ろうあ者のゲイカップルによる代理出産

2011年5月1日、ムンバイのクリニックRotundaで、代理出産によってアメリカ人聾唖ゲイカップルに双子が生まれた。カップルはニューヨークで手話の学校を経営している。カナダで正式に同性婚して16年になる。アメリカで6年前から養子縁組や代理出産を試みてきたが、うまくいかなかった。「アメリカでは生みの母が養子縁組先を選ぶ権限を持っているので、耳が聞こえず、口も利けず、しかもゲイである我々のようなカップルが養子をとることは難しい。」とBrian(45)は語った。

インドへの渡航は、インターネットと友人からの助言で決めた。「インドが我々の最後の頼みだった。医学的な専門知識と個々のニーズに合わせた提案に魅力を感じた。もちろん値段が安いこともね。」とAlanは言う。アメリカで白人の卵子ドナーを探したが見つからず、最初からインド人ドナーを使うことになった。

Rotunda Centreの医長Dr Gautam Allahbadia は「2010年8月に彼らがインドに来た。提供卵子とAlanの精子で作った受精胚を代理母に移植した。彼らが家族を増やしたいと思った時いつでも使えるよう、残った胚は冷凍してある。」と言う。

自分たちは十分親の役目を果たせるとBrianとAlanは主張する。「子供が泣いたら光で知らせてくれる装置を使うつもりだ。」とAlanは言う。Dr Allahbadia によると、このクリニックではイギリス、アメリカ、オーストラリア、スペインなどから年間約20組のゲイカップルを受け入れているという。

「我々が同性婚してから16年になる。養子縁組を長い間試みたが、エージェンシーに、ほとんどの親は普通の家族に子供を渡したがるので我々にチャンスはないだろうと言われた。我々はゲイであるだけでなく、ろうあ者でもあるので。」とAlnanは手話で記者に説明した。

インターネットで「ゲイ」「代理出産」と入れれば、すぐRotunda Centreにたどりつく。ICMRのガイドラインを基準にしても、このカップルが母国に子供を連れて帰るのに、何ら法的障害はない。カップルは、地理的に離れた遺伝子が合わさった子供なので、インドとアメリカの気候の違いなどに対応できるのか心配する程度だ。「子供たちは我々から手話を身に付けるだろうが、コンピューターの音声機能を使って、話すことも教えるつもりだ。」とBrianは言う。

しかし、子供の福祉を考えると、何故彼らに代理出産を認めたのかという非難の声もある。生まれた子供には何の選択肢もない。両親がゲイで、耳が聞こえず話せず、というのは子供にとってどのような環境なのだろうか。

インドの追加法務次官(Additional Solicitor General) であるIndira Jaisingh は次のように言う。「この国には代理出産に関する法律がない。それはおそらく代理出産について法廷で争われるケースが少なかったからだろう。しかし政府はいくつかの利益団体と話し合っており、近い将来、基準を明確にする法律も期待できる。今のところICMRのガイドラインしかなく、このガイドラインはゲイカップルの代理出産を禁じてはいない。」

Rotundaの医長 Dr Gautam Allahabadiaは「代理出産は必ずICMRのガイドラインに沿って実施されなければならない。」と述べる。今回、このカップルが身体障害者であることへの議論もあったが「遺伝子に染色体異常が認められる場合や、奇形児が生まれる確率が高い場合にのみ」是非が検討されるという。「しかし両親が、口が利けない、耳が聞こえないなど、遺伝しない障害を持っている場合は、子供への影響はない。」

しかし児童心理学者P.V. Vaidyanathanは、子供がたとえ正常に生まれても、両親がろうあ者ならそれは必ず子供に影響すると言う。「子供の学習というのは両親による部分が非常に大きく、耳から学んでいく。従って、両親が耳も聞こえず話すこともできないなら、誰か子供に話しかける人が常に家族内にいる必要がある。」

ゲイカップルの代理出産、身体障害者の子育て、そしてそうした状況の人々による養子縁組が難しいという問題、多方面から論じることのできるケースである。ゲイカップルでなくても、養子縁組の難しさ、複雑さ、時間的障壁から、生殖補助医療に向かうカップルは存在する。「子供を持つ」ことを考えるとき、生殖補助医療の規制は、養子縁組の制度の見直し等と合わせて進められるべきである。

City surrogate delivers twins for American deaf, mute gay couple
[ Hindustan Times, June 14, 2011]

Deaf, mute gay couple becomes new parents
[IBN Live Jun 17, 2011]

動画A deaf-and-mute GAY American couple finds joy of family with surrogacy in India

A baby for gay, deaf, mute couple? It’s cruel
[Deccan Chronicle June 20, 2011]

Twin delights for US gay couple in city of dreams
[The Times of India Jun 14, 2011]

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by technology0405 | 2012-08-30 15:30 | Countries | Comments(0)
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