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CIS諸国の法的状況

CIS諸国のART法は国によって異なる。胚の法的地位、性選択、配偶子の所有権の問題、独身者による代理出産、死後生殖医療などについて、空白領域を残した法律も多い。曖昧な法的状況や国による規制の違いが、CIS諸国内の渡航治療を生み出している。

国内法における論争も存在する。アゼルバイジャンでは、Family Codeに従えば代理出産は完全に合法だが、人身売買規制法に従うと同じ代理出産が搾取とみなされ、違法となる。

ウクライナでは、外国人が代理出産で子供を得た後の相次ぐ出国トラブルを防ぐ目的で、2011年、外国人に対するART提供を完全に禁止する法案が議会に提出された。不妊であることを証明された21歳以上のウクライナ国民しか国内のIVFを利用できないという内容であったため、法案が通過していれば、不妊ではないがARTの利用を望む人々(同性愛カップルなど)のアクセスは拒否されていた。結局この法案は、国内法に矛盾すると言う理由で検討委員会によって却下された。(関連記事http://surrogacy.ru/eng/news/news8.php)

アルメニアは、代理母の卵子を使用する人工授精型代理出産をはっきりと認めているCIS諸国で唯一の国である。その場合、代理母は子どもの引渡しに応じなくてもよいことになっている(2002年法)。また、代理出産を含むARTへのアクセスは、正式な婚姻関係にないカップルでも、シングルの男女でも認められている。シングルの男女に代理出産を認めることを法律で明記した国はCIS諸国でアルメニアのみである(トルクメニスタンは禁止、その他の国は規定なし)。それでも、クリニックによってはシングルの患者に代理出産サービスを提供しない施設もあるので、すべては現行慣例次第といえる。

ロシアは、シングルの患者に対するART提供を成功裏に実現した国である。代理出産を直接規制する法律がないため、非婚姻カップルやシングルの代理出産児は関連法に従って出生登録される。代理母の名前は出生証明書に記載されない。2009年8月にはシングルの女性が、2010年8月にはシングルの男性が代理出産児の「親」として裁判所に認められた。その後も、シングルの男性を代理出産児の唯一の「親」とする判決がいくつか出されたことで、ロシアは性別に関係なく独身者が代理出産にアクセスする権利を認める国となった。

こうした国による法的状況の違いが、CIS諸国内の渡航治療につながっている。患者は自分の性別、婚姻区分、年齢などの理由によって、母国での利用が困難な技術を求めて渡航する。代理出産に関する法律がない国(モルドバ、タジキスタン、ウズベキスタン)、あるいは禁止している国(トルクメニスタン)の患者は、代理出産が合法的に行える国や、代理母に子供を引き渡しの拒否を認めていない国(アルメニア、ベラルーシ、カザフスタン、キルギス、ウクライナ)に行く。

こうした生殖ツーリズムは、法的状況が似た国同士でも見られる。ウクライナでは代理母が子供を引き取ることを法律で認めていないので、ロシア人の中にはわざわざウクライナに行く者もいる。逆に、卵子提供を必要とするウクライナ人カップルや、非婚姻カップル、シングルのウクライナ人にとっては、ロシアでの代理出産の方が都合がよい。卵子提供にかかる報酬を節約したいカップルは、人工授精型代理出産を認めているアルメニアを選択するだろう。もっとも人工授精型は、代理母が子供を引き渡すことを拒否する権利が認められている。

アルメニア、カザフスタン、キルギス、モルドバ、タジキスタンの5カ国は生殖補助医療を権利の一環として捉えている。ART法があり、完全にはカバーしているとはいえないが大部分の技術が法的に規定されている。
一方アゼルバイジャン、ベラルーシ、ロシア、トルクメニスタン、ウクライナでは、ARTのための法律というものはない。Family CodeやHealth Law、厚生省の省令など他の様々な法律である程度ARTに規制をかけながら、グレーゾーンを残している。例えばトルクメニスタンは、遺伝物質の保管、配偶子や胚の提供が法で定まっておらず、代理出産は人身売買と見なされる。
ARTに関する決まりが一切ないのはウズベキスタンだけである。
ロシアは、「禁止されていなければOK」という原則の下でかなり自由に第三者の関わるARTが実施されている。現在ART法案が作成中であるが、かなりリベラルなものになると予測される。

Legal regulation of medically assisted reproduction treatment in the c.i.s. (former ussr) countries and cross-border reproductive care
by K. Svitnev
[ESHRE 2011 27th Annual Meeting]

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by technology0405 | 2012-11-02 16:56 | Countries | Comments(0)
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