2013-03-22 16:42 | Countries | Comments(0)
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