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代理出産と人身売買

代理出産のグローバル化に伴い、国際的な基準というものが必要ではとの議論が高まりを見せている。南半球の国ではインドがAssisted Reproductive Technology(ART)[Regulation] Bill 2010を通過させ、代理出産の成文化を実現したが、これはまだ法案にすぎない。

水面下で代理出産が行われている国への調査も急がれる。女性の人身売買で悪名の高いロシアでは、「Natashas」と呼ばれる国際的な人身売買組織があり、女性の体が市場に出されている。こうした犯罪組織が代理出産にシフトし、女性の生殖を売買するのは必然であるといえる。深刻な人身売買がはびこるグアテマラでも、海外向けの養子縁組の形態に加えて、アメリカ向けに代理出産を安く提供しており、あっせん業者が利益を得ている。

代理出産は、生殖に関わる人権の侵害が起こる可能性をはらんでいる。2010年6月のハーグ国際養子縁組会議では、「子供の人身売買を防ぐ目的で国際養子縁組が見直された結果、意図せずして代理出産の問題が引き起こされた。」と述べられた。一方で代理出産を行っているインドの医師などは「代理出産は正当な賃金のために行われる労働。」とみる。

アメリカの私立の養子あっせん業は人身売買に近いものも多く、特に移民の子供を養子として売ることは以前から行われてきた。代理出産で発展途上国から白人の子供が多く供給されると、新たな市場として活発化する可能性がある。U.S. Trafficking Victims Protection Act(TVPA)は労働力としての人身売買を禁じているが、こうした新しいタイプの幼児売買は全く想定されておらず、現行法での取り締まりは難しい。国連のUN Trafficking Protocolは人身売買の定義が緩いので、適用できる可能性はある。少なくとも各国の政府は、代理出産市場が人身売買につながらないように手を打つべきである。

Will Global Surrogacy Be Regulated? 
[RH Reality Check July 7, 2010 ]


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by technology0405 | 2010-08-06 12:23 | Countries

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