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マレーシアのガイドライン

マレーシアには、インドと同じくARTに関するガイドラインが存在する。インドとのおおきな違いは、ガイドラインが代理出産を認めていないこと。法律ではないので刑罰による拘束力はないが、マレーシアの不妊クリニックでは、このガイドラインにより代理出産を行わない病院も多い。
ガイドラインは代理出産について、以下のような言及にとどめている。

ガイドラインの12条「代理出産」
代理出産契約とは、女性が他人のために子供を妊娠し、出産時に引き渡すことに同意することである。こうした行為は我が国の主な宗教のほとんどにとって受け入れがたいものである。またこのような代理懐胎には、関係者にとって、多くの法的ジレンマが伴う可能性をはらんでいる。

ガイドラインの全体は以下のようである
1条 定義
人間の尊厳と統合性の尊重、ヒト遺伝物質が不適切な使い方をされないよう保護すること、ケアの質の向上、の原則

2条 原則
人間の生命の尊重、不妊の人の権利への配慮、子供の福祉の保護、医学的知識より得られる利益を個人と社会に還元すること、生殖補助医療は婚姻関係にある夫婦にのみ提供されること

3条 ケアの質の原則
クリニックが治療とその結果を十分に分析すること、配偶子や胚の記録をつけた上で適切に保管すること、保管された胚を使う場合には同意書を得ることなど

4条 同意
・いかなるARTも、夫婦の同意なしに施してはならない
・治療や研究に遺伝物質を使う場合には、夫婦の同意が必要
・治療に成功した夫婦の余った遺伝物質をどうするかについては、夫婦の同意と決定による
 ただし遺伝物質は最長5年まで、政府の承認を受けた場合は10年まで保管可能とする
・離婚や死亡の場合は保管された配偶子が破棄されることに、夫婦は同意しなければならない

5条 卵子/胚の移植
・危険物質に汚染された可能性のある配偶子や胚は使用しない
・医師と患者夫婦は、移植する胚の数について書面で同意しておく
・医師は、多胎妊娠の危険を最小限にとどめる努力をする

6条 胚盤胞移植
胚を2-3日以上培養し、卵割期の終わった胚盤胞の段階まで成長させてから子宮に移植することで、より高い妊娠率が期待できる。これは胚の自然な成長を利用した方法であり、この処置について倫理的問題は一切ない。

7条 アシスト・ハッチング
胚の表面の透明体の一部を酸で溶かし、着床を助ける技術であり、胚の成長の進行を変えるものではない。従って、この処置について倫理的問題は一切ない。

8条 卵子提供/胚提供/精子提供
卵子、胚、精子の提供には、15条に示した禁止事項が伴う。この処置に入る前に、患者と医師の宗教的、文化的感性が考慮されなければならない。

9条 性選択
社会的、個人的理由による性選択は禁止する。しかし、伴性遺伝による重度の遺伝子疾患の診断は認められる。

10条 選択的減数手術
慎重な排卵誘発と移植胚の数の制限によって、過度の多胎妊娠は最小限に抑えるべきである。それでも4人以上の胎児を妊娠した場合、胎児や母体に危険があると判断されれば減数手術を考えてもよい。この処置をする場合は患者への十分な説明を行う。

11条 配偶子と胚の保管と廃棄
胚の保管と廃棄に関しては、ARTを受けている夫婦に決定権がある。夫婦が離婚したり片方が死亡した場合、保管された配偶子を夫婦片方だけの一存で使うことはできない。

12条 代理出産
代理出産契約とは、女性が他人のために子供を妊娠し、出産時に引き渡すことに同意することである。こうした行為は我が国の主な宗教のほとんどにとって受け入れがたいものである。またこのような代理懐胎には、関係者にとって、多くの法的ジレンマが伴う可能性をはらんでいる。

13条 精子の凍結保存/精子バンク
特に化学療法をこれから行う予定の患者は、将来の使用を見越して精子を保管してよい。精子を精巣上体や精巣から採取することも可。精子サンプルの識別を適切に行うこと。提供精子の使用においては、医学的必要性と、患者と医師の宗教的感性に従って進められるべきである。

14条 着床前遺伝子診断
現在PGDは主に病気の診断に利用されている。また、病気の兄弟に臍帯血を移植するための胚を選択するのにPGDを使う者もいる。胚の道徳的地位などに関しては世界的にも意見は一致していない。現時点では、重篤な遺伝子疾患の診断にのみPGDを使用するのが妥当である。障害や病状に関係のない遺伝形質を選択するための使用は倫理に反する。

15条 禁止/望ましくない行為
・ドナーの同意なくヒト配偶子を使用した研究や実験を行ってはいけない
 そうした研究や実験はマレーシアでは禁止されている
・ART治療以外の目的で胚を培養することを禁止
・受精卵を培養できるのは、低温保存期間を除いて14日まで
・クローニングの禁止
・移植胚を増やすために胚を分割する行為を禁止
・胎児の配偶子を受精に使うことを禁止
・人間と動物の配偶子を交雑させることを禁止
・違う配偶子や胚を混ぜて、生物学的な親子鑑別を混乱させる行為を禁止
・ヒト胚を動物に移植することを禁止
・胚の細胞核を他人の細胞核と取り換えることを禁止
・胚の細胞の遺伝子構造を変えることを禁止
・胚のフラッシングを禁止
・配偶子や胚の売買を禁止
・デザイナーベビーを作るための着床前診断を禁止
・死体から採った配偶子や胚をARTに使用することを禁止
・婚姻関係にないカップルにARTを使用することを禁止

GUIDELINE OF THE MALAYSIAN MEDICAL COUNCIL ASSISTED REPRODUCTION

Malaysian Medical Council


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by technology0405 | 2010-11-02 13:50 | Countries | Comments(0)
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