オーストラリアでタイの代理出産児に市民権を認める判決

オーストラリアのカップルが、違法とされる海外での商業的代理出産契約で得た双子の養育権を許諾された。この双子は、タイのクリニックが、夫の精子と匿名ドナーの卵子を受精させ、タイ人代理母に移植し生まれた子供である。
シドニーの家庭裁判所は、クイーンズランド州に住む依頼夫婦Mr EllisonとMs Solanの二人が双子を養育するのが妥当と判断した。海外代理出産の試訴として、裁判所の判断が注目されていた。

しかし、クイーンズランド州(Surrogate Parenthood Act 1988)、ニューサウスウェールズ州、オーストラリア首都特別地域の法律は、住民が国際的な商業的代理出産契約を結ぶことを禁じている。起訴されていれば、最高3年の禁固刑を言い渡されていただろう。オーストラリアの他の州では、海外での代理出産は合法である。

Harrington Family Lawyersに所属する代理出産法専門の弁護士Stephen Pageは、この判決がオーストラリアの代理出産法の複雑さを表していると言う。「この分野の法律は筋が通っていない。海外の代理出産を希望する人々にとってどうしようもない地雷原になっている。」

自分たちを親として認めて欲しいと裁判所に訴える際、Mr EllisonとMs Solanoは最初、双子が違法な代理出産契約で生まれたという事実を隠そうとした。代理母に報酬を支払うことはタイで違法とされてはいないが、オーストラリアの州法は国外にまで効力を及ぼす。

Judith Ryan判事は事の真相を明らかにするため、夫婦に対し、刑事裁判で彼らの証拠が不利に使われることはないという証明書を、Evidence Actに基づいて交付した。去年、同裁判所の判事が、同様の契約を結んだカップルを検察庁のクイーンズランド州長官に引き渡したことがあったからだ。

Ms Solanoはガン治療が原因で、子供を臨月までお腹に身ごもっておくことができない。また、オーストラリア国内でも海外からも、養子をとるには年齢がいきすぎていた。
Ms Karnchanitという代理母は2011年1月に双子を生んで$7350を受け取って以降、養育には一切関わっていない。子供の引取りも希望していない。また双子の遺伝的な母親(卵子ドナー)の身元は不明。

今週出された判決文で、Ryan判事は、たとえ違法行為によって生まれてきた子供だとしても、その子供の福祉に最も叶うと判断し、カップルに養育権を与えた。
「間違いなく公共政策的な問題が起きるだろう。つまり、商業的代理出産に関してクイーンズランド州が定めた法の精神を一部覆すような親権決定がなされる可能性をはらんでいる。」しかし判事は、「裁判所は子供の福祉に最大限かなう決定をすべきであるし、この契約の合法性を問うには遅すぎる段階にある」というAustralian Human Rights Commission の提案を受け入れた。夫婦の刑事責任を問うて投獄することは、唯一の養育者を子供から奪うことになり、子供に与える長期的な心理的、感情的ダメージが大きいという判断であった。判事はまた、海外での代理出産を考えている人々に対し、法的な問題は想像以上に複雑であると警告した。

判事によると、今回、Mr Ellison が遺伝的父親であると証明するDNA結果も、タイの出生証明書に彼の名前が記載されていることも、州法や連邦法に彼が親であることを認めさせるには不十分であったという。

クイーンズランドは金銭的やりとりのない利他的代理出産のみを認めている。同性カップル、独身者、2年未満の事実婚カップルによる代理出産は禁止。代理出産の依頼親が親権を獲得するには、裁判所への申請が必要。

Couple given right to raise surrogate Thai children
[The Sydney Morning Herald August 3, 2012]

Twins of Thai surrogate given Australian citizenship
[The Courier-Mail August 03, 2012]

Family Court decides international surrogacy test case
[Australian Gay and Lesbian Law Blog , 2 August 2012]

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by technology0405 | 2012-08-10 14:36 | Countries | Comments(0)
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