人気ブログランキング |

PGDのリスクに関する論文

生命操作プロジェクト勉強会報告『「科学は 100% ではない」 着床前診断の技術的危うさ』
講師:宗田聡(産婦人科医・パークサイド広尾レディスクリニック院長)
報告: 渡部麻衣子

オランダにおける胚の選別
ペーター・タック、ウィルマ・ダウスト  甲斐克則訳
オランダのPGDに関する動向について

Report on a consecutive series of 581 children born after blastomere biopsy for preimplantation genetic diagnosis PMID: 19713301
Human Reproduction, Vol.25, No.1 pp. 275–282, 2010
I. Liebaers
581人のPGD/PGS児を対象とした調査。PGDなしのICSI児2889人が対照群。 先天性異常の確率はPGD/PSG児で2.13%、通常のICSI児で3.38%と、有意差は見られなかった。しかし、全体の周産期死亡率はICSI児1.87%に対しPGD/PGS児4.64%(オッズ比2.56)と、大きな差があった。胎児の数で分類したところ、単胎出産の場合の周産期死亡率は同程度(PGD/PGS児1.03%、ICSI児1.30%)だったが、多胎出産の場合の周産期死亡率はPGD/PGS児11.73%、ICSI児2.54%(オッズ比5.09)であった。全体の誤診率は1%未満であった。単胎出産の場合は周産期死亡率に差が出ないことが分かった。

Preimplantation genetic diagnosis of single-gene disorders: experience with more than 200 cycles conducted by a reference laboratory in the United States PMID: 18937943
Fertil Steril. 2009 Nov;92(5):1544-56.
C Gutiérrez-Mateo
IVFセンター59施設で実施された224サイクルのPGDを調査。46種類の異常が着床前に発見された。嚢胞線維症のための診断が最も多く73件であった。試料提出から6-36時間で、検査対象胚の84.4%に診断が得られていた。移植サイクルに対する妊娠率は43.4%であった。対象となった全てのケースで、専門機関への細胞の輸送(いわゆる輸送PGD)が行われていた。アメリカではほとんどがこのケースを占める。最初のPGDで約半数の患者が出産または継続妊娠を達成した。

The causes of misdiagnosis and adverse outcomes in PGD PMID: 19155287
Human Reproduction, Vol.24, No.5 pp. 1221–1228, 2009
L. Wilton
PGDで起きた診断ミスと有害転帰の原因について。ESHREのPGD委員会は1997年からPGDのデータを収集している。PGD15,158サイクルのうち24件で、診断ミスや有害転帰が起こったと報告されている(PCR法を使ったPGDで2538件中12件、 FISH法を使ったPGDで12620件中12件)。診断ミスの原因は、胚や細胞番号の取り違え、父方または母方由来の汚染物混入、対立遺伝子の未検出、PCRでの誤ったプローブやプライマーの使用や、染色体モザイク現象によるものなどであった。また技術的・人為的ミスとは関係なく、無防備な性交渉が有害転帰の原因とされるケースもある。こうした原因の多くは、ロバスト診断法を使用し、研究室が適切な質的水準に従うようにすることで防止できる。しかし、1細胞だけを診断するのは技術的にも難易度が高く、完全に誤診を取り除くことはできない。

An analysis of US fertility centre educational materials suggests that informed consent for preimplantation genetic diagnosis may be inadequate PMID: 22493184
J Med Ethics doi:10.1136/medethics-2011-100154
Michelle Lynne LaBonte
人体研究の中にはPGDが安全だと結論づけるものもあるが、動物実験や最近の人体研究では、胚のバイオプシー(組織の一部を採取し,切片を顕微鏡で病理組織学的に検査すること)が子供に神経学的問題を引き起こす可能性があると示唆する研究もある。長期的な安全性はまだ確立されていない。本研究では、患者に対しPGDの安全性がどのように示されているのかについて分析した。PGDを提供しているアメリカの不妊センター262施設のウェブサイトを分析、安全性と危険性についての解説を分類した。78.2%のウェブサイトは、安全性、危険性どちらに関する説明もなかった。残り21.8%のうち、28.1%は危険性について述べており、 38.6%はPGDの安全性を強調した売り込み文句を、33.3%は全体的な安全性と潜在的危険性について述べていた。つまり、子供への長期的な安全が証明されていないにも関わらず、PGDを提供しているセンターの86.6%がPGDは安全だと述べ、かつ/または危険性について全く開示していないことになる。 危険性に関する情報が開示されていないということは、インフォームドコンセントが適切ではないということである。安全性に関する網羅的な議論を妨げている多くの要因についても分析する。

Neonatal follow-up of 995 consecutively born children after embryo biopsy for PGD PMID: 22048989
Human Reproduction, Vol.27, No.1 pp. 288–293, 2012
S. Desmyttere
PGD児995人の生後2ヶ月時の調査。対照群はPGDなしのICSI児1507人。体重、疾患などの点で、違いは見られなかった。

Growth and health outcome of 102 2-year-old children conceived after preimplantation genetic diagnosis or screening PMID: 19896307
Early Human Development 85 (2009) 755–759
Sonja Desmyttere
PGD/PGS児102人(70人が単胎出産、32人が双胎出産)が2歳になった時の追跡調査。対照群は通常のICSI児102人。特に違いは見られず、バイオプシーによる影響はなかった。
by technology0405 | 2012-07-17 16:53 | Materials | Comments(0)
各国のARTに関する資料や記事を集めています (※ このブログに書かれている情報の信ぴょう性は各自でご判断ください)