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胎児売買の規制の難しさ

乳児に対する需要の動機は様々である。主な動機としては、売春その他の性的搾取、奴隷あるいは奴隷に近い形での強制労働、不法な国際養子縁組、臓器の取り出し(臓器移植のためではなく強壮剤やアンチエイジングなど「健康」目的で使用される)、少年兵の調達、物乞いや競技者として利用(競駝の児童騎手など*)等があげられる。労働や調教が目的の場合、乳児の方が記憶のない分、搾取的な環境に適応しやすい、性感染症にかかっていない(これは事実ではないが)という利点がある。養子縁組の場合は、元の親を知らない子供への需要が高く、年齢が低いほど高い値段で取引される。

児童の権利に関する条約は、1989年11月20日に国連総会で採択された国際条約である。子供の誕生時点から適用され、胎児の権利を保護する法律ではない。新生児の密輸は昔からあったが、移送途中で死亡するなど効率的ではないため、今は妊婦を移動させる形をとる場合が多い。こうした「人の密輸」は、出稼ぎ自体が人身売買と言えないため、妊婦への搾取が発覚しない限り違法とは断定しにくく、人身売買法をかいくぐりやすい。しかし、新生児を保護するためには胎児の保護について対策をとらねば、売買が完了したあとでは遅すぎる可能性がある。2006年のブルガリア-フランス間の乳児売買業者が捕まった事件では、母親たちの身元まで突き止められたものの、売られた9人の乳児の居所は結局わからずじまいだった。国連の人身売買禁止議定書では、妊婦の保護の項目が、現実的に胎児保護につながっている。

東南アジア諸国でこの人身売買禁止議定書に署名している国は、タイ、ミャンマー、ラオス、カンボジアである。しかし中国、ベトナム、シンガポール、マレーシアといった周辺国は調印していない。米国務省による2007年度の人身売買に関する報告では、タイ人が様々な国へ売られている事実が指摘され、シンガポールとマレーシアへの言及も見られる。

特に周辺国間で法律が一貫していない場合、人身売買業者はより規制の緩い国へ胎児(妊婦)を移動させる。ブルガリア女性(主にロマ族のジプシー)の妊婦を、私的な養子縁組が認められているギリシャで出産させ、国際養子縁組をさせる例がある。中国は包括的な人身売買法をもたず、強制や詐欺を伴う商業的な性的搾取といった局所的な規制しかないため、例えば借金の肩代わりの人身売買は禁止されない。グアテマラは養子制度の悪用が甚だしく、母親が読めない外国語の契約書にサインさせた後、子供の身元の書類を偽造するといったことが横行している。2年半で33人の子供の養子縁組を扱ったあるグアテマラ人女性は、全員を自分の子供として養子に出していた。

胎児/乳児の人身売買は、この世で一番無力な人間に対する最も明白な人権侵害の一つである。またその問題の顕在化と排除は非常に難しい。しかしだからといって何もしないわけにはいかない。南アジアは出生登録のない子供が非常に多い地域である。2000年だけをとってみても未登録の子供が約22,500,000人に登る。そうした子供の売買は非常に容易い。アジア諸国は協力し、胎児の時点からの保護を念頭に置き、人身売買を防ぐ努力をすべきである。


*競駝(けいだ)の児童騎手問題
ラクダは馬と違い、複雑な操作をしなくても全力で疾走するため、騎手は手綱を持って走る方向だけを調節していればよく、高度な騎乗技術が要求されない。このため、騎手は体重が軽ければ軽いほど有利となり、従来は競駝の騎手として4~6歳程度の児童が使役されていた。多くの児童騎手は人身売買のような形で取引され、十分な教育の与えられない環境で競駝に従事させられていた。(Wikipediaより)


International Conference on Child Labour and Child Exploitation: Trafficking in Unborn Children
by John H Pascoe
FEDERAL MAGISTRATES COURT OF AUSTRALIA,  4 August 2008

世界人口白書2006 希望への道-女性と国際人口移動

LegalWise 2nd Annual International Family Law Conference Cambodia:
Intercountry Surrogacy – A new form of trafficking?

FEDERAL MAGISTRATES COURT OF AUSTRALIA
Friday 19 September 2012
Chief Federal Magistrate Pascoe AO CVO

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by technology0405 | 2013-03-05 16:52 | Materials | Comments(0)
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