卵子提供の医学的リスクに関する論文

Oocyte Donation: A Risk Factor for Pregnancy-Induced Hypertension: A Meta-Analysis and Case Series PMID: 21285999
Dtsch Arztebl Int 2011; 108(3): 23-31; DOI: 10.3238/arztebl.2011.0023
Pecks, U
卵子提供による妊娠が誘発する高血圧に関する論文。筆者の患者で、卵子提供で妊娠し高血圧症に陥った女性8人のうち3人は母体が危険と判断され中絶した。関連文献を調査した結果、卵子提供による出産2308事例のうち高血圧になった割合は22.6%。卵子提供で妊娠した644人と対照群2320人を比べると、通常の不妊治療患者に対する卵子レシピエントの高血圧羅患のオッズ比は2.57、対象群に対するオッズ比は6.60であった。卵子提供で妊娠した女性は、高血圧ハイリスク患者に分類されるべきである。

Association between oocyte donation and maternal and perinatal outcomes in women aged 43 years or older PMID: 22252087
Hum. Reprod. (2012) 27 (3): 896-901.
C. Le Ray
調査対象は43歳以上の女性380人。そのうち40人(10.5%)がIVFのみ、104人(27.4%)が卵子提供+IVFを受けた。326人が単胎出産、54人が多胎出産した。合併症の羅患率は高かった。内訳は、妊娠高血圧腎症8.7%、妊娠性糖尿病6.1%、早産20.2%、極早産(33週未満)8.2%、帝王切開44.8%、分娩後の大量出血(PPH)7.4%。妊娠高血圧腎症の割合はグループによって違い、補正後もその差は有意であった(IVFなし3.8%、IVFのみ10.0%、卵子提供+IVF19.2%)。双子妊娠率は、卵子提供+IVFが39.4%、IVFのみ15.0%、IVFなし2.5%)。双子妊娠と早産やPPHの関連は明らかであった。

Racial disparity in oocyte donation outcome: a multiethnic, matched cohort study PMID: 19939832
Hum. Reprod. (2010) 25 (2): 436-442. doi: 10.1093/humrep/dep414
Daniel Bodri
卵子提供における人種的格差。卵子提供の成功率が、白人と黒人の比較では黒人が顕著に低かった。黄色人種と白人では、成功率に差は出なかった。

Procreation in Turner's syndrome: Which recommendations before, during and after pregnancy? PMID: 18706846
Treizièmes Journées nationales de la FFER (Paris, 17–19 septembre 2008)
P. Fénichel
ターナー症候群の女性が妊娠するには卵子提供が有効であるが、ターナー症候群の女性は(先天、後天に関わらず)卵子提供による妊娠で死亡する確率が高い。他にも流産、心血管系の合併症など様々なリスクがある。

Maternal death after oocyte donation at high maternal age: case report PMID: 19116003
Reproductive Health 2008, 5:12 doi:10.1186/1742-4755-5-12
Joke M Schutte
症例報告。オランダでは卵子提供を受けられる年齢の上限が45歳である。海外で卵子提供を受けた50歳の女性が、出産後、脳出血で死亡した事例。

Increased risk of pregnancy-induced hypertension in young recipients of donated oocytes PMID: 17258714
Fertility and Sterility, Volume 87, Issue 4, April 2007, Pages 776–781
Debbra A. Keegan
卵子提供のレシピエントを35歳未満と40歳以上に分類し、通常のIVF患者と比較した論文。卵子提供の患者199 人と、通常のIVF患者488人の出産状況を調べた。卵子提供患者は、妊娠誘発型高血圧(PIH)の羅患率が顕著に高く、「卵子提供35歳未満」のグループで42%、「卵子提供40歳以上」で26%、「IVFのみ40歳以上」14%、「IVFのみ35歳未満」12%だった。双胎妊娠のグループでみても、卵子提供グループのPIH羅患率は高く、「卵子提供35歳未満」56%、「卵子提供40歳以上」36%、「IVFのみ40歳以上」25%、「IVFのみ35歳未満」22%であった。双胎妊娠率は「IVFのみ40歳以上」のグループが一番低く19%、低率の双胎妊娠率を反映し早産率も16%と低かった。「卵子提供35歳以下」の帝王切開率は単胎出産50%、双胎出産78%、「卵子提供40歳以上」の帝王切開率は単胎75%、双胎84%であった。卵子提供患者は通常のIVF患者に比べ、分娩時にトラブルが起きるリスクが高いことが分かった。35歳未満の卵子提供患者にPIHが高い割合で見られることについては、卵巣機能の早期消失とPIHの関連を調査する必要がある。

