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病院の言い分、代理母の言い分

インドAvarampalayamにある不妊センターIswarya Women’s Hospital and Fertility Centreが、代理母に対する訴状を市警察局に提出した。彼女は妊娠3か月の時に病院との契約違反を犯した上、報酬150万ルピーを後に要求したという。

しかし、男の子を生んだこの代理母Rajeswary (30)は、Times of India紙の取材に対し、彼女は一度も余分の支払いを要求していないし、生後2日の赤ちゃんを本当の親に引き渡すつもりでいると話した。ティンドゥッカル(タミル・ナードゥ州)出身のRajeswaryは、事故で指4本をなくしており、とても新生児を世話できるような経済状態にない。また、彼女の夫Sivakumarは病気で寝たきりである。

Iswarya Women’s Hospital and Fertility Centreの経営者K M Balakrishnanによると、Rajeswaryは2011年1月に10万ルピーで代理母になる契約を病院と交わした。その契約では、彼女は出産までずっと病院にいて、その間の必要経費は病院が払うことになっていた。また、彼女が妊娠している子供の依頼親についての情報は知らされない約束だった。そうした契約に関わらず2011年3月末に、妊娠3か月の状態で彼女は病院を抜け出したのだとBalakrishnan は訴える。

病院側は何度も彼女と夫に連絡を取ろうとするが、失敗に終わる。Balakrishnanの申し立てでは、ようやく連絡があったのは彼女が男の子を出産した翌日で、150万ルピーで子供の引き渡しに応じると言ってきたという。

Tames of Indiaの電話取材に応じたRajeswaryは、代理母に同意したのは病を患っている夫の治療費を稼ぐためだったと語った。病院は彼女に、何も書かれていない白い紙にサインさせたのち、代理母になることを許可した。 だから、同意書や契約書は存在しないのだというのが彼女の言い分である。

Rajeswaryには子供がいないので、出産まで夫のSivakumar も病院にいてよいという許可を病院からもらった。しかし、3ヶ月で夫は病院から出される。それゆえ彼女は夫の世話をするために病院を出なければならなくなった。出産後、子供を引き渡すことを病院に約束したと彼女は主張する。

貧しい代理母の基本的人権を無視したのは病院側だと、弁護士のM V Vijayaraghavanは言う。「 彼女は病気の夫を助けたい一心で代理母になった。ところが病院側は、10か月間夫に会わずに入院し続けるべきだと言い張った。もし病院が提訴するつもりなら、法廷で争う用意がある。」
しかし病院のアシスタント・マネジャーSreemathiの言い分では、夫のSivakumarも条件をすべて呑んだ上で同意書にサインしたのだから「病院側による不正行為は一切ない。」という。病院の医長Chandralekhaのコメントは得られていない。

こうした記事を読むと、インドの代理出産がアメリカやヨーロッパの合法的代理出産と違うことが分かる。第一に、この記事の代理母は子供を生んだことがない。出産経験は、アメリカでは代理母になるために必要な条件である。第二に、代理母に対する強制的な隔離。40週も「病院」に閉じ込められる環境というのは極めて不当であり、この記事のようなケースが起こる土壌を生む。このケースでどちらの言い分が正しいのかは別にして、インドの代理出産に重大な構造的問題が存在することは間違いない。

Surrogate mom blackmailing us, claims hospital
[The Times of India Sep 21, 2011]

Indian Surrogate Accused Of Blackmail
[The Spin Doctor September 21, 2011]

Father to pay Rs 5 lakh for surrogate son
[IBN Live Oct 04, 2011]
事件のその後。依頼父が代理母に直接連絡。代理母に50万ルピーを渡し、子供を引き取った。

Iswarya Fertility Center

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by technology0405 | 2012-02-17 13:12 | Countries

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