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商業的代理出産は認められるべきか?

タイには今のところ代理出産関連の法律が存在しない。これを法の抜け穴として利用し、代理出産をビジネスの道具にしようとする者がいる。先日も、台湾人が経営する会社Baby-101が、ベトナム人代理母をタイであっせんしていたことが判明した。

内閣は商業的代理出産を阻止しようと2010年に法案を承認し、現在は議会で審議中。この法案は生殖補助医療で生まれた子供に関するものである。夫婦の精子と卵子を使い体外受精する代理出産と、夫婦どちらかの精子か卵子を使い人工授精する代理出産、どちらのタイプの代理出産もカバーしている。法案では、代理出産で生まれた子供は法的に依頼カップルの子供とみなされる。さらに重要なのは、仲介業者や代理母に対する支払いを禁じている点である。

アジアで代理出産の実需が存在する以上、代理出産を規制することは非常に重要になってくる。契約が法的に曖昧であるがゆえリスクを負う可能性があってもなお、タイに代理出産サービスを買いにやってくる顧客は多い。

この法の抜け穴が悪用されれば、判然としない事態を招くことになる。例えば先日救出されたベトナム人代理母たちの件では、台湾人の依頼夫婦が子供の引き取りを拒否し、子供を望まない代理母に押し付けたケースがあった。この遺憾な結末を知った議会は、速やかな法案承認へと走るかもしれない。しかし、新法案はこうした事例をなくすことができるのだろうか。また、代理出産サービスをただで提供する代理母が見つからなければ、それにどう対処するのだろうか。

Baby-101のケースは、代理母が置かれた虐待的な労働条件を根拠に、人身売買事件として扱われた。しかし、商業的代理出産の議論で常に争点となる「人間の商品化」についての言及はどこにも見当たらない。商業的代理出産は子供の売買、人身売買と同一視できるだろうか。赤ん坊は商品として扱われているのだろうか。

反商業的代理出産の主な論拠は、代理母への支払いは子供の値段である、というものである。この議論では、人間を商品として扱うことを道徳的に悪であると考える。それが子供ならなお一層悪質であるということになる。この主張には、反論の余地が2点ある。

まず第一に、代理出産目的で子供を懐妊し出産後は依頼親に引き渡すという契約は、依頼親と遺伝的につながりのない、すでに懐妊された子供を売ることとは機能的に異なるという点である。

第二に、支払いについてである。代理出産契約で依頼親は実際何に対して支払うのか。赤ん坊に対して?それとも代理出産サービスに対して?商業的代理出産の擁護者は、この支払いは赤ん坊の値段ではなく、代理母が妊娠・出産を通して引き受けた尽力とリスクに対する報酬だと主張する(食事処方、健康維持、産休による収入減に対する補償など)。

反商業的代理出産の主張はまた、貧しい女性に不平等な契約を強いる経済的搾取の側面を強調する。依頼者は代理母を目的達成のための道具と見なしているという。これに対し擁護者たちは次のように反論する。

第一に、貧しい女性だけが商業的代理出産を行なうというのなら、合法的な代理出産でもっと収入を得られるような保護政策を提供することはできないのか。第二に、経済的搾取が問題なら、代理母が負うリスクと不自由に対する補償をするのが当然ではないか。第三に、1980年代、商業的代理出産が大いに議論された時期にアメリカで行われた調査によると、以下の事実が示された。
・商業的代理出産の担い手は、必ずしも経済社会上最も貧しい階級出身だとは限らなかった。従って、貧しい女性のみが商業的代理出産に従事するという仮説は成り立たない。
・代理母になるという決断は必ずしも金銭的な理由からではなかった。調査によると、妊娠を楽しむ女性や、利他的な善行と感じる女性もみられた。

タイでは、新法によって商業的代理出産は禁止されることになるだろう。しかし、ベトナム人代理母の事件が示しているように、アジアには実需が存在する。商業的代理出産の禁止は、子供のない親たちを、Baby-101の台湾人顧客のように違法な解決策へと向かわせるかも知れない。今こそ、商業的代理出産の法的地位について議論の口火を切るときである。

Should commercial surrogacy be legalised?
[Bangkok Post 6/05/2011]


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by technology0405 | 2011-05-10 12:03 | Countries | Comments(0)
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