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腐敗するベトナム養子制度

ベトナムの養子縁組に関する不正事件の概要(04/25/2008)

2007年10月25日、養子に出されたベトナムの子供の調達手段に問題があったのではないかという懸念に応え、USCIS(市民権移民サービス)は、アメリカ人の養親たちがベトナムへ子供を受け取りに行く前に、ホーチミンにI-600 petitions(Petition to Classify Orphan as an Immediate Relative/Application for Advance Processing of Orphan Petition)の申請を提出し、処理を終わらせておくよう求めた。その手続の内容をもとに、USCISはその子供がImmigration and Nationality Actの定義する孤児に分類されるかどうかを判断する。

アメリカ国務省によると、ベトナムは違法入国の高リスク国である。非移民ビザ・移民ビザにかかわらず、ベトナム人申請者による偽造書類の提出は日常的に起きている。こうした書類には、完全に捏造されたものや、不適切に発行された公文書、偽情報を基にした公文書も含まれる。出生証明書、世帯登録書、結婚証明書などは、賄賂やブローカーを通して簡単に買える。入国を目的とした結婚詐欺もよくあり、アメリカで逮捕されるケースも多い。

ベトナムの国際養子縁組はDecree 68/2002とDecree 69/2006によって規定されている(2008年当時。現在は52/2010/QH12による)。子供を養子に出すには、必ず「実の親の自由意思による同意書」がなくてはならない。そして、この規定には3つの例外が設けられている。両親共に死亡している場合、子供が「棄児あるいは医療施設に置かれたままにされている」場合、「親に行為能力がない」場合である。これらの例外に当てはまる場合は、それを証明する書類が必要になる。

4つの省の児童養護施設長が、自分の施設からできるだけ多くの子供を国際養子縁組に出すことに、強い金銭的誘因があると大使館に報告している。国際養子縁組候補の子供一人当たりに対する寄付金は、政府の基準援助額の10倍にまでなりうる。病院やソーシャルワーカーの報告によると、児童養護施設に子供を送るたびに、児童養護施設長から謝礼金がくるという。

労働傷病兵社会省(MOLISA:Ministry of Labor, Invalids and Social Affairs) に裁量を任され、スポンサーである養子縁組エージェンシーと提携した児童養護施設長は、寄付の方法や額、国内の養親希望申請を受け入れるかどうかなど、すべて決定する権限を持つ。

法務省所属のDepartment of International Adoption (DIA)によると、児童養護施設には、養子縁組エージェンシーから寄付何ドルかを受けるたびに子供を1人国際養子縁組に紹介しなければならない、という了解があるという。施設長たちには、エージェンシーの寄付と「釣り合う」数の子供を見つけてこなければならないというプレッシャーがかかる。

児童養護施設とエージェンシーの関係が近すぎることにより、別の問題も起きている。法律では、まずは実の親および/あるいは国内の養親を60日間探さなくてはならないのだが、その期間を待たずにエージェンシーが海外の希望者に子供を紹介している。こうした違法な紹介は「soft referral」と呼ばれ、横行している。

棄児の親探しで、実の親が現れることはめったにない。実際、田舎の貧しい家庭にテレビやラジオはなく、読み書きできないことも多いため、法務省の職員もそうした親探しの広告に効果がないことを認めている。ベトナムのソーシャルワーカーの話でも、いったん子供を捨てた親が再度考え直すのは捨ててから3-6ヶ月経ってからのことが多いが、親探しの広告は捨てられて1週間しか掲載されないので、さらに親が見つかる可能性は低くなるという。

児童保護施設に国内から要親の希望申請があっても、施設長は手続きを行わない。国際養子縁組に出した方がエージェンシーからの寄付が多いからだ。施設が子供を国内養子に出す場合にはエージェンシーの「許可」が必要で、エージェンシーはそうした「采配権」を得るために、施設に寄付を払っているというわけだ。

アメリカ移民法の下では、外国人孤児を養子として迎えられるのは、実の親が行方不明の場合と、両親が共に永久に親権を放棄して児童養護施設に預けた場合である。2002年より前は、養子の80%が親による親権放棄、20%が棄児であった。しかしアメリカがベトナムと養子縁組の合意を結んだ2005年以降、養子に占める棄児の割合が85%に逆転している。児童養護施設の職員たちからは、養子縁組の世話人が実の親の身元を隠すために故意に子供が捨て子であるよう見せかけているという、信憑性の高い報告が多数寄せられている。

大使館の調査では、棄児の親が特定された全てのケースで、親は、児童保護施設や病院の職員と知り合いだったにもかかわらず、記録では、捨てられていたことになっていた。実の親に対し、病院が、子供に重い病気があると嘘を告げ、健康な赤ちゃんを手放させていたケースもあった。

大使館の調査では、誕生後に子供を手放す約束で、妊婦にただで部屋と食事を提供していた無認可の施設の存在が、5つの省で確認された。施設は、口コミのみで女性たちに広まっていた。もし子供を手放さないなら、それまでの宿泊代や食事代を払わなければならなくなる。そうした施設の中には、母親に生んだ子供の顔を一切見せないところもある。子供と引き換えに、女性は6百万ドンを受け取る。そうした施設と近隣の児童養護施設には密接なつながりがあるのではないかと考えられる。

大使館の職員がそうした施設に行った際には、20人ほどの女性が一つ屋根の下で暮らしていた。女性らによると、児童養護施設から来た人間に、子供を引き渡す書類にサインさせられたという。そうした子どもは棄児として、近隣の病院や施設に移される。道端に捨てられていた、という書類がDIAに提出され、子どもは孤児として扱われる。

こうしたベトナムの養子縁組制度の腐敗を大使館はDIAに報告したが、DIAは、ベトナムの現法で取り締まることは難しいとしている。

Summary of Irregularities in Adoptions in Vietnam (04/25/2008) 
Embassy of the United States of America in Vietnam

Stolen Vietnamese babies sold for adoption in West: report
Thomas Bell
[THE AGE, April 27, 2008]

Vietnam scraps US adoption agreement after damning report
[AFP – Apr 28, 2008 ]

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by technology0405 | 2013-02-01 17:07 | Countries | Comments(0)
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