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インドのBILL2010でゲイカップルはどうなる

2011年2月27日付Asian Age紙で、Delhi Commission for Protection of Child Rights (DCPCR)の委員長Amod Kanth氏がインタビューされていた。このインタビューでKanth氏は、代理出産をするゲイカップルに反対する立場を明確に示した。Kanth氏はART BILL 2010の法案作成に影響を与えるキーパーソンと考えられている。

2010年にスペインのゲイカップルがDr. Anoop Guptaのクリニックで代理出産を行い、子供を儲けた。DCPCRは現在その事件を調査している。Kanth氏の主張は、このスペインのゲイカップルには代理出産を行う権利がなく、Gupta医師の処置も違法行為に当たるというものである。しかし、2008年の山田マンジ事件で最高裁は、独身の男性(ゲイであってもなくても)は代理出産サービスを受ける権利があると判断を下している。DCPCRは、この事件では特別な前後関係が考慮されたのであって、ゲイカップルを承認した訳ではないという見方をする。

興味深いことに、マンジ事件は同性カップルと何の関係もない事件だが、この時に出された裁判所の判断が、ゲイカップルの代理出産問題に対しても当てはまると一般的に考えられている。この画期的な判例によって、インドはその先にある法律の制定を見込んである一定の基準を示したつもりだったのだろうが、法律の世界では未だにこの判例が先導的判例であり引用され続けている。

DCPCRがスペインのゲイカップルの調査を始めた時期と、ART法案がゲイカップルによる代理出産を禁止するとメディアが報じた時期は、ちょうど重なっている。Kanth氏はART法案を十分に意識したうえで、スペイン人ゲイカップルの事件を利用して反対発言を強調し、インドに代理出産にやってくる外国人カップルを威嚇したい狙いがあるのだろう。
Kanth氏は、ART法案が独身者の代理出産を認めることには譲歩を示しているが、ゲイカップルについては「子供を育てることはできない。」と発言、絶対に対象から除外すべきだとの考えを示した。

こうした過激な発言は、法案作成時にありがちな、ゲイカップルを法案から排除するための戦略的な攻撃だと考えられないこともない。Kanth氏はゲイカップルの代理出産を違法だと発言しているが、法案がゲイカップルの代理出産を禁止しているという確証も乏しい。独身男性の代理出産を認めたマンジ事件の判例もある。
しかしDCPCRは、代理出産で子供を得たゲイカップルの調査を開始している。法案がゲイカップルを認める、認めないはこれからの話だが、法案が成立する前に代理出産で生まれた子供たちも守られるような配慮は必要であろう。

DCPCR crusade against gay couples and surrogacy
[Indian Surrogacy 2011 Feb 27]

Kanth氏のインタービュー  ‘Gays can’t look after a child’
by technology0405 | 2012-02-21 17:01 | Countries

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by technology0405