Obstetric and prenatal outcome in menopausal women: a 12-year clinical study PMID: 12676011
Reprod Biomed Online. 2003 Mar;6(2):257-61
Antinori S, Gholami GH, Versaci C, Cerusico F, Dani L, Antinori M, Panci C, Nauman N.
閉経後の女性が卵子提供によって出産した事例の調査。最高齢63歳。2000年11月までに閉経後の女性2729人が卵子提供を希望し、適格検査で1150 人(42%)が認められた。レシピエントには計1288サイクルが実施され、489 人(38%) の臨床妊娠を得て、126 人(25.7%)が流産、363人 (28%)が妊娠、 390 人の子供が生まれた。327 人(90%) は臨月での出産、36人が早産、24人が多胎出産(21人が双子を、3人が三つ子を出産)。86人(23.6%)が妊娠合併症を引き起こした。内訳は早産33例、妊娠性高血圧43例、子癇前症4例、妊娠性糖尿病3例、胎盤早期剥離3例。272人 (75%) が帝王切開。発育遅延2例を含む新生児合併症。新生児や母親の死亡例はなかった。63歳の女性は1994年7月に臨月で出産、帝王切開で健康な男児を得た。

Pregnancy after Age 50: Defining Risks for Mother and Child PMID: 21809262
Amer J Perinatol 2012; 29(04): 245-250 DOI: 10.1055/s-0031-1285101
Daniel H. Kort
50歳以上で卵子提供を受けて妊娠した101人の女性を対象とした調査。対照群は同センターで同時期に卵子提供で妊娠した42歳以下の女性41人。高血圧障害などの合併症羅患率や帝王切開率は高かったが、若い対照群と比較してみるとそれほど大きな差は見られなかった。

The incidence of both serious and minor complications in young women undergoing oocyte donation PMID: 18249368
Fertility and Sterility,2008, 90(6), 2165–2171
Maxwell, K. N., Chost, I. N., & Rosenwaks, Z.
ドナーのリスクについて。卵子提供のために排卵誘発を行った587人のドナーを対象とした調査。973サイクルの排卵誘発によって886サイクルの採卵が実施された。卵巣過剰刺激症候群、卵巣捻転、感染症、卵巣嚢胞破裂など深刻な合併症の羅患率は886サイクル中6サイクル (0.7%)。採卵後に医療的処置を必要とする軽い合併症が起きたのは8.5%。9%のケースでは卵巣刺激サイクル後に採卵中止となった。ドナーの軽度の合併症についてデータが出されたのはこれが初めて。

Pregnancies from oocyte donation: increased obstetric complications in women over 45 years of age.
Am J Obstet Gynecol 2002
Gielchinsky Y

Clinical and immunologic aspects of egg donation pregnancies: a systematic review
Human Reproduction Update, Vol.16, No.6 pp. 704–712, 2010
M.L.P.van der Hoorn
卵子提供の疫学的リスクについて。試験対象になる患者基準を満たした79論文から得られたデータをもとに、妊娠結果や合併症、胎盤疾患、免疫について評価した。卵子提供と妊娠高血圧症や胎盤疾患との関連を指摘する論文は多い。子宮内発育不全、早産、先天性奇形など他の周産期合併症に関しては、通常のIVFとほぼ同程度である。妊娠中は、部分的、全体的な免疫変化が起きるが、卵子提供の場合はその変化がより顕著である。母体に及ぼす長期的な影響については情報がない。
卵子提供において母体羅患率は高くなるが、遺伝的異物である胎児を母体は寛容する。寛容抗原性相違に対する母体の寛容については、固形臓器移植における寛容の解明という観点からも、さらに研究されるべきである。

[Being pregnant over 45 after oocyte donation in a foreign country. A wonder of medicine or an ethical transgression?](フランス語) PMID: 18035574
Gynecol Obstet Fertil. 2007 Dec;35(12):1235-8.
Marchaudon V, Piccardino O, Dufour P, Subtil D, Deruelle P.
海外で卵子提供を受けたフランス人患者に関する症例2つを紹介。

Egg donation: issues & concerns.
Black JJ.
MCN Am J Matern Child Nurs. 2010 May-Jun;35(3):132-7
PMID: 20453588

Donor eggs from sisters are safer
By Michelle Roberts
論文ではなく新聞記事。姉妹間卵子提供の方が疫学的リスクが少ないことを、韓国の研究者が確認。対象は卵子提供を受けた女性61人。
[BBC News, 21 June, 2005]
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by technology0405 | 2012-07-13 17:00 | Materials | Comments(0)
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